ある晴れた日の夜。
私はバルコニーにいた。
何故バルコニーに来ているのか…それは私にもよく分からない。
気づいたらここにいた。
暗い空を覆い尽くすほどの満天の星。
ふと、ここにラムリがいたら。と思った。
………………どうしてそう思ったんだろう…?
そんな事を考えていた時
「主様〜!」
と可愛らしい元気な声が空に響いた。
『ラムリ?』
声の主はラムリだった。
「こんな所にいたんですね!」
そんな事を聞くので、何かあったのかと少し心配になり聞いてみたが
「いや、何もないです!」
と言うので安心する。
「………ただ」
……ただ?
やっぱり何かあったのだろうか?
そう問う前にラムリが先に口を開いた。
「主様に…会いたくて…」
そう言うラムリの頬は少し赤くなっていた。
………………………………あぁ可愛い。
これを可愛いと言わずに何があるんだ。
だが、私は悪魔執事の主である。
こんな気持ちを伝えたら…………。
私が言う程ではないだろう。
『ラムリ、ほら見て』
と言いラムリが好きな星空に指を指す。
「うわぁ〜!綺麗ですね!主様!」
そう言うラムリの目はキラキラしていた。
「ほら!見てください主様!シリウスがとっても輝いてます!」
そんな会話を聞いてあぁ、冬だな。と改めて感じる
「シリウスは一等星なんです!」
なるほど、だからそんなに綺麗なんだ。
『そうなんだ』
私は感心して相づちを打った。
「綺麗ですよね〜!………………………まぁボクの主様の方が断然綺麗で可愛いんですけど!」
『っ……え?』
自分でも分かるほど顔が熱くなっていた
「ん?主様もしかして照れちゃってますか?」
可愛いですね!と笑顔で言うラムリとは正反対に私は下を向いて熱くなった顔を見られないように隠していた。
「主様…なんで隠してるんですか…?」
悲しそうな声。
でも、私は動かなかった。
まだ顔が赤くなってる気がしたからだ。
少しして私は顔を上げた。
目の前にはラムリがしゅん…とした顔で私を見つめている。
『ふふ…』
そんな顔で見つめられると微笑んでしまう。
「主様…?」
『ラムリ…可愛いな♪』
咄嗟に本音が出てしまった。
…………………あぁ、嫌われる。
そう思った時。
ぎゅーっと抱きしめられる感覚がした。
私は驚き思わず小さい声が漏れてしまった。
「主様…ボク…すっごく嬉しいです!」
そう言って腕の力を強くする。
……………その強さが心地よかった。
ラムリ・ベネット。
その男は、可愛くて、優しくて…時には度が過ぎるところもあるけれど…
それでも……それでも…。
誰よりも私の事を一番に考えてくれる。
そんな私の大好きな執事に…。
『今日は月が綺麗だね』
と言い、私も強く…強く
抱きしめ返した。
コメント
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いいムードすぎる……。 シリウスっておおいぬ座のα星なんだね。
ラムリくん可愛い!そして月が綺麗なのは当然よ