あーあ
やっと死ねる か
やっと死ねた か
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「ピピピ…」
午前7時半。いつも通りに掛けておいたアラームが部屋中に鳴り響く。のそりと体を起こし、鏡を見ればいつも通りたくさんの寝癖が付いた頭とそれを支えるくっきりとした紐の後が残った首。深い深い溜息をつきながら、そっとその痕を撫でた。
「っはー、あーあ、残ったか…今日の学校…マフラーでもつけてくか。」
独り言を漏らしながら隠す手段を考える。ふとこっちは…と思い、腕を見る。そこには寝た時にずれたらしい、シワがつき、緩んでいる包帯があった。巻き直しも兼ねてくるくると包帯を外していく。外して行った所からは次々と無数の切り傷が顕になり、視界には白から赤黒への色の変化が映る。
「きたな…」
ふとそう思い、濡れたティッシュを用意する。トン、トン、軽く叩いたりしながら、その赤黒を拭っていく。肘の方から手首まで綺麗にし終えた後には、綺麗な綺麗な赤が顔を出し切っていた。無数に輝く浅い傷、手に持った包帯には、昨日の夜見たような、じわじわと零れる量も出ないが、腕を濡らすように付いた血を吸い込んだ赤黒い跡が、見えやすいほどに斑点を成していた。
「あーあ、だる」
ガタガタと棚を漁り、新しい包帯をだす。くるくると巻き付け、外れないようにしっかりと固定した。
「よし、支度するか」
リビングへ行く。朝ごはんなんて食べない。傷を隠すための長袖を着る9月の後半戦。暑いかもしれないし、不思議がられるかもしれない。肌寒かった、で通そうか。それなりに迷いながら鞄に必要なものを持っていく。
「弁当…はいい、か」
食べる気にもならないから、と用意をすることすらやらない。そして、ズボンを履く時、何かがズレた感覚がした。
「あ…こっちもか」
レグカ。通称レッグカット。自傷は腕だけ、なんて誰が決めた?足の包帯を1度解きながら考える。こっちには、腕より浅いが数が倍以上の傷。血濡れた包帯は見えないし、と変えなかった。しっかりと巻き直し、ズボンを履いてベルトを締める。顔を洗って、歯を磨いて、喉が渇いたからと水を飲んで、いつも通りのヘッドフォンをつけて、
「行ってきます」
誰もいない虚無と化した空間に声を投げ捨て、のんびりと、気怠げに足を動かした。
テク、テク、と効果音がなりそうに通学路を歩く。車が行き交い、人が歩く。人前に出るのは苦手なんだよな、なんて思いながら、頭の中で妄想を広げた。
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「…。」
無言で、教室の一番後ろの席に着く。ガヤガヤ、ガヤガヤ、と、半ば無法地帯になっている教室の雑音に耳を傾けながら荷物を片付けた。
「おはよっ!」
不意に声をかけられ、荷物から声の、彼の方に目を向ける。にっこりと笑う片目を隠した髪型の、パンダパーカーを可愛らしげに着こなした背の低い君の、綺麗に整った線の細い鼻を見遣る。
「おー、来てたのか、挨拶ぐらいしろよなw」
そうやって、にこりと笑うくせっ毛の、眼鏡の奥のトパーズのように輝く綺麗な彼の目を見据える。
「お、今日は早いんだな」
驚いた、と言いたげな普段無表情の顔の横に、髪に隠れながらも確かな存在感を放つ白い耳に目を向ける。
「今日も寝癖ついてるなw」
そう笑いながら僕の前髪をいじる君の、クマのついた目に横目をやりながら、細く綺麗な足をちらりと見る。
「おはよう、✕✕✕✕。」
みんなの行動や言葉に呆れたような、それでもって微笑ましげな顔、綺麗に整った全体図を見ながら、みんなに声をかけた。
「おはよ」
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学校が終わり、帰宅路に着いた。今日は一人で帰るんだ。と。
1人のんびりと歩きながら、線路沿いに着く。別に特別辛いとか、そんなのでは無い、いじめなんてないし、寧ろみんな優しい、けど。
カンカンカンカン
音がなり、踏切が閉まる。人目に付きにくい道端に鞄と、ヘッドフォンと、みんなとお揃いの白尾の、先が赤く染まったキーホルダーを置いた。そして、線路の真ん中に立つ。目の前に電車の黄色い影が見え、思った。
あーあ
やっと死ねる か
やっと死ねた か
皮肉なことに仲のいいトパーズの目を持った彼のことを連想させる車体は、どんと音を立て、僕と接触した。
やったね?死ねたね?良かったね?死にたかったもんね?
お疲れ様って、こと、なのかな?なんて
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こんちゃっ!
挨拶遅れましたリットンです!
今回は誰目線かもうわかりましたね?赤色が似合うあの方です!
今回の話、抑揚がないし分かりにくいからつまんない!って思う方、申し訳ありません…💦
何故かと言いますと、これ、半分実話なんですよね、死んだこと、その他細々したとこは僕が考えました
が、大まかな話は僕の実話です!
なので分かりにくいですごめんなさい💦
では
お疲れ様でした
この世界線はどうでしたか?
おつりと
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