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天城先輩の腕の中で

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天城先輩の腕の中で

13 - 第13話媚薬(翌朝)

2025年07月18日

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——午前9時。

窓から差し込む光が、淡くシーツを照らす。コンちゃんは布団の中でぼんやり目を開けた。


「……ん、ふぁ……」


体がだるい。

腰がズキズキする。

なにより、喉が……かすれて、声が、出ない。


「っ……あ、れ……」


言葉にしようとしても、喉がひゅって鳴るだけ。

喋ろうとすると、出てくるのは掠れた吐息ばかり。


「ん……んん……っ」


上体を起こそうとして、腰にズンと痛みが走った。

同時に、お腹の奥がじわっと疼くような感覚が広がる。


(……な、にこれ……なんか、変……じんじんする……)


「……おはよ、コンちゃん」


バスルームから出てきた天城先輩が、タオルを肩にかけたまま近づいてくる。


「起きた? 喉、声、出ない?」


こくこく、と頷く。


「腰も、痛い?」


また、頷く。


「……中、じんじんしてるでしょ?」


——どくん、と心臓が跳ねた。


「……ふふ、ごめんごめん。昨日さ、ゴム、2箱使っちゃったんだよね」


「……っ!」


「姉貴ほんとやってくれたわ〜。あの飲み物、効きすぎじゃない?」


先輩は笑って、コンちゃんの頭を撫でる。

その手のひらはあったかくて、でもちょっとずるいくらい優しい。


「でもさ、可愛かったよ、昨日のコンちゃん。ずーっと泣いてて、ずーっとぐちゃぐちゃで」


声にならない声で、抗議しようと口を開けても、やっぱり出てくるのはひゅって音だけ。


「喉もおかしくなってるでしょ。昨日、あんなに“だめっ”て叫んでたからね」


くすっと笑って、首筋にキスが落ちる。

触れられたところが、びりって熱を持った。


「……俺さ、実は昨日あれもう一本飲んでたんだよねー」


「っ……!?」


「“優しくできないかも”って言ったけど……何があっても優しくしないって決めてた」


耳元で囁かれ、ぞわって背筋が震える。

ふわふわの意識のまま、コンちゃんは再び枕に沈み込んだ。


「でも、後悔してる?」


ん?と首を傾げる。


「……よかった。じゃあ、おかわりはまた今度ね」


「……っ、ん……」


かすれた吐息しか出ない喉で、かすかに笑うと、先輩がその額にやさしくキスを落とした。

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