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私は、幼い頃から幾人もの人々をあの世へと葬ってきた。しかし、それでも師匠が認めてくれることはなかった。だから、今日も私は人を葬る。いつか、師匠に認めてもらえる日を夢見てーー。
「んっ……」
早朝、私は伸びをして意識を覚醒させる。そして、軽く朝食を済ませると裏の世界(仕事)へと向かった。
「や、やめてくれ……」
目標を見つけ、必要な情報を吐かせるためにあえて急所を外して撃った。すると、目標は命乞いをし始めた。ああ、これで何度目だろうか。いい加減、この声も耳障りなものにしか感じることができなくなっていた。
「いいから、早く情報を吐いてくれない? まぁ、言っても言わなくても君は死ぬけど」
……そう、目標が情報を言おうが言うまいがこっちで調べる方法はいくらでもある。それこそ、「裏の世界」に行きさえすれば。だから、別に私にとって目標が生きていようが死んでいようがあまり関係ない。依頼があったら目標を殺害する。ただ、それだけだ。
「カタカタ……(目標がおびえた目で私を見る)」
「……(冷たい目で見つめ返す)」
辺りには護衛らしきがたいのよい人間と知人であろう人間が血まみれになって倒れている。死者ばかりしかいないからか、血から出る錆びた鉄のようなにおいとともに死人だけが発する生臭い死臭。はっきり言って、こんなところに好きでいるわけではないし、さっさと終わらせよう。そう思ってからは私の行動は早かった。
パァン!
「……」
目標は静かに、病人がするようにぐったりと顔を下へとむける。
「ん~? 死んだかなぁ~?」
念のためにもう五発ほど打って脈を確認する。ま、確認するまでもなく目標は死んでいた。当然だ。何しろ、私は正確に心臓の位置に五、六発撃ったのだから。
「じゃあね」
誰が聞いているわけでもないのだが、笑顔でそういうと私はその場を立ち去った。
「依頼、終わりましたよ」
「ほ、本当かい⁉」
依頼人に電話をすると、本当にうれしそうな声を発していた。ああ、やはりこの人もこっち系の存在だ。
「……人間は、醜いな……」
本当に醜い。人が一人死んでしまっているというのに、この世の中はそれをお構いなしに回っていく。まるで、その人が元から存在しなかったように。
「ガハッ」
びちゃびちゃと音を立てて私の口から血が逆流する。
「はぁ……」
本当に、こんな仕事はやめたいと何度願っただろうか。しかし、私はくだらない夢のせいで辞めるということができなかった。
「もう一度会いたい、あの人のせいでー―」