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見慣れた景色に、見慣れた道。
ずっと夢だったデザイナーになるために上京してから早2年。
現在、デザイナー学校の長期休みに入った私は、実家に帰省している最中である。
道中、懐かしいお店に顔を出したり、よく可愛がってくれた近所の人達にただいまの挨拶をしたりしていたのだが、少々時間を使いすぎてしまったらしい。
昼までには実家に着いているはずが、いつの間にか時計の針は午後2時を指していた。
「ごめんおばちゃん、ちょっと時間ヤバいからもう行くね」
「あらそう?帰ってきたばっかりだってのに、お顔見してくれてありがとねぇ。またいつでもおいで」
「うん、またね」
近所のおばちゃんに挨拶を済ませ、早足で家に向かう。
…みんな元気かな。
・・・
「悠利〜!!おかえりなさい〜!」
「…ただいま母さん。元気そうで何より」
駆け足で抱きついてきた母を軽く受け止め、変わらぬ元気そうな姿に安堵する。
「もう、それはこっちのセリフよ!!急にメッセージで”今日帰る”なんて言うから慌てて準備してたのに、いつまで経っても来ないんだもの!途中で何かあったんじゃないかって、父さんも母さんも心配したんだから!!」
「家から数キロ離れたところまで迎えに来る程??」
「当たり前じゃない!」
何を当然のことを、とでも言いたそうな顔で、母さんは私の手をぎゅっと握っている。
全く、相変わらずの行動力だな。
…まぁ、それくらい私のことを想ってくれてるんだと思ったら満更でもないんだけど。
「まぁまぁ!ずっと道で立ち話してるのも迷惑になっちゃうから、早くお家に帰りましょ!もうすぐ3時だけど、お昼ご飯はもう食べた?」
「ううん、まだ。家になんかある?」
「さっき食べたカレーうどんがまだ残ってる…はず」
「怪しすぎんだろ。じゃあ残ってたらそれ食べる」
「うふふ…追加の人参、沢山入れといてあげるわね♡」
「ガチでいらん」
・・・
他愛のない話をしながら家に向かうこと数十分。
母は、「今日のお夕飯に使うお肉買い忘れちゃった☆」なんて言って買い物に向かったため、現在は一人で家に向かっている。
毎度毎度、あの唐突さにはため息が出るが、ひとまずカレーうどんに追加の人参が投入されることは免れた。
ありがとう、買い忘れられた肉。お前のことは私が責任持って美味しくいただくよ。
…そんなことを考えているうちに、自分の手は自宅のドアノブに手をかけていた。
懐かしいヘリボーンのドアが、まだ上京していなかった頃の記憶で埋め尽くされる。
…父さん、元気かな。弟は…晴翔はもう高校2年生だっけ?
私が家を出るときはまだ中3だったのに、…懐かしいなぁ。
ガチャリ、ドアが開いた。
「_ただい…」
「ぎゃ”あ”ぁぁ”あぁ”“ぁ”ぁあ”““あぁ”!!”“!?”こっち来んなこのッ゙!?力強いなテメッ…はー!なー!せ!!!」
「も〜〜、そんな冷たいこと言うなよ晴翔ぉ〜♡な?何も痛いことしないから、俺とイイコトしようぜ?♡」
「い”“ゃあ”ぁぁぁ”ああぁ”“ぁぁ!?!?!?」
…バタン。
…え何?