この作品はいかがでしたか?
222
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___セルロイド とは
硝酸セルロースに樟脳(しょうのう)を混ぜて熱し圧縮した物質。
燃えやすい。おもちゃ・文房具などに用いられた。
___タランテラ とは
イタリア・ナポリの舞曲。3/8または6/8拍子のテンポの速い曲である。
曲名は、タラントという町の名前に由来するという。
また、同じ町の名を由来とする毒蜘蛛のタランチュラに噛まれると、
その毒を抜くために踊り続けなければならない
とする話から付けられたという説もあるほか、
その毒の苦しさゆえに踊り狂って死に、それを表現したという説もある。
___終末思想 とは
歴史には終わりがあり、それが歴史そのものの目的でもあるという考え方。
目的論という概念の下位概念。
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『さようなら』
そのたった一言を可憐に見事に添えられて、
かつて見目良かったであろう顔が歪められる。
生臭くも柔らかい。埋め尽くすは後悔と屈辱だろうか。
虫一匹見えないような寂静に満ちた世界で、
煤汚れた顔を拭って、ゆったりと立ち歩き出す。
汚点目立つ白のワンピースは、無事な部分だけが月光に照らされ
パッチワークのドレスの様にも見える。
奇怪な音を暗く沈んだ街に響かせながら動く。
忘れ去られたセルロイドは、
何を思って動くのか。
誰にも分からないだろう。
何故なら、人間は他人の立場に立って想像を働かせることが出来ようと、
その者の見ている全てを、そっくりそのまま見ることは出来ないのだから。
セルロイドは歩く。
ゆっくりと、それでも確かに。
セルロイドには希望はなかった。
ただ、利用されるだけ利用され、時と人の手のひらで
タランテラを踊り狂っていただけなのだから。
変わる世代に変わらないでと叫ぶ勇気すらなかった。
セルロイドは歩く。
無力ながらに越えられない時を越えようと望むのか。
それは誰にも分からない。
それでも、セルロイドは歩く。
終末思想を掲げる人間に、
薄く微笑みながら。
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セルロイド、Oxford Languagesより参照。
タランテラ、終末思想、双方共に、Wikipediaより参照。
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念願のノベル作品。何故か書けました、何故。
続きが思い付かず書けないことに後ろ髪を引かれる思いばかり。
いつかは書きたいと淡い心願を掲げときます。
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