テラーノベル
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「ウン! うまい!
こりゃいけるよ!」
「まだこんな食材があったんだなあ」
公都『ヤマト』―――
その宿屋『クラン』の食堂で、
ブラウンの短髪に焦げ茶のボサボサ頭の、
2人組の公都部隊長……
ロンさんとマイルさんが出された料理に
舌鼓を打つ。
「甘いのに固く歯ごたえがあり……
食感の口直しにもなります……
サラダはもちろん、肉や揚げ物、
様々な料理を引き立てます……」
「ミソバターコモロラーメン―――
このような味わいがあったとは!
ラーメンのしょっぱさが、コモロによって
よりハッキリと目立っておるぞ!」
一方で、髪を後ろでまとめた執事の
フレッドさんと、その主である太った
体形でなかなか元に戻らなくなった
ロック前男爵様が、麺類をすする。
コモロ……
この世界でいうところのトウモロコシを、
フラーゴル大陸からもらって来た私たちは、
まず土精霊様に栽培をお願いし、ある程度
収穫量を確保出来たところで、
宿屋『クラン』の女将さん、クレアージュさんに
各種料理をお願いして、
親しいメンバーに集まってもらい、
コモロ料理のお披露目となったのである。
「このままかぶりついても美味いな。
それに食いやすい」
「俺は肉野菜炒めで食うのが好みッスかね」
「このスープ、トロっとして甘いわ。
子供たちの離乳食にも良さそう」
アラフィフの筋肉質のギルド長―――
ジャンさんはそのまま醤油で味付けして焼いた
一本をそのまま食し、
短い黒髪の、褐色肌の次期ギルド長……
レイド君はいわゆるほうれん草とベーコンの
ソテー・コーン入りをフォークでつつき、
82
#現代ファンタジー
そして彼の妻、タヌキ顔に丸眼鏡の女性、
ミリアさんは―――
文字通りコーンポタージュを堪能していた。
「単品でも美味しいよね」
「わたしは、この魚のほぐし身に混ぜた
ヤツが好きかな」
彼らの隣りのテーブルで、焦げ茶の髪の
長身の夫と、亜麻色の髪を三つ編みにした
妻、ギル君とルーチェさんが、
それぞれコモロの盛り合わせと、ツナを
マヨネーズで混ぜた……
地球ではツナコーン和えともいうべきものを
食べていて、
「おや?
今日は子供たちはいないのかい?」
そこへ新たな料理をクレアージュさんが
運んで来ると、
「まあ試食会ですし、野菜に一品加わる
くらいのものですから」
特に目新しい料理を、という事でもないので、
子供たちは児童預かり所で預かってもらって
きたのだが、
「でもまあ、あっちでもコモロ料理は
教えてきたし」
「今頃は向こうでも食しているであろう」
童顔のアジアンチックな妻、そしてドラゴンの
方の、目鼻立ちが欧州モデルのような妻、
メルとアルテリーゼが答える。
「ラッチちゃんも向こうかい?」
「そうですね。
あの子はあの子で、新しいコモロ料理を
覚えるんだって張り切っていまして」
次の女将さんの言葉には私が答え、
「これはいろいろと使い勝手がいいからねえ。
そういや、娘の手料理、父親として食べて
やらなくてもいいのかい?」
すると両側から、2人の妻が抱き着いてきて、
「そりゃーもうたっぷりと♪」
「味見という事で、たんまり食わされて
いたからのう。
我らの分も含めて」
そう―――
自宅の屋敷でまずどのような料理方法が
あるのか、という事で……
メルとアルテリーゼ、ラッチが私の指導の元、
各種様々な料理を作ってくれたのだ。
「はいはい、ごちそうさま。
じゃ、次を持ってくるよ。
こちらで考えたものも、ね」
呆れ顔になるクレアージュさんが去ると、
「いいッスねえ、娘の手料理。
ミレーヌが作ってくれるのは何年後かなあ」
「そんなの、すぐでしょ。
あっという間に大きくなるし」
「子供たちが料理かあ―――
少し前の孤児院だった頃にゃ、考えられない
事だったなあ」
と、ギルドメンバーが口々に語り、
コモロ=トウモロコシのお披露目会の夜は
ふけていった。
「ランドルフ帝国……ですか」
「おう。
そちらに、あのワイバーンのムサシ、
そしてチエゴ国のアンナ嬢と行って欲しい。
これは、ウィンベル王国・チエゴ国・
ワイバーンの女王からの依頼だ」
後日、私は冒険者ギルド支部へ呼び出され―――
ジャンさんから依頼説明を受けていた。
ムサシ君とアンナ・ミエリツィア伯爵令嬢は
公式に結婚しており……
私としては2人とも旧知の仲で、同行するのに
問題はなく、
「あまり驚かないんスね」
「まあ、以前からお話はありましたし、
これまでもいろいろあったので、
ようやく来たか、という感じです」
レイド君の言葉に、私は軽くうなずく。
そう―――
実はムサシ君はワイバーンの『始祖』、
その先祖返りの可能性があり、
本来であれば、ワイバーンは火球攻撃と
風魔法を得意とするところ、彼はそれ以外の
『全属性』ショットともいうべき力を
有していた。
その事実と、ランドルフ帝国が擁している
ワイバーンたちが、『我らにもヒミコ女王の
ような指導者を』という要請もあって、
彼、ムサシ君はヒミコ様の名代として、
帝国に行く話が前々からあったのである。
(■281・はじめての ぼうぎょじっけん
■284・はじめての けいび参照)
「船で行くんですか?
それとも……」
「ああ、それは大丈夫だ。
船で行った事にして、『ゲート』を
使用する許可は取ってある」
ギルド長はそう言うものの、
「あれ?
でも『ゲート』って本来、極秘情報では?」
それをあの2人に見せてしまうのは
どうなんだろう、と思っていると、
「確かに『ゲート』は各国の限られた上層部しか
知らない機密だが、
ムサシはヒミコ様の名代で行くんだろう?
いわばワイバーンの女王様の代理、
それを知り、使用する権限くらいはあって
当然だ」
アンナ様も伯爵令嬢だけど、とても『ゲート』を
知るだけの権限や地位は無い。
だが、ムサシ君の配偶者であれば話は別、
という事か。
向こうの大陸のワイバーンを取り仕切る、
という役目なら、決してトップシークレットを
知る資格無し、という事は無いだろうし。
「『ゲート』が嫌なら船で行くか?」
意地悪そうに笑うジャンさんに、私は首を
ブンブンと横に振る。
「しかし、そうしますと今回は
どうしましょうか。
シンイチとリュウイチも連れて行って
大丈夫かな」
「母親のそばにいた方が、子供たちに取っても
いいだろうが―――
急に熱出したり、調子を崩したりも
するからなあ」
「公都にはパックさん夫妻もいるッスし、
何より児童預かり所のリベラ所長に預けて
おけば安心ッス。
ただ帝国にも医者はいるでしょうし、
『ゲート』でいつでも帰る事が出来るのなら、
別に同行させてもいいんじゃないッスか?」
「最近はちょっと忙しくて、あまり我が子に
構ってあげられなかったから……
今回は連れて行こうかな。
それに、いつもラッチに弟たちの世話を
任せてしまっていたし」
と、夫同士、そして父親代わりの男性陣と
家族の事でしばらく話し合った後、
私は冒険者ギルドを後にした。
「お疲れ様でした、シン殿」
「いえいえ、これも依頼ですので」
真っ赤な長髪に、抜群のプロポーションを持つ
女性―――
人間の姿のワイバーンの女王、ヒミコ様が
あいさつしてくる。
「このままランドルフ帝国へ向かうとか。
どうかお気をつけて」
彼女の夫である、淡い紫色の短髪の青年、
新生『アノーミア』連邦宗主国・マルズ国の
第九王子、エンレイン様が片手を振る。
依頼を受けてからさらに数日後、私と家族、
そしてムサシ君とアンナ嬢は―――
ワイバーンの本拠地である巣へとやって
来ていた。
もっとも、巣といっても今は人間たちも
住む事が出来る、一種の街と化しているが。
「緊張しました……」
「でもこれからが本番ですものね。
私も気合いを入れませんと」
青みがかった短髪を持つ少年―――
人間の姿になったムサシ君と、
紫の長いウェービーヘアーをした、奥二重の
瞳をした少女と言ってもいいくらいの奥さん、
アンナ伯爵令嬢が続く。
「でも大掛かりな儀式だったねー」
そこで、黒髪ショートに燃えるような瞳を持つ、
ラッチが話に加わる。
「我が夫が、こういう事は権威を持たせる
必要があると教えてくれたのだ」
「大々的にムサシ君に名代を命じた事を知れば、
あちらでの扱いも変わるでしょうから」
ワイバーンの女王と、その王配である青年が
説明してくれる。
ムサシ君がヒミコ様から、名代を拝命する際、
国を挙げての一大イベントとして、儀式を
開催したのだ。
そして同時に、女王様が同族として彼を、
自分に次ぐ実力者だと内外に示した事になる。
特にエンレイン王子様は王族だし、こういった
政治的な配慮や効果は心得ているのだろう。
「じゃあこれからウィンベル王国かー」
「いろいろと面倒だのう」
それぞれ我が子を抱きながら、メルと
アルテリーゼが語る。
「それは仕方がありません。
我々は表面上、船でクアートル大陸の
ランドルフ帝国まで行くという事に
なっているんですから……」
まずダミーの人員に、一足先に船で
帝国まで行ってもらう。
これが正規ルート。
その後我々は『ゲート』で、タイムロス無しで
ランドルフ帝国の大使館へ向かうという寸法だ。
毎度毎度ダミー役をやってもらう人たちは、
大変だろうけど……
「では、私たちはこれで失礼して」
と、私が別れのあいさつを切り出したら、
「あ、その前に」
と、ヒミコ様がやって来て、何か言い忘れた
事でもあるのかと思っていたら、
「あー」
「そうか」
と、合点がいった様子で妻たちがうなずき、
まずはメルがシンイチを彼女に手渡す。
「おおぅ、可愛いのう可愛いのう♪」
するとヒミコ様は頬ずりしながら、息子を
可愛がり始め、
「あ、じゃ、じゃあ―――
私はリュウイチちゃんを」
今度はアンナ嬢がアルテリーゼから
我が子を受け取り、
「エンレイン様、
子供はどちらがいいかな?」
「や、やっぱり男の子は手がかかりますか?」
そう言って2人が子供の話題にシフトし……
それから10分ほど、プライベートな話題で
盛り上がった。
「女王・ヒミコ様の名代として来ました、
ムサシと申します。
今後ともどうぞよろしくお願いします」
「妻のアンナ・ミエリツィアです」
ランドルフ帝国帝都・グランドール―――
その帝国が擁するワイバーン部隊の前で、
ムサシ君とアンナ嬢が壇上からあいさつする。
それをウィンベル王国代表の……
パープルの長髪に、前髪を眉毛の上で
揃えたティエラ王女様や、
黒の短髪に半開きの目をした、
帝国武力省将軍、ロッソ・アルヘン様、
黄色に近いブロンドの長髪をした女性、
魔戦団総司令、メリッサ・ロンバート様が
私たちと一緒に遠目で見つめていた。
(リュウイチとシンイチは大使館預かり)
「ずいぶんと多いですけど―――
あそこに出席しているのは、全員ワイバーン
なんですよね?」
人間の姿をした者が大部分だが、そこそこ
ワイバーンの姿のままの者もおり、
「我がランドルフ帝国だけでなく、
このクアートル大陸全土のワイバーンが
集まっておりますから」
ティエラ様の答えに私はうなずく。
確かに、国家ではなくワイバーンの代表である
女王ヒミコ様、その名代が来たのだ。
大陸中のワイバーンが集うのも無理はない。
「それにしては、人の姿ではないのも
チラホラいる感じですけど」
メルが疑問を呈すると、
「恐らく新入りだと思われる。
基本、この群れの中にいればいずれは
人の姿になるのだが……
個体差があるのか、時間がかかるのも
いるようだし」
その問いには帝国武力省将軍が、
「しかし壮観だのう。
いったいどれくらいおるのだ?」
「正確には把握しておりませんが、1万は
下らないかと」
次のアルテリーゼの問いには、魔戦団総司令が
答える。
確か辺境大陸のワイバーンは―――
あれから数も増えて500体ほどになったと
聞いているけど、さすがに規模が違う。
「おかーさん、ボクたちの仲間って
どれくらいいるのー?」
そこでラッチがドラゴンの総数について
母親にたずねると、
「どう……かのう。
まあ世界中探せば、300体はいるのでは
ないか?」
以前、ドラゴンたちが子育て用に一時集まる
巣へ行った事はあるが、
(■170話 はじめての どらごんのす参照)
あそこでもせいぜいが10世帯程度で、
子供の数も多くなかったと記憶している。
それにドラゴンは元から人の姿になる事が
出来るし、交わる事も可能。
数が多ければ、ランドルフ帝国の皇族の
ように―――
祖先に血が混じっている人間が大勢いるはず。
そう考えるとつくづくアルテリーゼと結婚
出来たのは、レアケースだったのだと思う。
「そういえば、辺境大陸に来た時にすでに、
ワイバーンと恋仲になった方がいましたけど。
今はそういった方々はどれくらいになって
いるんでしょうか?」
私がふと、帝国の異種間交流について聞くと、
「パートナーのワイバーンがメスだった者は、
ほとんど結婚、または恋仲になったようだ。
ただ戦力の8割以上はオスだったからなあ。
そちらは各貴族家が取り込んだり、豪商が
娘の相手として打診したりしているよ」
アルヘン将軍の言葉に相槌を打つ。
まあ今この大陸で手に入る最強戦力だものな。
有力者から取っちゃうか。
「……あれ?
皇族や王族が結婚相手になったりは
しないんですか?」
頭にわいた疑問をそのまま口にすると、
「ランドルフ帝国の皇族は、ドラゴンの血を
引いているとの伝承があるからねえ。
それがワイバーンと結婚しちゃうのは、
ちょーっと微妙だという事らしくて」
「お父さ―――
マームード陛下は別に、それについて
特に禁止や制限は言及されていないの
ですが、
まあその、いろいろと面倒なんですよ、
そのあたり」
ロンバート様とティエラ様が複雑そうな
表情で語る。
王族、引いては皇族がドラゴンの血を引いて
いるという事が、この帝国の正統性、そして
特異性を表しているのに……
それに対しわざわざ一石を投じようとするのは、
勇気がいるに違いない。
「そーいえばこの後どうするの?」
「ん?
今回はまあ、あくまでもムサシ君が
ヒミコ様の名代として来た事と、
その顔見せのためだし―――
何かトラブルでも無ければこのまま
終わるけど」
と、メルの問いに答えた時点で……
これフラグかな?
と自問自答する。
そして壇上のムサシ君夫妻はというと、
ヒミコ様から命じられた今後の指針を
読み上げていて、
と言ってもその内容は―――
人間や他の生き物をむやみに襲ったり、
また迷惑をかける行動を禁ずる事と、
より他種族との交流を深める、くらい
なのだが、
「待て、シン。
様子がおかしいぞ」
「何かざわついているねえ」
アルテリーゼとラッチの言葉に、私が
そちらへ目を向けると、
複数の年長者が……
ムサシ君・アンナ嬢が立つ壇上の近くまで
集まっていて、
「将軍! 総司令!」
王女様が軍のトップの2人を呼びつけ、
「すぐ向かいましょう」
「まったく、何があったんだい!」
そして彼らに続き、私たちも現場へ急行した。
「では私を―――
ヒミコ様の名代として認めぬ、
という事か?」
「我々は、辺境大陸から来たヒミコ様という
強大な長が、海を越えて来て……
この大陸の同胞を庇護下に置く、と聞いて
集まったのです」
「ですがこうして現れたのは、
未だ年若い夫婦……
しかも一方は人間との事」
「これでは、ヒミコ様は我らを軽んじて
おられるのかと、思わざるを得ません」
彼らのもとに到着すると、すでに長老のような
代表格であろう老人たちと―――
ムサシ君が言い争っている最中で、
「落ち着いてください。
何があったのですか?」
ティエラ様が割って入り、彼らの仲介を図る。
すると人間の姿ではあるが、ワイバーンの
年長者たちが向き直って、
「……我々は、名代とはいえヒミコ様に次ぐ
強大な実力者を送ってもらえるものと信じて
おりました」
「ですが、こうしてこの地に来られたのは、
あの若い夫婦とは―――」
「納得しろと言われても、そうそう
飲み込めるものではありますまい。
特に血気盛んな若い連中は」
正直、この事態は想定していた。
ランドルフ帝国には、ヒミコ様が来た事がある。
彼女はワイバーンの中でも体格が一回り大きく、
ドラゴンの姿になった時のアルテリーゼと
大差ない。
それが人間の姿とはいえ、まだ10代半ばの
ような少年、そして妻も少女のように見える
とあれば、困惑もするだろう。
ましてや、それがこの大陸のワイバーンの
代表にしてヒミコ様の名代と言われれば。
「では、どうしろと?
彼を名代として認められないのであれば、
何か代案でも?」
帝国代表として王女様が話を進めると、
「……かつて、この国のワイバーンは、
雛や卵を隔離・監禁され―――
支配下に入ったと聞いております。
それをヒミコ様が執り成し、和解した事も」
「ですがそれが可能だったのは、強大な力が
前提であったからに他なりません」
「我らには力を持つ長が必要なのです……!」
それを聞いたアルヘン様とロンバート様が、
『それもそうだよなあ』という表情になる。
とある外交官の言葉で―――
『武力無き外交はただの意志表明に過ぎない』
というものがあるが、
意見を通すには結局、それなりの軍事力・
戦力という裏付けがあってこそだ。
人間と対等な関係になれたのも、ヒミコ様の
おかげと思っているのであれば……
この大陸に名代として寄越す者は、同等の
実力者でなければならない、と考えるのが
当然だろう。
そしてそれは正しい要求でもある。
だが、『ムサシ君を名代と認めない連中も
出て来る』というのは想定済み。
私は家族にアイコンタクトを取ると、
「ではどうしろと?」
「実力を見せれば問題ないという事か?」
妻2人が長老たちに問いかけると、
「出来るのであれば、是非に」
「少なくとも、ここにいるどのワイバーンよりも
強いという証明を」
なるほど。
ここでさっき言っていた『血気盛んな若い連中』
の登場となるわけか。
そして打ち合わせ通りに今度は娘が、
「じゃあさー、おとーさんと先に
手合わせしてみて」
そこで私に注目が集まる。
「その人間と?」
「失礼だが、魔力も非常に弱いように
見えるが―――」
「力比べでも死なせるのは、後味が悪い
ですぞ」
するとアルテリーゼがドラゴンの姿に
変化し、
「なっ!?」
「ド、ドラゴン!?
どうしてこんなところに……!!」
長老たちを始めギャラリーはざわつくも、
「我はその人間の妻じゃ。
そして我が夫は―――
我と同じくヒミコに友として
その実力を認められておる」
「相手に取って不足は無いと思うよー。
んじゃそっちは代表者を決めて。
別に何人でもいいから」
こうして急遽、私VSワイバーンの代表たち、
という試合が決まった。
「まあ、話は簡単です。
あなた方は好きに攻撃して構いません。
私はここを一歩も動きませんから」
という説明に、代表者たちは間合いを取って、
私をぐるりと円形に囲む。
これを提案したのには理由があり、
一つは遠距離攻撃に特化して欲しかった事。
これなら、ワイバーンたちの火球もしくは
風魔法だけを無効化すれば済む。
もう1つは、さすがに接近戦・肉弾戦になると
彼らを無傷で済ませる自信が無かったので……
円形に囲んだ遠距離から、私に向けて
各攻撃を撃ち込ませる事にしたのである。
「おーい、シン。
そろそろいいー?」
「こっちは準備出来たそうじゃぞ?」
と、大声でメルとアルテリーゼが叫ぶ声が
聞こえ、
同時に私は小声でつぶやく。
「私の半径5メートルにおいて―――
燃焼物を生成、吐き出す攻撃など
・・・・・
あり得ない」
そしてさらに、
「魔力や魔法による攻撃など、
・・・・・
あり得ない」
と、条件設定での無効化が終わった後、
四方八方から火球や風魔法が撃ち込まれ、
「やったか!?」
「直撃はしたはずだが」
「あれだけの攻撃を食らえば……!」
と、ギャラリーたちから声が上がるが、
やがて砂煙が晴れた中から私が姿を現すと、
長老格を始め、攻撃していたワイバーンたちは、
その大きな口をポカンと開けていた。
コメント
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いやー、今回も濃かった!トウモロコシのお披露目会でほっこりしたかと思ったら、後半で一気に政治色とバトルが来たね。ムサシ君の名代としての立場を認めさせるために、シンが実力行使に出る流れ、めちゃくちゃ熱かった🔥「あり得ない」の二連発で無効化するところ、設定の活かし方が上手すぎるわ…!エピソードの緩急の付け方が神がかってるよアンミンさん!