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さて、涼ちゃんも心配だけど、こうなってくると面倒なのは元貴だな。
小さく震えていた手を思い出す。
怖かったくせにカッコいい事しやがって…俺にも守らせろよ…。
元貴は帰ってしまっただろうから、まずはすぐに涼ちゃんの所に向かう。
…?
階段を登って視界に飛び込んできたのは、涼ちゃんの膝に頭を乗せて、涼ちゃんに抱きついて、頭を撫でられている元貴だった。
若井「…んん?…どういう状況?…元貴、何で居んの?」
藤澤「何か、急に来て…ずっとこの感じで…。」
困惑気味の涼ちゃん。無理もないよね…。元貴はそもそも、ここにあんまり来ないし…。
俺は苦笑いで、涼ちゃんのお腹に顔を埋めている元貴に向かって言う。
若井「おい、元貴。…よくやったぞ。」
大森「……!…っ、だって!許せなかったんだよ!…あいつっ!」
藤澤「ねぇ…ねぇ…、どうしたの?」
涼ちゃんは急に怒り出した元貴にオロオロしている。
俺は涼ちゃんにしがみついている元貴を引っ剥がした。むすーっとしている元貴を涼ちゃんの隣に座らせる。
若井「だから、褒めてんだろ。俺だって許せないよ。あんなもんじゃなくて殴ってやったら良かったんだよ。」
大森「………。バンドできなくなったら…ヤダ。」
若井「分かってるよ。よく頑張ったよ。ちゃんと守ってくれたんだよな。怖かったろ?」
そう言って抱きしめてやると、しがみついて泣き出した。
大森「わかいぃ…うっ…うっ…」
若井「泣き虫だなぁ…二人とも。」
俺の目も潤んでくる。もらい泣きだから…!
藤澤「…ねぇ…何なの…?元貴、なんで泣いてるの…?」
若井「あのね…」
俺がスタジオを出た後、皆が片付けをしている時に例のスタッフが元貴に話しかけた。
スタッフ「お疲れ様でした。」
大森「お疲れでした。今日はごめんね〜。」
スタッフ「いや、ビックリでしたね。藤澤さんって結構あんなですか?」
大森「…?あんなって?」
スタッフ「演奏ミスって何テイクもしたり、出てって言われてすぐ出てったり、収録遅刻とか、お二人と全然違うっていうか。」
大森「普段は全然無いよ。てか、初めて。」
スタッフ「そうなんっすか?でも、言われたからって、出てくとか…ヤバいっすね。」
大森「…俺が出て、って言う事自体、初めてだし…。」
スタッフ「それでも、やらせて下さいとかなるのが普通ですよね?」
大森「……。俺、ふつーが分かんねぇわ。」
スタッフ「大きなバンドになったからって、今日とか練習せずに入ったんですよ。きっと。」
大森「…あ”?…んだと?」
スタッフ「…いや、パートじゃない大森さんが弾けるくらいの曲なんでしょ?…じゃあ、結構…」
大森「何が言いてぇんだよ!」
マネージャー「!大森さん!?」
スタッフ「…っえ!?、あ、大森さん?どうしたんですか?」
大森「お前、藤澤の何を知ってんの?」
サポメン「!元貴!どうした!?」
スタッフ「…大森さん!?…藤澤さんの…」
大森「あぁっ!?黙れよ!」
ガタン!バタン!
マネージャー「大森さん!落ち着いて!」
若井「おい!元貴、何してんだよ!」
若井「…って。…マネさんが教えてくれた。」
藤澤「元貴…。」
大森「ムカついたんだもん!許せねーもん!涼ちゃんは、俺よりも俺の曲を大事にしてくれる。難しいって言いながら、素敵な曲だねって、頑張んないとって……っ…ふっ……ぅっ…」
涼ちゃんも元貴を抱き締める。
藤澤「もと…き…ごめんね…っ…ごめんね…ちゃんと…っ…できなくて…あんなこと…ぅ…言わ…せてっ…ぅぇ…ぇ…」
若井「俺、何もできなかったな…二人とも……っ…ごめっ……っ…。」
三人で泣いちゃった。
♥くださった方、感謝です!
またまた、四、五話連投です。
大森さん怒ってますねー。