なんか急に思い付いて、妄想膨らませてたらまぁなんということでしょう一つの読み切りノベルが出来てしまいました。
ヨミさんの栄養補給になれば嬉しいです。
もちろん誰でも楽しめる内容なので安心して下さい。
太中
22歳軸
可愛い
癒し
付き合ってる
中也可愛い
注意書き等含め3657文字
かっこいい中也は居ません(定期)
誤字、脱字があっても優しい目で見て下さい。
最近は何事も起こらない、とても平和な日々を過ごしている。そう、太宰さえも会うことがなく。
とても嬉しいことなのだが…なにか物足りない。無性に彼奴の忌々しい顔が浮かんでくる。声、匂い、肌の温もり、彼奴がいつも着ている服の感触…そんなことを考えていると、腹の奥が疼いた。
………あぁクソッ!
もう寝る予定だったが、少しだけ彼奴の声を聞いて寝ようと思い、携帯で太宰を呼び出し始める。
プrrrr……ピッ
「…中也?どうしたの?」
「いや、別に何も無いけどよ……その…」
「…もしかして、眠る前に私の声を聞きたくなった?」
「っ、そんなわけ…ッ!」
なんでいつも分かるんだよ…!でもまた強がって喧嘩に繋がっても面倒臭いしな…
「…あるけど…」
「え、どうしたの中也、もしかしてデレ期?」
「う、うるせぇ!」
言わなきゃ良かった。素直にならなきゃ良かった。手前はいつも一言多いんだよ。声色的に今忙しい訳では無さそうだ。無理そうだったら諦めて抱き枕でも抱き締めながら眠ろうと思っていたが…
…偶には恋人に甘えても良いよな…?
「…太宰」
「なあに?」
「…褒めて欲しい」
少しだけ、俺の我儘を聞いて欲しい。
「ふふ、いいよ。」
「…!」
そう言って太宰は包み込むような優しい声で喋り始めた。
「今日も遅くまでお仕事頑張ったね。」
「ん」
「いつも人一倍努力しててえらいえらい。」
「…」
「中也?」
「……会いたい」
突然で無理なことを言っているのは分かっている。けど、一度欲した躰は抑えることが出来ず。聞くたびに、感じるたびに、会いたい気持ちは強くなる。電話越しの少し掠れた声では満足出来なくなる。
「直接『頑張ったね』って、ぎゅってしてほしい。…なんてな。すまねぇ、我儘過ぎるよな」
「…いいよ」
「は?」
今、なんて…___
ガチャ
ドアの開く音が聞こえた。おいおいマジかよ…
「やぁ中也、会いに来たよ。」
「……は?」
太宰はギシギシと音をたてながら少しずつベッドの上に上がってくる。
登り方がなんかちょっと…厭らしい…ってなに考えてんだ俺は!
「な、な、なんで手前が居るんだよ!?」
「会いに来たから」
「そういう問題じゃねぇ!」
「はーい静かに~」
そう言った途端、太宰は俺をぎゅっと抱き締めた。
「っ!?だ、だざ…」
「よーしよーし、いいこいいこ」
「お、俺は子供じゃ…っ」
「今日も本当にお疲れ様。」
「!」
それから太宰は、頭を撫でながらまた優しい声で話し始めた。
「君はいつも誰にも頼らず、一人でなんでも解決しようとする。自分のスケジュールも、自分の躰のことも、全て気にせず回りに尽くす。何故ずっとそうしているのかも分かるよ。ただただ君がお人好しというのもあるけれどやっぱり…」
「…」
「『居場所を無くしたく無い』と言うのが一番強い理由だよね。」
「っ…」
「君は居場所を無くした経験がある。それは躰に染み付き、今は離れないトラウマの様になっている。」
「…何が言いたいんだよ」
「私が言いたいのは、一人で事を済ませようとしないで、回りの力も借りながら無理しないように過ごせってことを言いたいの。…最近また隈が多くなったり、反応が鈍い時がある。…私も心配しているのだよ、こう見えて。恋人の体調が良くなくて心配しない訳無いじゃない。」
「…!」
「だからね、もっと私を頼ってよ。一人で抱え込まないで。君の居場所は絶対に無くならないよ」
「…なんでた?」
太宰は微笑んで、もう一度抱き締め直し、
「中也の居場所は私の懐だから!」
謎に自信に満ち溢れた回答で、どこか面白く、つい吹き出してしまう。
「ふっくくく…なんだそりゃ、手前の懐だなんて狭すぎと暑苦しさで死んじまいそうだなぁ」
「えぇ、死なれては困るのだけど…」
どこか心の奥の霧がすぅと消えた様な気分になった。手前で心情を振り回されるなんて、俺はもう手遅れなんだなと思う。
「…何処にもいかねぇか?」
「勿論、ずっと傍にいるよ」
「約束だからな?」
「うん、約束。絶対破らない。一生離してあげないから。」
「…なんか気持ちがすっきりした。ありがとな」
「それはどういたしまして。」
「…あのさ、」
「ん?」
「今日、一緒にこのまま寝たい」
今日の俺は我儘だ。歯止めが効かない悪い子。こうなってしまったのも、全部全部太宰のせいだ。…でも、そこまで嫌な気はしない。やっぱり俺は手遅れだ。
「うん、久しぶりに一緒に寝よっか」
そうして、二人で一つのベッドにぎゅうぎゅうになりながら布団の中に入った。
「せ、まい…」
「ほら中也、おいで」
「!?」
太宰は手を広げて待っている…。うぐぐ…くそぅ……久しぶりの太宰に躰が言うこと効かねぇ…っ
ぎゅぅぅぅぅっ
「いたたたたぁっ!?ちょっと中也、力強すぎなんだって…っ」
「…太宰が悪い」
「えぇ!?なんでよぉ…」
強く抱きついてもまだ太宰の成分が足りず、余す所無く太宰の匂いを嗅いでいく。躰が太宰で満たされていく。甘くて、落ち着く匂い。たとえ香水など洗剤など変えたとしても、昔からこの匂いだけは変わらなかった。それでも俺の太宰を欲する欲は収まらない。
「…だざい」
「なあに?中也」
「きす、して…深いやつ」
「ほんとにいいの?」
「キスだけな」
「えぇ…」
「いいからはやく」
「もう、仕方ないなぁ…可愛い恋人の珍しいおねだりだもんね」
「そういうのいいからはや……んっ」
勢い良く唇を塞がれ、甘い口づけを交わし始める。
「ぅ…っん、はぁ…っ…だざぁ…っ」
気持ちいい。太宰は俺の口内で暴れ回り、歯の羅列をなぞり、慣れない俺の舌を絡めとり、角度を変え更に舌が奥に入ってくる。今まで離れていた分が埋められて、満たされて、太宰のことしか考えられなくなる。すき、すき、だざいだいすき。
「んっ……ふぅっ、…んぅ…..っあ」
つう、と銀色の糸を引いてはぷつりと途切れた。
「はぁ、はぁ……」
「どう?そろそろ中也の欲求不満は収まった?」
「…最後に、もういっこ、…いいか?」
「うん」
「…抱き締めてもらいながら、寝たい」
「いいよ、一緒に寝よ」
「ん、」
「おいで、中也」
そうして俺は太宰の腕の中に吸い込まれる様に入っていった。
「あったけぇな手前…」
「そうかい?私にとっては中也の方が赤ちゃんみたいなあったかい体温なんだけど」
「うるせぇ…」
寝る前までこうして言い合うのは何時もの俺達みたいだと安心さえ感じてくる。今日は随分疲れが取れた。明日も仕事だし、気を引き締めないといけない。…俺は太宰が居ないとどうなってしまうのだろうか?…否、太宰はどこにだって行かない。だって、太宰と約束したから。きっと大丈夫。そんな変な確信があった。太宰の事だ。俺がはなれようとしてもどうせ一生付いてくる。
明日も仕事だし、気を引き締めないといけない。けど、あともう少しだけ、身を任せてゆっくり眠りたい。
「じゃあおやすみ、中也」
「……」
「…中也?」
お休み、という言葉を言ってしまえば、もう今日は話す事が無いだろう。きっと明日の朝にはもう俺の隣には居ない。太宰だって明日も普通に仕事がある。だから「お休み」と言うのがなんだか名残惜しくて、まだこのままで居たくて。
その気持ちを察したのか、太宰は
「大丈夫、私は何処にも行かないよ。」
と優しい声色で言ってくれた。
「明日の朝も居るか…?」
「うん。中也が起きるまでここに居るから大丈夫」
「…そうか…太宰」
「ん?」
「…おやすみ」
「…うん、おやすみ、中也。」
そうして太宰はまた優しく抱き締め直し、俺は太宰の匂い、温もりに包まれながら久しぶりの深い眠りに付いた。
以上です。
少しでも皆さんの栄養になれたらと思います…( ´-ω-)
ここまで見てくれてありがとうございました!
コメント
12件
めちゃくちゃ栄養になりました。(何気に初コメ失礼します) 最高すぎました!!!
中也のデレ期ですとっ!?いやもうこれ、尊い以外の言葉出て来ないんですが!?抱き合って寝るとか...栄養補給どころか、栄養過多ですね!之から1週間ぐらい頑張れそう(?)