侑 『ん、ちょっ 、 角名っ………
急に何すんねんっ』
少し長めのキスをすると 、侑はリンゴみたいに頬を赤くそめた。
急にキスをされて驚いて力が抜けてなのか、
それほど嫌では無かったからなのか、
抵抗する力はとても弱かった。
*このまま離したくなかったが、嫌われては嫌なので侑から1歩離れて、*双子の方を見た。
”治が居る” ということを分かってて やめなかった俺は よっぽど侑のことが好きだったんだと改めて思う。
治 『………は?、』
侑 『え、さ、サム?』
侑は今更片割れに気づいたようだ。
角名 (うわぁ、めんどくさい事になった、)
治が俺の事を凄い睨んでいる。
なぜ治がそんなに怒るのか、理解できない。
侑が怒るのは分かる。 なんなら、突き飛ばされるとも思っていた。 だが、実際侑は照れて戸惑っているだけで、怒っている感じはなく
逆に、治からの殺気がすごい……
侑 『サム、何しとんねん… 』
全く空気を読めていない侑が、治に聞いた。
治 『はぁ? 何しとんねん は こっちのセリフや。 こんな目立つようなとこで、イチャイチャすんなや。 』
侑 『え?、』
治 『2人付き合っとるん? 付き合っとるよな? 付き合ってなかったらこんなとこでキスなんかせぇへんもんなぁ』
侑のことは見ずに俺に視線を向けて話している。
俺からしたら、嫌味にしか聞こえない。
侑 『ち、違うで!? 勘違いしとるて!サム!』
やっと、状況が理解できたのか、焦り始める侑。
(浮気がバレた )
みたいな感じになっているが、 別に治と侑は付き合ってないし、 俺が一方的に侑のことが好きなだけで、全部俺のせいにしたら終わる話なので、
侑が焦ることは何もないのだ。
治 『ほぉん…? んじゃ、何しとったん。』
侑 『それは…、』
”角名はひどいやつだ。”
と言われる覚悟はできていた。
しかし、侑が放った言葉は意外な回答だった。
侑 『俺が、よろけてもてっ、 コケそうになった時に 事故ちゅう してもたんや!!』
角名*『え…』*
思わず声に出して驚いた。
俺が無理やりしたことを侑は言わず、嘘をついた。
でもよりによって 双子の片割れだ。
嘘をついているかどうかなんて すぐ分かるだろう。
その証拠に 『ふーーーん、、、』と 凄い怪しんでいる。
どっちしろ、 終わったと思った。
しかし、またも救いの手が。
アラン 『治~、こんなとこおったん! この歳で迷子かと思って、焦ったやないかい!! あ、侑も角名もおるやん! やっほー 』
治 『あ、アラン君! 、 どちらかというとアラン君が迷子なってんで~。』
アラン 『 あ、え 、 そうやったん!? … 』
治 『じゃあアラン君、そろそろ行こっか』
アラン 『 お 、 おん 。 侑、角名 またなー 』
_______
治は、尾白先輩とそそくさと何処かに行ってしまった。
また2人きりになった。
侑は、離れていく治と尾白先輩を、見えなくなるまで見つめている 。俺は集合していた時点で気づいていたので何とも思わなかったが、 今2人で買い物に来ていると知った侑はどうか…
嫉妬していたりするのだろうか。
そんな侑を横目で見ながら、気になっていたことを聞いた。
角名 『 ねぇ 、 侑 。』
侑 『ん? 』
角名 『何で、 、 俺が無理やりキスしたって、言わなかったの? 』
侑 『 あ ~ 、 』
侑は少し照れたような、恥ずかしいような様子で答えはじめた。
侑 『 角名その、 キス する前に言った言葉って
告白やんか?、 、 そのままなんも答えずに ゙角名に無理やりされたー゙ って言ったら もう角名と話せへんくなるような気がして。 大切な友達やから!! 』
゙ 友達 ゙ あんな事があっても
そう思ってくれていることが嬉しくて、
やっぱり俺ではダメなんだな… と 失恋 したということも、友達という言葉から伝わってくる。
侑 『でも、ごめんな、 俺 やっぱり治の事が好きで、角名の気持ちには答えられへん… けど!!親友としてめっちゃ好きやから!! これからも俺と仲良くしてくれる? 』
侑の真っ直ぐな視線に、思わず息を呑んだ。
角名 『勿論。 ありがと。』
感謝の言葉がこぼれた。
『何で感謝やねん!振ってんねんぞ(笑)』
また、俺の好きな ゙太陽みたいな笑顔 ゙ で笑う君。
俺はしばらくこの好きという気持ちが無くなることは無いだろう。
でももう 心のモヤモヤは消えた。
いや 、
後1つだけ ………………
__________________
次の日
侑 『 角名~! ちょっとええ? 』
今日は俺が日直の日で 、 昨日買い物している時もその話をしていたので、侑が知っているのはおかしくない。 ただ侑が治をおいて、こんな早くに学校に来るなんて初めてのことではないか。
勿論喧嘩している時などは別々に来ることもあるが、 その時は絶対治の方が早く来るのだ。
角名 『 ん? どうしたの。今日、早いね。 』
『はは、せやろ…』
侑のはなった言葉は震えていて、
いつもとは違う雰囲気を出していた。
角名 『……治? 、 』
俺の予想できる範囲で、 侑がこうなっている原因であろう人の名前を出した。
『!!??何で分かるん』
見事予想的中。
『嫌、別々に来てるから。 』『あ、そか。』
治という時点で、心あたりがあったので、少しためらいながら聞いた。
角名 『で、治がどおしたの…?』
侑は少し黙ってから、シャツのボタンを外し始めた。
『 え、 』戸惑いが隠せない俺。
侑は、胸の下ぐらいまでボタンを外したら、
『見てや』と言って、 少し肩を出した。
角名 『え、どうしたのそれ………』
見ると、侑の身体中に噛み跡があった。
深く、くっきりと ついている。
侑 『 昨日な、角名とバイバイして、家帰ったらもう さむ がおって、 何でか分からんけど ごっつい 怒っとって、急に(お前は誰のもんなん?)とか、意味分からんこと言ってきて、そのまま 部屋入って… そしたら急に獣みたいになって、襲ってきて 、 こんなんになった。…… やから、ちょっと さむ が怖くて…先きた』
今にも泣きそうになっている侑の頭をポン と 撫で、安心させようとすると、 少し微笑んで『あーと。』と言う。
そして、そっと抱きしめた。
勿論友達として。
そんな俺に侑は嫌がらず、抱き返してくれた。
*いつもの俺なら、可愛い。 と思うところだが*、
今の俺の頭の中は ? でいっぱいだった。
何を言っているのか、頭が追いつかない。
要するに、
侑にキスをした事が気に食わなくて
侑にマーキングした。 という事だろうか…
そうなったら 俺も関わってくる話だ。
とりあえず 治 には聞きたいことが沢山あるので
侑を自分の教室に帰らせ、 あんまり治に近づかないようにした方がいい、 と アドバイスをし、
治が来るのを待った。
___
10分後ぐらいだろうか。 治が来た。いつも通り
俺の前の席に座る。 『角名おはようさん』
何事も無かったかのように接してくる治は、
少し、 いや 結構怖かった。いつも喋っている治とは、違う気がして 話しかけるのにも勇気がいる。
角名 『 …おはよ。 …治。後で聞きたいことあるんだけど』
治 『…分かった。』
その時の治の目は、冷たかった。
キーーンコーーンカーーンコーーン
ホームルームが始まるチャイムがなった。
わちゃわちゃしていた生徒達が、 先生が来る前にと 慌てて座る。 治も前を向く。
俺の好きな人と似ている後ろ姿。
でもどことなく違くて、
この気持ちは、双子とずっと一緒にいる人しか、
分からないだろうな………
授業中は双子のことしか頭になかった。
( ホントに治がそんなことをするのだろうか。、
…ホントにしたんなら、なぜ?
治は侑のことが好きなのか??
侑は治が怖いって言ってたけど、
俺も無理やりキスしたわけだし……、
俺は大丈夫だったの??
さっきも普通に話してたし…… )
あー、分かんない。
ホントに双子が分かんない。
双子につっこんでたまるか。
とりあえず、双子について考えるのはやめて
授業に集中しよう。
そう心に決めた。
________________
治 『 んで、どうしたん。角名 』
普段誰も通らない北校舎の3階から4階に続く階段がある。
誰も通らないので、告白スポットになっていたり、カップルが2人きりになりたい時にきたりする。
今は、俺と治だけだった。
角名***『 *侑が朝1人できてたから、話聞いたら治が怖いって。 どうしたのかなって思って*。*』**
治 『 あ〜。 ちょっとムカついたから。
まぁ無理やりキスしたやつに言われた無いけど、 』
いやらしい言い方をしてくる。
でも事実なので何も言い返せない。
というか、俺が無理やりしたってことわかってるでは無いか、
俺が黙っていると、治は話を続けた。
治 『ツムはな? 俺の事が好きやねん。』
角名*『 え??』*
治 『?何や、 その反応。知らんかったん??』
勿論知っている。 侑が治の事を好きなのは大分前から知っている。 それに驚いた訳では無い。
なぜ治がそんな事を言うのかに驚いているのだ。
角名 『……… 何が言いたいの。 治は侑の事が好きなの? 、 』
この質問には答えず、別の話をきりだしてきた。
治 『前、ツムに告白しとった俺らと同じクラスの子おったやん? 後、ツムのクラスの子。』
角名 『う、うん。 確か、侑にひどい振られ方したからって、泣いて転校した子と、不登校になった子だよね?それから侑に告白する女子はいなくなったって言う噂の。』
なぜ今その話をするのか分からなかったが、無意味な話では無いと言う事は察しがつくので話を合わせることにした。
治 『あ〜、そーそ。 その2人な?
まぁ確かにツムにひどい振られ方したんもあるけど、それだけで引っ越したり、不登校なったりすると思う?』
治はどちらかというと大人しい性格だ。
(侑と比べて)
けどそれは表でだけなのかもしれない。
逆に侑みたいなのは、表裏がないんだろう。
今見ている治は、今まで見た事ないような、何か企んでいるような、どこか楽しそうな表情をしている。これが治の本性なのだろうか______
角名 『思わない…』
少なくとも侑に告白する勇気があるだけで、一軍か二軍の女子だ。そこまでメンタルは弱くないだろう。それに侑に告白するのは振られる前提で、と 決まっているのだ。多少酷いことを言われることは分かっていたはずだ。それだけで不登校になるかと言われたら、ならないと答えるのが正解だと思う。
治 『せやろ?笑 だって、アイツらが不登校になったんとか、引っ越したんとか、 全部俺のせいやもん。』
角名 『……なんの為??、 もしかして、俺にもあの2人にしたようにするつもり?』
何故だか驚きは無かった。 話の流れからして予想はしていたことだ。
治 『なんの為…俺とツムの為、やな。好きでもないやつに言い寄られても迷惑なだけやし、邪魔や。でも、まぁ角名にはせんよ。 侑が悲しむし。俺らの大事なチームメイトやしな。
後さっきツムの事が好きなん?って聞いたよな?? 、 角名やから特別におしえたるわ。
俺がツムに抱いとる気持ちは”好き”とか、そんな薄っぺらい言葉ですまされたないな。 俺は、ツムを心から愛しとんねん。やから、ツムの瞳に俺以外が映んのも、ツムが俺以外のやつと話すンも嫌やし、ツムの可愛ええ笑顔とか、泣き顔とか、怒っとる顔とか、照れとる顔とか、全部俺だけ知っとればいいのにって、何回思ったか………俺しか見えんように閉じ込めておきたいなって思っとるけど、バレーはさせてやりたいしな。』
ひと通り治の本音を聞いて思ったのは、
”治はやばい”
ということだ。
角名 『…お互い好きって分かってるのに、治は侑に告白しないの?』
1番聞きたいのはそれではなかったが、
これ以上踏み込むなという治の圧が凄かった。
治 『…それ、角名に言わなあかん??』
角名 『え、嫌別に…』
治 『そ。じゃあ言わんとくわ。 俺なりの作戦があんねん。邪魔せんといてな??角名は、ただ何も知らんふりしといてくれたらええから。』
『じゃあ、行くわ』そう言って先に階段を降りていく治。
俺はしばらく動けなかった。
(このままじゃ侑が危ない)
何故かそう思った。
『ごめん。侑、俺やっぱ諦められないみたい。
俺だって、治に負けてないぐらいの愛がある。
俺のことも見てね。侑。』
誰も居ない階段で、1人で呟く。
もうすぐで、2時間目が始まるチャイムがなる。
少し早足で階段を下り、教室へ向かう。
侑の笑顔を思い出しながら________
𝓉ℴ 𝒷ℯ 𝒸ℴ𝓃𝓉𝒾𝓃𝓊ℯ𝒹_
コメント
5件
やばい最高! つづきください!!(」´□`)」 フォロー失礼します!!!
えぇぇぇ、、続きが気になってしまう、、! フォロー失礼します😭
ヤバイヤバイヤバイヤバイ,,!!! これむっちゃくちゃ大好きなやつゥゥウウ!!! 主さん天才か!? やっべぇぇえぇえ!! にやけがとまんねぇええ! 続きが楽しみだぜぇえあ!!! 即フォロー開始失礼します!!