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大正
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裏五条
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アトミルカ殲滅作戦の第一段階である「未踏ダンジョンの攻略」を終えた南雲隊。
本来の計画とは異なる進路を取ることになってしまったが、ひとまず異界の門の先に広がる異世界・ゴラスペにやって来た。
ここから彼らが担うのは陽動役。
つまり、雑な言い方をしてしまえば盛大に暴れまわれば良い。
「うわぁ! 砂漠しかないですよ!! しかも見晴らしがものっすごく良い!! 南雲さん、100パーセント敵さんに捕捉されてますよ、僕たち!!」
「ああ。そうだろうな。……で、どうして君はそんなに嬉しそうなの?」
「南雲さん! アトミルカの1桁には5万ドルの懸賞金がかけられていると言う事を、僕が知らないと思ってましたか?」
「……山根くんだな。いつかは気が付くだろうと思っていたけども」
「それはそれとして! もちろん日本探索員協会も働きに応じた報酬が出るんですよね!? ね!?」
「君は出会った頃からまったくブレないなぁ。出すとも。逆神くんを作戦の核に据えた時点で、もう特別会計が組まれてるんだよ。だから、安心して戦ってくれ」
「うひょー!」とガッツポーズをして雄たけびを上げる六駆。
敵に捕捉されているのが確定的であり、何ならできるだけ強い敵に早く来てもらいたい彼は、実に堂々とした清々しい態度であった。
「ふぇぇっ! 風が強いよぉ。髪がぐしゃぐしゃになっちゃう」
「そうですわね。乙女にとってこの異世界はあまり良い環境とは言えませんわ」
莉子さんの感想通り、ゴラスペは絶えず強風が吹きすさぶ。
風速にして20メートル近い状態が常であり、粉塵を巻き上げている。
「うにゃー。スカートが捲れちゃうぞなー」
「みみぃっ!! 今いる場所が丘の上だから、下から風が来るです!!」
「クララ先輩! 芽衣ちゃん!!」
「みみっ?」
「あー。パイセン、分かっちゃったにゃー。これ、面倒なヤツだにゃー」
「ズルいですよぉ!! スカートひらひらさせて、男の子の注意を引くなんてぇ!!」
「予想通りだったぞなー。言いがかりも甚だしいのにゃー」
莉子さん、自分の探索員装備がショートパンツだった事を激しく悔いる。
続けて、クララに交渉を持ちかけた。
「クララ先輩! スカート脱いでください!!」
「にゃははー。ちょっと何言ってるか分からないにゃー。小鳩さーん! 助けてー!!」
「お、落ち着いてくださいまし! 莉子さん!! どうなさったのです!?」
「だってぇ! わたしもスカートでパンチラしたいですよぉ!」
「み、みみっ……。莉子さん、芽衣たちのスカートの下、スパッツです。みみっ」
「もぉぉ! 芽衣ちゃんは分かってないなぁ! 男の子はね、スカートが捲れて見えるものなら、スパッツでも見せパンでも興奮するんだよ!!」
「莉子ちゃんは、どこでそんな汚れた知識を拾い食いしたんだにゃー?」
すると、莉子は控えめな胸を張って言った。
「六駆くんのお父さんが言ってました!!」
「わたくし、眩暈がしてきましたわ。そのお排泄物の塊のような事を申される殿方が義父になるのを受けて入れておられる莉子さん……。強すぎですわよ……」
そこに六駆がやって来た。
「みんな! 隊列についてだけどね! どこから敵の攻撃が来てもおかしくないから、盾スキル持ちの僕と小鳩さんと莉子が外側に」
と、ここで強風が吹く。
当然だが、スカート組の装備がひらひらと舞い、クララと小鳩は胸が波打つ。
「ちょっとぉ! 六駆くん、見ちゃダメだよぉ!!」
「ついに莉子さんが作戦行動の打ち合わせを中断させましたわ……」
六駆にとって、スカートが舞おうが脱げようが特に何も感じない。
が、最近は乙女心についての研究にも余念のない逆神六駆。
彼は何となく正解の場所を知っていた。
「莉子! 今日も可愛いね!!」
「ふぇっ!? も、もぉぉ! 六駆くんってばぁ! クララ先輩のスカート捲れてるのに、わたしばっかり見てたのぉ? もぉぉ! クララ先輩がかわいそうでしょ! もぉぉぉ!!! えへへへへへへ!!」
「何故か哀れまれたぞなー。でも、全然悲しくないから不思議だにゃー」
「クララさん。やっぱりあなたは探索員の仕事をしていると頼りになりますわね」
「みみっ。クララ先輩がいれば、莉子さん絡みの問題はだいたい片付くです!!」
敵地のど真ん中でイチャイチャする六駆と莉子。
当然だが、そんな彼らを敵はがっつり偵察していた。
◆◇◆◇◆◇◆◇
ゴラスペ第三砦にいる5番パウロ・オリベイラ。
彼の元へ伝令がやって来た。
「5番様! ご報告がございます!!」
「……。ああ、ボクか。5番はヤメて欲しいなぁ。どうせ、すぐにやられて欠番になるんだからさ。オリベイラでいいよ。それで、君は。ええと、18番?」
「はっ! 自分は19番であります!!」
「ああ、惜しい。こういうところなんだよなぁ。外れるなら大きく外した方が話のネタとしても面白いのにさぁ。ニアピンで外すから、面白みもないし相手に対して一番失礼だし。もう完全にアレだもんね。19番さん、ボクのことを嫌いになったでしょ? はぁー」
19番は敬礼して「そのような事はございません!!」と断言した。
「そう言いながら、心の中ではこいつ死んだらいいのに……とか思ってるんだよね? いいんだ、いい。ボクもそう思うからさ。はははっ」
「……お主。どこまでも指揮官に向いておらぬな。せめて報告を受けられよ」
6番の姫島幽星も同じ砦に控えており、彼が実質的な副司令官のポジションに座っていた。
「もう、姫島さんが聞いておいてください。どうせボクの命令なんて誰も聞きやしないんだから」
「面倒な男よ。して、いかがした」
19番はようやく使命を果たす。
まさか、伝令に来たのに本題に入るまでに5分以上の時を要するとは彼も思わず、「面倒な部隊に配属されてしまった……」とひっそり心の中でつぶやいた。
「6番様のご報告にあった敵の部隊が、ゴラスペに入りました! 既に位置は捕捉しております! また、各砦の攻撃用兵器もいつでも撃てるとのことです!! ご指示を賜りたく存じます!!」
姫島は「ふふっ、来たか」と口元を歪ませる。
パウロは「うわぁ。もう詰んだ」と天を仰いだ。
「姫島さん。どうしたらいいと思います? もう、ボクの考えって絶対よくない方に行くんで。助けてください」
「普通に砦の兵器を使えば良かろう。某は猛者との再戦のみを望む。他の雑魚は邪魔なだけゆえ、早々に消してしまうのが得策よ」
パウロは「じゃあ、それで」と19番に命じた。
19番も「りょ、了解しました」と戸惑いがちに敬礼して、攻撃指示を全軍に伝えた。
こうして異世界・ゴラスペでの戦端は開かれるのであった。
◆◇◆◇◆◇◆◇
南雲隊はとりあえず一番近くの砦を目指して、砂漠を歩いていた。
そこに飛んでくるサーベイランス。
『南雲さん。報告っす。こっちに向かってくる、多数の飛来物を感知したっす。確実ではないっすけど、多分ミサイルの類かなって』
「ミサイル!? 急に血なまぐさい兵器が出てきたんだけど!? 今までそんなことなかったじゃん!!」
『着弾まで、あと20秒っすね』
「おおおい! せめてもっと早く教えなさいよ!! 逆神くん!!」
六駆は返事をする代わりに、煌気を溜める。
続けて山根に短い質問をした。
「ミサイルって何基か分かります?」
『全部で11発っす!』
「了解しました! よいしょー!! 『竜翼』!!」
異世界の空へと舞い上がる逆神六駆。
続けて、彼は迷わずに両の手を合わせた。
「ふぅぅぅぅんっ!! 『自動追尾・拡散大竜砲』!!」
煌気を見つけて迎撃する古龍のブレス。
ゴラスペの上空が燃えるような赤に染まった。
あまりにもド派手な開戦。
陽動役としてのこの上ないファーストジョブである。
コメント
1件
うわあ、今回も最高だった!五木さん、ありがとうございます✨ 莉子の「スパッツでも興奮するんだよ!」って台詞、もう完全に六駆パパの影響受けてるの笑ったし、クララ先輩が哀れまれてるのに全然悲しくない流れがめちゃくちゃ好き。最後の六駆のド派手なお迎え、陽動役として完璧すぎるだろ…。コメディとバトルのバランス、さすがです🥀