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7
ⅲ
目が覚める。
琥珀さんと目が合う。
『甘ちゃん!』
僕の名前を呼ぶ。
・・・
・・・
『甘ちゃん?……大丈夫?』
琥珀さんが心配そうに見つめる。
『あ、あぁ、』
またか、
『嫌な夢を見た。』
琥珀さんの顔が近い。
・・・
まだ、頭がうまく回らない。
夢の内容だけが残っている。
?
気づくと、琥珀さんが唇を重ねてきた。
………。
琥珀さんの顔が少し離れると、
『元気出して、』
と、心配そうな顔をして言った。
『ごめん、迷惑かけたね、』
申し訳ない。
僕は俯く。
『謝らないでよ、』
琥珀さんは、涙をこぼして泣き始める。
『大丈夫、だから…』
僕は琥珀さんを抱き寄せる。
琥珀さんが、僕の胸で泣いている。
『もう、大丈夫なの?』
琥珀さんが訊いてくる。
『うん、もう大丈夫。』
だいぶ落ち着いてきた
リアルな夢。
僕の心臓部にナイフが刺さっていた。
痛みもした。
一体なんだったのだろう?
朝食をとり。
今日は家でゆっくりすることになった。
琥珀さんは、僕の様子をちょこちょこ確認しているようだった。
心配かけてしまった。
『心配してくれてありがとう。』
琥珀さんは笑顔を向けてくれた。
そういえば、
夢を見る前、僕は倒れたんだった。
ベッドの下に倒れたはずなのに、起きた時、ベッドの上にいた。
・・・
『その…僕、倒れて……琥珀さんは眠れた?』
訊いてみる。
『ん〜、ちょっとまだ眠いかな。ちょっと眠ってもいい?』
琥珀さんが訊いてくる。
僕が迷惑をかけたんだ。
『もちろんいいよ。』
琥珀さんは横になり、僕の太ももの上に頭を乗せて、顔を見つめてくる。
『ふふっ。甘ちゃん、おやすみ、』
琥珀さんは嬉しそうに笑った後、目を閉じる。
『おやすみ、琥珀さん。』
僕は琥珀さんの髪を撫でる。
ふわふわする。
可愛らしい寝顔。
子供っぽい。
しばらくして、
琥珀さんの顔色が悪い。
うなされているようだ。
琥珀さんも、辛い夢を見ているのだろうか。
頭を撫でるが、変わらず。
起こそうと身体を揺らす。
琥珀さんが目を開ける。
『大丈夫?』
『甘ちゃん…』
弱々しい声、
『大丈夫だよ。』
琥珀さんがしてくれたように、僕も真似をする。
琥珀さんは笑顔を向ける。
よかった、
琥珀さんは上半身を起こし、僕に抱きつく。
安心しきった顔をしている。
『外、行く?』
少し、気分転換でもしたほうが良い気がした。
『うん、いこ、』
僕たちは立ち上がり、出かける準備をする。