テラーノベル
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大学の図書館。
本の背表紙を指でなぞっていた新一は、ふと視線を感じて顔を上げた。
新一「……え」
そこにいたのは、中学の時に別れた恋人。
黒羽快斗だった。
時が止まる。心臓が嫌な音を立てて跳ねた。
快斗「よぉ、新一。久しぶり」
人懐っこい笑みは昔のまま。
快斗がこちらに一歩踏み出した瞬間、新一は反射的に身を翻す。
新一「っ……!」
何も言わず、快斗から逃げるように早足でその場を立ち去った。
快斗「……は?」
取り残された快斗は、新一が消えた通路の先を呆然と見つめる。
快斗「なんで…避けられた…?」
【新一の葛藤】
自室のベッドに倒れ込み、新一は天井を仰いだ。
新一(最悪だ…なんで、あいつが…)
中学時代を思い出す。
快斗の愛は、いつしか重たい鎖に変わっていた。
毎日、毎時間送られてくるメッセージ。
誰といるのか、何をしているのか、全部を知りたがる独占欲。
好きだった。
大好きだったからこそ、怖くなった。
新一(もう関わっちゃダメだ…)
新一(また昔みたいになったら、今度こそ、俺は…)
忘れかけていた感情が蘇り、新一はギュッと目を閉じた。
【快斗のストーキング】
次の日、大学の講義室。
新一は、教室の隅から突き刺さるような視線を感じていた。
気のせいだと思いたい。
でも、その視線の主が誰なのか、考えたくなくても分かってしまう。
講義が終わり、友人と談笑しながら教室を出る新一。
その背中を、快斗は少し離れた場所から静かに見つめていた。
快斗(…俺以外のヤツと、あんな顔で笑うんだな)
胸にチリっとした痛みが走る。
快斗(いいよ、別に)
快斗(今の新一が何をして、誰といて、どんな顔で笑うのか…)
快斗(俺が全部、知っててやるから)
新一が向かうカフェ、バイト先の書店、帰り道。
快斗は気づかれないように、影のように後をつけた。
今の新一が何を好み、どんな生活を送っているのか。
その一つ一つを、自分の知識として蓄えていく。
快斗(昔と飲むコーヒーは変わらないんだな)
快斗(ああ、その本、面白いよな。俺も好きだ)
まるで、新一と見えない会話を楽しんでいるかのように。
【ニアミス】
バイトを終えた帰り道。
新一は、自分の後ろをついてくる足音に気づいた。
気のせいじゃない。
自分の歩みに合わせて、その足音も止まったり、進んだりしている。
ゾッとして、新一は角を曲がった瞬間にバッと振り返った。
新一「誰だ!」
しかし、そこには誰もいない。
電信柱の影に、快斗が息を殺して隠れていることなど知る由もない。
新一「(…考えすぎか…?)」
不審に思いながらも、新一は再び歩き出す。
電柱の影からそっと顔を出した快斗は、高鳴る心臓を押さえた。
快斗「(危ねぇ…勘、良すぎだろ…)」
スリルと、新一に近づけた興奮で口元が緩む。
快斗(大丈夫だよ、新一)
快斗(お前は”まだ”何も知らなくていい)
その瞳は、純粋な好意とは言い難い、重く歪んだ執着の色を宿していた。
新一がその視線の意味に気づくのは、まだ少し先のことだった。
1話終わり!
上手くできたかな .ᐣ
ごめん!!1話短い!!
2話はちゃんと長くする予定…!!✐
コメント
2件
最高すぎ、♡♡