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#ご本人様には関係ありません
どんぶりんこ
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— nk
キルシュトルテが枠主の動画の撮影。メンバーは、俺、ボビー、りぃちょ、シード、弐十ちゃん、キルだった。動画が上がってからリスナーたちが動画を見ればいつもの撮影のように見えるかもしれないが、実際そんなことはなかった。以前、シードが
「俺、しろのこと好きかもしらん」
と言ってきた。もちろんシードは俺がぼびーを好きなことを知らないが、その時は感情が出過ぎてしまった。
「……はあ?…ぼびーは俺のだけど」
言った瞬間、しまったと思った。シードの口角がにやにやと上がっていって、俺の胸をつん、と小突いて
「いつからお前のになったんだよ、決まってないじゃろ。」
その余裕がありげな発言にいらっときて、シードを見下ろした
「いいや?どうせボビーも俺のこと好きだし。」
実際、そんなことはないだろうとは思っていた。いや、あってほしいが、ボビーの気持ちを確かめる勇気なんて今の俺にはない。憶測で余裕のあることをいっているのが、自分でもわかるくらい惨めで、それくらい大切な存在なんだな、と感じた。
そんなことがあってからのシードとの撮影。ボビーもいるので正直シードが何かしでかさないか気が気でない。オープニングトークを終えて、本題に入る。お題に合わせて人を選んでいって、お互いを選んでいるとペアが成立。残った1人がぼっちで、誰からも選ばれないヤツ認定、というキルシュトルテらしい企画だった。早速一つ目のお題は、『最強無敵連合の中で結婚するなら誰?』だった。ディスコですかさず「ボビー」と打ってキルシュトルテに送る。集計は企画主のキルがしているため、キルが一番最初に知ってしまうのは仕方がなかった。
「…全員集まりましたんで、発表しましょ。
こちらです、ドンッ」
キルがそう言うと全員の回答が一気に見える。りぃちょは18号、キルシュトルテは弐十、弐十もキルシュトルテ。ここですでにペアが成立していた。シードを見ると、当たり前のようにしろせんせーと書いてあった。シードをちらりと見ると、V体越しでもわかるくらい意地の悪い笑顔をしていて、隣にいたら確実に殴っていた。場が収まって、キルシュトルテがりぃちょから順に理由を聞いて行った。りぃちょが18号を選んだ理由は、「男とペアを組むことを選ぶほどホモじゃねえ」だった。まあ、りぃちょらしかった。弐十は、「トルテさんが1番歴長くて安心しそう」であった。する、ではなくしそう、なのがやはり弐十らしさがある。キルシュトルテも弐十と同じ理由だった。俺の番になって、すっと息を吸って、いつもの喋り方で
「まあ、1番信頼してるし。あと居候させてくれるし」
最後にネタを挟むと、ボビーからすかさず「お前家賃払ってない時期あったの忘れんなよ」とツッコミが飛んできて、思わず頬が緩む。これがボビーだ。一方、シードの理由はというと、「養ってくれそうやし、あと普通にしろがいい」。普通にってなんだよ。俺はめちゃくちゃボビーがいいわ。ボビーは気持ち悪い、と言っていたがどこからどう見ても明らかに照れていて、気持ち悪いというのは照れ隠しであろう。それが余計にむかついた。次にボビーが理由を話す番になった。そういえば、シードに集中しすぎて誰を選んだかしっかり見ていなかった。見る前に、ボビーが口を開いた。
「まあ、なんだかんだニキがいいかな。
……一緒におると楽しいしなあ」
ニキ、という言葉に反応してボビーの回答を見ると、ニキ、と書いてあった。胸の奥がぎゅうっと熱くなって、心臓が早く脈打っている。ボビーが俺を選んでくれたのも嬉しかったが、それ以上にシードが選ばれなかったことに心底ホッとしていた。ボビーの回答に対してりぃちょがゲイだなんだ言っていたが、黙らせた。
撮影が終わると、ボビーからLINEが来た。珍しい、と思って開くと『今から会えへん?』ときていた。この後予定は何もない。大丈夫だ。『会える。そっち行く』とだけ送って外を出た。7月の夜は湿度も高いせいかじめじめとしていて暑かったが、それ以上に俺の体の方が熱かった。早歩きでボビーのいるマンションへ向かうと、ちょうどマンションの自動ドアから出てきていた。ボビーが俺に気づいて、ひらひらと手を振りながらこちらへ向かって来る。
「……そっち行くって送ったじゃん」
「ごめんごめん。……早く会いたくて、って言うときもいか」
ボビーはそう笑って誤魔化していたが、全然きもくないし、可愛いし。なにその反応。
「……きもくねえよ」
「…え?」
思わず本音を言ってしまった、と思ったが、話題を逸らして
「…で、なんで会おうって言ったの」
マンションの前の歩道で、2人で立ったまま向かい合って話している。ボビーはあー、んー、と唸っている。視線が泳いでいて、明らかに様子がおかしかった。聞こうとすると、ボビーが口を開いて
「……今日の撮影、さ」
「…うん」
「俺、ニキって書いたやん。……ニキも俺のこと書いてくれたの嬉しかったなあ、って」
本音はそれだけ?だったが、発言の破壊力にやられてそんなこと言える余裕はなかった。少し目を逸らして
「……いや、うん」
返事がださすぎる。自分でも思っていた。
「……あの、おれさ」
改まって話出すボビーの顔を見ると、ほんのりと赤くて、俺と目が合うとふい、と逸らしてしまう。心のどこかで、もしかして、と思った。
「……気持ち悪いかもしれへんけど、いい?」
そう聞かれて、なんとなく確信した。
「いいよ、言ってみ」
そう言うと、ボビーは手の甲で口元を隠して俯いてから、顔をあげて俺と目を合わせて。
「俺な、ニキのことが好きやねん」
体が固まった。今なんて言った?好き?俺のことが?夢だろうか。しばらく黙っていると、ボビーが慌てて口を開いた
「…そ、よな。ごめんな、気持ち悪いこと言って。……じゃ、おれいくから」
そう言って歩き出そうとするボビーの手首をぱしっと掴んだ。ボビーが振り返ってこちらを見た。今にも泣きそうな顔をしていて、心の奥が痛む。泣かせたくない、そう思って、俺もずっと心にしまおうと思っていた想いをこぼす。
「……俺もボビーが好きだよ」
ボビーの体が強張った気がした。
「……え」
顔がありえないくらい赤くて、やっぱり泣きそうだった。目が潤んでいて、溢れそうになった涙を指で拭ってやる。
「、ほ、ほんと?……夢、ちゃうかな、」
俺と同じことをいってる、と思って柔らかく笑った
「夢じゃないよ、現実」
そう言いながらボビーの頬をつねる。
「…いっ……た、いたいっ」
笑いながら痛いと訴えるボビーの笑顔が可愛くて、つねっていた指をそのまま下ろさず、ぼびーの頬を撫でた。
「ほ、ほんとに両思い……」
ボビーが独り言のように呟くので、ふ、と笑ってから
「ね、俺もびっくり」
ボビーの顔を見ると、目元に涙の痕があって、心が軋んだと同時に愛おしさを感じた。
「可愛い」
ボビーの顔がばっと赤くなって、しまったと思い片手で口を覆う。もう遅いけど。ボビーはわなわなと震えていて、可愛いってなんだよ、と怒るような口調で言って来る。怒っているのに起こりきれていないところがまた可愛らしくて、笑みが溢れる。
「ね、両思いだしキスしていい?」
今したくてたまらなかった。今すぐ目の前の可愛いボビーにキスをしたい。俺のものだと実感したかった。ボビーはあたふたしたしていて、らちがあかないので歩道から少し遠ざかって、人気のない物陰に入り込んで、ボビーの頬に手を添えて唇を重ねた。一瞬だったけど、唇は柔らかくて、唾液のせいか、甘かった。ボビーは余韻に浸るように口元を手の甲で押さえていて、それすらも愛おしくて、手首を掴んでまた唇を重ねてしまう。今度は長めに。ボビーは数々の女性を抱いてきていて経験豊富な筈だが、女性たちが遊びだったからか、はたまたいつまでも慣れないだけなのか、キスだけで顔が真っ赤だった。前者であることを祈るが。名残惜しいがボビーの唇から離れる。ボビーは壁にもたれかかってふう、と息をついている。呼吸が若干浅くて、何もかもが愛しく見える。恋は盲目とはこのことだろう。ボビーの頬にすっと指を添えて
「…今日、記念日だね。」
ボビーは記念日を大切にするタイプだ。事務所設立の日やら、女研結成の日やら、全て覚えている。だから、この大事な記念日は俺も大事にしたいと思って。ボビーは顔をあげて、驚いたように俺の目を見てきた。それから柔らかく笑って、
「……7月7日な」
七夕。そういえば今日は七夕だ。なんて偶然だろう。七夕といえば、あの織姫と彦星は一年に一度しか会えない。可哀想だ。ごめんな、俺とボビーは一年中そばにいれるんだわ、と心の中で天の川に向かってマウントを取ってから、ぼびーの手を握って、2人で路地裏から離れながら、ボビーの目をみて、微笑んだ。
「織姫と彦星みたいにはさせないから」
コメント
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うおお、1話目から両思いキターー!!って感じで大興奮しました! 撮影中のシードへの嫉妬とかボビーの照れ隠しの「気持ち悪い」とか、細かい仕草の描写が生々しくて、画面の向こうの空気が伝わってくるようでした。 最後の「織姫と彦星みたいにはさせないから」は七夕の日にぴったりのセリフで、胸が熱くなりました…! 続き、すごく気になります!