テラーノベル

テラーノベル

テレビCM放送中!!
テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

午前0時の告白

一覧ページ

「午前0時の告白」のメインビジュアル

午前0時の告白

10 - 第9話

♥

100

2025年09月02日

シェアするシェアする
報告する

「……ねえ、まろちゃん」


「ん?」


「……僕、たぶん……もう0時になっても、本音しか言えない感じ、しない」


いふは一瞬、手を止めた。


目の前の初兎は、いつものように膝を抱えて、いふのとなりに座っていた。


「今日、試してみたの。

いつもみたいに“言いたくないこと”を思い浮かべてみたけど……ぜんぜん強制される感じしなかった。

たぶん……呪いみたいなやつ、消えたんだと思う」





それは、あまりにあっけない終わりだった。

何年も苦しんだ、“嘘をつけない1時間”の制限。


でも今、ふっと、霧が晴れたようにそれは消えていた。


「……なんかね、ちょっとだけ寂しいの。

あの時間、まろちゃんといろんなこと話せたから」


いふは、静かに初兎の頭を撫でた。


「魔法がとけたのは、おまえが“自分の意思で”言えるようになったからだと思うよ」


「え……?」


「俺、気づいてた。

最近のおまえ、0時じゃなくても、ちゃんと気持ち伝えてくれてた」


「……見てた?」


「見てた。全部」


いふは笑った。

少し寂しそうに、でもすごく嬉しそうに。


「だから、もう呪いなんていらないんだよ。

初兎は、もう自分の言葉で愛を伝えられる人になったってことだよ」





初兎は、ちょっとだけ涙が浮かんだ目で、いふのほうに寄りかかった。


「……それでも、言っていい? 0時じゃなくても」


「ん?」


「……まろちゃんのこと、世界でいちばん好きだよ」


「言わなくても分かってたけど、やっぱ直接言われると、すっげぇ嬉しいな」


「……ん、よかった」


二人の間に流れるのは、特別な時間でも魔法でもない、

ただの“素直な想い”だった。



0時の魔法は終わった。

でも、それは“終わり”じゃなく、“始まり”だった。


初兎が“誰かに言わされる言葉”ではなく、

自分の意志で“好き”と伝えられるようになった、はじまりの夜。

loading

この作品はいかがでしたか?

100

loading
チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚