すれ違った瞬間、どこからか懐かしい空気を感じた。振り返ると何度も自分の瞳にうつした、褐色色の目がそこにあった。
「…あ、…」上手く声が出せない。
ソイツは察したように俺に近ずき、顔を覗いてきた。
「少し、話そうか。」笑った時にクスッと出す声が変わらない。
俺が前世で愛した女だ。
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「久しぶり…というか、何百年ぶりかな?」
「あぁ。お前も記憶があるようだな。」
前世を超えて長い間会っていなかったからか、
何を話して良いか分からない。元気にしてたか?
と言うのも何だかおかしく、それ以前にまた
俺達が巡り会って良かったのか。という考えが頭によぎった。巨人のいる世界は何もかも失うのが早かった。仲間も、希望も、愛する奴も。
コイツに関しては辛いことばかりだった。
巨人と人間の闘いから、人間同士の争いになった頃は今までと全く状況が異なった。
段々とコイツの表情が薄くなる姿を正直見ていられなかった。ひとりでなんとかしようとする性格はコイツの悪い癖だった。
どの人間よりも最善の手を尽くそうとし、最期には
残された仲間を信じ、あの翼を背負って命を絶った。今思えば、コイツは幸せだっただろうか。
コイツらしい死に方が出来たのだろうかと今世でも
何度も思った。だからせめて、来世というのが在るならば、何にも縛られず生きて欲しい。
もちろん、俺にも会わずに。コイツらしい生き方をして欲しいと。
「なんだよ。クソつまったような顔して。」
「なぁ、ハンジよ。」
「な、なんだよリヴァイ。」
「愛してる。もう俺から離れるな。」
「!?!?」
違う。こう言いたいんじゃない。
早く、ここから離れろ。今すぐ、おい 俺の身体動け。
「ずっと好きだった。」
違ぇ。クソが。何で止まらないんだこの口は。
「…ね、」
「…..なんだ。」
「その言葉をずっと待ってた気がするよ。」
泣きながら笑うハンジを見て思った。
あぁ、誰が離すもんか。
〜fin〜
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