剣を隠し持つ 女
縁は異なものと言うが、飲み屋で知り合い、私のマンションに彼が転がり込んで3年が経つ。彼はヒモ以外の何者でもない。
私は彼にとって都合の良い女なのは分かっている。別れが怖くて何も言えない自分自身を恥じてもいる。親に顔向けできないし、こんな自分に嫌気が差す。彼の言動を見て見ぬ振りを決め込むことで、精神を安定させている。
それでも、私の体に赤い血は流れているらしく、沸騰寸前になり、ギリギリ,タガが外れそうになる時がある。そんな時、秘密の箱にしまっておいた,刃先が短い剣を、地肌に直接隠し持ち、抑え切れないkarma( 業 )と闘いながら、彼に笑顔で対する私なのだ。
彼は、時々仕事探しの言い訳に金をせびり、数日帰らない。
この日は、今までで1番長い10日目に、何食わぬ顔で帰ってきた。とうとう我慢できずに、私は意を決して、彼に対した。
「どこに行って、どこに泊まっていたの?留守中の携帯の電源を切っているのはなぜ?結婚を約束している私に何を隠しているのかはっきり聞かせてほしい。
あなたを責めているわけじゃないの、あなたが好きだし、信じたい!でも知らな過ぎる。仕事のことを聞いた時、いつも有耶無耶にして逃げるでしょ!3年ヨ、もう私達❗️。教えてくれないなら,私はこのまま一緒には暮らせないワ、、、私、来年三十路になるの、お願い訳を話してヨ!」
年下の彼は、暫く、窓の外を眺める風にしていたが、私に向き直ると、笑顔で言った。
「そろそろ潮時かな、、何も言わない、何も聞いてこない君が丁度良かったんだ。金は返さないヨ❗️君も良い夢を見たんだし、お互い様だからネ…。俺の荷物は、新しい住所に送ってよ、宜しく!!」
私は頭がクラクラし、立っていられ無くなり、その場に崩れ、両手を床に激しく打ち付けた、、、。
彼は、ゴミ箱の紙クズの端切れにペンで殴り書きし、テーブルに置く。お気に入りの洋服とTimberlandのメンズブーツを掴み、
彼は去って行った。
殴り書きした彼の新住所には、ツギ❓の、女の名前宛になっていた……、
私の腹部の内側から、赤い血🩸が一筋、肌を伝い流れ落ちている、、、、
完