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セントポーリアの幼馴染

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セントポーリアの幼馴染

1 - セントポーリアの幼馴染

♥

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2024年08月05日

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「アオちゃん、いつになったら僕を好きって言ってくれる?」

僕は彼女の動かなくなった右手を優しく握り、問う。

「私別に茜くんのこと好きじゃない…。」

口先ではそう言うけど、顔を赤らめてるしバレバレなんだよなぁ…。


会長、源後輩の家に集まって花火をしている夏の日のこと。僕、蒼井茜は幼馴染の赤根葵と2人で過ごしていた。

「茜くん、ごめんね…」

アオちゃんはしきりにそう僕に呟くけれど、僕は彼女には何も怒ってなどいない。

「アオちゃん、僕は好きな子に対して怒ったりなんてしないよ?」

「…うん。」

やっぱり、まだ少し気まずいみたいだ。僕は場の空気を和ませようと、スマホに山吹の事故画を表示してアオちゃんに見せた。

「見てよこれ、山吹のやつ凄い顔してるでしょ。」

「ふふっ」

アオちゃんが笑った!僕は嬉しくて、何枚も何枚も写真フォルダに入っている写真を彼女に見せる。

「あ、ハムスター…かわいい。」

「ハニ太郎の写真もあるんだね。」

「わ!これ美味しそう…」

アオちゃんが段々と笑顔になるのが幸せでたまらない。

「え、茜くん?」

僕が友達に撮られたキメ顔写真。紛うことなき黒歴史だ。

「わ”ー!!見ないで!!」

僕はスマホを彼女から奪おうとするも、アオちゃんは僕にそれを渡そうとする素振りすらない。

「私、今の好きだよ。」

「え…?」

好きっていうのは…写真のことだよな、うん。と自分に言い聞かせ、彼女からスマホを奪い取るのはやめた。

「あれ、このフォルダなに?」

彼女はそのフォルダを開く。

「えっ、それも見ないで!」

「茜くん…。」

フォルダの中には、アオちゃんの写真がずらりと並んでいた。一番見られたくないものを見られてしまった…。最悪だ。

「ごめんねアオちゃん、すぐ消すね。」

「…やだ、消さないで?」

まさかの返答に口がポカリと開いてしまった。なぜ?

「茜くんってほんとに…私のこと好きなんだね。」

「もちろんだよ!僕はアオちゃんのことが本当に好きなんだ。だから…」

ここでガツンと決めなくてどうする。何か彼女にクリティカルを与えられる言葉はないだろうか。

「だから?」

長いまつ毛を拵えた、大きく可憐な瞳が僕を見る。その顔に胸を思い切り打たれてしまうのだから。

「…だから僕、アオちゃんがいつだって隣にいてくれなきゃだめなんだ…。」

「アオちゃんがいなくなった時、僕すごく怖かったんだ。」

こんな、弱々しいことを言いたかったんじゃないのに。なのに、僕の目からは大粒の涙が溢れ出して止まらない。

「茜くん…」

彼女の声が僕の耳をくすぐった。

「私はもう、どこにも行かないよ。

ずっと茜くんの隣にいる。」

「え、アオちゃん、それって……」

告、白…?

「ほら皆の所に戻ろう。きっと待ってるよ」

彼女は表情ひとつ変えず、僕の前から姿を消してしまった。


茜くん、やっぱり私のこと好きなんだな…。

「私も好きって言えばよかったな…。」

でも、この気持ちを伝えるのはまだ先。

茜くんに、本当の私を全部知ってもらってから、かな?

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