1-1
起きて、ご飯を食べて、服を着て、髪を結ぶ。
準備が終われば学校に行く。
学校に着けばたわいもない話をし、授業を受ける。
学校が終われば適当に遊んで、家に帰宅し、お風呂に入って床に就く。
毎日同じことの繰り返し。
それが幸せなことだとも思えず、何も深く考えないまま生きる。
そんな当たり障りのないつまらない日常がずっと続いていく。
◆
教室の扉を開けると同時に、私は挨拶をした。
「おはよう」
早い時間の教室には、数人程度しかおらず、誰からも挨拶は返ってこなかった。
そんなことは日常茶飯事だし、仕方ない節もあると思っている反面、
(たまには返してくれたっていいのにな…)
とも思ってしまう。
しかし、当然ながら、そんなくだらない事で朝から重たい気分になりたくないため、
そそくさとスマホをいじりだした。
しばらくSNSを見ていると、ふいにセンシティブな広告が流れてきた。
特に見ようともしていなかったが、ちょうどタイミングの悪いことに、
「はるおはよー」
と背後から声をかけられ、胸を鷲掴みにされた。
その勢いの反動で、私はその広告を誤タップしてしまった。液晶は女体でいっぱい。
「はるは今日もいいおっぱ、」
「い⁉︎⁉︎」
最悪だ、絶対に勘違いされた。
「やだ、はるったら。朝からどんなもの見てるのよ⁉︎」
「違う、間違えてタップしちゃっただけ」
とても言い訳に聞こえるようなことを言ってしまった。選択を間違えたな。
絶対にイジられる。
「もう、そんな嘘で取り繕わなくていいのよ‼︎」
「そういう趣味でも、ね、私は受け入れるから。」
何が受け入れるだ。
そんなツッコミを心でしながら、適当にあしらった。
「はいはい、ありがとうね」
私がそういうと、茜は親指を立ててグッドサインを作った。
煽っているのか、天然なのかわからない行動に
私はどう返せばいいのか戸惑った。
とにかく、会話を変えようとして、
「それより、胸を揉むのをやめてくれない?」
と伝えた。
さっきからずっと揉みっぱなしだ。
毎日毎日揉んできて飽きないのかと思うが、本人はニコニコなので楽しいのだろう。
「えー、しょうがないなぁ」
と茜は不服そうに言った。
しょうがないと言う割には離さないじゃない。
私がそう発言しようとすると、茜が、
「あ、そういえばさ」
と話を切り出した。
どうせまたしょうもないことだろう、と思いつつ
「なに?」
と聞いた。
すると茜は
「私、彼氏できました!」
と告げた。
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