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山本麹は書類の山に埋もれながら、呆然とした表情で頭を抱えていた。
「…先生、これ全部、奈落インダストリーの求人要項ですか?」
五条悟はお菓子を頬張りながら軽く頷く。
「うんうん、なんか福利厚生がすごいんだよね。ほら、『週に一度の呪霊マッサージ付き!』とか!」
山本はため息をついた。
「こんなブラック企業に宿儺の指があるってマジなんですか…?」
七海建人が厳しい表情で書類を指差す。
「これを見ろ。従業員数…『現在200名(死亡300名)』。」
山本は吹き出した。
「…死亡者数が従業員数を超えてる!?」
七海は冷静に頷く。
「激務ということです。」
五条はケラケラ笑う。
「さすが呪詛企業、サバイバル精神が求められるね!」
山本はうんざりした顔で手を挙げた。
「で、僕はまた潜入するんですか?」
五条はサムズアップを決める。
「当然でしょ!」
奈落インダストリー本社は、黒と赤のビルだった。ロビーには呪霊たちがせわしなく動き回っている。壁には企業理念として「呪いで世界をもっと豊かに」の文字が掲げられていた。
山本は営業スマイルを浮かべ、受付に向かう。
「本日、面接を予約しているヤマモトです。」
受付の呪霊は無表情で名簿を確認した。
「…ああ、適正ギリギリの方ですね。面接室へどうぞ。」(ひどい評価だな…)
山本は言われるがままに部屋へ入った。
部屋の中には、ひときわ威圧的なスーツを着た呪霊が座っていた。名札には「人事部長・呪厳(じゅげん)」と書かれている。
呪厳は冷たい目で山本を見据えた。
「さて…君は何のために奈落インダストリーを志望したのかね?」
山本は笑顔で答えた。
「えーと、社会貢献…?」
呪厳の目が光る。
「我々の事業内容を理解しているのか?」
山本は冷や汗をかく。
「も、もちろんです!呪いを…効率的に…?」
呪厳は満足げに頷いた。
「うむ、分かっているようだ。では、君には”宿儺の指回収チーム”の試験を受けてもらう。」
(えっ、そんなポストすぐに配属!?)
山本は案内され、地下の特別試験室に入れられた。そこには「特級呪霊・コンプラくん」という巨大な呪霊が待ち構えていた。
五条の無線が入る。
『おー、コンプラくんってすごい名前だね!』
山本は震えながら叫ぶ。
「先生、こいつの能力は!?」
七海の声が冷静に説明する。
『…おそらく、企業倫理を無理やり遵守させる能力です。』
コンプラくんが迫る。
「君、最近の働き方改革についてどう思う?」
山本は叫ぶ。
「し、しっかり休みが必要です!!」
コンプラくんは満足げに頷く。
「よろしい。では、次の質問。サービス残業についてどう思う?」
山本は瞬時に叫ぶ。
「ダメに決まってるでしょ!!」
五条の無線が笑い声でいっぱいになる。
『山本くん、意外と就活向いてるかもねー。』
(もう勘弁してくれ…)
試験を終えた山本は、コンプラくんの秘密書類を偶然入手。そこには「宿儺の指は本社地下13階に保管中」と書かれていた。
五条の指示が飛ぶ。
『よし、山本くん、早速地下13階に突入!』
山本は涙目で頷く。
「…えぇぇぇ。」
地下へのエレベーターが開くと、そこには無数の呪詛師たちが警戒態勢を取っていた。
(こ、これは…もうダメだ…)
突然、エレベーターに七海が入ってきた。
「残業は嫌いだが、片付けは得意です。」
七海の活躍により、呪詛師たちは一掃される。ついに山本たちは宿儺の指に辿り着いた。
しかし、指を手に取った瞬間、突然モニターにボス呪詛師が映し出された。
「ふふふ…宿儺の指を手に入れたつもりか?」
山本は震える。
「…な、なんだよ…!!」