テラーノベル
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🦈「……?」
こさめは白い扉の前に立っていた。
【未来管理室】
小さなプレート。
見たことのない部屋。
でも。
初めて見た気がしなかった。
🦈「なんだろ」
ふらふらと近づく。
そして当然のようにドアノブへ手を伸ばした。
ガチャ。
開かなかった。
🦈「鍵かかってる」
当たり前だった。
その時。
後ろから声が飛ぶ。
📢「何してんだ」
いるまだった。
🦈「わ」
こさめが飛び上がる。
🦈「びっくりした!」
📢「こっちの台詞だ」
いるまは呆れた顔で近づいてくる。
📢「勝手にうろつくな」
🦈「だって気になったもん」
📢「気になるな」
🦈「気になる」
📢「だろうな」
即答だった。
こさめは扉を指差す。
🦈「ここ何?」
すると。
いるまの表情が少しだけ変わった。
📢「あー……」
珍しく歯切れが悪い。
🦈「いるまくん?」
📢「知らなくていい」
🦈「えー」
📢「知らなくていい」
🦈「気になる」
📢「だろうな」
同じやり取りだった。
でも。
今度はいるまも笑っていない。
🦈「入ったことある?」
こさめが聞く。
📢「ない」
🦈「ほんと?」
📢「ほんとだ」
🦈「なつくんは?」
📢「ない」
🦈「すちは?」
その瞬間。
いるまが黙った。
数秒。
そして。
📢「……ある」
こさめが目をぱちぱちさせる。
🦈「あるんだ」
📢「監査局の人間だからな」
🦈「へぇ」
こさめは再び扉を見る。
やっぱり気になる。
とても気になる。
その時だった。
カチリ。
小さな音がした。
🦈「え?」
こさめの手の下。
鍵が勝手に回った。
いるまが固まる。
📢「……おい」
扉がゆっくり開いていく。
ギィ……
中から白い光が漏れる。
📢「いやいやいや」
いるまが焦り始める。
📢「待て待て待て」
🦈「開いた」
📢「見りゃ分かる!」
しかし。
扉は完全に開いてしまった。
その先には。
広い部屋。
無数の本棚。
天井まで続く記録棚。
そして中央には大きな机。
まるで誰かが今も使っているような空間だった。
なのに。
何千年も誰も入っていないような静けさがある。
🦈「……綺麗」
こさめがぽつりと呟く。
その瞬間。
部屋の中央にあった水晶が光った。
青い光。
柔らかい光。
そして。
機械音声が響く。
『認証完了』
いるまの顔色が変わる。
『未来管理者認証』
『おかえりなさい』
静寂。
こさめはきょとん。
いるまは頭を抱えた。
📢「終わった」
🦈「何が?」
📢「全部だ」
🦈「???」
理解しているのはいるまだけだった。
その時。
部屋中の棚が光り始める。
一冊の本が勝手に飛び出した。
ふわり。
こさめの前へ。
🦈「本?」
表紙には文字が書かれている。
**【未来管理者記録】**
なぜか。
その文字を見た瞬間。
涙が出そうになった。
🦈「……」
こさめは無意識に本へ手を伸ばす。
📢「触るな!!」
いるまが叫ぶ。
しかし。
遅かった。
ぱらり。
本が開く。
眩い光。
世界が真っ白になる。
青空。
まただ。
何度も見た景色。
でも今度は鮮明だった。
風の音まで聞こえる。
誰かが隣にいる。
穏やかな笑顔。
若い頃のすちだった。
🍵『また徹夜してたでしょ』
🦈『してない』
🍵『嘘だ』
🦈『ちょっとだけ』
🍵『それを徹夜って言うんだよ』
二人が笑う。
自然に。
当たり前のように。
まるでずっと一緒だったみたいに。
そして。
こさめは気づく。
この記憶の中の自分は。
今の自分よりずっと大人びている。
🦈『未来の管理なんて面倒だよ』
🍵『君しかできないからね』
🦈『すちがやればいいじゃん』
🍵『俺には無理』
🦈『なんで』
🍵『だって君の方が優秀だし』
🦈『まぁたしかに』
🍵『今ちょっと自慢した?』
🦈『した』
二人が笑う。
その光景があまりにも自然で。
あまりにも懐かしくて。
胸が苦しくなる。
すると。
記憶の中のすちが真面目な顔になった。
🍵『もしもの話』
🦈『なに?』
🍵『未来が壊れたら』
風が吹く。
白い雲が流れる。
🍵『君はどうする?』
記憶の中のこさめは迷わなかった。
🦈『直す』
即答だった。
🍵『全部?』
🦈『全部』
🍵『世界ごと壊れても?』
🦈『うん』
そして。
笑った。
今と同じ笑顔で。
🦈『だって未来管理者だもん』
そこで記憶が途切れた。
🦈「っ!」
こさめが息を呑む。
気づけば未来管理室。
本は床に落ちていた。
いるまが肩を掴んでいる。
📢「おい!」
🦈「……いるまくん」
📢「大丈夫か」
こさめは答えられなかった。
頭が混乱している。
知らない記憶。
知らないはずの景色。
でも。
確かに自分だった。
そして。
すちがいた。
親友みたいに笑っていた。
🦈「……」
こさめは震える声で呟く。
🦈「こさめ」
🦈「未来管理者だったの?」
その瞬間。
部屋の奥から別の音がした。
カチリ。
誰も触っていない棚が開く。
中には一通の封筒。
表には文字。
その字を見た瞬間。
こさめの心臓が大きく鳴った。
そこにはこう書かれていた。
**『未来の俺へ』
**『もし記憶を失ったなら開いてください』
差出人。
**こさめ。
コメント
3件
るあ〜! やっと追いついた☆ 手紙気になる! 普通に手が誰なんか気になるw でも、胸がぎゅってなる話やったよ! この作品これまでで1番好きかもしれん! 全部直すんかぁ。 かっけぇ…! クラスの男子の5億倍みんなかっこいいぞ?
第10話、一気に核心に迫る感じがすごかったです。未来管理室の扉がこさめにだけ開いたところ、水晶の認証「おかえりなさい」、そして蘇智と笑い合う記憶……どれも綺麗で切ない。今のこさめより大人びている自分自身の記憶が「未来を直す」と即答しているのが、何かを取り戻す予感で胸が詰まりました。最後の「記憶を失ったなら開けて」という手紙がもう、続きが気になりすぎます。
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