テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
ないこ君といふ君しか出てきません
米津玄師さんの「死神」をテーマにしました
好評だったら続きも………?
昔死んだ爺ちゃんの言葉。
家を売った金も、学生時代働いて稼いだ金も、今となってはすっかり底をついてしまった。
結局世の中金だ。
金が無くなってから生きる意味を見出せなくなった
桃「死にてぇー。」
いつからだろう、こんな言葉が口癖になってしまったのは。
家も無いので適当に夜の街を出歩いていると、
?「こんばんは」
後ろから、関西特有の訛りがある挨拶が聞こえた
振り返ると、ひょろりと背が高く、整った顔をした男性がいた。古びた着物…でも何処か上品な色気を醸し出している。
こんな碌でもない奴に声を掛けるなんて、不運な人だなと心の中で囁いた。
桃「…どちら様ですか」
?「いふ、…まろって呼んでや」
桃「まろ……」
どこからそのあだ名が来るんだ?という考えは捨て
桃「なんの用です?」
青「俺、死神なんよね」
桃「…は?」
一体何を言ってるんだこの人は
よく分からんけど、信じるか
なんとなく、信じて良い気がする。
桃「そんな事、此処で言って良いんですか?」
桃「周りの人に聞こえるかも…」
青「いや、俺は死が近い者にしか見えない」
桃「…じゃあ俺、死ぬんだ」
すんなりと受け入れられた。だって、金がなけりゃなんも出来ない。つまり、一文無しの俺は生きても意味ない…というか、死んだ方が楽だと思うからだ
青「怖くないん?」
桃「うん」
桃「俺さ、なんもないの」
桃「金も、家も、食いもんも、」
青「つまり、怖くないというより…」
青「死にたいん?」
俺は静かに、こくりと頷いた
青「うーーーん、」
青「どうしようか………。」
桃「?」
何を悩んでいるのだろう?死神なんだからさっさと殺しちゃえばいいのに…。
それとも、人間は知らない死神だけの暗黙のルールがあるのだろうか?
それっぽい説を考えていると、死神が口を開いた
青「お前、24やろ?」
桃「????」
青「ね、ん、れ、い!!!」
桃「あ、そゆこと」
桃「って!なんで年齢知って…」
青「死神にはそーゆー情報貰えんねん」
桃「…ふーん」
確かに今まで読んだ死神が出てくる本では、情報が全てお見通しだったけ…
桃「で、年齢と死ぬのに何の関係が?」
青「…」
青「ただの罪悪感」
桃「へぁ?」
間抜けな声が出てしまった。でも仕方ない、俺悪くない。だって、死神が人を殺すのに私情を持ち込むなんて、いいのか…?
青「俺、ぶっちゃけ…」
青「出会ってすぐ殺すの、嫌なんよね」
桃「へー…?」
青「そこでや、ないこ」
何で名前を知ってるのかと聞こうとしたが、年齢の話を思い出し、飲み込んだ。
青「俺と、契約を結ばへん?」
死神…、まろは、ニヤリと、
どこか不敵で、
それでいて、ひどく魅力的な笑みを浮かべた。
そして指先には、いつの間にか小さな蝋燭が握られている。
桃「契約……?」
青「そう。お前、金がないから死にたいんやろ? なら、その金、俺が稼がせてやるわ」
まろが提示した条件は、
あまりに奇妙なものだった。
青「死神を追い払う呪文を教える。お前は病人の枕元に座り、俺が足元におればその呪文を唱えろ。そしたら病気は治る。…ただし、俺が枕元に座っとる時は、そいつの寿命や。諦めなあかん」
金に困っていた俺は、こんな簡単な条件でいいのかと、すぐその提案に乗った。
それからの生活は一変した。
数ヶ月後
俺は「名医」として持て囃されていた。
死神の「まろ」が見える俺にとって、勝ち戦しかしない医者ごっこは容易いものだった。懐には数えきれないほどの金が舞い込み、かつての貧乏生活が嘘のような贅沢な暮らし。
だが、欲というのは底がない。
ある日、莫大な懸賞金がかけられた大富豪の往診に呼ばれた時、まろは……枕元に座っていた。
桃「(……これを見逃せば、一生遊んで暮らせる金が手に入る)」
俺は、まろが居眠りをした一瞬の隙をつき、布団をひっくり返して枕と足を入れ替えた。そして、教えられた呪文を叫んだ。
富豪は目を覚まし、まろは苦虫を噛み潰したような顔をして消えた。
やった。これで俺は、一生安泰だ。
喜びに震えながら帰路につく俺の前に、再びまろが現れた。
しかし、その表情はいつもの笑顔ではなかった。
どこか悲しげで、冷ややかな空気を纏っている。
青「……ないこ、ついてきて」
連れて行かれたのは、暗い地下の洞窟のような場所だった。
そこには、数えきれないほどの蝋燭が並んでいた。長く燃え盛るもの、今にも消えそうなもの。
青「これが、人の寿命や」
まろが指差したのは、今にも火が消えそうな、
数センチしかない短い蝋燭だった。
桃「これ、誰の……?」
青「お前や。さっき、富豪を助けるために、お前は自分の寿命をあいつに譲ったんや」
桃「はぁッッッ!?」
桃「そッそんなの聞いてないッッ!!」
青「契約違反したんは、お前やろ」
まろは懐から、新しい長い蝋燭を取り出した。
青「ほら、これに火を移してみ。」
青「上手くいけば、まだ生きれるで…?」
震える手で、自分の消えかかった芯を、新しい蝋燭に近づける。
だが、死への恐怖と焦りで、手が止まらない。
カチ、カチと歯の根が合わない音が響く。
嫌だ
嫌だ
嫌だ
やっと、
やっと幸せを手に入れたのに
青「あーあ、震えて火が移らへんね。」
青「消えちゃうね、どうしよーか?」
桃「いやッッッ、!」
桃「ま、待ってッ、まだ、死にたく……ッ!」
その時、爺ちゃんの言葉が脳裏をよぎった。
桃「っ…!」
桃「………まろ。俺が死んだら、次は俺がまろの隣に座ってやるよ」
一瞬、まろの目が見開いた気がした。
直後、ふっと冷たい風が吹き抜け、蝋燭の灯火……
俺の命の灯火が、消えた。
青「……お疲れさん。ようこそ、こちら側へ」
暗闇の中で、関西訛りの声が、満足げに響いた。