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25
にこ
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るる
412
三日前、俺は大好きな人を監禁した。
雑貨屋で買った『ねむくな〜る』という薬をハンカチに染み込ませ、それを大好きな人の口に当てた。
あっという間に大好きな人は気絶し、俺の体に体を預けていた。まさか、成功するとは思っていなかったから、とても驚き、喜んだのを覚えている。
体は重たかった。
でも、全てを持っているという優越感に包まれて、そこまで辛くなかった。
これから、大好きな人は俺の手の中に収まる、そう計画を立てていたはずだった……
「あ゛ぁ゛っ………!まっ………゛…………て……!」
「ん?なに?」
「………とま……っ゛………てっ………゛!!!」
「うーん、どうしよっかな」
「…………いっ゛た……!」
「うん、知ってる」
「…………い゛っ゛……たっ゛………から………っ゛!!!」
「大丈夫、大丈夫、達した分だけ幸せになれるんだから……ね?」
「んあぁ゛………っ………゛………お゛ぉ゛………っ………!!!」
「ほら、ね、」
「…………ん゛………ぁ゛………っ………♡」
俺は今、監禁した大好きな人に抱かれている。
大好きな人、早川依都と出会ったのはテレビ局だった。
俺は見習いカメラマンとしてとあるニュース番組の収録現場にいた。
「今日のゲストの為替投資家の卯月朔玖さんと株式投資家の早川依都さん現場入りしまーす!お願いしまーす」
「「お願いしまーす」」
俺はカメラの調整をしながら、適当に挨拶をした。
どんな顔だっけ?そんな気持ちで俺は依都さんの顔を見る。
その時だ、
俺の心が跳ね、毎日が変わったのは。
ウェーブのかかった前髪。
丁寧に手入れされている眉。
目鼻立ちがくっきりとした顔立ち。
それなのに優しい雰囲気が漂っている不思議な感覚。
薄く血色のよい唇。
少し日焼けしている肌。
シャツからでも分かる程よくついた筋肉。
背筋がピシッと伸びている姿勢。
俺の拳二つ分くらい高い身長。
優しい微笑み。
ほかにもたくさん。
依都さんの全てが魅力的だった。
かっこいい、色気がすごい、
これだけの感情で俺はずっと目で追っていた。
三日後────
この日は休みの日だった。
俺はカフェでゆっくりとコーヒーを嗜んでいた。
最近の趣味は仕事で疲れた身体をカフェで労ることだ。
順調に社畜の道を歩んでいる気がする。
カランカラン、とカフェの扉の音が鳴った少し後、俺の席の前をウッディの匂いが通り過ぎて行った。
カラン
その時、そのウッディの匂いの持ち主のポケットからペンが落ちた。
「あ、あの、これ落ちましたよ……!」
「……ありがとう」
俺は聞き覚えのある低く響く声に驚きながら、ペンの持ち主の顔を見た。
そこには、あの依都さんがいたのだ。
俺はペンを渡すふりをしながら、それを凝視した。
高そうなポールペン。
……ん?
持ち手の少し上の部分に何かの刻印が入っていた。
『yuri』
確かにそう書かれている気がする。
「………………彼女いたんだ、」
俺はそう誰にも聞こえぬよう呟きながら、ペンを渡した。
「彼女は残念ながらいないんだ」
「⋯⋯⋯えっ?」
「ほら、君がそう言っただろう?」
「⋯⋯は、はい。ペンに女性の名前が書いてあったのでてっきり⋯」
「女性の名前?」
「こ、ここに、『yuri』って⋯あれ?」
俺はもう一度、その名前が書いてある所を確認した。
そこには女性の名前ではなく『yori』と書かれていた。
『yori』とは依都さんのことだろう。
彼女とすぐに探ってしまう自分の意識のし過ぎに飽き飽きしてしまう。
「このペンを見た時にすごく惹かれたんだ。だから、特注で名前を彫ってもらったんだよね。すぐに無くしちゃわないようにさ」
そんな素敵なものを俺は……、段々と罪悪感が襲ってくる。
でも、刻印を入れてもらった理由を聞いて少しクスッとしてしまった。
「あ、馬鹿にしたな?」
「⋯い、いや、そんなことは」
「いいんだよ。素直に言ってくれても、怒らないからさ」
このクスッと笑える理由も俺のため、そんな風に思ってしまう俺はおかしいだろうか。
怒らないところも、ペンを受け取る丁寧な所作も、優しい微笑みも、
全部、全部、全部、全部、俺のものしたい、そう思い始めたのは、この頃だと思う。
だから、俺は行動に移した。
ある日、収録現場で”監禁事件”についてコメンテーターたちが話し合っていた。
俺はその時、その暗い言葉がとても明るく、チャンスの言葉に聞こえた。
それをすれば、依都さんを俺だけの依都さんにできる。
そう感じた。
犯罪者になるよりも、依都さんの全部を取られるのがものすごく嫌だった。
俺の家は5階にある。
そこで監禁すれば逃げられることもない。
首輪も手錠も足枷も付ければいい。
お金は俺の分を削ればいい。
俺は床で暮らせばいい。
ここまで来てしまえば、俺は俺を止めることはもう出来なかった。
唯一の自分を止めるものを無くしてしまったんだ。
それさえも依都さんに捧げたかった。
だから、俺は依都さんを監禁した。
でも、俺が望んだものとは程遠いものになっている。
「依都さん、依都さーん、」
俺は『ねむくな〜る』で眠っている依都さんの頬をツンツンとしていた。
この薬の効果は一時間だ。
それなのに、二時間も眠っている。
余程疲れているのだろう。
可愛い寝顔を浮かべている依都さんがとても愛おしく見えた。これか”恋の魔法”というものだろうか。
俺はそんな可愛くて、頑張り屋の依都さんを見ながら、部屋から出て行こうとした。
「結翔」
「⋯⋯⋯は、」
「おはよ、結翔」
後ろから、俺の名前を呼ぶ声が聞こえる。
その声の主は一人しかいない。
そう、依都さんだった。
俺は依都さんに俺の名前を教えて記憶なんて全くない。
それなのに、なぜ知っているのだろうか。
「ここが結翔の家?」
俺は目を見開いたまま、何も言えなかった。
「無視?悲しいな」
「…………………え、」
「びっくりしてる、かわい」
依都さんの声は優しく、俺の耳を溶かすようだった。
「部屋綺麗にしてるんだね。ねえ、結翔。ちょっとこっち来てくれない?」
俺は少し考えた後、体を依都さんの方へ向け、ゆっくりと歩き出した。
息を吐き、ベッド横に立つ。
「……なんですか?」
「ベッド座ってほしいな」
俺はベッドの端にちょこんと座った。
手錠も足枷も首輪も付けているんだ。
何もしてこれる訳がない。
全ては俺が握っているんだ。
「結翔は俺のことを監禁したの?」
「……はい、そうですよ」
「……そっか、」
依都さんの言葉には不安も怒りも何も無いように感じた。
少しだけ感じられる感情はいつもの笑みだけ。
「なんで俺が結翔の名前を知っているか気にならない?」
「……そりゃ、気になりますよ」
「そうだろうね」
依都さんのその曖昧な言葉を聞いた瞬間、俺の背中は生暖かいベッドへ押し付けられていた。
そして、目の前には俺が好きな笑みを浮かべている依都さんがいる。
「……………………ぇ、は、」
「この手錠も足枷もすごい脆い。すぐ壊れちゃったよ」
依都さんはそう言いながら、俺の頬をゆっくりと撫でた。
大切な宝物をこれでもかと言うほどに優しく触っている、そんなふうに感じられる。
俺はようやく今の状況を理解した。
一瞬にして、俺は依都さんに押し倒されたのだ。
手錠も足枷も壊されている。
でも、首輪だけは依都さんの首に付いたままだった。
「ねえ、結翔。結翔は監禁してどうしたいの?ちゃんと考えた?」
俺は少し迷ってから、今の気持ちを口にした。
「……俺は、依都さんの全部をもらいたくて」
「全部ね、」
依都さんはふふっと微笑みながら、俺の首をぎゅっと締め付けた。
「……ぅ゛ッ゛…!…………あ゛ッ゛」
「結翔は俺と気が合うね。俺も結翔の全部が欲しいんだ」
「はぁ゛ッ゛………………ふぅ゛……ッ゛」
依都さんは少し手の力を弱めた。
そして、その手を下半身へと下ろしていく。
「ねえ、結翔。俺の全部あげるね。だからさ、結翔の全部、俺にくれるよね」
「……全部くれる?」
「うん、あげる」
俺は手を依都さんの頬へ差し出していた。
依都さんは俺の手へキスを落とす。
「結翔の全部、今から奪うからね」
「あっ……んっ………だめっ……」
「ん?何が?」
「そんなとこ汚いから、舐めないで」
依都さんは俺の足の間から顔を出した。
舌で唇を舐め、普段よりも人間味のある笑みを浮かべている。
初めて見る依都さんだ。
「結翔のここはすごく綺麗だよ。それにここに今から俺のを挿れるんだから、綺麗にしなきゃ」
依都さんは再び、じゅるじゅると音たてながら舐め始めた。
本来は何かが入ることがないそこに、依都さんの舌が入っている、そんな感覚は違和感でしか無かった。
「んっ……///」
でも、その違和感の中に気持ちよさがあって、俺は無意識に喘いでしまう。
ぎゅっとシーツを掴み、その気持ちよさを逃そうとした。
「……っ」
「そんなにシーツ掴んで、俺よりもシーツの方が好きみたい」
「…………そ、そういう訳じゃ、」
「そういうふうに見えるんだよ」
依都さんは俺のシーツを掴んでいる手を強く握った。
それから、シーツから手を離し、俺の下半身へと手を導かれた。
「ねえ、分かる?結翔のここ、こんなにも広がった」
「………っ///」
「ね、恥ずかしいね」
依都さんは俺の顔へ顔を近付け、唇を重ねた。
ちゅっ、ちゅっ、と唇が触れ合ってから、徐々に濃厚なキスへと変わっていく。
依都さんの舌が俺の唇を舐め、口内へと侵入していこうする。
「……ん………くちゅ」
部屋にはどちらか分からない声が響いていた。
俺の唇は実に素直なもので、すぐに侵入を許してしまった。
依都さんもそれを見逃すことはなく、口内へ舌を入れ、俺の舌と絡ませ、ちゅうっと吸う。
「んっ………゛………ん、」
依都さんは一度離れ、俺の頬を撫でてから、再び唇を重ねた。
綺麗で素敵なキス。
傍から見れば恋人同士に見えるだろうか。
今の俺たちのキスは甘く、頭がバターのように蕩けそうだった。
「………ぷはっ」
「可愛いね。蕩けてる」
依都さんは俺の頭をゆっくり、じっくり撫でた。
「あ゛っ゛………!……むりっ……゛…!」
「大丈夫だよ……っ」
「……お゛っ゛……゛♡」
依都さんはははっと少し掠れている声で笑いながら、もっと奥を突いた。
「ぁ゛あ゛っ゛……だめっ……!…だめっ……!!」
依都さんのそれは俺の奥の奥を激しく突いてくる。
痛いのに、気持ちがいい、そんなおかしな快感に襲われていた。
俺はそれから逃れようとするが、そうすればそうするほど依都さんは強く、激しく、突いてくる。
「……いく……っ゛……いく……!」
「いいよ、いって……」
依都さんは俺の耳にそう囁いた。
俺の快感の扉は一気に開き、達してしまう。
「…………くっ」
依都さんは一瞬苦しそうな声を出すが、再び激しく動き出した。
「……ああ゛………♡……っ゛」
「……はっ…………」
依都さんは小さく息を漏らした。
「……依都さんも……いって」
俺は喘ぎながら、掠れた声でそう言った。
それを聞いた依都さんは少し笑いながら、応えるように激しく動き始めた。
「お゛っ゛………ぉ゛っ……」
「……はっ………結翔、……」
快感で頭がおかしくなり始めた俺を依都さんはぎゅっと抱きしめ、最後の力を振り絞るように動き出した。
「お゛っ……!!!……!あ゛……♡♡」
「……受け止めてね…全部……っ」
「……あ゛……!……っ」
俺たちは同時に果てた。
俺の中には依都さんのそれが注がれている気がする。
「……はぁ…………はぁ」
「…………大丈夫?」
「………………うん」
依都さんは少し震える手で俺の頭を撫でた。
俺はそれを感じるように目を深く閉じる。
目の前には真っ暗な世界と、大好きな人の息だけが聞こえてきた。
俺は今、依都さんの全部を貰った。
正確には全部じゃないかもしれない。
でも、誰にも見せない顔も、野性的な一面も、今注がれたそれも
全部、俺だけのになった。
俺はこれで良いのでしょうか。
そう考えるものの、後悔は全く浮かばない。
これが、俺の形、俺たちの形。
俺たちの形が俺たちの正解なんだから。
「…………依都さん、」
「ん?どうしたの?」
「…………もう1回」
依都さんは眉を下げてから、笑い始める。
「な、馬鹿にしないでよ」
「……馬鹿になんて」
依都さんは笑いを抑えてから、ゆっくりと俺の唇をなぞった。
「俺もしたかった」
その言葉が引き金となり、俺たちは再び体を重ねる。
目を開けても瞑っても幸せ。
この先なんて、今は何も考えない。
それが一番の幸せなんだから。
「あ゛っ…………♡♡♡」
俺は喘ぎながら、依都さんの頭をゆっくり撫でた。
おしまい
❀ ┈┈┈┈┈┈✿ ┈┈┈┈┈┈┈❀
みなさま〜いらっしゃいませ☕∘°
奥秋ちよです🍁🍂
フォロワーさまが100人を突破したということでこのお話を書いてみました🎉
テラーノベルで人気なのはなんだろうと考えた時に一番初めに浮かんだのはこの監禁系。
さあ、書けるのかそんな不安をかかえながら、どう自分らしさを出すかと考えた時に、このような形になりました。
ここまで読んでくださったみなさま、本当にありがとうございました。
これからもまったりと作品を投稿出来ればいいなと思っております。
ではまたお会いしましょう👋🏻︎︎𓂃⟡.·
コメント
5件
うわ、っ監禁物久しぶりに読んだ✨ なんか監禁物書く人絶対表現が上手いんですいね?!それでのめり込んでしまう...愛読させていただきます🫶
うわっ、めっちゃ重い…!でも読んじゃったわ。 最初は結翔が監禁する側なのに、いつの間にか立場が逆転してて、依都さんの「全部くれる」って言葉にゾクッとしたわ。監禁モノのはずが、むしろ結翔の方が全部奪われちゃってる感じなのも新鮮。エロさと狂気のバランスが絶妙で、続きが気になる…!でもまあ「俺たちの形」って納得しちゃうのもアリだよね。