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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで
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俺の世界は「君」だけだった。


「おいで、ご飯の時間だ」

「今日はお前の大好物、ハンバーグだぞ」


何をするにも、「君」がいた、いてくれた。


「ふっ、そう急いで食わなくても…、あ?」

「…もしもし…、ん、俺」


生まれた時からずっと、そばにいてくれた「君」。


「…、は、…」

「ま、じか…」


ご飯も、服も、住むところも。

全部不自由なく用意してくれた「君」。


「…、わかった…、あぁ、ありがとう」

「…」


「君」には感謝してもしきれない。

それほど俺の人生には、「君」がいた。


「…、ん?…あぁ、いや…」

「…なんでもねぇよ、気にすんな」

「ほら、さっさと食っちまえ」


だから俺からしてみれば、「君」はなくてはならない、大きな存在だった。




それなのに。





















ウーウー…。


バタンッ!

ドタドタドタ!!


“!いました!被害者と思われる男性、発見しました!”


…??


“大丈夫ですか?怪我などはないですか?”


誰だ?こいつらは。


“こちら○○県警、××、男性の安全を確認。これより、一時保護を行います”

“長い間、よく耐えましたね。辛かったでしょう”


ケンケイ?イチジホゴ?

なんだかわからないが、嫌な予感はする。

すごく、嫌な予感が。


“…、容疑者の姿は見当たりません”

“くそっ、逃げたか…”


逃げた。

誰が?

分からない。

さっきからこの、急に家に入ってきたやつらは何を言っているんだ。

分からない、どういうことだ。

あぁ、こんな時「君」なら、すぐに教えてくれるだろうに。


“すみません、失礼ですが、両手を挙げてもらっても?”

「…、?」

“ありがとうございます。…、ふむ…”


ぺたっ、ぺたっ。


「っ!」


ぞわわわわわわ。

な、なんだ。

何でこいつはいきなり俺の体を触ってきたんだ。

気持ち悪い。

俺の体に触っていいのは、「君」だけだって言われてたのに。

嫌だ、気持ち悪い。

触るな。触るな。


「…っ、あ、あの…!」

「さわら、ないで」

“!…そうですね、すみません”

“…、身体に目立った外傷なし”


ガイショウ。

またわからない言葉。

おんなじ人間のはずなのに、さっきから一つも言っていることが理解できない。

あぁ、「君」よ。

早く帰ってきて、こいつらをどうにかしてくれ。

この「俺たちだけの空間」に、ずけずけと入ってきたこいつらを。

どうか、早く。




“…!警部!容疑者のものとみられる書置きが…!”




どくんっ。

不意に心臓が大きく高鳴る。

どくんっ、どくんっ。

なんだ…、なんなんだ…。

…すごく、嫌な予感がする。

さっきの比にならないくらい、強烈に。


だめ、だめだ。


“読み上げろ”


嫌だ、やめろ。


“はっ!…、えー…”


嫌だ、聞きたくない。

耳をふさげ。

そう脳が指令するが、体はピクリとも動かない。

動けない。




『今までありがとう、大好きだ』




“…、と”


どくんっ、どくんっ。


「…っ、は…、は…っ」


分からない。

何で今のとこだけ、「君」の声で聞こえたんだ?

分からない、分からない。

なぁ、教えてくれ。


“…!どうしました!大丈夫ですか!”


どくんっ、どくんっ。


「は、…ん、っは…」


分からない、何もかも、すべて。

なぁ、教えてくれ。

この人たちは一体、誰なんだ?

さっきから何を言っているんだ?

なぁ。教えてくれよ。

いつもみたいに、今まで通りに。

仕方ねぇなぁって笑いながら。

俺に全部、教えてくれ。


どくんっ、どくんっ、どくんっ。


「はっ、はっ、ふ、ぁっ」


“!警部!被害者の様子に異変が!”



俺の世界の全部は、「君」でできているのに。


「君」が教えてくれないと、何もわからないのに。


なぁ、…なぁ。


教えて、くれよ。

















“__…、それでは次のニュースです。”


“本日午後一時半ごろにて、○○県のマンション内で監禁されていた男性、…ルフィさんが発見されました。”


“今回の出来事は19年前、当時ルフィさんが0歳だったころに起きた「ルフィちゃん誘拐事件」と関連しており、実に19年ぶりの進展となりました。”


“警察の調べによりますと、ルフィさんの体に目立った外傷はなく、極めて健康体だったとのことです。”


“しかしその一方で、「長期間にわたる監禁によって精神がかく乱している。容疑者に対して異常な信頼を抱いており、非常に危険な状態だ」、と述べています。


“容疑者は未だ見つかっておらず誘拐に加え拉致監禁の容疑も含め、改めて今後も捜査を続ける、との方針だそうです…__”








生まれた時からずっと一緒だったから。


もし君が犯罪者だったとしても。


俺にとっての世界は、「君」だけだ。


「俺も、ずっと大好きだ」













ざっざっざっざっ…。


「は…、は…」


「っ、…はっ、はっ…」





「…」

「いつかまた、絶対に」




「迎えに行くからな、ルフィ」



















ルフィくんと誰かの誘拐監禁話。

年齢、好物、性格操作しまくりました。

はは。

今回の話は珍しく、特定のカプ要素はありません。

なので、「君」のところはご自身のお好きなキャラを当てはめてお読みください。

ロールが好きならロー君とか、ゾロルが好きならゾロ君とか。

ちなみに私はサンジ君で想像しながら書きました。

彼は絶対メンヘラだという偏見からです。

…え?それならサンルじゃないのかって?

まぁまぁまぁ。

ね。


では本日はこの辺で終わりとしましょう。

リクエストは、まぁ、はい。

ぼちぼちと…。

あは。

ではまた👋

この作品はいかがでしたか?

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