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奏.KaNaDe
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奏.KaNaDe
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#キャラ崩壊
𝓵𝓮𝓷𝓪.⋆𝜗𝜚
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🦍(独身)↔🍆 🍌☃️🐷
御本人様とは関係しません。
あくまでもフィクションです。
ご了承下さい。
今回のお話は、配信の中にありましたキーワードから妄想で作りました。
ご理解下さい。
あと…皆様スミマセン。
ショートと言いながら長いお話になりました事をお許しください。
今回は🍆さん視点のみとなります。
『1日1回だけ我慢』
俺は最近、自分にこの縛りを課している。
どんなに強い衝動に駆られても、どんなに誘惑されても、1日に1回だけは何かを我慢する。
そう決めたのは、ほんの些細なきっかけだった。
『そういえば…、最近の俺って我慢って…してないよな。欲しい物があれば、大体は手に入れる事ができる様になったし…、何処か行きたいと思ったら行けるし…(まぁ、基本出不精だから…好んで行かないけど…)。でもこれって自分に甘くねぇか?』
と、ふと考えてしまったんだ。
だから…1日の中で、たった1回だけ、何でもいいから我慢する…って決めた。
そして今日も…また我慢する事がやってくる…。
「ぼんさん、何食べます?」
今メンバーのみんなと俺のイベントの打ち上げで焼肉屋に来ている…。
隣に座っているドズさんから声をかけられた。
「んー…、とりあえずタンとハラミは食べたいな」
そう伝えると、手元にある注文用のiPadに手早く打ち込むドズさん。
「俺、特上カルビが食べたいっス!」
「僕シーザーサラダ頼んでいいですか?」
「俺はユッケジャンクッパが食べたいです。それより、みんな飲み物は?」
とMENやおらふくん、Qnlyが次々と口を挟む。
「じゃあ俺は、とりあえずコーラ!」
MENが勢いよく手を挙げる。
その隣では、おらふくんがメニューをじっと眺めていた。
「僕、烏龍茶にしようかなー」
「じゃあ、俺もおらふくんと一緒で烏龍茶」
「…おらふくんとQnly、めっちゃ健全じゃね?」
「ええやん。焼肉にウーロン茶、めっちゃ合うで。なぁQnly?」
「そうだねw……」
そんな後輩組のやり取りを聞きながら、俺も思わず笑ってしまう。
そんな時、ドズルさんが俺に尋ねる。
「ぼんさん、ご飯は白ご飯でいいですよね?いつもの大盛りにしますよ」
俺はドズさんの「いつもの…」というキーワードが無性に引っかかり……、本日初の『1日1回だけの我慢』が発動する…。
「……いや、普通盛りでいいわ…」
その言葉にドズルさんをはじめ、他のメンバーも「えっ?」と疑問を抱く…。
「ええっ?ぼんさん普通盛り??いつもなら『大盛り』って即答やのに…」
「なんか…珍しいっスね?」
「ぼんさん…、どうしたんですか?」
後輩組から次々と声が飛んでくる。そんな中で…
「ぼんさん…、体調…悪いんですか?」
ドズさんは心配そうに尋ねてくるし…。
たかがご飯の量を変えただけなのに、思った以上に注目を浴びた上に、ドズさんからは心配される始末…。
「いや……今日はなんとなく、『普通』って気分だっただけ。全然体調悪くないから…大丈夫だよ」
と誤解を招かないように答えたが……
「…本当ですか?」
ドズさんが疑いの目で、じっと俺の目を見つめる…。
その視線が妙に鋭く、怖かった。
まるで心の中を覗かれている様で…。
俺は、思わず動揺して声が上擦った。
「ホントに…大丈夫だから…」
「……」
そんな俺を見るに見兼ねたのか…、Qnlyが助け舟を出してくれた。
「まあ、ぼんさんもそんな日ありますよね。それよりドズさん、キムチ頼んでもいいですか?」
それを聞いて、ドズさんは俺に対する疑いを解き、「あぁ、いいよ」と注文を追加する。
「じゃあ、ぼんさんも 普通盛りで注文しときますね。他…みんな注文したいものない?」
とみんなの注文に応えるドズさん…。
その言葉に後輩組はアレも食べたい、コレもいいですか?と頼んでいた。
俺はそれを尻目に、この場はとりあえずドズさんからの追及を免れる事ができた…と一息をついた。
しかし…、ドズさんは俺の様子を見逃さなかったみたいで…、暫くは俺への監視を続けていた。
……自分で決めたくだらない『縛り』に、何でこんなに動揺してるんだろ…。
……とりあえず、いつも通りに振る舞って、ドズさんの疑いを晴らそう…。
俺はとにかくイベントの話などを終始みんなに伝え、みんなの笑い声が絶えず焼肉屋の店内に響き渡り、楽し時間を過ごす事に努めた。
ただ…ドズさんだけは会話に参加しながらも、俺の様子を終始監視していた…。
「ぼんさん、お疲れ様でした」
次の日、俺のイベントに協賛と参加して頂いた企業や仲間への挨拶回りをドズルさんとして、やっと終わった。
「ドズさん、一緒に挨拶回りしてくれてありがとうね」
「いいえ。僕も協賛していただいた方々へお礼を伝えたかったので…」
「ふふっ… 」
多分…俺1人で挨拶回りをさせる事に心配だったんだろうな。一緒についてきてくれて…本当に優しいなぁ…。
そんな温かい気持ちに浸っていた時、
「僕は一度会社に戻りますね。タクシー呼びますけど、帰る方向が一緒ですし…乗っていきます?」
と誘ってくれた。
いつもなら「え?マジで!ラッキー」とか言って『楽』な帰り方を選ぶ俺だが…『楽』というキーワードに引っかかった俺は…本日の『1日1回だけの我慢』が発動する…。
「…いや、いいや。…あっ!そうそう。他に寄りたい所があるからさ…タクシーは遠慮するよ」
「…そう…ですか…」
ドズルさんはいつもなら絶対一緒に乗って帰るとでも思っていたんだろう…。
また疑問を抱きながら俺を見つめた。
「ゴメンね。先に帰っておくね。今日はホントにありがとう」
俺はドズルさんの疑惑を払拭させる為にも、感謝を述べながら曖昧に笑ってみせる。
「……いえ。じゃあ、気をつけて帰ってくださいね」
「うん。ドズさんも、会社戻って仕事大変だろうけど頑張ってね」
そう言って、心配そうに見つめるドズルさんに作り笑顔で手を振り、駅の方へ向かった…。
……本当は寄りたい場所なんて…ない。
……ただ、あえて『楽』な方を選ばなかっただけ。
そりゃあ…タクシーに乗れば、目的地まで何も考えずに『楽』に運んでもらえるし、 挨拶回りで疲れてるんだから…それくらい甘えたっていいよな…って普通は考える。
でも今日は、心を鬼にして…『1日1回だけの我慢』を実行したんだ。
だか…自分で決めた『縛り』の為に、ドズルさんに嘘をついた事で、ドズルさんに対する罪悪感が頭から離れず、妙に胸の奥が痛んだ…。
「はぁ…、ドズさん…ゴメン…」
今の心境を吐露した言葉は誰に聞かせるでもなく…、俺は駅へと続く道を只々歩き続けた。
そんな俺をドズルさんが後を付けていた事なんて…知る由もなかった…。
そして次の日……。
今日はみんなと一緒に会社でMTG。
次の企画に向けて何をするか?メンバーとスタッフ全員で話をしていた。
みんなでいろんな意見を出し合っていたら、 1時間程経ったところで休憩となった。
「ドズさん、俺…ちょっと小腹が空いたんで、近くのコンビニ行ってきてもイイっスか?」
とMENがドズさんに尋ねていた。
「いいよ。あっ!MEN、ついでに皆んなにアイスでも買ってきてよ?今日暑いからさ…。領収書忘れずにね」
「了解!」
「ぼんさんはその間、タバコ休憩でもしときます?」
ドズルさん…気を利かせてくれたんだろうな。でも……
「……いや、俺もコンビニ行ってくるわ」
「えっ??」
ドズルさんや皆んなが意外そうに驚いていた。
「……いや、ちょっと欲しい飲み物があるから…」
そう答えながら、俺は心の中で本日分の『1日1回だけの我慢』を発動させた。
今回は何を我慢するのかっていうと……
『タバコ』だ。
本当はめちゃめちゃ吸いたいけど……、一時でも我慢する事で、自分頑張ったなぁって褒める事ができる…。
まぁ…カラダにもいいし…ね。
「MEN、俺も一緒に行くわ」
と立ち上がり、MENに近づく。
「マジっスか?じゃあアイスはぼんさんの奢りって事で…」
「…しょうがねーなぁ…。分かったよ」
「ヨッシャー!ぼんさん、俺ハーゲンダッツがいいっス!」
「ふふふ…。はいはい…」
そんなやり取りをしながら会議室を出て、コンビニへ行った。
買い物を済ませ、会社へ戻ろうとした時にMENが尋ねてきた。
「ぼんさん。そういえば…タバコ…吸わなくていいんスか?」
「……え?」
思わず足を止めた。
「いや…さっきドズさんが、ぼんさんタバコ吸いますか?って聞いてたじゃないスか。…いつもなら休憩の時、必ずって言っていい程、吸いに行くのに…」
「あー……」
……よく見てんなぁ、こいつ。
「……まぁ、たまにはな…」
そう言って、俺は曖昧に笑った。
本当は、今も頭の片隅で吸いたい気持ちをめちゃくちゃ抑えている。
そんな気持ちを察してか……
「ぼんさん……、何を隠してるんスか?それとも……皆んなに内緒で、何かしてんじゃないっスか?」
不意にMENからそう声をかけられ、思わず肩がぴくりと跳ねた。
「……え?」
「いやー、なんかぼんさん…いつもと様子が違うから、…例えば、ぼんさんの中で『約束』か『縛り』みたいな事してんのかなぁって思って…」
……MEN、鋭い…。
俺が答えに困って黙っていると…
「…正解っスか?」
「……」
「じゃあ、とりあえず…ぼんさんが決めた約束事ってやつ…教えて下さいよぉ」
と言って、俺をじーっと見つめて返事を待ってるMEN…。
「……」
「……ねぇ…ぼんさん!」
「……が…」
「…が?」
MENが、聞き逃さないようにとばかりに身を乗り出してくる。
「……我慢…」
「……我慢?」
「……ッ、あー…もう!そうだよ!『1日1回だけ我慢』って『縛り』をしてんの!」
半ばヤケクソ気味に吐き出した言葉に、MENがパチパチと瞬きをした。
「……え?我慢?」
「そう!我慢!……俺だって、たまには自分を律することくらいするさ!」
「へぇ〜」
「……なんだよ、その反応…」
「いやぁ…、ぼんさんが自分を律するって…明日台風来るかも…?」
「……おい」
「いや、冗談っスよ。すんません!!どーぞ続けてください!」
口元を押さえて笑いをこらえるMENを、俺はジトッと睨みつけた。
……ったく、こいつ絶対面白がってるだろ…
「……で?今日は何を我慢してるんスか?」
「……」
「ぼんさん?」
「……タバコ」
「…え?」
「タバコだよ!タ・バ・コ!この休憩時間だけ吸わないって決めたの!」
とうとう白状してしまった。
言った瞬間、なんだか急に恥ずかしくなって、俺は手元のペットボトルに視線を落とした。
別に悪いことをしているわけじゃないし、 むしろ健康の為にはいい事なのに、どうしてこんなに照れくさいんだろう…。
「……え、ちょっと待って下さい」
MENが真顔になった。
「今日は1日中タバコを吸わないって事っスか?」
「…いや、休憩時間だけ吸わないって事…」
「……一時的に?」
「…そう、一時的に!1日吸わないは、さに流石に辛い…から……」
「あー…なるほど…」
「……意志が弱いって思われそうだから…言いたくなかったのに……もう!」
思わず声が大きくなる。
すると、MENはしばらく俺の顔を見つめた後、ふっと笑った。
「……なるほどぉ」
「……何が?」
「いや、ぼんさんって、普段は結構、自分に甘いじゃないスか」
「……お前、マジでいい加減にしろよ?」
「あははっ!いや、褒めてるんスよ! 普段は自分の好きなものを好きなだけ楽しむタイプなのに、急にそういうこと始めるの、なんか意外だなぁって」
……うっ。
言い返せないのが悔しい…。
俺だって、好きで自分に甘くしているわけじゃない。
いや、好きで甘くしている部分もあるか……
「……まぁ、ちょっと思うところがあってさ」
「思うところ?」
「うん…。なんていうか…、いつも楽な方を選んだりする事が多いから……さ。たまには、自分で決めた事くらい守ってみようかなって…」
言葉にしてみると、思っていた以上に単純な理由だった。
……誰かに宣言したわけでもない。
……立派な目標があるわけでもない。
……ただ…、一日に一度だけ。
……いつもなら何も考えずに選んでしまうことを、少しだけ我慢してみる。
……それができたら、自分を褒めてやる。ただ、それだけ…。
そんな、小さな決め事。
「……へぇ」
MENは今度こそ、茶化すことなく頷いた。
「いいじゃないっスか、それ」
「……え?」
「いや、マジで。自分で決めたことをちゃんとやってみるって、いい事だと思うっスよ」
「……」
「しかも、タバコでしょ?健康にもいいし…」
「……まぁ、今日の縛りはそうなんだけど…」
急に真面目に肯定されると、こっちがどう反応していいのか分からなくなる。
俺が照れ隠しに頭を掻いていると、MENは何かを思いついたように、ニヤッと笑った。
……この顔は、絶対に何か企んでいる…
「……なんだよ?」
「いやぁ……ぼんさんがそんな面白いことしてるなら、俺も応援したいなぁと思って」
「……面白いって言うな」
「すんませんw」
そう言いながらも、MENの口元は緩みっぱなしだ。
「……で?」
「……へ?」
「その『一日一回だけの我慢』って、今日のタバコで終わりなんスか?」
「……いや、別に。これからも毎日続けるつもりだけど…」
「へぇー!毎日!」
「おい!声がデカいって!」
慌ててMENの口を塞ぎそうになった、その時だった。
「…何の話をしてるんですか?」
背後から聞こえた声に、俺とMENは同時に振り返った。
そこに立っていたのは、ドズルさんだった。
「……ドズさん!?」
「……2人の帰りが遅いから迎えに来たんですよ。…それより、2人で何話してたんですか?」
「いや、あの……その…」
と俺が口籠っていると…
「ドズさん、聞いてくださいよ!」
「ちょっ……MEN!言うなよ!」
「ぼんさん、実は…」
「わあぁ!お前、ちょっ…待てって!」
慌ててMENの口を塞いで止めようとする俺。
「ホント…何でもないから…ね。ほら、MEN帰るぞ!」
とMENの肩を押して前へ歩くことを強要する。
すると…
「……ぼんさん」
「……ん?」
「それって…本当に何でもないんですか?」
ドズルさんの声が、いつもより少し低い。
「……え?う、うん。何でもないよ?」
「……」
ドズルさんは黙って俺とMENを交互に見つめた。
……え?
……なんか……怒ってる?
……いや、確かに2人で話し込んでいたのは悪かったけど、別にそんなに怒ること?
そう思っていると、隣にいたMENが、俺の肩越しにひょいっと顔を出した。
「いやぁ、ドズさん!実はぼんさんがですね……!」
「MENっ!!」
慌ててMENの耳を引っ張る。
「いだっ!ちょ、ぼんさん!痛い!」
お前、絶対わざとだろ!
こっちは内容が内容だけに、ただでさえ恥ずかしいんだぞ!
「……ぼんさん」
「……は、はい…?」
「そんなに隠したい話なんですか?」
「……」
……うっ。
その聞き方は、ずるい。
別に、隠すほど大したことじゃない。
ただ、自分の中で決めた小さなルールを、わざわざみんなに知られたくないだけ。
なのに、ドズルさんの表情を見ると、なんだか妙に申し訳ない気持ちになってくる。
「……いや、そういう訳じゃ……」
「じゃあ、僕には言えない事なんですか?」
「……っ」
思わず言葉に詰まった。
……なんで、そんな悲しそうな顔するんだよ…。
……いつもなら、こんな時は笑って流してくれるのに…。
今日のドズルさんは、どうにも引き下がってくれそうにない。
「……ド、ドズさん?」
俺が恐る恐る顔を覗き込むと、ドズルさんは小さく息を吐いた。
「……いえ。別に、無理に聞きたいわけじゃないです…」
そう言って、ふいっと視線を逸らす。
……あ。
……これ、もしかして……
「…ドズさん、拗ねてる?」
「……は?」
今度はドズルさんが間の抜けた声を出した。
「いや、だって……なんか、機嫌悪そうだから…」
「別に、機嫌悪くないですけど?」
「……そ、そう?」
「はい…」
……いや、絶対ちょっと怒ってるじゃん。
……しかも、こういう時って…妙に頑固なんだよなぁ…。
俺が困り果てていると、MENが隣でニヤニヤしながら口を挟んできた。
「…あー、ドズさん、もしかして……」
「MEN?」
「……いえ! 何でもないっス!」
珍しくドズルさんに睨まれ、MENは慌てて口を閉じた。
……お前、今度は何に気づいたんだよ。
気になるだろうが。
「……とりあえず、帰りましょうか」
ドズルさんはそう言うと、俺の手からコンビニの袋をひょいっと取った。
「あ、ドズさん、自分で持てるよ?」
「いいです。僕が持ちます」
「…え、でも」
「……ぼんさん」
「……はい」
「今日は、僕に持たせてください」
……なんだろう…?
その言い方が、いつもより少しだけ強くて……、 俺はそれ以上、何も言えなくなってしまった。
企画会議も終わり、会社を出て、マンションへ向かう帰り道…。
俺とドズルさんは一緒に並んで帰っているけど、……会話がない。
……気まずい。
いや、別に喧嘩をしたわけじゃないんだけど…、 さっきからドズルさんが妙に静かで、イラついている感じもしたもんだから…何を話せばいいのか分からない。
……でも
「……ドズさん」
「はい?」
「…なんか、……怒ってるよね?」
「怒ってませんよ」
即答だった。
……やっぱり怒ってるじゃん。
「……じゃあ、なんでそんなに静かなの?」
「……別に……」
「……ドズさん?」
少しだけ立ち止まって、ドズルさんを見つめた。
すると、ドズルさんも足を止めて振り返る。
「……ぼんさん」
「……はい?」
「僕って…そんなに頼りないですか?」
「……え?」
思いがけない言葉に、頭が真っ白になった。
「……なんでそうなるの?」
「いや…、だって……」
ドズルさんは一度言葉を切り、少し悲しそうに笑った。
「僕には何でもないって言うのに……、MENには話せるんだなぁって思って…」
……あ、…そういうことか。
俺はようやく、ドズルさんが少しイラついていた理由を理解した。
別に、秘密を知られたくないから言わなかった訳じゃない。
只々、恥ずかしいだけ…。
でも、俺がMENには話しているのに、自分には教えてくれないって事が、 かえって寂しさを生み出してしまったのかもしれない…。
「……ドズさん」
「……はい」
「……ごめん」
俺は小さく頭を下げた。
「…別に、ドズさんを信用してないとか、そういうことじゃないんだよ」
「……はい?」
「ただ…、自分の中で決めた『縛り』だから……なんか、言うのが恥ずかっただけ…」
「……縛り?」
ドズルさんが、そっと首を傾げた。
「……実は…さ」
「……はい」
「今『一日一回だけの我慢』っていうのを、自分の中でやってるんだよね…」
「…一日一回だけの我慢?」
「そう。毎日一回だけ…。いつもならつい選んじゃう事を、ちょっとだけ我慢してみるっていう、そんな『縛り』…」
ドズルさんは黙って聞いていた。
「今日は、タバコ。休憩の時にいつも吸ってるけど、今日はその休憩時間だけでも我慢してみようと思ってさ…」
「……」
「それができたら、自分で自分を褒めてやろうって。……ただそれだけの事なんだけど…ね」
言い終えてから、俺は照れくさくなって笑った。
「……ほら、ね。大したことじゃないでしょ?」
すると、ドズルさんはしばらく俺を見つめた後、全てのパズルが当てはまったかの様に目を開き、フッと表情を和らげた。
「…だから、この前は焼肉でご飯を普通盛りにしたり、昨日はタクシーに乗らずに帰ったんですね?」
「……え?」
思わず、間の抜けた声が出た。
「ええっ?!…ド、ドズさん、覚えてたの?」
「覚えてますよ。だって、あの時もなんかいつもと違うなぁって思ったんですよ」
そう言って、ドズルさんは楽しそうに笑った。
「焼肉の時は、いつも大盛りなのに普通盛りにするし……昨日だって、帰る方向が一緒だからタクシーに乗っていけばいいのに、わざわざ断るし……。しかも寄るところがあるからって言いながら、 何処にも寄らずに家に帰るし……」
「……え?」
……何で知ってんの?
「…あっ!スミマセン。昨日…なんか様子が変だったので、こっそりぼんさんの後をつけました…。この事に関しては…ゴメンなさい…」
と申し訳なさそうに頭を下げたドズルさん…。
……まぁ、普段が普段だけにそう思われてもしょうがないよな…
そして、頭を上げたドズルさんが尚も話を続ける…。
「で……、今日も、いつもなら休憩になったらすぐタバコを吸いに行くのに、MENとコンビニに行っちゃうから…、何かあるんじゃないか?って疑いを抱いたんです…」
……マジか。まぁ…そうなるよね。
でも…こうやって改めて指摘されると、めちゃくちゃ恥ずかしい。
「……いや、ほら…ね。だから言ったじゃん。大したことじゃないって……」
「えぇ……」
「……ドズさん?」
「いやぁ……ぼんさんの『縛り』を聞いて、なるほどなぁって思いました」
ドズルさんは、どこか納得したように何度も頷いている。
「僕…、最初はぼんさん、何か身体の事で悩みでもあるのかな?僕に言えない病気でもしたのかな?ってすごく気になって…」
「……え?」
「だって……急にいつもと違うことをするから…。心配で…」
ドズルさんの言葉に、俺は少しだけ目を伏せた。
……そっか。
そんなふうに思ってくれてたんだ。
「……ごめんね。心配かけて」
「いえいえ!ぼんさん、謝らないでください。理由が分かって、スッキリしましたから」
そう言って笑うドズルさん。
けれど、次の瞬間……
「……でも」
「……ん?」
ドズルさんは、少しだけ口を尖らせた。
「僕には、教えてほしかったです…」
「……あ」
……しまった。
そうだった。 さっきからずっと、そこを気にしていたんだった。
「いや、だから……別に隠すつもりじゃ……」
「ふぅん?」
「……ホントだって!」
「じゃあ、どうしてMENには話したんですか?」
「いや、あれはMENがしつこく聞いてきたから…」
「……僕だって、聞きましたけど?」
「……っ」
……ぐうの音も出ない。
ドズルさんはそんな俺を見て、とうとう声を上げて笑った。
「フフフッ…。すみません、ちょっと意地悪言っちゃいました」
「……もう、ドズさん!」
「でも、よかったです」
「……え?」
笑っていたドズルさんが、ふっと優しい表情に戻る。
「ぼんさんが何かを我慢して、自分で決めたことを頑張ってるんだって分かったから…」
「……」
「ただ、無理はしないでくださいね。頑張るのはいい事ですけど、頑張り過ぎてしんどくなっちゃったら意味がありませんから…ね」
……あぁ。 本当に、この人は。
……どうしていつも、俺が欲しい言葉をくれるんだろう。
俺は照れ隠しに頭を掻きながら、小さく笑った。
「……うん。分かってるよ」
「なら、よかったです」
なんだか…、妙に嬉しい。
自分だけの小さなルールを、誰かに知られるのは恥ずかしいと思っていた。
けれど、こうしてドズルさんに知ってもらえた事は、思っていたよりずっと嬉しかった。
「…じゃあ、明日からも見守ってますね」
「……え?」
「ぼんさんの『一日一回だけの我慢』ですよw」
そう言って、ドズルさんは楽しそうに笑った。
「……いやいや! そんな大々的に見守らなくていいから!」
「えー?どうしてですか?」
「だって、意識しちゃうじゃん!」
「フフッ…。じゃあ、こっそり見守りますね」
「そういう問題じゃないんだよなぁ…」
俺が頭を抱えると、ドズルさんはますます楽しそうに笑った。
……まぁ、いいか。
誰かに見守られるのも、悪くない。
……でも
「……ドズさん」
「はい?」
「明日、俺が何を我慢するかは聞かないでね?」
「えー?気になるじゃないですか!」
「ダメ!」
「じゃあ、当ててみせます!」
「なんでだよ!」
そんなやり取りをしながら、俺達は再び歩き始めた。
その時、ふとマジメな顔してドズルさんが呟く…。
「あと…僕の事は我慢しないでくださいね。…嫌われてる?って不安になりますから…」
……そういうところ……可愛いんだよな…
俺は顔を紅く染めつつ、人目がない事を確認して…ドズルさんの左手を握る。
ドズルさんは、一瞬ビックリして俺の方を見た。
「…それは、我慢しない…」
「……」
「……俺も…我慢したくないし…///」
「フフフッ…なら、いいですよ」
と俺の右手を強く握り締めた。
お互いの気持ちを確かめ合う様に、残りの道のりを肩を寄せ合い、手を繋いだまま帰る…。
『一日一回だけの我慢』
自分をちょっとだけ褒めてあげるために始めた小さな挑戦。
それがいつの間にか、ドズルさんとの秘密になっていた。
……明日は何を我慢しよう。
そんな事を考えながら、隣を歩くドズルさんの笑顔を盗み見る。
……うん。 明日も、ちょっとだけ頑張れそうだ。
コメント
9件
お話お待ちしてました^ ^ めちゃくちゃ良い!!好きすぎます!😊✨✨温かい気持ちになれました(*´ω`*)✨✨ぽかぽかしますん^ ^☺️✨✨

ドズぼんのストーリー、考えてくださってありがとうございます!! ドズぼん推しとして、めちゃめちゃ嬉しいです(*^^*) 次回作も楽しみに待ってます🎶
10♡失礼します ドズぼん恋最高! 長編集、短編集、どちらも次回作に期待してます! 毎回、最高をありがとう!