感情をなくした阿部ちゃん

■別の病室

目黒父）…。久しぶり…蓮

🖤父さん……。体調はどう？

目黒父）前よりいいかな…

🖤そっか……。

🖤あのさｯ……。なんで…阿部ちゃんを巻き込んだの…

目黒父）

…母さんが狂気的だったことは覚えてるな…

🖤うん……

目黒父）

母さんは…昔…、実の親に捨てられたんだ…。

親からの愛情を貰わずに育った結果、

自分の理想を押し付けることを…支配することを愛することだと、決めつけてしまった……。

愛を知らない自分の息子が…愛する人を見つけた…。それを知った時、母さんは蓮を取られると思ったのだろう……。

🖤母さんは…俺の事見てたの？

目黒父）

そうだよ…。親としてと言うより、1人の視聴者として見ていたよ。まさか…後ろをつけるとは思ってなかったけど

🖤えっ…俺つけられてたの？？

目黒父）幸せそうな顔を見て、羨ましそうにしてたよ…

🖤…なんで人殺しなんて……そんなことしなければ今頃……

目黒父）

そうだね…人殺しをしていなければ、何か変わったかもしれない……。だが、私達は、そうしなければ生きていけなかった……。孤児だった私達は、生きる術を持っていなかったからね…。……今思うと、どうかしていたよ……。

🖤父さん…俺、やっぱり許せない……。

目黒父）蓮……

🖤父親だから、母親だからって許すことは出来ない…。自分が殺されるかもしれない恐怖を忘れることが出来ない……。だけど…あの人といる時間は……とても幸せなんだ……。

(窓の外を眺める…。そこには、笑顔の阿部）

🖤その幸せと出逢えたのは、ジャニーズ事務所に入ったから……。

(慣れない笑顔だが、楽しそうに笑ってる）

🖤あの時、家を出ていなかったら、俺は幸せにはなれなかったと思う。だから俺、家を出てよかったと思ってる…。

目黒父）お前は……今幸せか？

🖤今は違うな…。阿部ちゃんは薬のせいで、感情が分からなくなってる………。俺は…阿部ちゃんが笑ってくれるのが、1番の幸せだから……。

(笑顔でも…その理由がわかってないんだ）

目黒父）……そうか。

🖤父さんたちからの愛には答えられなかったけど……自分の心に正直でいようと思う……。

だから俺、阿部ちゃんが元気になったら、ちゃんと気持ち伝えるんだ。愛を知らない目黒蓮が、あなたと出会って愛を知ることが出来たって……

🖤阿部ちゃんが幸せになるように、俺も全力で支えるんだ！1人じゃできないかもだけど、メンバーと一緒ならきっと大丈夫だから

目黒父）……。

🖤父さんは……｡ちゃんと罪を償ってね…。

目黒父）あぁ……

🖤じゃ…俺行くから……。

ｶﾞﾗｶﾞﾗ

目黒父） ……。

目黒父）

蓮も大人になったな……。あの頃とは見違えるようだ……。私の知ってる頃は…あんな顔…しなかった……。…ｸﾞｽ…親として…情けないな…。母さん…見てるか？蓮立派になったぞ…。蓮は自分の意思で、心に従って愛する人を見つけた……。私達も昔は…そうだったな…

蓮は、私たちがいなくてももう大丈夫だ…。あの子なら、困難を乗り越えられる。私たちの愛は…もう要らない…。お前の愛は、独りよがりだった…。私にも非はある……。お前と生きてきたこの人生…周りから見たら、けしていいものでは無かっただろう…それでも……私にとっては…幸せだったよ……。

人生は困難の連続……。色んな道がある…。私たちは道を間違えた…。もう一度やり直せるなら…今度は…違う道を…共に歩もう…。

蓮《はす》の花が咲くように……。