「ねぇ、清水さん?」
授業が終わった休み時間
隣の席の桜木さんにコソコソと話しかけられた
「昨日さ、出掛けてた?」
「うん、出掛けてたよ」
「聞きたいことがあるんだけど…」と、逸る気持ちを押さえるように声を発した
「灰谷兄弟とどういう関係なの…?」
桜木さんも、ふたりのことを知ってる…!
「なんで二人のこと知ってるの?」
「そりゃあ知ってるよ
“六本木のカリスマ”
六本木ここを二人だけで仕切ってる有名ヤンキーなんだし」
「えぇ??!」
私の大声が教室中に響いた
片手で口を塞ぐ
「ご、ごめんなさい…」
「いいよいいよ
で、話戻るけど
どういう関係?
まさかパシリ?!脅されてない…?」
「そ、そういう訳じゃないよ
ただの幼馴染み」
「幼馴染みなの?!
ま、マジかぁ…」
二人が有名な不良だったなんて、初耳だ
一応、二人に話してみよう
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───
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なんだろう、やけにこの先にある空き地が騒がしい
数人の男性の声が聞こえる
ここを通らないと家に帰れないんだけどな…
空き地にいる人にバレないよう、こっそり忍び足で横切ろうとした
ふと、空き地が目に映った
「…え?」
数人の男性が地面に転がる中、蘭くんと竜胆くんがそこにいた
私の声に気づいたのか、二人はこちらに視線を向けた
「あー、バレた」
少量の血がついた顔で笑う蘭くん
笑えるような状態じゃないでしょこれ
「な、何やって…」
「望華には関係ねーから」
みつあみを警棒に巻き付ける
竜胆くんは顔についた血を親指で拭き取った
二人が不良なのは本当だったんだ
「二人とも、六本木を仕切ってるって本当…?」
「まぁな」
なんでだろう
怖くない
二人が不良だってわかっても嫌な気持ちにはならない
自然と、二人のすることを受け入れてるんだ
「嫌か?
こんな俺らで」
私は首を横にふった
「嫌なんかじゃないよ?」