テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
その後も、二人は音楽番組で顔を合わせた。
廊下ですれ違えば話す。
待機時間に少しだけ話す。
ジュホがナユの飲んでいる飲み物を覚えていたり。
ナユがジュホのいつものコーヒーを覚えていたり。
小さなことが積み重なっていった。
「それ、また飲んでる」
ジュホが言う。
「好きなんです」
「毎回それですよね」
「ジュホさんだって毎回同じコーヒーじゃないですか」
「……見てたんですか?」
「見てません」
「今、見てたって言いましたよね」
「言ってません」
「言いました」
「知りません」
笑い合う。
そんな時間が、ナユには嬉しかった。
だから。
最後のMCの日。
「今日で最後ですね」
ジュホが言った。
「そうですね」
「寂しい?」
少し迷って、
「……ちょっとだけ」
と答える。
ジュホは笑った。
「僕もです」
その言葉が、ずっと残った。
その夜。
ホテルで一人になったナユは、スマートフォンを開いた。
ジュホのステージ写真を見る。
今日のMCの切り抜きを見る。
そしてスマホを閉じる。
「……何してるんだろ」
会いたい。
そう思った。
でも。
会う理由がない。
今までは仕事があった。
来週も会えると思っていた。
でも、もう会えない。
そのことが。
思っていた以上に寂しかった。
⸻
#Snow Man
桃紫 さく🌸
10,924
185
水
138
みーる
192
コメント
1件
おお、第7話読んだよ……。「見てたんですか?」「見てません」の掛け合いとか、本当に普通の会話なんだけど、そこにじわじわくる距離の縮まり方がたまらなかった。最後の「会う理由がない」でグッとくる。仕事終わった途端に連絡手段がなくなるもどかしさ、分かる気がするわ。この二人、どうなっていくんだろう。気になる!🔥