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8

特に行き先があるわけではない。

近くの田んぼ道を歩く。

そこから海まで行く。

砂浜がある。

すぐ近くに、砂浜まで降りられる階段がある。

僕たちは階段を降りる。

ザァー、ザァー、

波の音が心地よい。

琥珀さんと砂浜を歩く。

僕と琥珀さん以外誰もいない。

『もうそろそろ戻る?それとも他にも行ってみる?』

訊いてみる。

『もうちょっとこうしてたい。』

琥珀さんが身体を寄せて言う。

『じゃあ、もうちょっと先まで行こうか。』

琥珀さんが頷く。

砂浜を上がり、もう少し先まで歩く。

と、大きな建物が見える。

幸の鳥島防衛隊、と掘られた石碑がある。

ここは、

鷹也さんの顔が思い浮かぶ。

そうか、ここが、

せっかく来たならどうするかだけでも伝えよう。

全く考えてなかったけど、今は剣士になるつもりはない。

悪いけど断ろう。

『琥珀さん、少しいいかな、』

琥珀さんは不思議そうな顔をしたが、頷いてくれる。

建物の中に入る。

中は広い。

すると、奥から、

『何か御用でしょうか?』

と、1人の男が現れる。

腰に剣がある。

『えっと、鷹也さ……こほん、鷹也真さんはいらっしゃいますか?』

男は少々お待ちください。と言ってどこかへ向かう。

左右に、鉄の鎧を着ている人が立っている。

全く動かず、置物かと思う。

いや、本当に置物か?

先ほどの男が戻ると、

『今いらっしゃいます。こちらです。』

と、案内をされる。

しばらく歩くと、また1人男が椅子に座っている。

その男がこちらに気付き、立ち上がると、

『何のようだ?』

と、僕の前に立つ。

ちょっとやんちゃそうな顔をしている。

と、案内をしてくれていた男が、

『この方は鷹也隊長に用があるそうで、現在案内中です。』

と言った。

が、ちょっとやんちゃそうな顔をした男は僕をまじまじと見る。

『人狼じゃん。あれ?後ろの子もじゃん?ま、俺もだけど。』

この人は白い髪に、赤い目をしている。

と、次に琥珀さんを見る。

琥珀さんは怖がって、僕に抱きつき、隠れる。

『あれれぇ?何で隠れるのさぁ〜、さてはやましいことでもあるんだろ?』

また僕に向き直ると、

『てかあんた、この島で有名だった一匹狼じゃん!指名手配犯を次々倒したとか、本物かよ!』

前髪で少し隠れている目が、怪しく光っている。

っ!

キラリ、

間一髪避ける。

『おぉ、今のを避けられるとは、面白い。まぁ避けなくても当たらないようにしてるけどな!』

コイツ、やばい!

剣をかなりの速さで向けてきた。

『あ、あの蓮夜さん!危ないですからやめてください!』

案内してくれていた男が止めてくれた。

『あ〜わりぃわりぃ!すまなかったなぁ狼くん。あと、じょーちゃんも!』

変わった人だった。

『俺は如月.蓮夜[キサラギ.レンヤ]だ。よろしく!んで、シンちゃんに何用で?』

シンちゃん!?

『昨日、鷹也真さんから剣士にならないかと誘われて…』

『なるほどな!シンちゃんが言ってたのは、狼くんのことだったのか!で、なるんだろ?』

う、

やめてぇ。

断るつもりだと言いづらい…

でも言わなきゃ、

『こ、断るつもりで…』

『え、なるよな?』

最後まで言わせてくれない。

圧がすごい。

如月は僕の肩に腕を乗せ、なんか喜んでいる。

『いやー久しぶりにメンバーが増えるぜ!それもまさかの、狼くんとはなぁ!』

『銅甘です。』

1人で盛り上がっている。

『んあ?銅甘っての?初めて聞いたわ。漢字ってどー書くの?』

話が終わらなそうだ。

案内してくれていた男も困惑している。

『ってか、俺の事は蓮夜って呼んでくれていいぞ!俺と同じグループだといいな!』

1人で話が進んでいる。

もう行こ。

僕たちは蓮夜を置いていく。

『ここです。』

1つの扉の前で止まる。

案内してくれた男が扉をノックする。

中から返事が返ってくる。

鷹也さんの声だ。

男は扉を開け、中に案内する。

僕たちは部屋に入る。

奥に、鷹也さんが座っている。

後ろから気配を感じる。

案内役の男とは違う。

『なぁシンちゃん!アカバネ君を俺と同じグループに入れてくれないか?』

蓮夜だった。

名前間違えてるし…

『ようこそ防衛隊へ、銅君、君はどうやら剣士になってくれるようだね。嬉しいよ。』

『あ、え?まぁ、はい……。』

何も言ってないのに、

もう、なるしかないじゃん、

『それで赤羽君は俺と同じグループに!』

『そうだな、蓮也のグループは人が少ないからなぁ、そうしよう。』

『いょっしゃあああ‼︎これからよろしくな赤羽‼︎』

ツッコミどころがたくさん…


それから色々な場所を案内される。

蓮夜も付いてくる。

なぜ?

『今からここが銅君の家だ。好きに使ってくれて構わないよ。もちろん、今住んでいる家を使い続けでも構わない。』

中を案内される。

『そういえば、お隣の子は…確かあの時もいたね。』

鷹也さんが琥珀さんを見る。

琥珀さんはまた隠れる。

『あ、この子は怖がりみたいで…琥珀と言います。

『怖かったかな?琥珀さんも自由に使って構わないよ。』

そう言って優しい顔を向けた。

『そういや赤羽、一匹[ボッチ]じゃなくなったのか?かわいい女なんか連れちゃってよぉ!』

蓮夜が肘でこづいてくる。

『ボッチじゃないもん!』

僕は反論した。

わからないけど、

『ブハハハハ!ボッチだったくせに‼︎』

蓮夜は爆笑している

鷹也さんは呆れた顔をしている。

『蓮夜はこういう人だから気にしないでやってくれ。』

僕は頷く。

『アッハハハハハァ!おもしれぇ!』

まだ笑っている。

僕たちは蓮夜を置いて別の場所に行く。

食堂。

昼食をとる。

『ここの焼き肉丼が美味ぇんだよ。食べてみな!』

置いてきたはずの蓮夜が隣にいて、焼き肉丼とやらを差し出す。

僕は手を振り、断る。

『じゃ、また今度食べな!』

『あぁ、はい…』

食べ終え、また別の場所へ。

剣がたくさんある…

『好きなのを1つ選んでくれ、好きなのがなければ個人用で作ることもできるがね。』

一通り剣を見てみる。

『なぁ!これとかどうよ!』

蓮夜が1つ、剣を持ってくる。

ドクロのついた、刃がギザギザしている剣だった。

何でそんなのがあるんだよ。

『嫌ですよ!』

『えー、かっこいいと思ってたのにー。ぜってー似合うと思うんだけどなー。』

厨二か?

剣の色も黒と紫。

こりゃひどい。

『これでいいか。』

直感的にかっこいいと思う剣を持つ。

重いな。

『それでいいのか?』

『はい、これにします。』

うん、気に入った。

『少し、試してみるか?』

そう言ってどこかへ行く。

『こっちだ。』

と、手招きをしてくる。

そして、ついたのは。

練習、訓練施設かな。

複数人の人が囲いの中で1人ずつ剣を振るっている。

僕はその囲いの1つに入り、

『まずは初級からいこうか。』

と、鷹也さんが言う。

そして、前から人が出てくる。

え?

『安心しろ、ソイツはアンドロイドだ。赤羽の本気を見せてくれ‼︎』

蓮夜が叫ぶ。

アンドロイドが、剣を構える。

いや、本物の剣じゃない。

おもちゃかな?

練習だし、そうだよね。

アンドロイドが走ってくる。

本物の人間みたいだ。

って、もう始まったのか!

僕もアンドロイドに向け、剣を構える。

アンドロイドが襲いかかる。

アンドロイドの持つ剣を、僕が持つ剣で受け止める。

強い力で押し付けてくる。

『グッ!』

アンドロイドを跳ね飛ばし、次は僕が剣を振るう。

アンドロイドが、すぐに体勢を立て直し、剣を振るう。

2つの剣がぶつかる。

跳ね返されるが、すぐにもう一度振るう。

『はあっ‼︎』

また、2つの剣がぶつかり、跳ね返される。

まだだ!

また剣を振るう。

もっと速く!

アンドロイドが、剣で受け止める。

僕の剣が外側へ上手く流されて、アンドロイドの持つ剣が、こちらに迫る。

間一髪、避ける。

今だ!

僕は剣を大きく振り、

『やあっ!』

アンドロイドの首を狙う!

すっ!

と、アンドロイドの首の前に剣をたてる。

勝負は付いただろう。

だが、

アンドロイドは、剣を振るい、

ゴンッ!

頭を剣で優しく叩かれる。

『イタッ!』

酷いと思う。

『ブッ!』

蓮夜が吹き出す。

『おぉ!』

『スゲー!』

『マジかよ!』

『やばぁ!』

後ろから複数の人の声が聞こえる。

見られていたらしい。

琥珀さんが頭を優しく撫でる。

『カッコよかったよ、甘ちゃん!』

琥珀さんが言う。

後ろを振り返る。

鷹也さんが近づいてくる。

『素晴らしい戦いだった!』

と、手を叩く。

後ろから複数の人も拍手する。

1人を除いて。

『アッハハ!ブフフォ!』

笑い声が気持ち悪くなってるぞ

あ、ちなみに蓮夜は壁を叩いている。

『あっひひぃいっひひ!やべぇーハラいてぇー‼︎』

ムカつくなぁ!

覚えておけよ!蓮夜‼︎

『流石は一匹狼!恐ろしいな〜』

鷹也さんの隣に立つ男が言った。

・・・

『初級って、結構難しいんですね、』

めちゃくちゃキツい。

死ぬかと思ったよ。

『あぁ、すまない。今のは上級者向けだ。』

はい?

『初めてなのに…』

『でも、首をとっていたじゃないか。』

それを言われると…

『頭叩かれてたけどな!』

レェーンーヤァー‼︎‼︎

『やはり、私の目に狂いはなかった。君を招待して本当に良かったよ。』

鷹也さんがそう言うと周りの人が盛り上がる。

1人、こちらに近づく。

『初めまして、僕は東雲.光輝[シノノメ.コウキ]、君の戦う姿を見せてもらったよ。』

礼儀正しい人だ。

『初めてなのにあそこまでできるなんて君、すごいですね。』

『ありがとうございます。』

お礼を言うと笑顔を見せる。

『つい先ほど、剣士として入隊したと隊長からお聞きしました。それも私たちと同じグループだとか。これからよろしくお願いしますね、銅さん。』

そう言って、手を差し出す。

東雲さんも同じグループみたいだ。

安心する。

『よろしくお願いします!』

僕はそう答えて手を差し出し、握手する。


『すまない、これから見回りだからこれで。』

鷹也さんがそう言った。

『あれ?高羽は行かないのか?』

もう言う事はないな、

『ではまた明日会おう。』

鷹也さんがそう言って出ていく。

『明日から、楽しみにしていますね。』

東雲さんがそう言って笑顔を見せる。

『はい、また明日。』

そう言って出ていく。

僕も外に出る。

嘘をつかない人狼 (狼は大切なもののために牙をむく) 第1章[ショート版]

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