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窓辺から外を眺めてみた。灰色がかった空からぽつぽつと雨が降り出していた。しまった、折りたたみ傘を持ってきていない。僕はやらかしたといわんばかりにため息をついた。ふと視線が気になる。そう思い視線の方へ目をやった。

「俺の傘に入るか。」

とでも聞きたげにこちらの顔を伺う。その男は高校生とは思えない屈強な体つきをしており、模範とはかけ離れた学ランを流石といわんばかりに着こなしている。髪と同化した帽子、学ランの襟についた鎖、どれも彼のためだけに作られたかのようなものばかり。そんな彼と僕は、恋人として現在も付き合っている。 もちろん最初は男と付き合うだなんて想像もしていなかったが、今となってはそれもすっかり馴染んでしまった。ただただ彼と一緒にいるのが心地いい。頭の中が彼のことでいっぱいになるんだ。

「では、遠慮なく入らせてもらおう。」

と、アイコンタクトをとってやった。彼が何を思ってこちらを見つめていたのかは分からない。彼が僕の意を汲み取ってくれたかどうかも分からない。だが、彼ならきっと大丈夫だろう。彼にはなんでも任すことが出来る頼もしさがある。まるで彼が僕の人生の指標のような。


図書館に花京院と勉強しにやってきた。もうすぐ始まる定期考査に向けて勉強しようと花京院に誘われたからだ。今朝のニュースでの天気予報では、雨が降るからとおふくろから折りたたみ傘を手渡された。

花京院が窓から外を見てため息をついた。つられて外を見てみると天気予報のとおり雨が降り始めていた。もしや花京院のやつ、傘を持ってくるのを忘れたのか?不意にそう思い花京院の顔を無意識に見つめていたら目が合った。花京院は俺の顔を見るとにこりと微笑みかけた。まるで俺の心の中を見透かされたような気がした。これに対し彼がこちらに返事を伝えたように思えた。勿論、憶測に過ぎない。俺は手元に目を落として、また問題を解き始めた。安心したんだ。


あとがき

午前中の若干曇った空に花京院と承太郎が図書館で一緒に勉強する話です。午前中に降る雨がものすごく大好きで雨の匂いも好きです。このしっとりした雰囲気に花京院と承太郎がいる空間を1度作ってみたかったので完成出来て嬉しいです。花京院と承太郎の一挙手一投足一言一句に焦点をあてて考察してみるのも楽しいかもしれませんね。

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コメント

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ユーザー

話を書くのとても上手いですね!! 尊敬します(⁠๑⁠♡⁠⌓⁠♡⁠๑⁠)

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