テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
琴寧
312
#織田信長
常陸之介寛浩
147
#完全オリジナルストーリー
天文17年 1548年 尾張国織田信孝が幕府から正式に尾張守護を得て京の都から尾張に帰ってきたのは7月の夏の頃であった
尾張国 清洲城
織田信三「兄上、尾張守護御就任おめでとうございます」
家臣一同揃い信孝を出迎えた
織田信孝「うむ、皆の者出迎え感謝致す、ワシの居ない間何かなかったか?」
織田信綱「殿」
不意な声に思わず反応する信孝何処か懐かしい声がし声のする方に顔を向けると
織田信孝「おぉ、久しいな名は何と申す」
織田信綱「はっ、織田信綱に御座います無事還俗し再び帰って参りました」
織田信孝「信綱か、良いなを貰ったな今はひとりでも多く人手が欲しい頼んだぞ」
信綱の肩を叩き
織田信綱「はっ、皆様に遅れないよう精進致します」
伊吹良利「殿、美濃の」
三ノ輪義重「ん?ワシがどうした?」
麻生屋元輝「バカ少し黙れ」
三ノ輪義重「バカとはなんじゃあ!」
義重は立ち上がると元輝も立ち上がる
織田信孝「二人とも軍議中じゃ座れ、義重お前はすぐにカッとなるな敵の挑発ならお前も部下の者共は全滅だ、動く時はワシからの下知を待て、良いな」
三ノ輪義重「はっ」
織田信孝「元輝、其方の活躍は聞いておる今後も内政に尽力せよ」
麻生野元輝「はっ」
織田信孝「良利続けよ」
伊吹良利「はい、美濃の梁田殿から越前国の久下攻めにいくらか兵を出してくれと要請が来ております」
織田信孝「越前か、あいわかった、しかし誰を向かわせるべきか」
三ノ輪義重「殿、ワシに大将を任せてくだされ、必ずや武功を」
織田信孝「いや、良利を大将に副将に信綱を合わせた800だ、頼んだぞ」
伊吹良利「はっ、お任せ下さい」
織田信孝「他の者は所領に戻り何かあればワシに知らせよ」
この日の軍議は終わり伊吹良利率いる隊800は美濃の大垣城で梁田の隊と合流した
酒井照景「おぉ、良利殿援軍かたじけない」
大垣城に着く前に梁田の家臣○酒井照景が出迎えってくれた
伊吹良利「ハッ、主織田信孝殿の命で参りました、こちらは織田家次男織田信綱様に御座います」
織田信綱「織田信綱に御座います、此度が初陣戦となりますが皆様の足手まといとはならぬよう尽力いたします」
行儀よく頭を下げ挨拶をすると酒井照景は大きく笑い
酒井照景「ハハハ、確かに織田殿で間違えござらんな、いや、しかしむやみやたらに頭を下げない方がよろしいですぞ」
織田信綱「そうでしたな」
酒井照景「今は好を通じてますが、この戦乱の世昨日は仲間でも明日には敵になりまする、親密でもいつ討たれるか分かりません」
織田信綱「ハッ、肝に銘じときます」
酒井照景「では大垣城まで案内致します」
美濃国 大垣城
酒井照景「御隠居様酒井です、織田家から援軍として伊吹良利殿、織田信綱殿が参られました」
梁田高家「うむ、すぐに会おう客間に通せ」
酒井照景「はっ」
客間に二人を通すと遅れて梁田高家が家臣の酒井照景と共に姿を表す
梁田高家「待たせましたな良利殿久しな」
伊吹良利「はっ、高家様も御存命で何よりです」
梁田高家「うむ、そちら其方が織田信綱殿ですな」
織田信綱「はい、お初にお目にかかれ恐縮です」
梁田高家「こんな老体にお気になさるな、さて本題じゃがワシを総大将に酒井照景を副将、先鋒は楯岡興綱と米良友光の隊とする織田方の隊は後詰めとして待機してワシの隊の後方に居て下され」
織田信綱「それではせっかく来た我が隊の活躍が」
梁田高家「では二陣をお任せ致す、照景の隊後方を」
酒井照景「此方は異論御座らん」
織田信綱「それであれば我々も納得です」
伊吹良利「信綱様、殿から預かった兵です無闇に消費しては」
織田信綱「さては臆したか良利」
伊吹良利「信綱様はまだ戦のいろはを知らぬと見える、戦は数が多い方が勝つとは限りません、特にあの久下隆景とか申す者はこれまで2度も梁田隊を撤退させているのです油断せぬように」
織田信綱「ふーむ、まあわかった」
良利の不安な気持ちの中、進軍しついに九頭竜の地までやって来た
梁田高家「斥候からの報告は?」
酒井照景「今の所敵影は確認できておりません山や森です、警戒はした方がよろしいでしょう」
梁田高家「斥候の数を増やせ一晩待てから動くぞ」
酒井照景「承知しました」
高家は敵の罠を警戒し斥候を多く増やし久下の出方を伺ったその日の夜は篝火を多く夜襲に備えてもいたがその晩は静かであった
梁田高家は翌朝日がまだ登りきらない内に陣を払い進軍しょうとした時斥候が走っていた
斥候「急ぎ申し上げます」
高家は待ってましたと言わぬ姿勢で
梁田高家「申せ」
斥候「久下の旗指物を昨晩確認、敵は闇夜に紛れ行軍しておりハッキリとは分かりませんが数は数千はおろうかと」
梁田高家「敵は…久下の隊は今何処におる」
斥候「大野です」
梁田高家「酒井!」
酒井照景「はっ」
梁田高家「急ぎ陣構えだ敵は遅くても明日にもやって来よう此処で迎え撃つ」
陣払い中の各将は慌ただしくなり持ち場に着いた、そして主だった各将達は軍議をし始めた、一方の久下率いる隊は確かに大野の地までやって来てはいた
神代隆房「隆景様お待ちしておりました」
久下隆景「うむ、急な事いえ手勢は1000程しか居らぬが神代殿の隊は如何程おる?」
神代隆房「500程おります」
久下隆景「戸沢増次の隊は如何した?」
神代隆房「久下殿の隊と一緒ではないのか?」
久下隆景「いや、先に勝山に入って兵を集めておると聴いていたが」
足軽「隆景様、勝山衆300参陣致しました」
久下隆景「噂をすれば、よし通せ」
足軽「はっ」
勝山衆の頭「隆景様、勝山衆300参陣致しました」
久下隆景・神代隆房「戸沢増次は?」
勝山衆の頭「えっ?いや、増次様はおりませぬが、一条様の命で此処に参りました、こちらそれを記しだ物です」
懐から書状を取り出し渡し
久下隆景「そ、そうか」
神代隆房「まあ、増次の事は置いときましょう」
久下隆景「そうだな、勝山衆済まないが先鋒隊に加わってくれ」
勝山衆の頭「わかった」
久下隆景「よし梁田の旗指物が見える地まで隊列を維持したまま進むぞ」
斥候「報告!梁田の旗指物を確認また織田の旗指物も確認しました」
久下隆景「わかった、下がっておれ、全軍奴らに思い知らせてやれ!我ら越前の地に二度と来れぬよう叩くぞ!」
足軽達「おう!」
久下隆景「行きなさい!」
突如として始まった久下と梁田の戦いが始まった突然の敵の襲来に慌てて逃げ出す者も現れるが
梁田高家「狼狽えるな、隊列を組めば負ける戦ではない」
神代隆房「隊の損耗は」
侍大将「はっ、勝山隊は半数討死した模様で撤退したとの事、また我が隊も100は討死したとの事負傷者も合わせれば200は超えます」
神代隆房「…うむ」
その時梁田高家の隊の後方から現れる隊がいた
戸沢増次「戸沢増次これより推して参る!」
梁田高家「バカな!後詰めの隊は」
馬廻衆「半刻前に殿の下知で最前列に、残っているのは我ら馬廻衆だけです」
梁田高家「…酒井だ」
馬廻衆「はい?」
梁田高家「急ぎ!酒井の隊を呼び戻せ!」
馬廻衆「はっ!直ちに!」
梁田高家「残りの者は反転し敵を迎え撃て!急げ!」
その頃酒井の元に高家の馬廻衆の者が到着し
酒井照景「何!?わかったお主はすぐにも殿の元に向かうのだ」
馬廻衆「ではごめん!」
酒井照景の隊が突然方向転換した為に他の隊が次々で後方に撤退していき体そのものが突然の事で敗北したと悟るものや逃げ出す者まで現れた
織田信綱「おい、良利これは一体なんだ何故押していた我らが次々後退してるのだ?」
伊吹良利「分かりませぬ…おい!お前状況を説明せよ、何故逃げている」
逃げ出す梁田の兵を捕まえ問いただすが
梁田兵「うわぁぁぁ!」
動揺して話しにならず逃げ出す
伊吹良利「お、おい」
米良友光「織田方の将だな、米良友光だ先鋒隊の者だ、それよりも何が起きている?」
伊吹良利「分かりません」
米良友光「そうか、しかしこれでは指揮も出来ぬすまぬが足止めを頼めるか?我が隊はこれより撤退戦を想定しながら美濃に戻る」
伊吹良利「わ、わかりました」
米良友光「ではご武運を」
その後蜘蛛の子を散らすように梁田・織田隊は越前から美濃に撤退した
また梁田高家は越前の戸沢増次により拘束され捕虜となった事を知ったのは梁田・織田隊が撤退してから5日過ぎた頃であった
1548年 8月 美濃国 郡上八幡城
酒井照景「申し訳ありません殿、某が着いていながらかくなる上は某腹を切って詫びまする」
家臣達が慌てて高元を落ち着かせようと声をかけるも高元には少しも聴こえず
梁田高元「のう酒井、ワシの命があるまで城で指示を待て、腹切るよりも城の雑草でも抜いておれ」
酒井照景「…はっ」
酒井は静かにその場で頭を深々と下げると席を外す
梁田高元「…米良」
米良友光「はっ!はい!此処に」
突然の事で動揺し変な声が出るが高元は何も無かったかのように話しを始め
梁田高元「越前の久下からの停戦及び人質の引渡しの条件だ、受けるべきかどうか其方に聴きたい」
米良友光「…応じるべきかと思います、織田家との同盟破棄及び一条家との同盟、人質として一門と重臣の妻子を人質に出す、戦となれば我ら美濃の隊が先鋒となる、先代高家様の解放…されるなら本望かと皆納得しましょう」
梁田高元「米良、お前はそれで良いのか?皆はどうだ?心から望んでいるのか?」
梁田家臣「いや、高家様が帰ってくるのであれば」
梁田高元「ワシは嫌だ」
米良友光「殿」
梁田高元「奴らに美濃をやるくらいなら織田にくれてやる」
米良友光「…は?」
家臣一堂思わず顔を見合わせる者また状況が理解出来ていない者
梁田高元「と、言う訳だワシは当主の座を降り高康お前に梁田の家督を譲る」
梁田高康「あの、父上いくらなんでも…」
梁田高元「高康…ワシが冗談言うと思うか?」
梁田高康「…」
何も言えないが父高元の言葉には嘘偽りなき言葉であった
梁田高元「では高康後は頼んだ、米良」
米良友光「は、はっ!」
梁田高元「補佐を頼む」
米良友光「お任せ下さい!」
それを聞くと高元は席を外した…いや城から抜け出した
1548年 尾張国 清洲城
梁田高元「という訳で浪人となったワシを雇ってはくれぬか」
伊吹良利「なんて事だ…」
三ノ輪義重「殿どうします?」
織田信孝「高元殿は如何したい?」
梁田高元「尾張のどこの地でも良いから田畑の世話をしたい、無論戦となれば力になるぞ」
織田信孝「わかったそれだけ聞ければいい、義重の与力として励むが良いいずれ然るべき地を与える故そこでの田畑の世話でもしてくれ屋敷も場所が決まれば用意する故今暫し待って下され」
梁田高元「はっ、ありがとうございます」
織田信孝「そんな訳で義重、済まないが高元殿を頼む」
三ノ輪義重「かしこまりました」
その後2年後梁田高元に預けた田畑では豊作が続き正式に高元は織田家一家臣と他の者達も認めざるを得ない程であった
1550年 6月 尾張国
織田信孝「そこの者、梁田高元はおるか?」
梁田高元のいる田畑に訪れた信孝であったが目の前の者の雰囲気が農民の格好していた為気づいていなかった
梁田高元「はい」
織田信孝「よし案内せよ」
梁田高元「いえ、某が梁田高元でございます」
余りの事に驚き供回りの者ですら気づかない程であった
織田信孝「驚いたなお主が敵だったらワシはヤラれておったわ」
高元は笑いながら
梁田高元「ハハハ、信孝様にそんな事しませんよ、それにこうして土弄りしてた方が性に合いますから、所でコチラにはどのような?」
織田信孝「ああ、高元御主の働きを一度直で見たくてな、それと出番だ3日後清洲城で評定を行う高元にも是非とも来て欲しい」
梁田高元「承知しました」
清洲城に織田家の重臣が集まって軍議した
織田信綱「主だった将が揃いました」
織田信孝「うむ、純直久しいな長島の方は落ち着いたか」
如月純直「小さな小競り合いは月に数回程度だが大きな合戦までには至らぬかと」
織田信孝「うむ、良利手勢をいくらか引いいて純直の補佐に着け」
伊吹良利「はっ、かしこまりました」
1550年 6月 尾張国
織田信孝「そこの者、梁田高元はおるか?」
梁田高元のいる田畑に訪れた信孝であったが目の前の者の雰囲気が農民の格好していた為気づいていなかった
梁田高元「はい」
織田信孝「よし案内せよ」
梁田高元「いえ、某が梁田高元でございます」
余りの事に驚き供回りの者ですら気づかない程であった
織田信孝「驚いたなお主が敵だったらワシはヤラれておったわ」
高元は笑いながら
梁田高元「ハハハ、信孝様にそんな事しませんよ、それにこうして土弄りしてた方が性に合いますから、所でコチラにはどのような?」
織田信孝「ああ、高元御主の働きを一度直で見たくてな、それと出番だ3日後清洲城で評定を行う高元にも是非とも来て欲しい」
梁田高元「承知しました」
清洲城に織田家の重臣が集まって軍議した
織田信綱「主だった将が揃いました」
織田信孝「うむ、純直久しいな長島の方は落ち着いたか」
如月純直「小さな小競り合いは月に数回程度だが大きな合戦までには至らぬかと」
織田信孝「うむ、良利手勢をいくらか引いいて純直の補佐に着け」
伊吹良利「はっ、かしこまりました」
侍大将「殿、客人がお見えです」
如月純直「今は評定の席ぞ、後に」
織田信孝「いや、その客人はワシが呼んだのだ通せ」
如月純直「左様でしたか、わかりました」
侍大将「お連れしました」
評定の最中一人の者が中に入ってくる、中にはその者に覚えがあり不穏な空気になる
山崎正政「よっこらしょ、お初にお目にかかる者もいよう、西三河岡崎城城主、山崎正政で御座います」
伊吹良利「賊から成り上がった大名の山崎、余り良い噂は聞かないが」
山崎正政「くくく、生きていく為の事よ綺麗事では生き残れぬぞ」
伊吹良利「殿!何故こやつを尾張に」
カッとなった良利はおもむろに立ち上がり腰の刀に手をかけて
織田信孝「…良利、刀を抜いたらワシはお前を斬らねばならぬ」
伊吹良利「ッ!」
良利は刀から手を離し座ると周りも安堵し息を吐く声が微かに聞こえた
織田信孝「皆、先ずは山崎正政殿から此度の説明を皆に伝えてくれぬか」
山崎正政「承知に、我ら山崎氏は三河統一を大義に東三河の川崎氏を滅亡か従属を目的の為織田家に軍事同盟を結んだ」
伊吹良利「山崎家の目的はわかっただが、我ら織田家に利はないではないか」
山崎正政「それも話す、三河統一の暁には賀茂郡と碧海郡北側を織田家に」
伊吹良利「待たれよ」
山崎正政「はぁ、またお前か」
良利がまたも声を上げると溜息を吐き正政は嫌そうな顔をし
伊吹良利「賀茂郡と碧海郡を織田方に明け渡す条件なら受けましょうぞ、殿せめて2郡は手に入れなければ割に合わぬかと川崎義三は遠江衆とも親睦を深めております、となれば敵は東三河だけでなく遠江更には駿河国の西尾家とも戦になるやもしれません、殿どうかお聞き願いたいと存じます」
織田信孝「…流石は良利だぁ!正政殿、賀茂郡と碧海郡の2群だ、それと三河統一までだ我らが手を貸すのは遠江や駿河には兵は一兵足りとも貸さぬ、それで良いな」
山崎正政「ハッ、かしこまりました」
織田信孝「出陣の日は収穫が終えてからとなるが良いな」
山崎正政「かしこまりました」
織田信孝「日取りが決まり次第早馬を寄こす」
その後評定が終わると正政は闇に紛れ三河に戻った
1550年 三河国 岡崎城
正政が岡崎に着くとすぐに出迎えが到着し
石川綱成「殿、先ずはお疲れ様です、して如何でしたか?」
山崎正政「先ず先ずだ、人質は取られんかったが賀茂郡だけでも痛手なのに、あの伊吹良利とかいう奴のせいで碧海郡までもが取られる事になった」
綱成は酒と摘みに魚の炭焼きを用意すると正政はその酒を浴びるように飲み始め
石川綱成「となると、織田と敵対したら岡崎まですぐに流れ込んで来ます、矢作川が天然の堀となりますが、せめて安祥城まではコチラの物にしたかったですが」
山崎正政「ぷっはー、ウムそうなのだ、ほぼ丸裸でな何処か岡崎よりも良い城はないかのう?」
石川綱成「でしたら碧海郡と設楽郡を交換するのは如何です?奪ってからとはなりますが」
酒を注ぎ
山崎正政「いや、それもダメだ北を完全に織田に取られる、仮に遠江が織田方に取られれば目のコブを取り除きたいだろ」
石川綱成「殿は考え過ぎかと…仮に実現出来たとしても10年は先かと」
山崎正政「10年か…飲み過ぎた夜風に当たってくる」
酒を飲み干すと魚を口に放り込み立ち上がり
石川綱成「お供いたします」
山崎正政「良い、すぐ済む」
1550年 8月 三河国 吉田城
闇夜の中主だった者達が小さな火の灯りの中集まった
川崎義三「夜分遅くに御集まり頂き感謝する」
小山資俊「義三殿我らを此処に呼んだと言う事はいよいよ岡崎攻めをするのですかな」
川崎義三「うむ、しかし余り時もかけられぬ」
仁保隆康「織田ですか」
川崎義三「左様、故に稲刈りの時期に動く」
中井安重「それでは我らの稲刈りは以下にするおつもりか」
川崎義三「案ずるな、海野説明を」
海野国村「はっ、僭越ながら申します、各将には石高に合わせた数の兵を集めてもらい、此処吉田城に集まって貰います」
平賀成之「兵糧や武具の調達は?」
川崎義三「無論それらはコチラで用意いたす故案ずるな」
平賀成之「わかったそれならば従おう」
川崎義三「皆もそれで良いな」
他の者達確認すると皆同意見で納得し、皆その日の内に闇夜に紛れ日の出前には自領に戻った
そして
1550年9月、遠江衆と吉田城で合流すると遠江衆を先鋒に川崎義三が動いた、吉田城から兵5000が岡崎城目指し進軍、山崎正政は稲刈りが終えるまで動かないと踏んでいたが斥候から次々と報せが舞い込んできた
1550年 9月 岡崎城
斥候「急ぎ報告します!吉田城の川崎義三が挙兵その数およそ5000」
山崎正政「知らせ大義、すまぬがその足で急ぎ尾張の織田殿に援軍の要請をしてきてくれ」
斥候「かしこまりました」
山崎正政「城に急ぎ兵を集めよ、籠城し時を稼ぐぞ!織田は必ず援軍を送って下さる!門を固く閉じ敵に備えよ!」
しかし稲刈りの時期も重なり城に集まった者は1000程であった、その後川崎義三は城を包囲した
川崎義三「数は1000程で間違えないのだな?」
侍大将「はい、捕らえた者を尋問した所多くても1000程だと申してもおりました、草の者らも同じ事を申しておりましたので間違えないかと」
川崎義三「…降伏の使者を送れ」
侍大将「敵に猶予を与えては」
川崎義三「わかっておる、明日の朝までだ、兵を少し休ませるだけだ、でもそうだな山崎正政の首それを持って城を明け渡し降伏する事を認めよう」
侍大将「ハッ、直ちに」
そして翌日の早朝使者が門前で磔にされているのを確認した川崎義三は
川崎義三「そうか、使者は斬られたか、ならば半刻の後総攻めせよ」
侍大将「ハハッ直ちに」
海野国村「初めからこうなる事分かっておられたのでしょう殿」
川崎義三「素直に開城するとは思ってないさ、だから無理な条件を突きつけたのさ」
海野国村「流石ですな、遠江衆に包囲とするとだけ伝えていざとなったら先鋒役をさせるとは、しかし犠牲は増えましょう」
川崎義三「だから良いのだ、敵は分散して当たらねばならぬ、僅かな兵でな…海野は後詰めとして待機しとけ、城から逃げる者が入れば誰構わず捕縛しワシの元に連れて来い」
海野国村「はっ、お任せ下さい山崎正政が城から抜け出したのであれば捕縛し殿の門前に晒しましょう」
川崎義三「アレでも我が宿敵、敵でアレ丁重にお通しせよ」
海野国村「はっ、失礼致しましたではその様に」
川崎義三「ああ」
その後半刻が過ぎると法螺貝が鳴り響いた、全方位から鬨の声を上げ岡崎城の本丸目掛け攻めかかる
山崎正政「弓隊、矢は全て使って構わん今日凌げば織田方が明日にも援軍としてやって来ようぞ!」
城兵の士気を上げたが
石川綱成「殿、織田方は誠に明日にも来るのでしょうか?」
山崎正政「綱成持ち場に着くのだ」
石川綱成「敵の旗の中には遠江の国衆もおります兵数だけでも此方の5倍はおります」
山崎正政「綱成、この城は5倍では落ちぬだが隊の統率を乱せばどれだけ兵数や城が万全であれ敗れる…今は持ち場に戻り兵を1人でも鼓舞せよ」
石川綱成「はっ!」
綱成の眼に闘志が芽生えたのを確認し
山崎正政「よっしー!礫を投げよ!弓隊の援護だ!何でもいい熱湯でも良い奴らを食い止めよ!」
その後どの隊も曲輪の攻略出来ず、日没が近づいた時法螺貝が鳴り響いた川崎隊の撤退の合図であった
石川綱成「ふぅー、敵の撤退を確認した」
城兵達も敵の撤退するのを確認すると一息つき腰を降ろす
山崎正政「飯の時間だ、今のうちに食え!食えぬ者がいたら無理にでも口に押し込め!腹ごしらえが終わった者は夜の内に弓や石を集めよ」
一方の川崎陣営は篝火を多く立ててどんちゃん騒ぎしていた
山崎正政「綱成留守居を頼む」
石川綱成「はっ」
山崎正政「これより敵に夜襲を仕掛ける、敵は勝ちを確信したかのように楽しく宴をしておる馬廻衆はワシと共に城を出て敵に一太刀浴びせよ、敵の混乱に乗じて城まで一気に突っ切れ倒れた仲間の介護も不要と心得よ」
山崎正政は馬廻衆100を従え城から打って出た狙うは川崎の本陣馬を走らせ敵に奇襲する
足軽「夜襲だ!うぐっ!」
慌てて逃げ出す者も居るがこの時居たのは数百人程度であった
山崎正政「しまった!全軍急ぎ城に引き返せ!」
川崎義三「さぁて、宴を始めようか」
海野国村「城には引かせぬぞ、全軍敵を各個撃破せよ」
既に海野国村の隊が城に引き返す退路を塞ぎ逃げる山崎の隊を包囲していた
山崎正政「クソぉ!」
山崎正政は捕縛され早朝には城代の石川綱成が使者と会い城の開城となり城を明け渡した、石川綱成は急ぎ尾張の織田信孝に会いこの事を伝えた
織田信孝「左様か、無駄足だったか」
石川綱成「申し訳ございません」
深々と頭を下げ
織田信孝「義重」
三ノ輪義重「はっ、お呼びで」
織田信孝「石川殿を預ける、石川殿肩身は狭かろうが、しばし尾張に居られよ」
石川綱成「はっ、何から何まですまぬ、岡崎城を攻める時が来ましたら是非とも某に先鋒をお任せ下さい!」
織田信孝「頼りにしておるぞ」
石川綱成「ははっ!」
織田信孝「皆の衆此度は無駄足となったがいつか来る日我ら織田が勝つよう精進せよ!」
1550年に起きた岡崎の戦いは川崎義三の勝利で幕を閉じた、その後織田方の忍びの者が山崎正政の生存を確認するとすぐに織田信孝に伝えた、それを後日聞いた石川綱成は安堵し織田家に一時的ではあるが織田家の家臣となった、表向きは客人扱いではあったが石川綱成の起点で三河の賀茂郡・碧海郡の地侍が立ち上がり川崎家と対峙した、幡豆郡の地侍は最初こそ強気でいたが数の前には抗えず降伏するのであった。
コメント
1件
第2話、じっくり読ませていただきました。戦国時代の空気感が濃くて、台詞の一つひとつに重みがありますね。特に印象に残ったのは、梁田高元が「土弄りしてた方が性に合います」と言って、あっさり家督を譲ってしまうところ。あの飄々とした感じが、逆に地味にカッコよくて好きです。山崎正政の夜襲、あれは「しまった!」って声が出ました。あと一歩で援軍が……というもどかしさがリアルで、ページをめくる手が止まりませんでした。次は織田と川崎の直接対決が見えそうで、もう続きが気になって仕方ないです。