テラーノベル
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「好きだよ」
愛の言葉を囁く。
本当に好きで、好きでたまらなくて。
「俺もすきだよ」
「俺もっ、もときのことだいすき」
2人が俺を見て微笑んでいる。
「俺の側に居てくれて、ありがとう。本当にありがとうね。大好きだよ」
ありったけの気持ちを込めて。
俺は両腕に2人を抱きしめる。
嗚呼。
俺は若井と涼ちゃんのことを心の奥底から愛している。
2人がいなきゃ、ダメだ。
もし、もしも。
2人が俺の側から離れてしまうようなことがあったら。
そんなことばかり考えては不安になって、眠れない日々が続く。
俺の我儘に付き合わせてばかりで。
彼らの人生を俺に捧げさせている。
本当に彼らは本望なのかな。
そんなくだらないことばかりを考えてしまう。
「もとき、大丈夫だよ」
「もときの側にいるよ」
泣きながら、2人が俺にそう言った言葉。
ああ、本当に。
俺は幸せなんだと実感してしまう。
でも、どうしてなんだろうか。
幸せを実感すると共に、不安も広がっていく。今が幸せな分、いつか。
いつかやってくるであろう別離の時も想像せずにはいられない。
出会いは必ず別れと隣り合わせで、幸せの裏側は必ず悲しみがある。
そうやって、ずっと、これまでを過ごしてきた。
2人と出会って、その間にいろんな出会いがあり、別れを経験して、そして心が詰まるような悲しさ、虚しさ、苦しさを覚えた。
涼ちゃんと若井がいてくれたから。
離れないで側にいてくれたから、俺は壊れてしまわないでいられたと思う。
2人がいるから、俺はひとりになれる。彼らが待っているからこそ、寄り添ってくれているからこそ、俺は自由に翔けるんだ。
「元貴が安らげる場所が俺たちだよ。辛くなったらいつでも俺たちのところに戻ってきてね」
いつも、天使のような微笑みで俺を包んでくれる涼ちゃんが大好きだ。
初めて会ったときに感じた想いは間違いではなかった。
ずっと、側にいてほしくて誘った。
「元貴がやりたいことは俺も大賛成だからね。昔からずっと元貴の夢を一緒に見たい。側にいさせてよ」
昔から、ずっと。
俺の全てを受け入れて、そして支えてきてくれた若井。泣きたくなるような夜も、眠れない時も。いつも一緒に泣いてくれた。
俺のファン第一号だって茶化すように笑った彼のあの笑顔は、俺にとっての太陽でしかない。
「だから安心して。眠ってね?」
「ずっと側にいるからね」
広いベッドに並んで横たわって、2人の体温が伝わってくる。
寝かしつけるように優しい涼ちゃんのハミングが耳に心地良い。それに合わせて俺の胸元をトントン叩く若井の手の感触が更に愛しさを覚えてしまう。
「ありがとう、本当にありがとう」
まるで、小さな子供のように。
俺は2人に縋り付く。
「おやすみのキスの方が良かった?」
涼ちゃんが微笑みながらそういって髪をかきあげる。
青い髪が本当に綺麗で女神みたいに綺麗だ。
「ずるい、俺だってもときにキスされたい」
頬を膨らませながら、若井がそう言った。
ああ本当に、こんな幸せがずっと続けばいいのにな。
交互に唇を重ねて。
2人を抱きしめて、俺たちは眠りにつく。
目が覚めて、1人だったらどうしよう。
そんな不安を感じながらも俺は温もりを感じたままで意識をだんだん手放していく。
「ずっと、離れないで。
俺をひとりにしないで」
最期の瞬間まで。
コメント
11件
更新ありがとうございます✨めちゃ好きな3人です🫶
更新ありがとうございます✨✨ 第一話という事は続きがあるんですか?😍😍 めっちゃ楽しみです✨