今日は橙と映画を見に行く日。
これまでも橙と出かけることは少なからずあった。
玩具買いに行ったりとか、小腹が空いたら牛丼なんかを食いに行ったりしていた。
…スウェットとサンダル姿で。
だから橙に俺のちゃんとした私服を見せるのは初めてだし、多分橙もちゃんとした私服で来るだろうから、あっちの私服を見るのも初めてということだ。
桃(何か妙に緊張するな…)
セ〇レ相手に緊張するなんて、
桃「はぁ…」
心情の変化を気持ち悪く思いながらも、玄関の姿見で自分の姿を見る。
桃(髪もバチバチに決めてるし、我ながら結構いいんじゃね?)
自分で言うのもあれだが、俺はそこそこファッションセンスはある方だと思う。
そんな自分のコーディてに惚れ惚れしながら、スマホで時刻を確認すると、
桃「…げっ。」
約束の時刻まで残り僅かだった。
桃「早く行かねぇと…!」
俺は急いで外に出て鍵をかけると、足早に映画館に向かったのだった。
ー映画館ー
ザワザワ…
桃(はぁ…人多っ…)
職業柄、あまり大勢の人を1度に見ることが無い為、こういう所に行くと人酔いしてしまう。
桃(とっとと橙見つけないと…)
ピロンッ
スマホの着信音が鳴る。
橙「もう着いてるけど桃ちゃんどこおる?」
橙からだ。
桃「「愛を知って恋に落ちる。」のパネルの前に居る」
俺がそう送ると、即既読が付いて返信が届く。
橙「おっけ!じゃあそこまで行くわ!」
…もうすぐ橙が来るのか…
スマホの黒い画面で自分の顔を見て、身だしなみを整える。
桃「よし…」
髪を少しいじり、橙を待つ。
桃「……あ。」
人が大勢居てもわかる、橙の明るい髪がチラリと見えた。
キョロキョロと辺りを見渡して迷っている。
俺は橙に近ずいて後ろから声を掛けた。
桃「…おい!」
橙の肩がびくりと跳ね上がった。
橙「さ、桃ちゃん!?」
橙「…声掛けるんやったらちゃんと正面から声掛けてくれへん?」
桃「ぶくつさ言うんじゃねぇよ。」
桃「ほい行くぞ。」
平然を装って橙の前を歩く。
だが、俺の内心は、
桃(橙の私服エグ可愛いんだが…やばいやばいやばい…俺のドストライクなんだが…)
橙「痛っ…」
桃「…!大丈夫か…?」
橙が人にぶつかったそうで眉を潜めている。
桃「…はぁ…」
俺が橙の手を引く。
桃「離れんなよ。」
橙「!うん…」
これが、橙と俺のデートの始まりだった。
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