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今回の作品も面白かったです! この作品は解説付きなんですね!とても分かりやすかったです!楽しみにしてます!
一部修正加えました。
「おぉ〜…‼」
世界最大の商業国で、人口が最も多く栄える街、[南琴朝欧]。
ここでは普通、手に入らないような品物や出店がびっしりと並んでいる。どこの家にも置いてあるような有名な書物「伝説騎伝」の中に存在した街が、目の前に見える街を題材にしたと聞くが、それが書かれたのは100年以上も前の話だそうだ。
書物には珍しい「絵」で描かれるそれは大人だけでなく子供にも愛されているらしい。
「いらっしゃ〜い‼安いよ買ってきな〜‼」
「タグサの蒲焼一枚200ベリーだよぉ‼そこの嬢ちゃんどうだい⁉」
で店を並べすぎた結果か、はたまた勝手にやってきた商売人が出し物をしているのかは知らないが、文字通りびっしりと並んでいてはどこもかしこも商売上がったりだろう。
下手な並べ方を見ながら人混みの中を進んでいくと、白レンガ造りの一本道の先、大きな宮殿が姿を表した。
何千、何万、何億と行き交う人の目にきちんと留まるような造風のそれに思わず感嘆の声を漏らしてしまう。
人が行き交う道のど真ん中で立ちほうけていたため、流石に邪魔だという視線が痛かった。
街の大動脈とも呼ばれる「南琴通り」。そこを通り抜ければ先程の狭い道が嘘だったかのように広々とした空間に出る。
噂ではこの場所は「人気のない噴水」と、中央で静かに水を流す噴水をモチーフにしたように見せかけたそのままの名で呼ばれているらしい。
コンクリートで造られた土台に腰を置き、一息つく。
僕が今回この場所に来たのは他でもない、待ち合わせをしていたのだ。
あー…残念ながら、読者の皆が一番に想像するのだろう旧友は、僕にはいない。けど秘書はいる。
今回の待ち合わせはその秘書が、面倒事を起こされると厄介なので、と派遣した者達だそうだ。
僕はハッキリ「いらない」と、言ったんだけど…。
コツリと石畳の地面を鳴らす音が目の前で止まる。
その音に顔を上げてみれば、2つの影がこちらを見ていた。
「…えっと、君たちが僕の護衛役をしてくれる人…?」
恐る恐る聞いてみれば、ゆっくりと頷く彼ら2人。
うちの秘書は何かと物事を大胆にやってのける。多分、今回もどこかの他組織に”急遽”連絡を入れ、手の空いていたこの人たちが派遣されてしまったのだろう。
おかしいなぁ…、聞いてた情報とぜんぜん違う…w
秘書から聞いていたのは「快く承諾してくれた幹部の人間」だったのだけど、今目の前にいる人物たちはどうにも自分の首を狩る為に来たような形相をしている。
まぁ秘書である彼のすることだ、確かに急に呼ばれ、怒るなと言われる方が難しい。
「あー…その、君たちは、__」
「ぐちつぼです」
「ゾムです」
「名前は聞いてない、」
自己紹介をするや否や、何故か睨み合いをし始める彼らを両手で諌める。
「…御二人さんは確か、仕えてる主が違うんでしたっけ」
「当たり前です」
「俺は自分を信仰してますね…」
顎に手を当てるぐちつぼはそう言う。確かにそう言われてみれば、最近新しい神が大変多くなったと秘書から聞いた。
天界でも住居が決まらず、どこを信仰しようか迷っている天界人(ここで言う一般人)を勧誘しては力を上げているそうだ。
そんな彼が、興味本位か、聞いてくる。
「質問をするようで悪いですが…、信仰者はどれくらいいるんですか?」
「おい、それは…!」
「良いですよw…そうですねぇ…」
神相手に、ましてや神主相手に信仰者数を聞くことは御法度とされている。
しかし彼はまだ”なりたて”なのだろう。最初なんて当然、わからないことだってあるさ。
「3人」
「「…え?」」
緑のフードを被った彼は信仰者数が少ないのは知っていたけどまさかここまで少ないとは思っても__なんとかとぶつぶつ唱えている。
新神であるぐちつぼさんは信仰者は出来にくいのか…?と混乱の色を隠さない。
僕は彼らに補足をする。
「あぁ、信仰者が少ないのは…、」
______________ゴーン…ゴーン…
宮殿に備えられていた鐘が、盛大に音を鳴らす。
左手の甲に被さった袖を移動させ、光る時計盤へと目をやる。
12:00
円状に並んだ数字の一番上、「12」に見事に重なっている。
この街では、小さな噂が”2つ”あった。
1つ目は、【12時頃、刻は逆を求む】
そしてもう一つは…
【12時頃、金色を纏う獣神が姿を現すだろう】、と____
午後12:00 ”誰もいなくなった街の中央”、そこに一匹の獣神が放たれた。
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【解説】
記述された文章では、主人公である彼が読み取る時計は「12:00」だと記されている。
”午前”とも”午後”とも記されてはいない。
けれど主人公である彼が中央広場「人気のない噴水」に着くまでには「人通りの多い南琴通り」を進んできた。
これを解くと、人が多い時間=昼間の12時だと推測できるでしょう。
中央広場にあった噂は特殊なものであり、”午前12:00”を”午後12:00”にする作用があったと言えます。
つまりは…
・1つ目の【12時頃、刻は逆を求む】の12時頃は”午前12時”を指し、
・2つ目の【12時頃、金色を纏う獣神が姿を現すだろう】は”午後12時”を指している。
中央広場であった噴水には人気がなかった、つまり人がいなくてもおかしくはないという固定概念が表される。
また、緊急時に人間は周りに何があるのかなどの状況把握がしたくなる。
=そこで、周りに人がいないことに気がつく…っていうか一人もいなかったと分かる。かな?
皆、この説明で分かったかなぁ?
分からなかったらコメント欄で個別授業やってあげるから気軽に言ってね☆
それじゃ、また次の【解説】でお会いしましょう。
またね。