ぢり、と痛む胸の奥。この痛みは知らないフリ。
今日も無機質なドアを開く。
124「……こんばんは」
230『遅かったなぁ、どこ行ってたんだよ』
124「…別に。アンタにはどうだっていいでしょ」
後ろから感じる嫌な視線を無視して持っていたバッグを置き上着を掛ける
…薄気味悪いあの笑顔が嫌い。
俺は今日も、この男に抱かれるのだ
230『んだよ、今日はいつもよりツレねぇなぁ……おもんねーの』
その言葉にビクリと背中が跳ねる
やだ、この人に嫌われたくない
頭の中で嫌いだなんて思いながらも何処かこの男を好きな自分も居て。
124「それより、スる為に呼んだんでしょうよ。ね、早くシてください」
ベッドに座る彼の上に跨って、首の周りに手をかけてそう挑発した様に言えば興奮の色が灯りギラリとした目が俺を舐めるように見る
……これこれ、俺はこの顔が好き。
230『ふーん?誘いたがりのネコちゃんか。嫌いじゃないけどな』
軽々しく俺の体を抱え込んでシーツの海に投げ込まれる
その拍子に、口を塞がれて息をするのもままならない
124「……っ、ふ、…ん」
彼の長い舌で上顎から全てを舐め取られる、その度に跳ねる背中が嫌で仕方ない
230『……可愛いよ。なぁ、口開けて』
124「ぁ…?っん、ぅ」
口を開ければ1粒の錠剤が口に投げ込まれる
苦味のそれはきっと、いつものおクスリだ
124「ぁ、あ……ん、あに、き」
目の前がぼやけて、ふわふわと何も考えられなくなる
あつい、いたい、くるしい、きもちい
はくはくと息もままならなくてどうしよう、このままベッドに溺れちゃうのかな。
230『どうだ?もう効いてきたか』
彼の大きな手が自分の体を撫でれば分かり易く跳ねてしまう身体。
124「〜っ、!ぁ、う」
230『お〜笑ここ、もう待ちきれねぇんじゃねぇの?』
いつの間にか脱がされてしまった下の服。
指でぐにぐにと秘部周りを押されて絶え間無く漏れてしまう声がいやだ。
124「んっ、んぅっ、ぁ…やら、」
230『なぁ、ナムギュ。』
124「な、なにっ?」
触るのを辞めたかと思えばドスの効いた低い声。
なに、なんなの、おこられる?
230『お前から違う男の匂いすんだわ。もしかして抱かれてねぇよな?』
124「っは、だかれて、ない…!あに、きがだめって……ゆ、から」
回らない頭で出た必死の弁明。
何時だってソコはこの目の前の男にしか捧げていない。
ていうか目の前の男以外に捧げる気がない。
それを聞いた兄貴は信じていないかのように俺の身体を一瞥した後、ベルトをガチャガチャと鳴らした
124「ね、あにき、ちゅー……しよ」
230『ん?キスしたい?』
124「ぅ、んっ、して」
可愛くオネダリすればこっちのもん。
キスを強請れば堪らないとでも言うようにキスの雨が降ってくる。
少しだけ煙草と薬の味がする、ロマンチックの欠片も無いけど優しいキス。
230『……は、』
124「ん、んぅ……ふ、ぅ」
ぐらんと揺れる視界もうそろそろなにも分からないくらいおクスリが回っているけれど確かに感じる彼の温度に今は身を委ねてたい。
これは俺が彼に片想いするだけの話。
コメント
1件
めっちゃ好きです!!続きも期待して良いですか?🥹