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超短編snjn
勇斗と二人で廊下にしゃがみこみジュースを飲んでいた。
「ねえ、なんかさ、色の話なんだけどさ」
「色?」
「うん。色」
「色が何?なんの色?」
気を抜いた仁人から取り留めもない話を振られることには慣れている。
今日はどんな話だろう。
「サーモンピンクってさ…」
「んー」
聞きながら…いや、軽く聞き流しながらジュースをまたひと口飲む。
「えろくね?」
「ブーッ」
口に含んだものを吹き出した。
「うわ、なにしてんの」
「ゲホ、ゲホ、」
「汚いからやめてよ」
「お、まえがっ、変な事言うから」
「うん…なんかそう思って」
「…はあ。え?それはなんでそう思うの?」
そんな不可解な話になんだかんだ付き合っている俺もどうかしてる。
「…なんか…えっちだなあって」
「えっちって」
「勇斗は思わん?」
「うーん…まあ…言われてみれば…?」
「でしょ?」
「えろい色って…ある?」
「だからサーモンピンク」
「色がえろいの?サーモンピンクの服とかがえろいの?」
「いや…色かな」
「色…」
想像してみる。
サーモンピンク…サーモン…サーモンはえろくない。
ピンク…は可愛い。
何故合わさるとえろくなるのか。
いや別にえろくはないんだけど。
「勇斗はないの?そういうふうに感じる色」
「えー…」
「しいて言うなら?」
「うーん…水色とか?」
「え!なんで?」
「うーん…なんか、若い色って感じがする」
「え、若い子?」
「いやそこまで言ってない」
「なんかちょっと変態的だねー」
「お前が言うな」
「ふふ…水色かあ」
なんにも実のある話じゃないけど、仁人は何故か楽しそう。
「じゃあさ、勇斗がサーモンピンクで俺が水色だとしたら?」
「というと…?」
「そうだと仮定してさ、どう思う?」
「…仁人が水色?」
「うん」
水色の仁人…やけに清潔感があって純真さもある。ふわふわの髪の毛がよく似合う…。
「…なんかえろいね」
「…なに想像したの?」
「えっ」
「水色の俺ってどんなの?」
「いや…なんか…純粋そうな感じ」
「あー。なるほど。そうか」
「えっなにが?」
「勇斗はそっちね」
「だからなにが!?」
「サーモンピンクにえろさを感じない理由がわかったよ」
「どういう事…?」
「俺はさ、見た目がなんとなく血色を感じさせる、赤でもないピンクでもない、人の体内みたいな印象なのよ」
「サーモンピンクが?」
「うん、多分」
「うへぇ…」
「なんだよその顔。でも勇斗はさ、純粋さの中にあるふとした大人の顔がえろいと感じるんだね」
「…まあ当たらずとも遠からず」
「やっぱ変態的だね」
「いやギャップ大事よ?」
「うん、まあそれはわかる」
「えっ、じゃあ俺がサーモンピンクだとしてそれはどうなの?」
「…勇斗はもうピンクだからあ」
「メンバーカラー?」
「うん、そう」
「え、それはズルくない?」
「うん」
「俺だけ恥ずかしい思いさせられてんのはなんでだよ」
「ははっ」
無邪気に笑うその顔は確かに少し水色だった。
仁人のこういう気の抜けた意味不明なとこ、結構すき。
「はあ。俺勇斗とこういう話すんのすき」
「…ああ。そうね」
「いつも付き合ってくれてありがと」
「…それはあざといでしょ」
小首を傾げてニッコリと笑う仁人に不覚にもちょっと心臓がやられる。
「やっぱり?あー。俺は水色にはなれない男だねー」
「なりたいの?」
「うーん。勇斗が好きならちょっとなりたい」
「へ…」
「勇斗はサーモンピンクにならなくていいからねー」
「…」
ひらひらと居なくなりそうになる後ろ姿を思わず追いかける。
振り回されてんなー俺。
さっき仁人が言ったサーモンピンクについての解説が頭から離れない。
体内って……。
水色の彼の身体を想像してしまった俺は、やっぱり変態的なんだろうか?
「お前、置いてくなって」
「うん、時間だから行くよ」
自覚なんてないけど確かに俺の心の近いところに居る彼を、やっぱり俺は追いかけたのだった…。
fin
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