テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
試験から約一週間が経った。
試験からオールマイトとの連絡も取れなくなり、転孤は日に日に雄英合格への希望を失っていた。自己採点をしたところ、筆記試験はギリギリ合格ラインを超えていたものの、実技試験は0ポイント、合格したとは到底言えない。自分がどれだけ夢を見ていたのか、現実を突きつけられた。いつも通り自室に籠ってゲームをする。ゲームをしている時はそんな辛い現実も少しは忘れられるのだ。
ヘッドホン越しに足音とドアの開閉音が聞こえ振り返った。そこには母が一枚の封筒を持って汗ばみながら立っていた。
「…雄英から……きたよ。」
椅子に座り直り封筒と向き直る。開ける自信がない。開けずとも結果は明白だったからだ。しばらく向き合ったのち、恐る恐る封筒に手を伸ばし思い切り破った。中から勢いよく小型電子機器が飛び出てきて、机の上に転がった。怪訝そうに眺めていると突如、その機械が光出し空中にスクリーンを映し出した。そのスクリーンには――オールマイトが映っていた。
「オールマイト!?」
思わず声を出すなり、それに応えるかのようにモニター内のオールマイトは
「はっはっは!スクリーンに私が〜〜投影された!!!」
と元気よく笑った。
「実は私、今年から雄英に務めることになってね、その手続きで連絡が取れずにいたんだ。」
転孤は思わず驚きの声を出した。あのオールマイトが雄英に来る…信じられないがだから最近この街に来てたのかと納得した。
モニター内のカメラマンに急かされてオールマイトが間をおいて話し始めた。
「単刀直入に言おう。筆記試験は合格でも実技試験でのポイントは0、当然、不合格だ。」
それは試験が終わった時からわかっていたことだった。分かってはいたが……やはり悔しい。唇をギュッと噛み締め拳を握る。
「それだけならね」
オールマイトから意外な言葉が放たれ、顔を上げる。
「これを見てほしい」
そう言ってオールマイトは後ろにあるテレビをつけた。そこには正門で出会った女子の姿があった。
「!、アイツ……」
「試験が終わってすぐに言いに来たそうだ。」
動画が再生されて見る。
「あの、猫背で暗い子…水色髪の人、、分かりますか!」
女子が試験官・プレゼントマイクにそう尋ねた。転孤はそれが自分のことであるとすぐに分かった。
「あの人…最後に『せめて1ポイントでも…!』って言ってて……!もしかしたらまだ0ポイントなんじゃって思って…!
……私のこと助けてくれたのです!だからせめて、私が奪っちゃった時間の分、私のポイント分けることって出来ますか!?」
『助けてくれた。』その言葉に転孤は思わず涙腺が緩んだ。自分は誰かを助けることができたのだ。一瞬でも誰かのヒーローになれたのだ。懸命にお願いし続ける彼女をモニター越しに眺め続けた。
「先日の入試、見られていたのはヴィランポイントのみにあらず!」
動画がまた再生される。
「お願いされてもポイントは分けらんねえ。そもそも、分ける必要もねえと思うぜ、女子リスナー笑」
プレゼントマイクがそう言って彼女の頭をポンと軽く撫でた。テレビの前にオールマイトが出る。
「人助け。正しいことをした人間を廃席しちまうヒーロー科など、あってたまるかって話だよ!
綺麗事?上等さ!命落として綺麗事実践するお仕事だ!
レスキューポイント!!しかも審査制!
我々雄英が見ていた、もう一つの基礎能力!」
転孤は大きく目を見開いた。
「志村転孤、60ポイント!!ついでに渡我被身子、45ポイント!!」
モニター内のオールマイトが振り向いて静かに言う。
「合格だってさ。」
転孤は口と目を震わせながらモニターを見つめ続けた。
「……無茶苦茶だろ……」
モニター内のオールマイトがこちらに手を差し伸べた。
「来いよ、志村少年。」
転孤は目に大粒の涙を浮かべ、口元を震わせた。
「ここが、君のヒーローアカデミアだ!!」
「………はい」
夢のような信じられない事実に驚きを隠せない中、声を振り絞って転孤は返事をした。
マリン.
55
コメント
1件
わああ第7話読み終わったよ…!😭💕 転孤くん、自分は0ptでダメだって思ってたのに、あの女の子が「助けてくれた」って言いに来てくれたのマジでグッときた…!! オールマイトが「人助けをしたヤツを落とすヒーロー科なんてあってたまるか」って言うシーン、熱すぎて涙出たよ…「ここが君のヒーローアカデミアだ!!」からの「はい」は完璧すぎるラストだった…!✨ 続きすごく気になるよ!!