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プルルル
じゅうはちかな、と思いスマホを見るとせんせーからの着信だった。
ものすごく嬉しいけど少し気が重い。
💚「もしもし」
💙「まちこ。今日話したいことあるんやけど、家行っていい?ってかもう行ってる」
それは困る。先ほど泣き腫らした目は赤く腫れは治りそうにないし、部屋はゴミ屋敷では無いが好きな人に見せたい状態ではない。
💚「や、…待って!!無理無理無理!私今日予定あるから!!明日にして!」
💙「いや、流石にその嘘は無理やわ。自分で言っとったやん。今日は予定ないって」
💚「あ、え?確かに言った…けど、それ…ニキニキとの電話の時に言っ、てなかっ…たっけ…」
自分で言ってて気がついた。
さっき私がじゅうはちに泣きついた。それで多分ニキニキを怒った。そこまではいい。でもニキニキからせんせーに電話する時間を考えると早すぎる。
しかも今のまるで自分が聞いてたみたいな言い方。
せんせー、もしかして私が電話してた時、ニキニキと一緒に____
ピーンポーン
💚「えっ?」
💙「お嬢さん、あ〜け〜て〜」
ピーンポーン
💚「っちょ、待って待って!!」
いろいろ考えていたけれど焦りすぎて条件反射のように開けてしまった。
💙「お邪魔します」
💚「お邪魔、されます…」
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勢いで家に上げたはいいが本当に帰って欲しい。
💙「帰らんよ」
💚「え?」
私の顔を見て気持ちを読み取ったのか先手を打ってきた。
これは私が喚いても帰らない顔。
💚「ちょっと待ってて」
お茶を入れるとともに脳内と作戦会議の時間を取ろうとして立ち上がる。
💙「俺も手伝おか?」
💚「いや!絶対そこで待っててください!!何飲みたい!?」
💙「アイスコーヒーある?」
💚「インスタントでいいよね?」
💙「頼むわ」
私はあまり飲まないから棚の中にしまってあるはず。キッチンの上の棚に手を伸ばすとあることに気がついた。
微妙に届かない
これあれじゃないか、取ろうとしてうまく取れなくて女の子が取れない〜ってなってるのを男の子が後ろから取ってあげてドキ、的なあれ!!
ちょっと前に1000年に1度の可愛い子と顔面偏差値高すぎる王様のドラマのあれ!!
あんなの自分がやられたら無理。恥ずかしすぎて液体になる。
大丈夫。せんせーにはまだ勘付かれてない。
このままリビングに行って手早く椅子を取ってきて手早くインスタントコーヒーを取ればモーマンタイ!!
頭の中でシュミレーションをし、いざと後ろを振り向く。
💙「これ、開ければいいんやろ?」
終わった…
まぁ、見事にフラグ回収という訳だ。
やばい、恥ずかしい。なんかせんせーの体当たってるし、よくわかんないけどいい匂いするし…って、変態か私!!
💚「開けて右側にある袋デス…」
💙「ほい、取れた」
💚「アリガトウゴザイマス…」
今度こそ手早くアイスコーヒーの支度をし、ついでに私用の水も用意する。
脳内の作戦会議こそできなかったが気持ちの整理だけはつける。
行くぞまちこりーた!!
💚「はいお待ち」
💙「ラーメン屋か」
💚「…聞いてたんでしょ?ニキニキとの電話」
💙「うん」
💚「最悪…」
💙「前提として言わしてもらうけど俺とニキの好きな人かぶってへんからな」
💚「え」
💙「どんな勘違いしとるんお前は」
💚「だって、ニキニキが私の好きな人探ってきたりしたから…」
💙「決めつけるの早すぎやろ。」
💚「他理由ないじゃん…」
💙「あるやろ。一個だけ」
頭の中にパッと一つの可能性が出てくる。
せんせーが、私を好きだったら
ニキニキが私から好きな人を聞き出そうとしていたのにも納得がいく。
でもそんな訳ない、はず。
そう思っていても、もしかしたら、という気持ちがどんどん大きくなって恥ずかしくなり顔を俯けてしまう。
💚「わかんない」
💙「本当に?俺の方見て」
見られない。なんでこんなことするんだろう。
突如、優しく顎を上げられる。
💙「まちこ、俺____」
プルルル
💙「…」
プルルル
私とせんせーの電話が同時になる。微妙な雰囲気だが緊急かもしれないので一応出る。
💚「もしも…」
💖「せんせー、どうだった?フラれた!!?」
❤️「これからラブラブするんでちゅか!?」
💛「え、待ってこれボビーじゃ…」
バッとスマホを奪い取られて(私のなのに)通話を切られる。
💚「えーっと…」
💙「あいつら…」
せんせーがくしゃりと髪の毛を掴む。
気まずい。なんとも気まずい。
それに、今の会話だと…
💚「せんせーが、私のこと好きみたい…」
横から大きなため息が聞こえる。
💙「ピンポーン」
💚「は、」
💙「せっかく言おうって腹括った矢先にこれかいな」
💚「いやいやいや、へ?ちょ」
💙「てことでまちこ、ちゃんとしていい?」
💚「まっ…」
💙「俺は、まちこが好き」
💙「付き合ってください」
💚「び、ビジネスって、言ってた」
💙「ガキの照れ隠しみたいなもんや。ところで____好きなのは俺だけ?」
💚「わ、私も、あなたが好きです」
恥ずかしすぎるから2人でやった歌ってみたの最後の言葉を借りる。
私の言葉に安堵したような表情を見せ、お互いの瞳を見つめ合う。
少し近づいたら触れそうなほどの距離。
せんせーの手が再度私の顔に触れる。
そして…
💚「ふはっww」
💙「なんや」
せんせーの不満そうな顔が可愛い。
💚「いや、今考えたら電話のタイミング悪すぎだな、って思ってw状況思い返したら面白すぎる」
💙「笑うな!こちとらめちゃめちゃ真剣だったんや」
💚「笑うなって言われると、余計にw」
小説のような甘い、ロマンチックな、恋は私たちには似合わない。例えるなら、ガレットデロワみたいに、ずっと食べていたらどんなに美味しくても飽きてしまう。たまに食べるのが美味しい食べ物。ロマンチックもたまにがいい。
どこにでも売ってるグミくらいが日常では丁度いい。
私たちの恋は、甘くて酸っぱい、平凡なようで非凡な恋だ。
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途中でまちこりとせんせー両方に同時に電話がかかってきたのは女研のグループ通話をかけてたからです。
小説の題名がフェットチーネグミなのは甘くて酸っぱいグミで真っ先に思いついたからです。
あと途中でせんせーが自分のこと「グミみたいに甘い男」とか前の話でじゅうはちが「甘酸っぱくて美味しい」的なことを言ってるんですけどそれもタイトルの伏線(?)みたいな感じで入れてました
完結