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俺はぶるーくの姿を見るためだけにコンタクトに変えようとしている。
彼が見える基準は眼鏡をとった時だけ。
だから眼鏡が関係してるんじゃないか、と考える。
彼は、俺の眼鏡をとった顔なんて見慣れてるから、コンタクトに変わったことには気づかないだろう。
kr「放課後にでも、行こうかな…」
やっと見れるんだ…
ワクワクと高揚感が出てくる。
いつも通り支度を済ませて家を出る。
すると、後ろから
br「行ってらっしゃ〜い」
と、明るい声色で俺を見送ってくれる。
姿こそ見えないが、俺もそれに応える。
kr「行ってきます」
…見送られるなんて、いつぶりだろうか。
そんな懐かしさに耽ける。
今日は天気が良い。
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kn「おはよきりやん。…なんか機嫌良さそうだね?」
こいつはきんとき。
クラスの中で特に仲が良い人の一人だ。
kr「まぁ〜いろいろあってねぇ」
sm「どうせ良い夢見たとかくだんないことか?」
横から口を挟むこいつはきんときと同じく、仲の良いスマイル。
kr「実は…同居人?できてさ〜」
ついつい言いたくなってしまったので、幽霊という事は伏せて話す。
kn「え、彼女できた?」
sm「…は?マジで言ってる?」
同居人にしとくとそういう認識にされるのか。
kn「まさか、あのきりやんに彼女ねぇ〜」
sm「…女嫌いじゃなかったのかよ」
否定するタイミングを逃してしまった。
てか、否定したらしたで誰だって聞かれるだろうから黙っとくのが正解か。
kn「これはなかむに報告だな…」
今話に出てきたなかむとは、俺たちの後輩だ。
俺の幼馴染であり、きんときの恋人。
なかむはきんときを見かけると周りを気にせず、抱き着いたり手を繋いだりしている。
だいぶ前から積極的だったなー…
sm「そこはシャークんにも言ってやれよ」
シャークんとは、きんときの弟だ。
なかむとは大親友と聞いているが、喧嘩をよくする仲らしい。
ゲームが趣味で夜更かしをしているのか目の下にはクマがある。
kr「…ちょっと待て、そんな報告するもんじゃないだろ」
sm「隠しとくもんでもないから俺らに話したんじゃないのか?」
うっ、と何も言えなくなっていると
kn「あ、丁度廊下に2人いるよ」
こちらに気づいた2人が真っ直ぐ向かってくる。
na「きんときっ!」
きんときの胸に飛び込むなかむ。
sh「ッおいなかむ、走るなよ!」
恋人に頭を撫でられ満更でもないなかむ…と、その後を追うように駆け寄るシャークん。
kn「今きりやんから面白い話聞いたんだけど、聞きたい?」
言わなくてもいいよー、、
na「え、聞きたい!」
sh「気になるな…」
そんな2人して興味満々みたいな顔しなくても…、
……
sh「…まじ?」
na「きりやんに、恋人…?、」
豆鉄砲を喰らった顔をしている。
嘘なんじゃないかというように顔を見合せているが、俺たちの表情から本当なんだと汲み取っている。
…いや恋人はそっちの勝手な勘違いだけどな。
na「俺…きりやん家行きたい」
kr「は」
突然何を言い出すんだと、怪訝な顔を浮かべる。
kn「あ〜いいねそれ」
kr「はっ、?」
sh「最近きりやんの家行ってないのもあるし」
kr「いやいやいや、」
sm「恋人とやらも気になるし…」
kr「ちょ、ちょっとまてよ!、」
皆寄って集って来る気満々のようだ。
ぶるーくのことが見えないとは言え、あまり家に来て欲しくはない。
ぶるーくもこいつらに興味持ちそうだし…
kr「…同居人、急に来たら困るだろうし…今部屋汚いし、」
なんとか言い訳を作って家に来させないようにする。
sh「別に俺ら部屋汚くても気にしないだろ」
kn「なんならきりやんは汚いとか言っときながら、割と綺麗」
sm「一理ある」
na「でも一番の理由はその恋人とも話してみたい!」
…あー、こいつらもう何言っても家来るだろうな。
kr「わかったよ…だけど帰って家いるかわからんからな?」
諦めて腹を括る。
na「やったー!きりやんありがと!」
sh「お菓子持ってくわ」
sm「あー俺もそれ着いてくわ」
sh「!…おけ」
kn「俺部活終わりかな」
na「んじゃきんとき待ってから行く」
各々の予定を確認した後、チャイムが鳴った。
kr「コンタクト…今日は無理っぽいな、」
なんて少し悲しく思いながら席に着く。
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sh side
放課後、久しぶりにきりやん宅にお邪魔させてもらうことになった。
どうやら同居人…恋人がいるらしい。
せっかくならと、お菓子を大量に買い出し中なのだ。
……
スマイルとね…
実を言うと、俺はこいつに恋心を抱いている。
…急になんだと思うかもしれない。
だが、これは今日のきりやんの会話に繋がっているのだ。
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あの会話を聞く前、廊下で見つけたあたりからスマイルの表情が普段より暗い事に気づいた。
見間違いかと思っていたが、近寄ってみると明らかに暗い。
具合が悪いのか?なんて思ったりもしたけど、きんときからの話を聞いて察した。
スマイル、失恋したんだ……
きりやんの同居人…ね、
ずっと見てきたんだ、スマイルの好きな人くらい気づくよ…
その好きな人が男だという事実に悔しいけど、安心した時があった。
…俺にも可能性があるかもしれない。
失恋したスマイルの横で少し喜んでしまっている自分がいる。
本当に悪い事だとは分かっている。
だけど、そう簡単に”欲”というものは抑えられなかった。
ふと、視界に彼の手が映る。
男らしく角張る、細長い綺麗な手だ。
…手を握りたくなった。
近くにいるだけでドキドキするのに、手を繋ぐ事ができるだろうか。
あと少しで触れそうなところで彼の手が動く。
びっくりして手を引っ込めた。
sm「あれも買う?」
見たことも無い変わったお菓子を指差しながら、俺を見て言う。
sh「え、あぁ…買ってみるか」
sm「いや冗談だよ、ちょっと魔が差しただけ…」
スマイルにしては珍しい冗談を言うもんだ。
sh「…きりやんの事か?」
sm「…え、?」
一気に表情が曇る。
sh「あ、……いや、悪い…」
俺はもう余計な事を言ってしまわないよう、スマイルから買い物カゴを奪って会計に向かった。
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sm side
俺が持っていたカゴを持って走ってく、シャークんの後ろ姿をボーッと眺める。
sm「シャークん、気づいてたんだ…」
―俺がきりやんを好きなこと。
元々俺は顔には出ないタイプだし、誰にもバレないと思ってた。
実際、ずっと一緒にいたきんときときりやんは気づいていない。
なんで気づいちゃうかな…
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kr side
放課後、爆速で帰宅。
すぐに眼鏡を外し、玄関で叫ぶ。
kr「ッぶるーく!!」
するとモヤついた視界に人影が映る。
br「おかえり〜そんな慌ててどうしたの?」
kr「今日俺の友達来るから、霊現象は何もしないで!」
急な頼みに驚いたようだが、すぐ頷いてくれた。
br「友達来るの!わかった〜」
kr「!…ありがと」
物分りの良い幽霊でとても助かった。
実を言うとぶるーくが来てから、扉が勝手に開いたり、電気が付いてたりするようになった。
気になってぶるーくに聞くと、
br「いやぁ〜、…暇でやっちゃったw」
なんて子供みたいに言うもんだから、その可愛さに免じて多少は許してあげていた。
幽霊に変わりはないから悪戯好きなんだろうな。
br「ねぇねぇ、友達って女の子…?」
不安そうに聞いてくる。
なんでそんな事聞くのか不思議に思ったが、
kr「いや?全員男だけど…」
と言うと、パッと明るく笑って、
br「!そっかぁ、ならいいんだ〜」
さっきの不安が嘘のように安心した表情に変わる。
\ピンポーン/
krbr「「!」」
どうやらあいつらが来たようだ。
眼鏡をかけ、玄関に迎えに行く。
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この作品没になるかもです。
一応書けるとこまで書きますが、きつくなったら消しちゃうと思います。
でも読んでくれてありがとう!!
コメント
1件
把握です!続けられるとこまででいいので頑張ってください!