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𝓗𝓪𝓶𝓾
809
#アイドル
ゲスト
26
「どうかしたの……?」
不思議に思い、声をかける。
すると、「……どうかしたのじゃないだろ」と、彼がようやく口を開いて、
「……なんだよ、それは……」と、眉間にしわを寄せた。
「え、なに、どうしたの? 本当に……」
彼が顔をしかめるような理由が、まるでわからない。
「なんで俺のシャツ、着てんだよ?」
言われて、「えっ? だってこれ着ろって……」確かそう聞いたけどと思う。
「俺は、Tシャツを渡したつもりで……」
「ウソ……じゃあ、着替えてくるから」と、ベッドから急いで起き上がろうとすると、
「……いい」と、引き止められた。
「シャツ、似合いすぎだ……これ以上、俺を……」
いつになく彼が照れているように見えた刹那、ぐいっと腕に引き寄せられて、
「……惚れさせんな」
胸の中にぎゅっと強く抱き込まれた。
「……しかも、おまえノーブラかよ」
抱かれると、互いの胸がぴったりとくっついて、彼が片方の眉をぴくっと吊り上げる。
「だって、途中で気づいたんだけど、つけるのが面倒になって……」
「面倒って、なぁ……」と、ため息が吐かれて、
「惚れさせんなって言ってるそばから、まったく」
彼がギリっと歯噛みをして、苦り切った表情を片手で覆った。
なんだか不穏な空気を感じて、「えっと、あの、やっぱり着替えてきた方が、いいよね?」と、上目遣いにその顔を窺うと、
「だから、そうじゃない」と、憮然とした顔つきで返された。
「男もののシャツ着て、隙間から胸の谷間が覗くとか、どう考えても……やばいだろ」
そう言われて、思わずシャツの併せ目を両手でぎゅっと握り締めると、
「……今さら、遅い」と、シャツから手を引き剥がされた。
「……いい加減おまえを疲れさせたくもないが、俺の理性がもたない……」
言うなり、襟がはだけられて胸元に吸い付かれた。
「……キスしかしないから、俺の気が済むまでキスさせろ」
耳元でそんな殺し文句を吐かれたら、抗うことなんてできるわけがなかった……。
「……ん、やぁ……」
彼の唇の感触が肌に触れる度に、ぞくぞくと身震いが襲う。
肌という肌に赫くキスマークが付けられると、口づけから解かれて、じっと目が合わされた。
真上にある彼の顔を見つめ返して、
「……颯、好き……」
口にしたら、どうしてだかふいに涙がこぼれた。
「……なんで泣くんだよ」
「わかんない……でも、あなたが好きで……涙が出てくるの……」
「そんなこと言うな。おまえが愛おしくて仕方がなくなる」
きつく腕に抱き締められて、泣き顔が胸に押しあてられる。
「……好きなの。大好き……」
止められずにぽろぽろと零れ出る涙に、「……泣くな」と、彼が口にして、
涙の溜まる私の目尻に、ふっと唇を寄せてきた。
「俺も、舞が好きだから」
ただ、好きというだけの言葉に、
こんなにも気持ちが揺り動かされるなんて、今まで思ってもみなかった……。
彼と出会えた幸せで胸がいっぱいになって、溢れるうれし涙を拭うと、
愛しい人の腕の中で、ずっとずっといつまでも、一緒にいさせてと、
心から、願った……。
-End-
※本編は終了しますが、このまま番外編に移ります。全完結は、番外編終了後になります。
コメント
1件
うわあ……もう、この2人、尊すぎて心臓が持たないよ……🥺💔 シャツ問題からの「惚れさせんな」って、颯くんの必死な感じがめっちゃ伝わってくるし、理性と感情の狭間で揺れてるの、すごくリアルでドキドキした……。 それに、「好き」って言ったら涙が出てくる舞ちゃんの気持ち、すごくわかるよ。好きすぎて溢れちゃう感じ、愛おしさが涙になっちゃうんだよね。 番外編に続くってことで、終わってほしくないけど続きが読めるのは嬉しい!このまま2人の幸せな時間をずっと見ていたいです🌙🤍