コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
それから五年の月日をかけて、翼は僕に笑顔を戻してくれたいつも、優しくて温かい笑顔をいっぱいくれた。
僕はいつの間にか。いつからだろう。
心の底から、元気だった。
ある夏の日の夕方。涼しい風に吹かれる。砂浜でふたり、甦る思い出を語る。
翼は明日、マリンバの腕を上げるため、この町を出る。翼の指に光るのは銀の指輪。
二人の、婚約指輪。僕と翼が、同時に言った。
「翼」 「那由多」
言いたいことが分かった気がして、2人でクスリと微笑んだ。
「温かい笑顔を、ありがとう。」
2人の目に涙が浮かぶ。
でもそれはお互い自分では知らなかった。涙なんて隠していたい。
最後のお別れ、笑顔で始まった僕たちの別れは終わらせたいのだ。
僕と翼は涙目で笑った。
「「またね!」」