第1話『彼女のみ見える空の色が俺にも見える件。』(前編)
学園ものです。
心理テスト :
Q、空は何色に見えますか?
1、水色(空色)。
2、薄い曇り空の白。
3、サンライズやらサンセットやら。(曉の色)
4、星々の流れる夜空。
5、日照の白んでくるグラデーションの青空。
6、雨降りでその匂いのする、空色。
7、虹の掛かる雨上がりの晴天。
A、ないしょ☆
***********************
立春も過ぎた。
季節の変わり目のその時期。
今、俺は最寄りの駅に向かってる。
市立公立の一般受験の合格発表を見に行く為だ。
推薦の話もあったのだが自ら断った。
自分の学力を試したいと担任には伝えた。
今思えば学校の勉強ってどれだけ社会に出て役に立つの?甚だ疑問だが中坊では知るよしもない。
ちなみに地元では有名なバカ高のくせして倍率だけは高い学校で一般にも数名受験者はいた。
だが、別段仲良くもないのと中学校まで移動が面倒なので、連れは断った。
駅までは中学生ならば徒歩で十分な距離だ。
普段はクールを意識してつれない人等と皆から一匹狼の様な扱いだ。
連れから、第2ボタンを開けるとモテる等と嘯かれてやってみたこともある。
だが、一人でやってたら浮いちゃって女子からヒソヒソ噂話をされた経緯があってそれは、もうやらない。
ちなみに、そいつも先に一人でそれやって担任に服装チェックをされたらしく巻き添えみたいなもんで散々だった。
話が、大分変わってた。
そんな俺でも合格発表の結果待ちの動揺はあるに決まってる。
一人で良かった。
駅の電車の待ち時間に缶コーヒーを買うつもりがコーラを押してしまった。
さすがに動揺が過ぎる。深呼吸、軽いストレッチで流す。体育会系でもある。
そうこうしているうちに電車が来て乗って目的地に向かう。
高校の最寄り駅付近から大分騒がしい。
気にせずスタスタ向かう。
合格発表の掲示板が見えてきた。
同中は見当たらない。助かった。
ポッケから番号札を取り出して、4桁の番号の再確認。
動悸がしてくる。
「俺の番号、、、」
・・・
「あ、あった。」
見間違えてないか確かめて、合格を噛み締める。
「ぃ~っしょっしゃ~!」とやりたいところをおさえて笑顔で帰る。そのつもりだった。
そこに二人の女子が目についた。
一人は、「やっぱりだめだったわ~。すべりどめも期待してないし。中卒でどないしょっかなー?」
もう一人は縁の細い眼鏡をかけていた。終始無言。
「、、、。」
一言もしゃべらない女子とちらっと目が合った。
見られてるのに気付いたのか、恥ずかしそうに目をそらす。
女子とさらっと話すのは苦ではないので声をかけてみた。
「よぉ!俺北中出身。どうだった。」
一応、大方予想はついている。
「うちら?東中出身やねんな。」
ちょっと中国語?関西弁?お国の分かりづらいイントネーションの入った子が喋り出す。
「この子受かって、うちは落ちてんねん。そうなると、同級生やね。仲良うしたってや。あー、そうそう、この子あんま体が丈夫にできてないんや。行きもしんどそうやったし。ちょっと頼んで良いかな?もううちもさすがにショックやねんで一人になりたいんや。」
気持ちは良く分かる。了承をした。
頼まれた子はずっとうつ向いてるので顔が見えなかったが、ぶっちぎりではないが
手の届きそうな美人という感じの顔立ちをしてる。取り合えず。
「合格おめでとう。って、俺もなんだけど。」
彼女は頷くだけ。
「入学式の日程は。さっき丈夫にできてないんや~ってあのこ言うてたし、付き添おうか。家はどっち?駅まで一緒?」
無言で駅の方向を指す。
てくてく歩きながらやっと喋りだした。
「受験は頑張って良かった。でも、ここまでくるのがしんどかった。」
そんな虚弱体質では交通機関も辛かろう。
この当初の母校は一般試験の倍率だけは少なくとも市内では、一番、二番を争う、全体には千差万別な学歴で高くはない者でも集まると言えども、全く勉強をしなかった者が受かるほど甘くはない。
早い話、学科に寄りだ。
まー、とかく人気の高校。
合格で受かれてたのもあったのかもしれない。
その子の家は市内なのでんなに遠くはないし、タクシー代は出すからとの提案で移動をすすめた。
初対面の方にそんな御迷惑をといいつつぼんやりしてるので何となく心配で使うことにした。
駅側で、いつもの虎猫タクシーを呼ぶ。
乗車をして何か会話でもと思い質問には答える。
学科は、美術の専攻。
一般の方の学科である。
僕はというと、普通科か商業かどっちでも良かった。結局は、通信にした。
だが、自分からは何も殆んど喋らない。
一言だけ。質問をされた。
「そらってなにいろにみえる?」
「?、、、そうだなー。天候でも随分変わるし、真夜中は月明かりが有れば黒が濃い方の紺にも見えるね。?朝が白むっていうだろ?サンライズ、サンセット、曉も、曇り空、それから雨上がりのグレーが晴れて、虹がかかると7色やら言うだろ ?お国によって色数が違うらしいね。虹って、綺麗だよなー。」
一瞬、何かの心理テスト?思った、
だとしても俺は心理学にもちょっとは詳しい。
「えっと、俺はアダ名がジョンでそれまで。気の知れた相手以外に馴れ馴れしくされるのが嫌で名乗りたくないんだよ。」
「そうなんだ。」
反応が希薄だ。
「えっと、なにちゃんだっけ?」
「、、、めぐみ。」
「めぐみんは、何色に見えるの?」
「、、、、、、宇宙(そら)。」
一応、聞こえるか聞こえないかのか細い声で答えた。
なるほど。この子って、もしかして努力家?でもって、或いはちょっとは賢いのか?
市立で公立の桜が丘に一般入試で受かるぐらいだから最低限の義務教育の勉強ができるのは確かだ。
彼女は、中学で配布をされた5科目の、特に得意分野の数学、理科、社会科の丸暗記を中心に頑張ったと話した。漢字の画数の多いのがこの頃は苦手だったらし。
数字を扱う方が得意だと言ってた。社会科の地図記号や、特に音楽の記号が覚えられずに、音符の記号を見ると頭痛がするらしい。
流石に、東西南北は分かるので今度、古今東西でもして遊んでみよう。思った。
僕も、彼女と同じ文系。
彼女は、文系の美術一本。
彼女は、算数は小学校のテストでは、殆んど100点を取ってた。だが、数学の因数分解迄で、そこから徐々に出来なくなったらしい。
僕は、文系だ。
英語を得意とする。
音楽は、ピアノとクラシックギターが出来。
理系の人は、頭の作りからして違うらしい。
彼女は、英語は興味があったのに、単語のスペルの文字数が増えるとしょっちゅう間違えて正しく覚えられない。接続詞の和訳も同様で当時は苦手科目に分類せざるを得なかった。
得意な方に専念をしたと語る。
マトモに義務教育が受けられなかった。
それで、短期講習の塾に通わせてもらったりした。
後々になって、どのみち眠いだけだから塾でも集中出来なかった。そう語る。
彼女は、感情等を表現をするのに絵画で行う。ネットの職業適正診断なんだけども~1芸術家~若しくは~哲学者~(生き方を人に説く。)タイプだろう。政治家とも違う。
後で調べた事なんだけども。
哲学の基礎ならば、西のソクラテス。東の釈尊。
語りたいならば、此れぐらいは出てこないとって此れは持論でもある。
試しに、物理、化学(科学)の分野。
元素記号は覚えて仕舞うしかないので、H、He、O、以外はうろ覚えらしい。
例せば、月明かりを物理学的或いは、科学的な証明を求めたら、一応知ってた。
答えは、恒星たる太陽から5000000㎞離れて届く熱エネルギーが、衛星たる月に到着をした時に光のエネルギーに変化して惑星たる地球へ到達するのが月光。星そのものが光を発するのは恒星だけである。
大体、そんな感じ。
ニュートンの万有引力の理論。
アインシュタインの相対性理論。
ガリレオ・ガリレイの地動説。(天動説は割愛をさせて貰う。)
一部は、名前だけ知ってた。
ま~、この子は、少くとも俺の知る同中の自分等でバカ呼ばわりする世話のねぇ連中とは少し違う気がする。
四文字熟語ならば酒池肉林やら、四面楚歌やらetc…そういうの。
「空の色を通して宇宙の色が見えることもある、ってとこかな?おっと!」
そんな会話で到着。してしまった。
最低限、名前とスマホの連絡交換をした。
その彼女の自宅を聞いて、タクシーを止めて、小声で「送ってくれて、ありがとう。」聞こえるか聞こえないかの声でふわふわした感じで市営の住宅の家に入った。
市内だがお金が足りないので親には病弱っぽい女の子を送ってと正直に言ったら理解を示してくれて支払ってくれた。
不思議な女の子だ。
その日はそういう印象しかなかった。
晴れて入学式の当日、クラスを確かめたら自分のクラスはあったが例の彼女の名前が何度見返してもない。
気になるので職員室に行って聞いたところ、確かに滑り止めにも二高受かったけども、ここの生徒であるらしい。
どうやら彼女の親からの意向で特別クラスに入れてもらえないかとの話で少々学校側も困ってるらしい。
後日、結局は普通学級で頑張ってみるということで隣のクラスに編成された。
授業の初日に授業終了のチャイム同時に彼女のクラスに行ったら後ろの席でぼーっと外を眺めてた。
「元気してたか?初日はどうだった?」
「初日からお昼頃まで遅刻した。怒られなかったけど。今日も疲れた。」
「昼飯は?」
「学食のアップルパイ、水道水。」
「足りるのか?」
「いちおー。」
彼女は見るからに華奢である。
「ちゃんと食ってんの?」
「お腹すかないよ。いつも眠いだけ。」
段々、心配が募ってきて、流石に今日は付き添って交通機関で送ろうと思った。
先に食わせよう。
「何か食うもんを買ってくる!待ってろよ!」言い残して1等近いコンビニに走る。
コンビニのホット・スナック、ヨーグルト、炭酸飲料を適当に選んで、ちょっとした時間でも眠る彼女を起こしてそれらを渡した。
もくもくと食べる彼女を見てても義務的に食べてる様に見える。
一応の完食はしたが眠そう。
のそのそと椅子を並べて眠ってしまった。
なんと無く放っておけないのでいつも持参してる勉強用で、小振りの英語の本、ラノベ、愛読書とも言えるを読んで起きるのを待ってた。
医務室で布団でもと思ったが、比較的暖かいので学ランを羽織らせておいた。
彼女は日没近くでも起きない。
用務員のおじさんに閉鎖時間をいわれて、致し方なく彼女を起こした。
学ランに気付くが、御礼はいいからと移動を始める。近所に公園があるのは知ってたので、連れていく。
ベンチに二人して腰かけると倒れる様に膝枕にされてしまった。再度、学ランを掛けてやる。
日没も近いの未だ起きない。
ワイシャツでは俺が寒いので起こしてみるが、本当に眠いだけという感じだ。
歩かせてもふらふらしてるので、おんぶをしてあげる。また眠る。
駅のホームのベンチでも膝枕。
一体全体どういう子なのだろう?
親が心配をするだろうとこのまま家に帰すしかないので交通機関以外はおんぶで運んだ。
自宅についたらさすがに華奢な子でも長時間のおんぶはキツいので自宅でバタンキューだった。
翌日は俺が遅刻をしたが彼女は学校に来てなかった。その翌日も。半月以上は通学をしてない。
いよいよスマホにかけてみた。
「、、、おはよう。」
「おはようってもう昼も過ぎてるぞ。」
「、、、眠い。」
「丈夫にできてないは分かるがおかしくないか?」
「何が?」
「ほとんど学校に来てないで。単位はどうすんの?」
「私、美術専攻なの。絵が描ければ単位は、多分大丈夫。」
「何かの病気なの?」
「分からない。」
「、、、めぐみん。だよな。」
「ジョンくんはアダ名だよね。」
「明日、学校これたら来いよ。」
「うん。分かった。お休みなさい。」
電話が終わったならば眠ったのだろう。
翌日も、暫く学校に来なかった。
とある夕方、フォーマルで彼女の家を訪れた。
インターホン
♪
「はーい。」
おそらく母親の声。玄関が開く。
「あら?男の子?」
「なんだ?誰だ?」
「はじめまして。僕、同級生の隣のクラスの者です。」
おそらくは父親の声だろう。
「何しに来た?」
「あの同級生なんですけど、桜ヶ丘高校合格の御祝いと、担任の先生から出席日数の事で、僕が行きますといいまして、その、、、。」
適当でしどろもどろである。
「ふーん。分かった。おそがけではあるが、まぁ、上がれ。」
上げてくれた。
だが、彼女は居たのだが風呂上がったとこだった。
実は、家での普段着はピンクの薄い柄物のパジャマだったらしい。
彼女も突然の訪問に少々驚いた様子だが、いつでも眠い方が先行をする
「せっかく来てくれたのに悪いわね。さ、めぐみちゃん。お部屋で休みましょうね。」
彼女は、自室のベッドですぐに眠りについた様だ。
お父さんもパジャマで酒と野球の観戦が趣味らしくテレビとラジオの中継を観て聞いていた。
自宅にパソコンはないらしい。
「お!塁に出たな!」「バントの構えか、、、」「よし!フライだ!」「一点いったぞ!」「今日はホームランだ!」「あー!点を取られた。」
ずっと一喜一憂していた。選手にもやたら詳しい。
僕は小坊のクラブの草野球のセカンドの守備だった。
だが、そこまで詳しくはないけどもバッティング・センターに行くことも稀にある。
お父さんは監督の様に観る専門らしい。
応援球団がコールド・ゲームらしくえらく機嫌が良い。
「いや~お前が来てくれくれたから今日は調子が良いな~!一杯どうだ?」
ビールをすすめられた。
「あの、すみません。」
「あー、お前は未成年だったな。わるいわるい。チューハイ、じゃないな。ジュースでもあったかな?」
「食べてって。」
夕飯には親父さんの酒の肴の残りの刺し身、豚肉の炒め物、ご飯、トマト、ポテトサラダ。
飲み物は、ほうじ茶?珈琲?紅茶?ジュース?どれ?聞かれて、ジュース。答えた。
水でも良かったんだけど。せっかくなのでお言葉に甘える事にした。
「勝った勝った!よし!俺は寝るぞ。」
そう言って結構酔った感じの親父さんは寝に入りドアを閉めた。
母親は「泊まってく?」
聞かれてそのつもりはなかったのだがそういう流れになった。
親には、スマホで「友達の家に一泊だけ泊まる事になった。帰るときは此方からも連絡をする。」心配をさせない目的で、連絡をした。
お父さんの替えのパジャマをすすめられたので、せっかくなのでお借りすることにした。
熟睡してる彼女のベッドの下に布団がしかれてその間、水を飲んで布団に入った。
健康な男子なので彼女に何かをと思わなくはない。
違和感を拭えないし、責任がとれないことは出来ない。結局、そのまま眠ってしまった。
翌朝は土曜。学校はないが、朝食にご飯と味噌汁まで御馳走になって、親父さんからは「今度飲みに行こう。」と誘われ割りと好印象。スマホとテレビで時間の経過を待ったがまだ彼女は起きない。
「めぐみちゃんは起こさないと起きないわよ。」
15時も過ぎた頃。「めぐみちゃん。めぐみちゃん。まだ、アダ名、ジョンくんだっけ?いるよ。」
「、、、」
「はよー、、、」
じゃあ今晩の買い出しがあるから。お父さんは日が暮れる前後にかえるんじゃないかしら?」
「うん。いってらっしゃい、、、」
お人形さんが喋るみたいだ。
母親はそう言って夕飯の買い物に出掛けた。
「あのさー、、、」
「何?」
「俺はお父さんが帰る頃には出るな。」
「うん。」
まだ眠そうに返答してる。
「あのさー、、、」
「なに?」
「どうしていつも眠ってるだけなんだ?家でも學校でも野外でも交通機関でも。」
「分からない。眠いから、眠い。」
「そうなんだ。」
「昨日は何食った?」
「カロリーメイトの何味だったかな。財布に1、000円が入ってたから。その前がうまい棒のたこ焼き。小銭しかなかった。多分、500円もなかった。」
「たったそれだけ?」
「カロリーメイトは高かったよ。贅沢かなぁ?って思って買った。」
コンビニのうまい棒を時々は食べて、財布におそらく母親が入れたであろう1、000円が大金でカロリーメイトが高級品?金銭感覚の違いに、俺は戸惑った。
しかし父親の夕食を見ても小金持ちぐらいの家庭には見えるし自宅は家賃の安い市営の住宅らしい。
異様なものを既に感じていた。
「只今ー。」
「、、、」
父親にはお帰りなさいも言わない。
不仲なのだろうか?
「おぉ!まだいたか!さぁて、野球中継までの時間の間、テレビ、テレビ、ナイターが始まるまでニュースでも観るか。なんだあいつはまた今日も帰ってないのか。どこでしゃべくってんだか。」
そう愚痴りながら自分で冷蔵庫から缶ビールを取り出して注ぐ。
「まぁ、せっかくだから。お母さんが帰るまではゆっくりしてってくれや。」
「はい。ありがとうございます。」
威厳のありそうな親父さんだが、酒が入っただけで明るくなり、野球もだが、電車や飛行機の写真を取りに行ったり、ハーレー・ダビッドソンにも試乗をしてみたい等、多趣味で意外にも喋れる。
趣味に話を合わせて話題の尽きた段階で聞いてみた。
「めぐみちゃんは学校でも授業中でもいつも眠そうにされてます。何かご病気なんですか?」
「いや、俺にも分からん。」
「そうですか。」
「一回、脳ドックったかな?頼もうと思ったが、当時の医者が失礼で治療を打ち切った。今は地元の個人の内科だ。お母さんが病院代がだの金の話で煩いから殆んど行かせれんがな。」
「具体的な治療は?」
「投薬だ。」
段々彼女の置かれてる境涯が見えてきた気がした。
「ただいまー!」
無駄に明るい母親の声。
「今日ねー。久々に友達に会って長話しになっちゃったのよー。」
「またか。俺の夕飯は?」
「冷蔵庫に入ってるわよ。」
「しょうがねぇなぁ。」
めぐみの事を思い出して慌てて彼女の自室のドアを開ける。
やっぱりというか眠ってた。
彼女は家族というか両親と食卓を囲む機会なんて殆んどないのかもしれない。ふとそんな考えが過った。
じゃあ原因はどこに?
メンタルという言葉に殆んど生まれつきの障害?可能性を疑った。
実は、本好きが興じて独学で医学書を読み漁った事がある。
「この子は、めぐみは、何とかしなきゃ。」
考えが纏まってきた。
ならばなおさらだ。
「これ以上は御迷惑になります。またお邪魔させて戴いても宜しいでしょうか?」
「おう。構わんよ。酒が呑める年齢だったらなぁ。」
「また、めぐみちゃんに遇いに来てね。」
ふと思い出した様に棚を漁る母親。
「あ、これめぐみちゃんの写真なの。この子が親戚で外国の有名大学の留学の経験もあるのよ。それで、この子が、、、」
「おい!お前、いい加減にしろ。いつも言ってるだろ。引き留めたら相手が迷惑をするだろ!少しは考えろ!!」
「あらー。やだー。ごめんなさいねー。」
いきなり自分本意だけで、写真で親戚の自慢話の道具の話を持ってこられても知ったこっちゃないし、この母親は今の段階で関心を持てというのが土台無理だと気付かないらしい。
それともふざけてやってるのだろうか?
少々怒り半分、とある病名が思い浮かんだ。
代理ミュンヒハウゼン症候群。
分からん奴はネットででも調べてくれ。
「担任の先生には僕から、そつなく問題のない事を伝えさせて戴きます。それから、お泊めいただいて御馳走にまでなって、ありがとうございました。では、本日はこれで失礼します。」
「今度はドームに野球観戦でも行くか。じゃあな。」
「気を付けてね。まためぐみちゃんに会いに来てね。」
会話は穏やかだが、僕の内心は腑に落ちない。
あの家族はなにかある。
今はそれ以上の事は分からない。
こう言うときは深呼吸。呼吸法で気持ちを落ち着ける。
やり場のない怒りは納まった。
そして、めぐみの事を思い出した。
淡々と喋るが、なにしろ声優か歌手にでもなれると思える程に、声が可愛い。
華奢で痩せすぎにも見える。
しっかり食べれば、それなりにルックスと美人にはなれそうな面持ち。
おおよそ常時だが、フワフワして儚げで扱い1つで心も体も壊しそうな丈夫にできてない気の毒さ。
全部が気になる存在である。
いま思えば「初恋」とも言える。
とは言いつつも、めぐみに知り合う前から好きな子は、何人もいた。
要は、特別なのだろう。
帰路に向かいながらずっとそういう内容の事を考えてた。
僕は、開放的な性格もあってか思った事が口に出るタイプなので特にTPOには気を付け様と思う。
帰宅してすぐにパソコンで病気の事を調べた。
さすがに調べきれずに疲れて布団に入ったが、すぐには寝付けなかった。
それから進級した。短髮にもしてないのになかば無理矢理ツレでもない奴ら
から運動部に誘われて入っていきなり野球部でレギュラー入りして忙しくなってしまった。ファンもついてしまった。
桜高の赤星やら、桜高のイチローやら、桜高の俊足のジョンくん。
なんてアダ名までついた。まー、悪い気はしないし、むしろ気分が良い。
だが、スポーツは学校外の個人のクラブでも通おう。
俺は、めぐみの為にネットの調べものをする方が大事だという考えだ。
めぐみとは時々電話で話す。
彼女は変わらない。
だが彼女の言う様に本当に美術一本で2年に進級は出来るらしい。
僕は、とある春休みの昼頃にめぐみに電話をした。
「、、、元気か?」
「、、、」
完全に無言。
「何かあったのか?」
「引っ越すことになった。」
「?!」
さすがの俺でも驚きを隠せない。
「どこへ?」
「市内。」
ほっと胸を撫で下ろした。
「びっくりしたよ。なんでまた?」
「お父さんが持ち家を買うんだって。マンション。学校とお父さんの職場が近くなって楽になるの。お母さんだけが反対してるけど。お父さんが俺一人でも住むって言ってる。」
「なら良かった。」
「あのね。」
「なに?言ってみ。」
「引っ越しって、初めてでちょっと楽しみ。」
彼女の、初めて、嬉しそうな声を聞けて俺まで嬉しくなった。
「じゃあ、近いうちに遊びに行きたいな。」
「ジョンくんなら歓迎するよ。」
もう決めた様なもんだ。
謂わねば損だとばかりにめぐみに伝えることにした。
「明日の進級式にこれないか?」
「行くのしんどい。」
予想通りの答え。
迎えに行く。後、ちゃんと送ってくから。渡したいものがあるんだ。」
「なに?」
「気に入るか分かんないけど、受け取るだけでも。」
「分かった。頑張って行く様にする。電話で早めに起こしてくれる?」
「おう!じゃあ今日は早く寝ろよ。」
「うん。眠いから。おやすみなさい。」
僕は数日前に買った小振りのケースに入った、とある彼女へのプレゼントを引き出しで確認してめぐみを見習ってさっさと寝てしまった。
~~~~~~~~~~
(中編へ続く。)
次のエピソード
第1話『彼女のみ見える空の色が俺にも見える件。』(中編)
翌朝はアラームで目覚めて出発。の前にめぐみに電話。
「今からそっち向かうぞ。」
「起きた。」
彼女の自宅近く、再度電話。
「出れる?」
「今から出るとこ。」
「駅の途中の自販機のとこいるから。」
「すぐ行くね。」
待つ間プレゼントを手に眺めてた。
気配でめぐみだと気付く。
気付くと彼女はニコリと笑顔が自然にこぼれた。
「なに?なんだった?」
「もう渡すよ。これ初めてのプレゼント。誕生日にはもっと良いもんのにするから楽しみにしててくれよ。」
「?」
「開けるね。」
包装とリボンと箱。
中身はラベンダーの、アロマ・オイル。
追加で、駅前の花屋さんでブーケ。
カスミソウ、白や黄色やオレンジのガーベラ、1輪だけの赤い薔薇。
「、、、綺麗なお花。」
「こっちも、ラベンダーには不眠に効くらしい。集中力も上がるらしい。」
「、、、。」
「めぐみちゃんってさ。飯やらに強力な眠剤を入れて飲まされてるみたいだよ。でなければおかしいよ。」
「?!」
全く気付かなかったらしく驚いてた。
同時に自主的に服薬してない事も理解した。
「ちょっと、腕良い?違う。左腕。」
一応、脈を診る。
「今度は右腕。」
持参した血圧計を小振りなリュックから取り出して右腕の関節のちょい下に少し弛めに巻いて計測。
待ってる間のめぐみは、何をされてるのだろう?ちょっと不安げであるが、此方は必要を感じてやってることなので。真剣に数値を見てる。
血圧 60 30 脈拍120 (不整脈のマーク)
殆んど、確信をしながら血圧計を外して仕舞う。
「やっぱりな。眠剤。よりも問題の薬も入れられてるかも。」
「なに?何が考えられる?」
「端的に結論から言うと、毒。」
「?!」
「薬と称して毒を入れられてるだろうな。ってこと。副作用とかってマトモな主作用がなかったり。薬の名前って間違えやすい。似て非なるものも多い。」
「、、、」
「しかも、お父さんの薬もだろ?お父さんは酒ってアルコールを好きで呑んでるんだから。一応は心配をしてるよ。しょうがねぇなぁぐらいの感じもあるけど。多分本来は良いお父さんだよ。酒だけが問題だけど。」
「お父さん苦手。」
「ちゃんと話し合えって。それは楽な方を選ぶべきじゃない。」
「問題は、あのお母さん。あんな人いないよ。言いたくなるぐらい意味不明で訳のわからん人にしか見えないよ。」
「お母さんは話しやすい。」
「女同士だからね。でもあのタイプの人は他人に対する嫉妬心や、異常な執念を感じる。なるべく遠くに、距離をおくのがベストなんだけど。女親が娘のストーカーになるって、ネットでも凄事例が増えてるぞ。身内には介入できないって警察は対応が出来ない。」
「めぐは、先ず近所の内科で綜合病院の紹介状をお願いして、病院のカウンセリングでも何でも受けるべきだよ!あっと、大学病院は設備重視だから手術やらはおすすめできるけども、研修医の練習代にされる事が多すぎるから。名医を探した方が良い。」
「それから大学病院は大金を積まないと名医にも会えないから。俺らみたいな貧乏人は、個人のクリニックで良い先生を探すか、或いは、医者の通う病院が一番良いからそうするべきかも。」
少々焦りからか、活字にすれば、長文、乱文になってしまう感じだ。
あの家にいたらこのまま。
さりとて未成年。僕も悩んでる。
「どうしよう。というかどうして。」
笑顔が不安気な表情から泣き顔に変わろうとしてる。
「少し時間をおいて考えよう。」
「私が、お父さんに抱っこされて起きたときに、こんなんでも生きてるからってお母さんに内緒話みたいにしてた。まぁ~た、そんな事言ってって返してた。」
徐に、めぐみが制服のスカートの右を捲し上げる。
「ちょっ!///」
「違うの。みて。」
足に色素沈着。
「ひだこ、だって。」
「お父さんが酔っぱらって、グツグツに煮えたヤカンの熱湯を両足、特に右足に掛けられた。声を上げるなって。叫ぶことも出来なかった。レジャーシートの上で寝かされてたから温度もすぐに下がらなくて。結構、色素沈着の後が出てきた。何で俺がみたいに言ってた。熱湯はお母さんが沸かしてた。今は痒みやら痛みやらはないよ。」
前から気になってた。
いつも彼女は手袋をしてる。夏は暑そうだがそれでも取らないで隠すためにどっかに逃げる様に隠しに行くことも多い。
その手袋を初めて外した。
テープと絆創膏で、殆んど全体が痛々しい程に気の毒な傷だらけ。
それでも好きなデッサンはやめないらしい。
「幼少の時期なんだけど。お母さんに、フライパンを熱々にしたのの裏とかでジューってされた。それで外用薬をベッタリつけて絆創膏を張ってくれた。」
「総合病院に数回だけ搬送をされた日は、主治医の先生がこれは大変だって、金属音のカチャカチャが苦手で、眠った。起きたら、右手の引っ掻きキズだらけの一部酷いところだけテープを巻いてくれてた。看護婦さんが娘さんがこんな状態で泊まってかれますか?って言ってた。お父さんは放心状態で、お母さんが即答で帰りますって答えてた。もしも一泊だけでも、入院をしたら、1食ぐらいは上げ膳据え膳だっけ??食べれたのかな?」
端的には、虐待だ。
「お母さんは、家が火事になって火の粉でそうなったって言いふらしてる。うちは火事なんてないし、近所の火事を滅茶苦茶楽しそうに大喜びで私を自転車の後部座席にのせて見に行った。お父さんは不謹慎だっても聞かなかった。お母さんと自転車で満月が追っかけてくる話みたいのはたのしかったけど。」
「火傷だけならまだしも、劇薬を塗ったんだろうな。」
「お父さんは、反省の出来るひとなんじゃないの?お母さんの事までは知らんけど。」
涙目の彼女は一言。
「そう。」
単に女の子と付き合いたいとかそういう感情とは別の何か。
俺もこれまでそれなりに受験やらで苦労をしたが運が良かったのだろうか。
気の毒、としか言葉しか出てこない。
今しかないとばかりに言った。
「めぐみちゃん。俺と付き合ってくれ!」
「?」
「病気も良い病院やら名医やら探す!」
「付き合うの?」
「放っておけないんだよ!思った。」
「そうなの?」
「もう一度言う。僕と付き合って下さい!」
頭を下げる。
そうして顔を上げると、戸惑う彼女。
「嫌、なの?他に好きな奴でも?」
首を横に振る。
じゃあOK?
(頷く)
「わかった。」
嬉しくてつい抱き締めてしまう。
この日だけは無断欠席で、めぐを近くの公園に連れてってベンチに座ってさらにその上に座らせた。やっぱり眠いのか肩を枕にされてぼんやりしてる。
結局めぐは眠ったので、僕もそのままベンチで眠る事にした。
気温が下がってきたらしく。
「寒い!」
めぐは起きた。つられて起きた。
「今日は僕の家に来てみる?飲むアロマって、医師に相談をしながらの治療法もあるらしい、アロマ・キャンドルも買い忘れた。」
めぐは頷く。
「両親の連絡は。」
「したくない。」
不義理とも思いつつもめぐが怒るのも当たり前だ。
自宅は市内でも東西で少し遠い。
一応、両親に連れてく旨の連絡をした。
移動中はずっとめぐを支えてやってる。
それが安心するのか、乗り換え以外は寝てる。慣れたし返って安心だ。
自宅に帰る。
「只今ー。女の子連れてきた。」
客観的にも、良くスレンダーだと言われる母さんが迎える。
「あら。そんな事って、初めてね。始めまして。お名前は?」
「めぐ、、、めぐみです。」
知らない人に怯えてる。
「なんにもないけどゆっくりしてってね。」
「はい。ありがとうございます。」
打ち解けた?
「お父さんは、連絡があったわよ。残業でそのまま夜勤かもしれないわね。」
実は、僕も、黙ってた事で加担したことになるが、これは、母さんの演技で、両親は既に離婚をしてた。
だが、僕が初めて家に女の子を連れてきたって、喜んで連絡をしたらしい。
「せっかくだし出前でも取りましょうか?ジョンくんから聞いたのよ。虚弱だって。外食もキツいでしょう?何が好きかしら?」
「、、、何でも良いです。」
「じゃあお寿司で良いわね。ジョンくんはピザが好きだからそれも頼みましょう。」
「すみません。」
「気にしないで。」
出前が届く。
「戴きます。」
「めぐは食べながら寝そうである。」
「大丈夫?ジョンくんからいろいろ聞いたのよ。お布団敷こうか。」
めぐの携帯が鳴る。
妙に勘が良いのか?
或いは、遊びの誘いも殆んどは断るらしく不義理が多くて親友やら友達がいないのか?
あからさまに嫌な表情をする。
「、、、お母さん?うん。わかった折り返す。」
「お父さんが早く帰れって。」
俺は母親が言わせてるとすぐに勘づいた。
「仕方がないわね。お父さんには伝えておくから、次はゆっくりしてってね。」
ふいに玄関の開く音。
「ただいま。」
「おかえりなさい。」
「めぐ。うちのとーさん。」
「初めまして。めぐみです。」
「初めまして。なんだお前にもやっと彼女が出来たのか。」
「いきなり何なんだよ!///」
「いつもいってるだろ?早く自活して、ナンパでも何でもフィアンセ見つけて子供つくって家庭持って。」
「父さん!めぐみが混乱すから先走りな話をいまするなよ!」
「めぐみちゃんか。可愛い彼女見付けたな、お前には勿体ないからお父さんがもらっちゃおうかな~?な~んてな。」
「やだ、あなた!冗談がもう!」
「あの、そろそろお遑させて戴きます。ご馳走さまでした。しつれいします。」
そう言って駆け出す彼女。
俺の両親は気付かないが、母親の操り人形にも見受けられる。
~~~~~~~~~~
月曜になって学校に着いたらクラスメートの仲が良い奴で、中田、竹之内にすぐに自慢してみた。
「多分、俺、彼女が出来た。」
「マジ?どんな子?」
ちょっと、というか、悩んだ末に当たり障りのない返答をする。」
「まー、普通に可愛い子だよ。
美術学科だとさ。
エヴァで言うと。
俺は、元はアスカ派なんだけど、綾波さんみたいな雰囲気。
とらドラでいうと逢坂大河みたいに華奢で小柄の。
長門有希みたいな眼鏡の大人しくした感じの子。
綾波さんみたいに父親にだけ良い顔をするのとは逆のタイプかな。
優しい女の子だよ。
大河みたいに成績優秀という程でもないけども喋るとそれなりに頭が良いのが分かる。狂暴なとこもないし。
長門みたいに本は読まない。『不思議の国のアリス』みたいな理論で、絵のない漫画は読む意味がないらしい。いつもどこでも寝てるけどな。」
「なんだ?!ベタぼれじゃん!写メとかねーの?」
「数枚はある。」
「見せろって。」
「ほれ。」
「ちょ~かわいーじゃーん!ポーズも照れてる感じとか!俺にくれよ!は冗談だが、でも、ちょっと、痩せてね?」
「美人か可愛いかだと可愛い系だね。童顔だけど本当に同級生?飛び級じゃなくて?」
「お前らも誉めすぎだろ?でも、家庭の事情が複雑なんだとさ。」
「あと女子高生二人誘って遊びに行こうぜ!俺今フリーだから。」
「僕も、フリーだけどどっちでも良いですよ。」
ちょっと困った。
「彼女がOKするかなー?部活は漫研だけど殆んど顔を出してないって話だし、特に同性に好かれるタイプらしいけど、、、病弱らしいんだ。」
「なんか気の毒だな。じゃあ具合悪そうになったら俺らでフォローしてやろうぜ。基本はお前が介抱しろよ。」
中田がノリノリでそういう軽い感じ何だが、突っ込みやすくそういう意味で付き合いやすい。竹之内はちょっと存在を忘れられそうな印象の薄い好青年といった感じだ。
実は、朝比奈とは同中だが、ここにきてそれなりに仲良くなった。
「女子二人はどうする?」
会話を聞いていたクラスメートの金髪?茶髪?で化粧はケバケバのハデハデで見るからに筋金入りのギャルが割って入ってきた。
「なに?合コン?イケメンくんの?」
「イケメン?俺は勿論行くぜ!」
俺は中田の発言に呆れる。
「中田ってちょ~面白いね~!この3人だけ?」
「いまんとこな。なんなら他のクラスも誘ってカラオケ大会でもすっか?」
二人めのギャルが喋る。
「OK!オール決めちゃう?」
さすがに制裁をする。
「俺ら未成年だぞ?保護者の付き添いもなしに学校帰りにカラオケでオールはダメだって。」
「ふーん。ジョンくんって意外と固いんだね。何?風紀委員?ちょ~受けるんだけど~!!」
内心いらっとしたが堪えた。
「センコーに見付かったら内申に響くぞ。それでも良いなら止めんけど俺はパスする。」
さらに別の特に印象のない普通な感じの女子も入ってきた。
「私だよ。風紀委員って。まー、しょうがないねー。土日の休み、、、。もういっそ平日の午前でも休む?風邪で病院とかって。」
値段を気にする方が論理的なので妥協した。
「1クラス分ぐらい集めちゃう?他校も誘おうよ!」
「すっごいねそれ!ネットのダチも集めてオフ会だね~!」
勝手に話がすすむ。
俺はめぐの事しか考えてない。
誘って来る来ないは五分五分だ。
眠いのと年中風邪を引いてる感じの子なのだが付き合い出してからは何も断らない。
余談だが、彼女とは、手を繋いだのと、公園のベンチの抱っこと、眠ってる時に軽くキスしたぐらいで、他は何もない。俺的にそれで十分と思ってるからだ。
ただ一度だけ、野外のマンション裏でハグをして堪えきれなくなりそうだった事があったがやめた。彼女が少し怯えた表情をしたからだ。
更に正直な事を1つ上げれば、俺も軽度ではあるがメンタルの病気の傾向があって、仮にいまsex(翻訳 : 性別)に持ち込んだら、それが原因で病気を悪化させる幻覚、妄想にかられたのもある。
同意のうえの事ならばそうそうはないのだが、病院に行く程か判断に迷って未だに行けずにいる。
結果論で言えば行けば解決をしたのだろう。
日本の法律では男子18才女子16才からだったのが、男女平等をうたう声でなのか現在では一律で18才からの結婚が認められてるが手続きの話だ。
古代旧石器時代には何歳から出産が一般だったのか流石に不明で論証はないのである。弥生、飛鳥時代辺りでは12才から14才の出産でも当たり前だったと古事記他にはある。ちなみに王族、貴族、の話である。女性の生理がめどであろう。
医学的な出産の適齢期は23才から24才とも聞いた事がある。
ともかく、めぐの体を考えると寿命も気になるが医学の進歩に多いに期待をしてる 。
内心では結婚を考えてるという事だ。
俺は一人っ子で何でも親から与えて貰ったがやっぱり寂しいので子供は欲しい。
そうこう考えてるうち竹之内に声を掛けられた。
「考え事?気分でも悪いの?」
「いや、なんでもない。考え事の方。」
「めぐみちゃん?」
頷く。
「中田はKYだし、僕も気にはしとくよ。 」
予定は翌月の終業式に決まった。
スマホでめぐに聞いてみる。
「カラオケ?苦手。」
「どうして?」
「1度、皆の前で歌わされて、歌詞で涙声になってから。恥ずかしくて、もう、ヤダ。カラオケ嫌い。」
感傷的な子なんだな。
「分かった。次、同じことになったら俺が全力でフォローする。だからせっかくだから、来て欲しい。」
「はい。」
(続く)
次のエピソード――第1話『彼女のみ見える空の色が俺にも見える件。』(中編)
第1話『彼女のみ見える空の色が俺にも見える件。』(後編)
「入学時に運動部に席だけ入れたろ?その時なかば無理矢理誘った女子いたろ。あの子、お前を友達だから気になるってたぞ。」
後々になって本人に自覚がないのに彼女を知る人がやたら多いのに気付かされた。
「また、あの、いつもの公園の広場のベンチで待ってるから。気分が悪くなったら直ぐ帰れるから。」
「はい。行きます。じゃあ、その日だね。また連絡も、、、」
「こっちからもするから。またな。」
当日の事は不安だったが、決まってしまったので一旦は忘れた。
その日は、一時間以上も前についてしまい、めぐの家に行こうか迷ったが彼女を信じた。
待ってる間は、読書。大体、2冊から3冊はリュックに入れてる。スマホは充電の持ちが心配なので、携帯充電器も準備万端だ。
ほとんど時間通りに俺の前に表れた彼女は少し違った。
彼女の頭髪は、カラーリングのみは、美容院でお願いしたと言う。
濃いめのブラウンの髪。
パーマも毛先だけ軽くかけたらしい。
白のワンピースにピンクのはおりもの。
自分で、素肌に合うファンデーションが見付からないからしないのでそれ以外。
おおよそは、ナチュラル・メイク。
眉墨、チーク、リップ・グロス位、まつげは普通に長めなので、つけまはあることを知らなかったらしい。
「ジョンくんに会うから。それにカラオケ苦手だけど大勢の人前に出るって聞いたから。」
「僕的には、すっぴんで良いんだけども、可愛いよ。流石は美術が専攻だけあって、手先が器用なのかな。お化粧がとっても上手だね。」
彼女は、俯いて恥ずかしげにする様子。
僕は、軽く抱く。彼女は、ちょっと驚いて、僕の胸に顔をうずめる。そうして、軽い力で抱き返してくる。
僕は、顔をを上げてと軽くキスして手を繋ぐ。
僕は、彼女が倒れない様、気を使いながら、繁華街のカラオケボックスに向かう。
移動の電車はやっぱり眠ってる。肩を貸す。
着いたら騒がしいのなんの。
本当に、40人近く集めて一部屋を借りるらしい。
あいつらやりやがった。笑いを堪える。
という場合じゃなかった。大声を張り上げて叫ぶ様。
「トップ・バッターはめぐみんに歌わせてくれないか?」
「おー!えーぞ!デュエットか?」
ヒューヒュー歓声があがって、慌てて。
「ちっげーよ!めぐのピンだっての!」
めぐは、終始不安そう。
「頑張れって!度胸をつけるチャンスだから。」
耳打ちをする。
イージーリスニング、スウェデゥッシュ、英語の童謡。迷ったがそれなりに知られてそうな選曲をしてた。
音楽の伴奏が流れる。彼女が歌い出す。
18番なのか?
最初から声は小さめであるが音程は完璧だ高音域の声がかなり綺麗だ。
感覚がつかめたのか段々、綺麗な歌声が、所々歌手と見間違う上手さだ。
少しだけ要所要所の振り付けも入ってる。
歌い終わると暫くは誰も口を聞かない。
女子の一人が喋る。
「、、、声が凄く綺麗だね。」
めぐは恥ずかしそうにペコリと頭を下げて、そそくさと大人数のカラオケボックスを出る。
二曲目からマイクの取り合いやら、いきなり口説く口調のギャル男やら、既にカップルがいちゃいちゃし始めたがスルー。
俺もすぐに追い掛けるが見失った。
しばらくして戻ってきたので安心した。だが。
「良かったぞ!」
「もう疲れた。帰って寝たい。」
「そういう約束だったもんな。どこ行ってたの?」
「緊張でしんどくて気分が悪くなったからトイレで隠れてた。体を起こせなくてしばらく床で横になるしかなかった。」
パニック発作だ。治まって良かった。
けど、トイレの床って、どうして俺に一言も言ってくれないんだ?
付き合い初めでは、未だ信用をされないのか?
まー、彼女を気遣うのが今日の俺の役目なんだから、細かい事はどうでも良い。
トイレは綺麗にしてあるけども、俺が一張羅を洗ってやりたい。
僕の、自慢話で申し訳がないけども、もう高校生だし、いろいろあって多少の苦労を強いられたのもあって、母さんに仕付けられた事もあって一通りはこなせる。
「めぐみちゃんの可愛い一張羅が汚れてない?変えて僕に渡してくれれば自宅でもコインランドリーでも洗ってあげるよ。」
「普通に頼めばお母さんが洗濯をしてくれる。1度畳むのを手伝わされた時は、始めてで良く分からないのに、いきなりダメ出しをされてから頼まれてない。あの人滅茶苦茶元気で健康自慢をするし、あの家でする気はない。」
だろうな。僕は、思った。
「帰ろうか。」
「おーい!」
後ろから何となく聞きなれた声。
「うちや!うち!」
「あぁ!」
「今日は誘われてんねんできたったわ。名前もまだやったな。あかりいうねん。あーちゃんがあだなやさかいによろしゅうなー。」
「それとこの子。北中出身や。東中と仲が良いみたいでめぐのこともかなり知ってて驚いたわー。」
「アダ名は、ナンシーです。よろしくお願いします。」
俺と同じで、安易に、実名で呼ばれたくない、覚えられたくないタイプか。
「よろしくな。なーちゃん。じゃないナンシーちゃんか。」
ちなみに余談ではあるが彼女のアダ名はさらに、アスカ、なつみ、いろいろあるらしい。
さらに、朝比奈はまだしも、中田まで来て面倒なことになった。
「トップバッター良かったぜー!歌声だけで惚れちまいそうだよ。って、ジョンの彼女か。変な事言ったわり~わり~。」
中田には黙ってて欲しい。
「めぐちゃん。顔色が良くないよ。具合が悪いの?」
竹之内。ナイス・フォロー。
「、、、ぜんそく。」
「?」
「お薬持ってるから。ちょっと使わせて。」
見るからに苦しそう1階のソファーで休ませる。
「救急車呼ぶか?」
「大事に出来ない。少し休ませて。他の子達には言わないで。せっかく楽しんでるのに。前から計画したって聞いたから。」
こういう気の使い方が切なくなってくる。
俺、竹之内、あかりちゃん、ナンシーが付き添う。
無駄に元気な中田は飲み物を買いにいかせた。こういう事には使える。
彼女は眠ってしまった。もう慣れた。
耐性のない他は戸惑い、中田は起きたら呼んでくれとカラオケ大会に戻った。呼ぶつもりはさらさらないけども。
朝比奈、ナンシーはスマホで音楽を聞いてる。あかりちゃんは小説、文学書、ラノベを読んでる。
起きた。しばらくしたら落ち着いたらしい。
電車でも帰れそうというので駅まで皆で向かった。
まだ眠そうに歩く彼女。を支える。
くどい様だが3人には耐性がない事もあって一言も口を聞かないままで駅に着いた。
ベンチで恒例の膝枕。3人は立って待ってる。
竹之内が無言で近付いて来た。
何かと思えば、ちょっと哀れんでるかの様な複雑な表情でめぐの頭を思いの外長いことなでなでしてた。
めぐは一応気づいた風だが安心したかまでは知らないがまた眠った。
「たいへんだけどがんばったね。」
そう言ってるかの様だ。
「間もなく、1番線に電車が到着します。白線の後ろに下がって、足元に御注意下さい。」
到着のアナウンスから、警笛と共にゆっくりと速度を落としながら、殆んど停止線の調度へ電車が停車する。
俺とめぐは電車に乗った。
電車の窓から見ると、笑顔で見送る3人。
おかしい。3人は途中の乗り換えまでは一緒のはずだ。気を使って二人にしてくれたのか?
電車では肩を貸す。眠ってる。
待ち時間はあったが少しなのでバス停で待つ。どこでも眠る。立ったままでも寝れるらしい。
バスで今日は自宅側のいつもの場所まで送る。
自販機の前。
「ホット?アイス?」
「えっと、アイス。」
カフェオレを買って渡す。
握力が相当弱いのか?上手く開けられらないらしい。俺がさっさと開ける。
喉が乾いて仕方がないとも言ってた。
両手でアイス・カフェオレをぐいぐい飲み干す。
一息。
「御馳走様でした。凄く美味しかった。」
「礼はいいから、年中風邪引いてるみたいな感じだしちゃんと病院に通えよ。」
「ジョンくんの言う通りにする。」
カフェオレのカフェインがそうも効くとも思えんがしっかり起きてる様だ。まー、ずっと寝てたし。
「本当に歌の声が綺麗だね。普段の声はは可愛いよ。」
「、、、///」
褒められる経験も少ないのか照れて恥ずかしそうにするのですら可愛くて仕方がない。
ふと、そもそも俺のめぐに対する感情って何だろう?
言葉で表しづらい。
女、なら誰でも良い?
と聞かれると大半の漢はどう答えるのだろう?
彼女は、少なくとも特別な存在だ。
哀れみ?否。それだけなわけがない。
~愛情~とうい表現の方法が、月並みであるが取り合えず、しっくり来る。
心地よい涼しげな春らしい夜風。
「サーーー、、、」っと、音をたてて、木々の葉の靡く音。
そして二人の髪や衣服をも靡かせる。
僕は、暫くの間、無言で次に発する言葉を考えてた。
(続く)
前のエピソード――第1話『彼女のみ見える空の色が俺にも見える件。』(後編)
第2話『彼女のみ見える空の色が俺にも見える件。』
桜の舞う季節、紅葉の美しい季節、個人的な意見でもあるが、どちらも過ごしやすくて好む、穏やかな気持ちで過ごせる方も多いのだろう。
僕は、殆んど泳げないので夏のプールは強いては行かない。いや、彼女とイベント感覚で1度は行った様な。
僕は、大人数でワイワイガヤガヤするのもたまにはと思う。
竹之内、あかりちゃん、ナンシー、中田もいたっけ。日程を合わせて行った。
彼女は、スク水とまではいかないが、紺の水着で子供っぽくて殆んど変わらない。、選んで上げても良かった。通販でも何でも。
それからレジャーシートとテントも張ったら眠ってた。暑くても、そうなるらしい。
俺的には、値段と形状で、ビキニを可愛いく着こなして欲しい。
ビキニにっても色柄の種類が豊富。僕でも迷う位だ。
白、黄色、ピンク、意外と黒でも可愛いかな?etc…
何を着せても似合いそうだ。
下着とは違うけども僕は女の子のリボンの付いた衣服がお好みなので。
ピンクやら、赤やら、黄色やら、白やら、縫製でもしてあげようかな。
縫製みたいな座り仕事は絵画と同じで得意だというので自分でやりたがってこだわり出すかも。
白みたいな薄目のフリルのも見てみたい。
僕の水着は、彼女に選ばせたら真剣に選んで、白をベースのグレー?グラデーションのにブランドのロゴ入りだった。
「これがここの店で一番似合うと思ったから。」
流石は美術の専攻でセンスには長けてる。
本人のスク水擬きはさておき。
まー、入学前に、友達数人とでナンパをしてみたくて、その時に買ったハイビスカスの青はあったんだけども。
その海でのナンパは女の子は誰一人としておらず、一泊をした翌日はざざぶりの大雨で海水浴は中止。
代わりに近所で美術展がやってたのでそっちに行った。
有料は承知の上だけども未成年には刺激の強いR18の写真を中心に集めたという美術展だった。
流行り廃りはどうだか分からないけども、良く入場をさせてくれたものだ。
なんてお笑いでしかないしょうもないエピソードもある。
僕は、文系だ。以前にも書いたけども。
時として、暇ををもて余せば?
要は、何やら長文になるであろう。文章が書きたくなった。
乱文は一々修正が必要だが致し方がない。
それはそれとして。話は戻るけども。
僕がお好みのお洒落もあるが、薄手のパーカーみたいの。
或いは、腰に巻くでかい布?パレオ。
それか、デニムでも用意をせんと人前に出るのを恥ずかしがるだろう。
僕の主観で相違はないんだけど。
彼女は、何を着せても可愛い。
どんな格好をさせても似合うだろうと毎度のごとくのろけ話、或いはベタベ惚れアピールとでも言うのか?話ばかりで済まない。
俺は、冬の過ごし方は、とかく温泉が好きで健康センターみたいな大浴場の温泉が慣れてる。近郊の温泉はいろいろと行った。
これも彼女と趣味が合うのだが、彼女はシャワーの温度管理が気に入らないと、ちっともスッキリした様子を見せない。
お年寄りの女性が50℃の湯じゃないと入った気がしないとテレビで観たことがあるけどもかなり近いものがある。
うちのアパートはシャワーの温度設定が最大で60℃も出るので追い焚き用だ。
彼女はいつも45℃から47℃に設定をしてるので、震えるほどに寒がってる時は本当にシャワーを50℃にしてる事もある事も屡々。僕には少し熱いので40℃から42℃に設定をし直す。
慣れてよ。と無茶を言われた事もあった。
ネット・カフェのシャワーはあるところだと彼女的な適温が浴びれるので御満悦だが、どうもシャワー室に窓がないのは仕方がないのだが、それでついドアを開けっぱにしてしまい結局、僕か店員さんが、拭き掃除をする嵌めになってになって中々変わらない。
マッサージ・チェアが使えると冷えで凝りも酷いのでとても寛いでしまって三時間パックのつもりがいつも六時間パック。
僕は、カラオケが大好きで、ようやく度胸がついたのか段段ノリノリでマイクを離さなくなったり連続で選曲を入れすぎてやっぱりパックの時間が過ぎてしまうことも屡々あったりする。
せっかくなので、監視カメラの真下で抱き合ったりキスしたりちょっとだけおさわりを、あ!ごめんなさい、、、。やら、すいません。やら言いながら。それ位の程度で、本当にカラオケボックスで本番に持ち込む方もいるのですが、店舗の迷惑行為に発展とも言えるのでやめましょう。
彼女は、酷い冷え症もあるので末端で特に足は靴下を二重に履いたり、祖母のプレゼントの手編みの靴下を愛用してた。
今更ながら彼女にラブレターでも書こうか?
驚くかな?メールで十分って言われるかな?またいろいろ、彼女に付いての考え事が尽きない。
また季節は巡り、月日は流れに流れ、何処かで聴いた様な台詞やら歌の歌詞やらだ。
僕は、大学とバイトの両立がムリで中退をした。
都道府県立で、通信はなかった。
レポートの提出などがかなり厳しい大学だった。
よっぽど金と時間に余裕のある奴でないと卒業はムリだったろう。
6年生の弁護士やら医者等はもっと家が金持ち、或いは勉強が出来る方だろう。
仮に奨学金制度を使っても返すべきものらしい。
他人を羨んでも仕方がないし、格好が悪いだけなので、俺が今出来ることをするしかない。
しかし、日本の社会はどうしてこうも。
正確には、中小企業や大企業を問わず、どこの会社でもよくある話らしい。
安い給料でも雇えるバイト学生や、パート御姉さんを使いたがって学業等に専念ができなくなる。
自分で経営してるのは、やはり元より余裕がある方々である。
資本主義の格差社会の決定的な問題点のひとつである。
時給500円位でも雇ってる時代もあったらしいけども。最近では漸く地元の地域の都道府県の法例で、時給800円以上が定められた。
そうして、少しはましになったけども円安が著しく、食品。生鮮から、加工品から、何もかんも値段が上がった。
父さんだったか、母さんだったか、めぐみだったか、スーパーで食材の買い込みの日の度に気付かされる。
自販機で飲み物を買う機会がある方は分かるだろう。10円の値上がりでも頻繁に買えばそれなりの出費である。
儲かってるのは政府にコネやらのある一部の有名な大企業である。
めぐみも、実は高校から少しはバイト、卒業をしたらフリーターになったけども、例のブラック企業だったのだろうか?
時給は、高校生は680円程度(田舎になると650円だとか)でファースト・フード店で酷使をされてた、フリーターでも平均して事務系に分類をされるコール・センターでも1、000円そこそこ。
丈夫に出来てない彼女にもつはずもなくどこのバイトも続かない。
履歴書には毎回、自主退社とはさせず、一身上の都合、或いは解雇とした方が社会保険労務士の受け売りだが、法的に有利なのでそう書く様に教えた。何よりも今の御時世で高卒では、とも思う。
彼女は、高校の恩師からデッサン等へ対する技術というか、腕の良さというか、とかく買われて、先生の側から積極的に東京の大学の推薦状を書くという話も聞いた。
実は、美術講師(教師)になる為、地元の大学の入試は、高1の時から視野に入れてたらしい。
東京とあらば、本人がこの頃からハマり始めた健康食品(後述をする。)の会社で勤めつつ病気治癒を目指したい。という夢も語ってた。
だが、例の如く母親が父親に言わせる形で(本人は、この段階でもどうしても気付かない。)入学金しか出せない。通学の費用はバイトで稼いで自分でどうにかしろ的な話で諦めた。
彼女の夢は、いとも簡単にあっさり潰された。
そして、高卒で正社員。
どう考えても不向きな立ち仕事で本人にとっては相当の疲れも相まって半年どころか、5ヶ月で退職。
母親が、一応、御父さんにも話なさい。と言うので言ってみれば。
せっかく高給取りになれる可能性のある正社員をなんで辞めちゃうんだ?って嘆かれたとも言ってた。
当時は、フリーターと言う造語が流行り出した頃。
彼女は、横文字の職種に憧れるという妥協した形ではあるが夢が叶ったって喜んでた。
だが、眠るのが中心の生活は変わらなかった。
ヤブだか大学病院の練習台で病院で本当に薬と称して毒を誤って処方をされてもそう体に残るものでもない。
やっぱり岷剤を相当の量を幼少の時期から食事、というか主に粉ミルクに混ぜて服薬をさせられてたのだろう。
薬でボーッとしてる彼女でもあちこちに、特に、手や間接など生活に困窮をする部位、思いの外目立つ部位、わざと酷い火傷をさせられた事は覚えてた。
虐待というよりもはや犯罪である。
そうそうあるもんじゃないと思われるのだが事実だった。
彼女は、二十歳を過ぎた。
1つ、こんな事があった。
僕は、一人暮らしを始めて家に泊まりに来てくれるという話の事。
彼女のマンション近くのいつもの公園で待ってた。玄関の開く音がしてもしかしてと思い見ると激しい口論の声。
いつものピンクのパジャマで白の羽織りを抱えて飛び出してくる。
母親は冷たい目線で、「あの人恐い人だよ。」捨て台詞を残して玄関を閉める。
酷い言い掛かりだとか思う前に、利き腕に握り拳が出来る。
彼女の走る音が近付いて来る。
僕は、ベンチから立ち上がる。
公園の木陰から彼女を確認したら直ぐ入り口の前で見付けた。
彼女は、ボロボロに泣きながら、走ろうにも喘息が出てきた様で歩きながら此方に向かってくれるが、歩けずに立ち尽くす。
僕が、駆け出して彼女を抱き留める。
息を、ヒューヒューゼーゼー言わせながらへたりこんでしまった。
ちゃんと、ポッケに薬は常備をしてあったので直ぐ様使わせたら漸く落ち着いてくれた。
僕は、パジャマの砂をパタパタって払って、僕が、服はショッピングセンターで探せばいいやって、いつもの虎猫タクシーを呼んで自室へと連れてった。
彼女は、早い時間から居てゆっくりしてくれてその日の内に家に返し、後日パジャマだけ渡した。
僕は、暫くして大学を中退後は暫くはバイトを続けて後に営業マンになった。
だが、営業の職務がどうも不向きで主にメンタル面の苦痛で職場を変えた。
転職先は、とある、隣接県に支店もあって業員数も多く地元ではそこそこ名の知れる警備の会社だ。
そこもそれなりに何年かは続いたけども大手降って喜べる会社ではなかった。
余談ではある。
後の、その会社はお上のゴタゴタだか友達憶測だが、会社名を変えたか、支店を別に作って左遷をさせられた方々もいるらしい。
アルバイトの僕には、殆んど関係ない話であるが、仲間内のその会社を辞めた友達から聞いたので一応報告まで。
ある日の出勤時の早朝。
当日の朝に事務の人から突然その報告を受けた。
その会社に、家で眠ってるだけだと思ってた彼女が突然、僕の部下として現れた。
しかも偶然会社名をそれほど仲良くもない人から行ってみればと半ば投げ槍に言われたからだと後に語った。
つまりは、僕がそこにいることを知らないで来たと言う。
久方振りに見る彼女は、高校の時よりも更に少しだけ色を明るくした茶髪の長めのボブ風で机にふっつぷして眠ってた。
事務の管制のおっさんで僕の上司から起こされた彼女は見るからに眠そうな表情を浮かべる。
何処の会社でも社内恋愛は禁止、御法度とも言うべきかなので冷静に彼女に話しかけた。
「今日は。本日、隊長の者です。」
そんなに会ってない時間が長かったのか?
僕の方が外見が年で変わってしまったのか?
それとも演技?には見えない。
覚えてない風な感じだった。
彼女は、無言で、現場に向かうためのワゴン車に向かう。
僕は、当時は、運転免許がない。(後に彼女の奨めで原付ならば取得をさせらされた。)
運転手は少し年上の男性だが、童顔な上に子供っぽい、無断欠勤に困ってた。良く言えばフリーダムなのだけども。
彼女の家業は、実は建築の関係。御爺さんの方。
お父さんはリーマンで店員さんだった。
そういった理由もあって、オートマでも取っとけと負担をしてくれたがなぜかミッションに憧れる彼女がその分だけは自己負担で免許を取らされてた。
次の誕生日の直前で連絡一本で以前と同じなのはショルダー・バッグだけで、少しだけ背も伸びてたが、それで更に痩せ形になってワンルームに来てくれた。
まさかとは思ったが、かなり稀少な確率であり得ない事もない。
彼女は、やっぱりというか、案の定とも言うべきか。
本当に記憶喪失になってた。
眠剤を指定量を遥かに超える。
2倍やら3倍の程度では済まない。
こういう人もいるらしいけども、薬を溜め込んで、50倍、100倍、それ以上を所持する。 というタブーはなかったらしいけども。
病院は法令で横流しの心配をするが、少し論点が反れてる。
もう云わずもがなであろう。
しかも規制が厳しくなる昨今では考え辛いが大人用を乳幼児に服薬をさせる。(今でも非常識な家庭で他人に勝手にましてや劇薬指定のを使う事例もあるらしい。友達に絆創膏を張るぐらいは何も問題はないけども。)
しかも今では認可ですら難しい強力な眠薬をOD(オーバードーズ)すると本当に稀に起きる副作用。それがふとした時に何時とは分からないが何年後しで思い出す事もあるらしいけども。
僕から、今の彼女に、いろいろ言っても余計に混乱をするだけだ。
仕事をして忙しくては言い訳になるけども。
彼女は、本当に久方ぶりに会えた。
試しに、言ってみた。
「次の、平日休みの真ん中だけど、うちに泊まりにくる?」
「はい。」
そういう、運びとなった。
滅茶苦茶だったワンルームの家内を整理整頓をして大量に買い込んだ書籍や漫画は本棚とデスクに積み上げた。
ちょっと、見られたくない、雑誌類は一見では分からないところに仕舞う。
僕は、メンタルが発端なのか?食生活か?仕事の疲れか?明確な原因は分からないが、一時的に男性の機能が衰退をしてた。
そこに、突如として彼女が現れる。
僕は、彼女の何もかもをしっかり覚えてる。
彼女は、何を話しても思い出せないらしい。
もう言葉は必要ないんじゃないのか?
実は、僕は、その数年前には、離婚した両親の、父さんが他界してた。ある日、突然鬱が悪化をして会社に行かなくなった。会社からも心配の連絡は来てたが出ない。鬱病を病院にも行かず。朝、僕が会社に出かける日の事。父さんへ、自販機でブドウ糖飲料のアクエリアスだったかな?を買って上げたら大喜びだった。
僕が、残業で日付が変わる時間の直前に携帯だったか会社だったかに一本の電話。
部屋で首をつってまで自殺を謀った。
机に遺書まで残してあった。
それを読めば内容で中途半端にキリスト教にハマってた。って分かる。確か、キリストの教えは明確な形で自殺を禁じてたはずである。
ちなみに、父方の御爺さんも自殺だった。
何れも、それなりに多額の借金まで残してた。
御爺さんは、事業を初めて景気が良いと大盤振る舞い。良からずんば借金。その繰返しだったらしい。
ところが、父さんのその借金はというと。
昔を懐かしんでなのか?貯金は、1度は乗り気ではない、僕まで誘って水商売で遊んで使い込んだのもあるけども。(後述をする。)
僕を大学に上げてやるための費用だった。
当の本人は高卒で頑張って仕事人間だった。
いろいろと昔とは時代は違うけども。
僕も、父さんと良く似てる思う。
だけに、特にその点においてだけは完全に父さんの反面教師だ。
メンタルで鬱はちゃんと治療をすれば治るし病気になる事自体は仕方がない。
けどもそれを機に自殺だけはやってはいけないと心に決めてた。
鬱が酷くて仕事にもいけないならばせめて入院費を工面してメンタルでも何でも入院治療をさせてやるべきだった。
僕、父さん、を残して警察は去って行く。
今朝までは、元気に話してた。それが、夜にはこんな事にって顔色を見てもどうしても暫くは本当に亡くなったとは思えないけども。取り合えず、葬儀屋に電話って流れだった。
話が前後をするけども、両親が離婚をしてからというもの何度か、別居してた母さんのアパートへ様子を見に行ったら、日毎に食生活が滅茶苦茶になってた。
生活保護の需給だった。鯨の塩漬けが好物で、それしか食べない。僕が来た日には袋ラーメンの醤油しかないと御馳走はする。
とある仕事日に病院から連絡があって直ぐに見舞いに行った。中国人の名医で、肝炎、膵臓も良くなかったのか、糖尿病の合併症との診断。
母さんの食生活は、塩分は諸刃の剣で、低血圧の特効薬みたいなものでもあるが血管を脆くすると指摘をされて、薄味の体に優しい味付けをすすめられて、良き日に退院をさせてくれた。
だが、暫くして更に仕事の忙しくなった頃に再度病院から入院の電話があった。
また見舞いに行って、後にアパートの鍵を借りて玄関を開けて部屋を見回してみた。
畳の部屋に大量の吐血の後、肝炎の方だった。
出きる限り、一生懸命に綺麗に拭いてもどうしても後が残る。苦しんだのであろう事は想像に容易い。
何度かお見舞いには行く。体そのものが弱りきってる母さんの姿。
僕は、にも関わらず営業マンの時でとかく仕事が忙しい。
1ヶ月そこそこの入院中に危篤との連絡があった。お見舞いには行く。殆んど目を覚まさない。そうして、帰宅する。やはりと覚悟はしてたが、それから数日の後に他界してしまった。
一時は退院して元気な姿をみられたのに、得意の医学書を漁ったが駄目だった。母さんは元は昭和のホステスで、酒も呑める。父さんは、酒には弱いけども、店の常連でママさん狙いだった。
父さんは、いつも店の端っこで一人で呑んでる。
それを、某一流企業の勤めと聞いて、勿体ないじゃない!私が行くわ!とばかりに同席して、ママさんは見込みないんだから私にしなさいよ!って姉さん女房になったのが馴れ初め。
そうして僕が生まれて、名前は詩吟好きな母さんが歴史上の人物二人の漢字を宛がう。無難な名前2つと、一風変わった名前の1つ。
父さんの会社の友達に相談をしたら変わった名前が良いね。そういうエピソードがある。長男で一人っ子。玩具は独り占め。
だがある日、母さんが健康マニアになった。
いつも、おやつは煮干しと牛乳。
弁当は、エビフライやハンバーグやオムライス等の子供の好きなメニューを作れない。
全体に茶系統の煮物等で隠しながら食べたりしてた。
ただ、高校の時に遊びに行く度に、牛肉のゴロゴロ入ってトマトもがっつり入った贅沢なカレーと熱々の味噌汁には驚いた。食った分だけがたいも良くなった。
しかし、辛かった。そして、味噌汁も熱い。
言えば、後には生のセロリが入ってた。
気性の荒い母さんだったが、ブラッド。
僕の、産みの親だ。
母さんは亡くなったと父さんに伝えれば、一言、二言、交わした程度だった。
それで僕は、父さんはもう母さんに対する愛情はなくなってたのかもしれないと思ってた。
男同士の父子家庭で、ふたりでキャチボールをプレイしたり。
とある台風の日だったかな?ざざぶりの大雨の中でわざわざ外出をして「うおーーーーー!」って、走り回って楽しんで帰って来たりの思い出が甦る。
だが、その、父さんは、後は任せる。
って、遺言でくくったのを残してこの世を去った。
両親供、葬儀の時は、スピーチもこなして務めて明るく振る舞った。
ひとりぼっちになった僕は、家に帰ってからは、大泣きに泣いた。
武士は人前で涙を見せぬもの。
別段、武人ではないが男の子なので。
そういう内容を端的に、めぐみに話した。
残された借金の事も勿論。
法的には、ましてや本人ではない。
長くても、5年から10年で時効である。
後の法務関係の勉強でも確認をしたことだ。
彼女は、一言、「大丈夫だから!」と励ましてくれる。他は余り覚えてない。
僕の、やさぐれた様な雰囲気を見た時に思ったらしい。
「この人は何とかしなきゃ!」
数年前からいまでもだが。
僕も、彼女も、思ったことと同じ。
そんなことまで?
現場に向かう直前に、彼女が突然思い出して「会社の机に携帯を忘れました!取りに行きます!」ダッシュで取りに行く。
彼女は、起きてるときはいつでも一生懸命。
そんな後ろ姿はいざというときの行動力の変わらなさにやっぱり、こういう子なんだ、って思ってた。
車内で、コンビニの炒飯を一人で食べながら彼女へと話しかける。
名前の交換。僕は、その時、未払いで携帯を解約したので持ってない。
余談ではあるが、数万円単位の未払金は後に時効となった。
誕生日を聞いてみる。
男の癖になんて言わないで欲しいけども占いの本を読んだり、ホロスコープもお好み。
「その星座だと、僕と愛称が良いですね。」
言ってみたら、あからさまに困った表情を見せるので後は特に何も話した覚えがない。
他の隊員たちと話す間も眠そうな眠ってるかどっちかの彼女。、、、変わらない。
一緒に仕事をして、簡単な立ち仕事でもふらふらのへとへとになった彼女と隊員の運転する車で一旦は会社に戻って解散。
無事に帰れたか心配もあったが信じた。
それとは別に、僕の知らない間に彼女は50ccのバイクで自損事故をしてたらしい。知らなかった。
日付の換わってちょっとしたぐらい。
雨天時の帰宅中の母親が電話をして、走行をしたままで電話に出たらマシンガン・トークの様な母の話に気を取られて、左の路肩によってった時にスリップをして転倒をして顔から落ちたらしい。
半回転をして、路上の端に投げ出されて、仰向けになったままで、小雨ではあるが降りしきる雨を浴びる。
彼女は、唇を擦りむいたのか、拭いた右の手の甲の出血を見る。いよいよショックで動けない。
確認をした乗用車の数名の一人が冷静に判断をして、119に電話をして、最寄りの病院に救急車で搬送をさせたらしい。
幸い大事には到らなかった。
慌てた様子のお父さんが顔を出して、後方からのお母さんはムッとして怒った表情だったらしい。電話をした事について悪いと言う概念は皆無だろう。
真っ当な人間ではない。という事実はこの後にもある。
もう、顔を会わせるべきではない相手のはずだ。
例えストーカーと言えども。あらゆる手段で付きまとい奇行を繰り返すのも。
それも、結婚した後の話。
結論を先に立てると出来婚である。
お泊まりの日も一緒に仕事をして、その日は直行直帰と会社に運転手の隊員に自宅の側のいつものコンビニで下ろしてもらう。
話が変わるが市内ということもあってか後にコンビニが音ゲーの充実をしたゲーセンになり、暫くは1度だけ彼女を連れてった。
だが、テトリスの落ちもの、格ゲー、太鼓の達人をさせてみたが、音楽が苦手で知ってる曲が少ないもんだから詰まらなそうにしてたので、後日は、一人でDDRでお金を落としてた。
結婚後は、カラオケの時と同じで俺か俺以上にそれにハマりまくってた。
そのゲーセンも、後にサイクル・ストアに変わってしまいそれは何件もあるので需要が減ってしまった。
福祉に使う約束をした資産は建築に廻されて無駄な工事が矢鱈増えたと思ってたが、頻繁に市内で店看板が変わる原因の1つとして疑いが拭えない。
話は戻るが、コンビニからワンルームまでは大人の足で徒歩5分以内の道のり。
僕は、さくさく歩ける。
だが、普段は原付きのめぐみはそれでも遠いらしく付いてくるのがやっとだ。
丈夫に出来てないのは変わらないらしい。
仕事上がりで眠いのもあるのだろう。
自宅に着いた。めぐみはやっと着いたと言わんばかり、になんだか辛そうにしてる。
やっと、また会えた。
やっと、また来てくれた。
僕にしてみれば、長いこと一人きりだったとも言えるし、或いは気楽だったとも言える。
僕のマンションは、白が基調の洋風の作りで観葉植物に吹き抜けもある外観がお洒落ではある。
ネイティブな会話を交わせる人たちも多い。
ただ、それも保証会社が付けられるということを最大の理由に、家賃がやたら高かった。
ワンルームの2階のエレベーターの側。
彼女は、記憶がない状態でその間は何を考えてたのだろう?
とういう事は、僕との初体験を、可能性として再度経験する気持ちでいたのだろうか?
僕はというと。記憶が飛んでるのならばなおのこと、彼女をマンションの入り口から招く間、ずっとドキドキしてた。当然そのつもりだった。
そうして玄関の前に二人して立つ。
「これが鍵だよ。」
こういうマンションにありがちなカード・キー。
後に、合鍵を渡した。
電気コンロを駆使して、夕飯の手料理、弁当、健康に良いからってかなり濃いめのドクダミ茶。それだけ作って実家に帰る。暫くは、彼女のお父さんの口癖みたいな通い妻の状態。
スーパーで一番安い野菜だろう。
動蛋を極力除去する誤った健康法にハマる辺りのも、僕の母さんにそっくりだ。
母さんは、砂糖除去の健康法だった。似た様なものだ。
彼女は、当然の様に稼ぎが少ない。
もやしを一袋しか買えない。
だが、持ち前の器用さで火加減が良い感じで、塩コショウだけの味付けでも、十二分に玄米のおかずになる。
後に、「酪農とかっても、皆が実際に肉を食い過ぎだよね。ちょっと、控えれて食物繊維を増やせば良いだけなのに。」と言いつつも。
僕は、元より野菜も食べるけども、お肉が大好きだ。
「肉を食べるのは人間の業だよ。」教えといた。
数年越しで理解を示して、BBQの大好きな僕の男の手料理を好んで食べてくれるようになった。
話が脱線をした。
横目で見る彼女は更に少し痩せてた。
差し込み口に入れて、ドアを開ける。
「入って。」
「お邪魔します。」
彼女と、僕と、二人きりになった。
もう早い人ならば就寝する様な時間帯である。
そうしてふたりきりの長い夜。
そして、翌日はどちらも休日。
再度、愛し合える時が始まるのだった。
(続く)
次のエピソード
第3話『彼女のみ見える空の色が俺にも見える件。』
前のエピソード――第2話『彼女のみ見える空の色が俺にも見える件。』
第3話『彼女のみ見える空の色が俺にも見える件。』
桜の季節も終わった。
初夏の日差しが強くなってくる、これから暑さの本番を迎える頃。
彼女は、妊娠をした。
二人ともやっぱりそろそろ、この子、この人、結婚をしたいなと思ってた頃合いである。
今でも、彼女は妊娠初期からの超音波写真も大事に白いしっかりした作りのアルバムにしまってる。
僕の、幼い頃の両親との写真も大事にしてくれてる。
彼女は、どうしようもなく暑さに弱い体質であるが、当時はモー娘の「ハッピー・サマー・ウエディング」が格好良いなって思ってたらしい。
僕は、現実的にどんどん大きくなるであろうお腹を気にして、妊娠三ヶ月の初期までの内で、改宗をして1代目となったけども、家の宗旨の式を上げようと提案をした。
仏式を嫌がって来ないお父さんを説得して呼ぶのは諦めて、彼女の方を説得した。
御供養も僅かな費用で済ませて戴けた。
三ヶ月のお腹ならば、何度か経験があると気付けの先生を、仏式と言った様に縁のある寺院の積極的な女の子が呼んでくれた。
ちょっとお着物キツくない?
彼女は、心配をする。
ベテランの先生ならばと安心はしてくれた。
僕は、ヤフオクでも良かったが、奇遇にも電車の忘れ物市の開催で、お買い得なタキシード。
彼女は、小柄なな方なのでAラインの裾の広い純白のドレス。
本当は、着物も白無垢が良かった。だが、赤の着物で拘る友人の女の子の一押しでそうなった。
子供らに期待をしよう。
仏式なので、御僧侶の導師で、題目、読経、唱題。
事前に商店街のミリタリーっぽいショップで、やっぱりお買い得な指輪を、月形、星形、二種類、購入しての交換。
お色直しで、彼女のウエディング・ドレス。
薄目のナチュラル・メイクは式の前に美容院でヘアスタイルの時に同時に御願いをしたらしい。
ちょっと、珍しい寺院での洋風のドレス。
御僧侶の「ほう!」の一言が出ました。
サプライズのウエディング・ケーキの登場で2段ケーキへ入刀、始めての共同作業。
甘さは控えめの苺のケーキをお茶と頂いた。
最後に皆で記念撮影。
無事に式は済んだ。
タクシーを呼んで、踊り場、入り口で誓いのキスを軽く交わして、写真にまで収められた。僕は、嬉しかった。
プリンセス・シンデレラを馬車に乗せる気分で彼女を車に乗せる。
近いので直ぐに着く。
御得意のお姫様抱っこで階段を上る。
うちは、大学の側で学生の通る時間だったので若い子達数人に見られたりもした。
そのままエントランスで彼女を立たせて部屋の中へ。
部屋に入ると、 長時間で流石に、疲れきった様子の彼女は、ささっとドレスを脱いでよれも気にせずに、ベッドに横たわってしまった。
すぐに眠ってしまったのかもしれない。
僕は、やっぱり、本心では、一人は寂しく感じてたので、結婚して、お嫁さんが出来て、後には妻と呼ぶ相手になって、子供まで授かった。 幸せでいっぱいな気持ちだった。
彼女は、大好きな人と一緒になれて、やっと実家から解放をされた。
一時でも安心を得たのだろう。
途中で来る気もない母親からの電話で、怒った彼女を、花嫁さんがそんな顔をしちゃだめよ。って静止されて、さっさと電話を切る場面もあった。
後に、「何を二人でこそこそやってるのかと思った。」などと頓珍漢な勘違いの甚だしい発言もあって驚愕をさせられることも後の日常茶飯事となる。
実は、彼女には、それなりに年の差のある実の妹がいて、高校の制服で来て写真撮影にも参加をしてくれた。
現在は、その義理の妹も結婚してご主人の仕事で地元から離れてる。
式には来なかったけども、彼女のお父さんは花嫁道具を全て大手ショッピングセンターで新品で購入をしてくれた。
僕は、中古で十分だし機械はネットで調べれば不具合にも対応が出来る、父さんは仕事でエンジニアの専門だった。
それ譲りの機械マニアみたいなものなので、自分等で揃えても良かったけども、お父さんの好意を無駄にしない事とした 。
娘の頼みだと、新居に引っ越しの手伝いもしてくれたが、僕のすすめ通りに引っ越し屋へ頼めば良かった。と、言ってた。
彼女は、費用を少しでも抑えたかっただけらしくよく分かってなかった。
少し話が前後するが、彼女は当所、僕と一緒ならば、子供は要らないと言ってた。
原因の1つは出産を何度、母に尋ねても、痛いだの恐いだのしか言わなかったらしかった。
彼女は、男の子、女の子、どっちが良い?
聞いてみたら、ひとりぼっちでも家系を大事にしたいことは先に言っておいたので、男の子。
ちゃんと、答えるので産み分けの方法は調べて知ってたのからそのつもりで妊娠をしてもらった。
彼女は、子供を授ずかった。その事に対して「おめでとうございます!」と周囲から言われる。
だが、洗脳とも言える恐怖感から、妊娠のつもりなんてなかったからって堕胎を言い出した。
僕は、已む無く強い口調で、(お腹で赤ちゃんが一生懸命に生きてるのにそれを)殺すのか?!痛い、恐い、は分かるから僕も付き添って上げるという事で、涙ながらに恐怖心を訴える彼女をまた説得した。
彼女は、妊娠から週一、掛け持ちで週二のバイトもやめて、やはり自宅で眠り続ける毎日だった。
それから暫くして3ヶ月頃の悪阻(つわり)は酷い方でかなり苦しんでた。軽い中毒症にも掛かってた。
妊娠中期は、性別の分かる頃だが病院の方針で性別は教えない。超音波写真でも殆んど、どっちか分かってたけども。
妊娠後期は、病院の方針で、妊婦に薪割りや、山登りを経験させる一風変わった病院を、彼女が選んだので、少しは参加をして、シャワー、浴槽も借りれると話してた。
他は、眠って過ごす。
出産は、予定日より調度、1週間早かった。
至っての、安産。元気な男の子だった。
普段から眠そうな彼女だったが、余りの初産の陣痛の苦に驚いてた。
出来れば、一番落ち着く自宅で、付き添いをと想定してたのが、耐えきれずに、産院の市外まで走らせる途中のタクシーの車内分娩。
せっかくなのでとブログに書いてみたらそれを見付けた関東ローカルの記者の女性からの連絡で、地元から取材のカメラマンさんやら照明さんやら、東京からその女性がこちらの地元の出身の美人の女優さんまで連れてきた。
その美人な女優さんのオーラ?とも言うべき雰囲気はすごい。
用意した色紙にサインまでも戴いた。
長男が3才?4才?過ぎぐらいだったと記憶してる。
さらに月日は流れて、長男が小2頃。
二人目を妊娠。
また、お母さんの妨害が来た。
遠回しにでも堕胎をすすめる。
「この子に育てられる訳がない。」と滅茶苦茶な理由。自分も二人子供を作っておいてだ。
案の定、それで不安定になった彼女は、最寄りの産婦人科に下ろすべきかどうかの話しかしない。
「中期に入ってもう赤ちゃんがこんなに大きくなってるんだよ!」
先生から説明をされても意味が理解を出来ず已む無く病院からは受診の拒否。
僕が、早めに安心させて上げたくて、市内のセレブ出産で有名な産婦人科医院をすぐにネットで探して調べて受診をさせた。
バース・プランの項目に無痛分娩のチェックをしてやっと安心してくれた。
メンタルにもずっと通わせて、特に二人目は自ら近所の名医の個人のクリニックに通ってた。
ママは、なぜか、とかく採血が苦手らしい。
中期の採血は本当にイヤそうにしながらも頑張って受けてくれた。
軽い中毒症の数値。尿淡白。
中期には、産婦人科医の超音波の検査で女の子と分かった。
長男は、未だに弟が欲しいらしい。
「近所の友達の弟分みたいな友達で良くない?」後に説明したりする。
ママも男の子を希望してたのにってショックだと言ってた。
パパは喜んでいます。 (大事な事なので何回も言いました。)
産後のメンタルの検査で貧血も出てた事があるからなのだろうか?過呼吸が出ることも多い。終われば収まる程度のだが。
二人目も安産。予想通りの女の子。
今では、保育園の影響が大いにあるのか?長女は一人でもお人形さんやぬいぐるみとずっとお喋りをしてる。
ママは眠い以外の口数の殆んどない幼児期だったらしいので、ちょっと不思議そうに見てる。
関係は、端的に友達親子。
長男も随分大きくはなったが、友達も多いけども、未々、パパとも遊びたがる。
公園で野球やらショッピングセンターのゲーセンやら外食も好きだ。
あなたは、3才で洗濯の物干しを教えて、6才から袋ラーメンを自分で作れてたのだから。
おうちごはんにしなさい、ってよくママに言われてる。
いろいろあったっけどもごく普通の一般的な家庭に落ち着いてる。
余談で、パパは3人目の子供はいつでも歓迎をしてるけども。
未だ、メンタルも含めて丈夫さとは程遠いママは先に体を治したいらしい。
ママの記憶も徐々に戻りつつあって本当に演技でも何でもなく思い出せなかったらしい。
夫婦はいつでも仲が良い何てことはなくそんなのは幻想だ。
些細な事で喧嘩もする。
けども。彼女も、僕も、産まれてきた子供たちも。
みんなで、愛し合ってる。
という事実は、末永く続いて欲しい。
ときおり、願ってやまない。
(続く)
次のエピソード
第4話『彼女のみ見える空の色が俺にも見える件。』
前のエピソード――第3話『彼女のみ見える空の色が俺にも見える件。』
第4話『彼女のみ見える空の色が俺にも見える件。』
今の時期は季節の変わり目。
今更ながら、パパのお好みの季節は、全部なんだけど。
やっぱり、桜の枚散る季節でバーベキューを用意して花見をするのが楽しみだ。
というかBBQは、真夏でも、紅葉の秋でも、真冬でもいつでも構わないアウトドア派だ。
ママは、真冬なら良いよ。って、家でお肉を焼けば良いのにって炭火焼きの美味しさがよく分からないのか?わざわざ河原や敷地を借りるのを面倒に思えるらしい。
ママは、いつからか、涼しいげな季節で美しい紅葉の見える、秋が良いと言ったり、真冬に炬燵で過ごして、スマホの閲覧。
タブレットは良いものが見付からない。
ノーパソは僕も合わない。
一番はデスクトップ・パソコンに向かってるのが楽しい。って、イン・ドア派。
美術でも特に絵画では、デッサンからならばと体調の良好な時に限定をされるけども、気が向けば描くイラスト等。
僕は、音楽が得意で、ピアノ、クラシックギターは出来るし作曲も経験があるのだが、絵画観賞は趣味だが、図画工作は1しか取った事がない僕から見てもいつも凄いと思う。
彼女自身の美術の成績は、4、或いは5。
当初は、他人の絵画に興味がない。(これも天才に有りがちな特性。)
美術でテストのある時は、4、ないときは、5、だったという。
僕は、その反対で、テストのある時は、4、ない時は、3だった。
とかく絵が描けないので、美術専行でも彼女の描く絵画は天才的だなっていつも思う。
絵画では、マチスの金魚が涼しげで好きだ。
実は、ピカソ。ではなく、ダリが統合失調症だった。
って、云われる等という雑学で、有名な画家の作品にも少しは興味を持つ様になった。
彼女は、音楽では、エレクトーンを習ってた癖して楽譜を見ると未だに頭痛がするのは殆んど変わらないらしい。
絵画意外では、自作小説が趣味になったり、主にアニメの動画の女の子のヘアスタイルやコスチュームを長女と仲良く研究してる。
男の子の格好良いコスプレもしてほしいだの。パパ、長男にもして欲しいだの言ってる。
俺が、アニメをいろいろ観れるようにしてあげたからなんだけど、コスプレも趣味なのかも。意外だ。
ママの病状は、本当にゆっくりだが回復には向かってる。だが、かなりの長期戦ぐらいに考えてないと、ただでさえ陥りやすい、うつの状態が酷くなってしまうらしい。
時々、「なんで私なの?」溢したりする。
最近、事情で市内で引っ越して、体調の良い時は、近所のお婆ちゃんと稀にお喋りをしてあれこれ、先ずは、良い病院を、総合病院、クリニック、いろいろ伺ったりしてるらしい。
お婆ちゃんには、「もっと酷い病気の人もいるんだよ!」言われた時は、「?」だったらしいが後で脳内処理をして納得をするタイプだ。
何でも後から来るらしい、女性にありがちのよくある性格という言い回しで良いのかな。
過去に、発達障害の検査の時に、知的障害を疑われたが、打ち切った為に、改めて、脳ドック(CT、MRI、等)を自ら受けたいと言ってる。
最近、心配なのは、ママのあのお父さんだ。
アルコール依存症。
認知症みたいな話をしてる!
お母さんは、ボケ入ってるって冗談では言わないし!
それか、見合いだから愛情なんてなくてお父さんを利用してただけなのかも!
酒が楽しみで止められないお父さんにも多いに原因はあるけども、御世話になった義理を掛けない。
ママが本気で両親の心配をして涙ながらに語るのだが。
外来で良くなれば余計な費用は掛からない。
何れにせよ。
仮にだが、任意の入院ならば当の本人。
医療保護入院ならば、配偶者の説得をしなければならない。
メンタルのアルコール依存症で入院治療が多いのは、簡易でも隔離の施設にしないと、自ら買いに行ってしまうからだ。
僕は、酒に強いので飲まされる事はある。
だが、実のところは大嫌い。
仕事が出来なくからだ。
彼女は、持病の喘息の発作で一口を飲むのがやっとだ。
うっかりそれ以上になると、直ぐに気管支の気道が狭くなるらしい。
薬が手元になかった時は、長いこと息をする事ですら苦しそうにしてた。
鼻炎もあるので、長期に渡る強い劇薬は、慢性化を引き起こし、減薬をさせつつ10年以上は劇薬の投薬は本人の強い意思でストップしてるけども、リバウンドを繰り返してして、アレルギー・マーチ。正にそれだろう。
僕の母さんは、昭和のホステスだと以前書いたけども。
酔うと、3才の僕に、包丁を突き付けて、自分でやれと言われたり。焼却炉に置いてきぼりにして、僕が泣き叫ぶと、しょうがないわねー。とばかりにドラム缶の下のところの排気口みたいのから出してあげたわよ、って。
そんな気性の荒さも酷い人だった。
今時は先ず見ないのだが、バブルの景気の煽りの残る、当時は真夜中の3時位まで常連の飲み屋を連れ回されて、小さい男の子ってだけでママさんたちから可愛い可愛いって言われて、悪い気はしなかった。
けども呑み屋のメニューは高いので一番安いレーズン・バター。余裕のありそうな時は追加でトマトのサラダ。
御人好しだった。父さんの話は次の機会にでもしよう。
一度、ママがふざけ半分なのか?
彼女の、母親はセロリーが嫌いだったらしい。
それもあってなのか?
「トラウマ・メニュー♪」等とヘンテコな名称の、僕の母さんの好きだった、セロリーのカレー(辛過ぎるのも甘過ぎるのも苦手なので自分でスパイスの調整をしてるらしい)セロリーとレバーの炒め物(鉄鍋のジャン!1巻を参照。)ばかり。
パパの「もういいよ 、、、」が出るまで夕飯に用意をされた事もあった。
ママは、食ってなかったからか?
今は、意外と食物の好き嫌いがない。
強いて言えば複数種類のスパイスが体温にモロに影響をするカレーだけは体調の優れない時は御法度ぐらい。
辛さには馴れようと、甘口のカレーに一味唐辛子を掛ける
。パスタもイタリアン・シェフのページサイトから研究をして良く作るのでペペロンチーノも一味唐辛子で調整をしてる。
キムチは食べられる様になった。
納豆、葱、キムチ、豆腐、卵、更には、紫蘇梅、わさび、にんにく、生姜。(大体はチューブ入りの)青菜、人参や大根のおろし、混ぜ混んだオリジナルの納豆ご飯が好物らしい。
しかし、妻の作る辛いごはんは、辛い!辛い!って言いながら食卓に出される。
だが、毎度毎度、全くと言って良いほどに、辛さを感じない。
長男も体調に寄っては辛い!辛くない。
辛さには多少は慣れたらしい。
長女は言わずもがな。妻がどうにか食べられる辛さのご飯でも一口で残してしまう。野菜嫌いも始まって、卵焼きに青菜を混ぜ混んだりしてる。
そうしてると、それはスパニッシュ・オムレツだよ。って、英語が出来ないのに、興味のある英語名は時々ネットでの情報で、僕でも知らない英単語が出てくる。
そうして、卵焼き1つでも拘り出す。
卵料理は、ダシ入の卵焼き、プレーン・オムレツ、スクランブル・エッグは圧倒的に妻のが上手い。
仕上げも拘りが始まらなければ最短でれると言う。後の章で書くつもり。
ただ、目玉焼きだけは、僕の蓋をしてスチームみたいに蒸し焼きにする目玉焼きには自信がある。
妻は、気が長くないのか、それを教えると、途中で面倒になって炒り卵にしたり、ちゃんと作っても、他の家事を交えながら、体内時計で計算をするという。(とある科学のレールガンの小萌先生ばりだ)
「体内時計で空腹の時間も計算してるのですよ~いろいろあるのですよ~いろいろね~♪」
実は、体内時計は、腹時計なので。実際の時間と、必ず違いが生じるもの。
それが、生命の生きていく上での基本性能の1つらしい。
僕は、台所に立ったら立ちっぱなしで、そんな器用な真似は出来ない。それでも稀に鳥のから焼きを焦がした事も何度かあった。
速攻で火力の指摘を受けるけども、僕が短時間でから焼きをつくるとそうなる。
しかも表面は焦げてるのに中が生焼けだったらしい。
長女が唐揚げにハマり出したから作ってるんだけど。
最近、一度だけ妻に作らせたら、やはり他の家事をやりながら弱めから中火で、長時間で調理した、全体にふっくらしたから焼きを作ってくれた。
とは言えども、ただでさえ料理に失敗は付き物なのを、別の家事と併用では、焦がしたり、生焼けもやらかす。
生焼けはレンジで再加熱等をして食えるけども、焦げは美味しくないので、焦げだけ取って。自己消費をしてた。
貧乏が長いと物を粗末にはしない習慣が身に付くが妻は完璧主義(病的な場合もある。)だったので、徹底をしてる。
話は辛いものに戻るけども。
僕は、それも母親の辛口が御好みの影響で、激辛マニアみたいなもんだ。
それでも抑えれば、本当に美味しそうに僕の手料理を食べてくれる。
体調が良ければ何でもしようとしてくれるけども。
よろしくない時は、お米を炊くのもしんどいと言いながら頑張って炊く、いつも無洗米。
風呂は大体がママが掃除も沸かすのもやってくれる。
えらい潔癖症だったが大分、普通の感覚になってくれた。
洗濯は種類事に分けて水量を調整して上手いことやってくれる。
洗い物は手袋があれば、溜め込んで食器が使えなくなるとやるときもある。
僕が、それはがやるのでそうそうないけども。
長男も、長女も、時々は、お手伝いをしてくれる。
男の子には手伝いも大事だがもっと勉強をして欲しい。
パパはちょっと厳しく丁寧に教える。
ママは、算盤2級は取らされたという。一応、暗算も出来るのだが、直ぐに式と答えを書いちゃう。
「答え分かったから。これ読んで後ででも理解しなさい。」
答えは間違えないが、教え方がホント適当なので結局僕が、教え直す事になる。
昔は、味が苦手だって果物でダメなのが沢山あったらしい。
食べられたのは、林檎、蜜柑、葡萄、さくらんぼ、桃、位?
バナナも苦手だったが、中学のマラソン大会の練習の時に克服をしたらしい。
今は、アレルギーの酷いときは体温が上がって炎症が辛くなるカレーだけは御法度だという。
ネットの仲間で、スパイスの種類の多くてごった煮に見えると言ってた見習いのイタリー・シェフのこれだけはありのビーフカレー以外は認めない話も言ってた。
勿論、パパ、長男は、何でも食べれる。
幼少の頃のママ譲りなのか?長女の偏食が出てきた。
同じならどうせそのうち何でも食べれる様になるだろう。
ママのうつが酷いときの拒食が心配だが、自覚をして頑張って食欲減退でも少しは食べる様になった。
そういえば。
新婚でつわりやらで、体がキツいって頃。
スーパーで買ったパックの焼いてある鮭、玄米の炊いたの。ドクダミ茶。
それだけ弁当に持たされた日に警備で隊員の仲の良い先輩から。「夫婦喧嘩でもしたの?」言われて、違うと説明した日もあった。
本当に喧嘩をした日の弁当は、イカスミのご飯だった。
口がイカスミの色になってたのに暫く気付かなかった。
例の、レーズン・バターを弁当と一緒におやつにかなりの量を持たされた事もあった。
流石に、気持ち悪くなったよ。
完食したのを気付いた時。悪いことをしたって、体の心配をされた。
まー、いつも会社の健康診断で、痩形にも関わらず、中性脂肪の数値、低血圧、近視を指摘されるから心配はもっともなんだけども。
ママの、少しは慣れたとは言えども苦手な、採血の病院の数値があれこれ正常値からHLを示される。
甲状腺は女性の割りには大きいらしく異常はなかった。
必要な検査は受けないと。また僕が説得をする。
昔はレントゲンですら恐いと言ってた。
いつも指摘をされるのが、白血球の数値がH。白血病とも違う。過剰なアレルギー反応の体質で薬害患者にありがちである。
ヘモグロビンがL。
彼女は、血糖値が高いとリバウンド時には辛いやら、節約もあって、水道水をペットボトルに入れて良く飲むので単にそれが理由だろうけども。
パパと同じで低血圧。
それがもう少し低い数値を示す。
本人は、治したいところだらけだって。えらく気にしてる。
母親と似た女性に引かれるのは男性の性だろうか?
稀に、ママと些細な事で喧嘩になると、単にうつで引きこもりがちのストレスなのか?八つ当たりもあるのか?彼女はどんどん口が悪くなる。
酷い口論になる。軽い暴力に発展をしかねない時もある。
ちょっと引っ付かんだ時の事。
即座に冷たい視線でスマホに110(或いは稀に病気の事だと思えば119)の数字を発信履歴に残すのが常だ。
もしスマホを取り上げれば、家を飛び出して何処かに駆け込むのだろう。
脳内トレース(某ラノベから。)で考えは予測できるので敢えてそれはやらない。
ふとした時に、ママに、
「君は、冷たい人間にはなれないよ。」
言ってみた事もあった。
反応は、「?」
長男は僕にそっくりなのか、すぐにふざける。
「ママ。優しいだけ。」
言われてた。
長女は。
「パパとママ、にーちゃんも、大好き!」
そればかりで十分。
それが、喧嘩の時は。
「、、、バカにするな!」
の一言。それもなく、無言で長い時間、見下される。冷静に言葉を選んでる時間も兼ねてるのだろう。
けども、大体は、一晩眠ると、彼女の方から「ゴメンね。」って謝るので、子供らの前ではあったら、後でちゃんとフォローを入れようって諭して上げる。
そうして、ちゃんと仲直りができる。
「夫婦喧嘩は犬も喰わぬ。」(諺)
見合婚を全否定する差別的な考えは毛頭ないども。
けども、やはり、恋愛婚で良かったと思う。
(続く。)
次のエピソード
第5話『彼女のみ見える空の色が俺にも見える件。』
前のエピソード――第4話『彼女のみ見える空の色が俺にも見える件。』
第5話『彼女のみ見える空の色が俺にも見える件。』
季節は冬の次でもうすぐ桜の咲く季節。
僕が、花屋さんでなるべく安価なのを購入した植え込みや庭の雑草ですら開花が著しい。
家族だけでも、花見でもしようか。
妻の体調が優れなければ家でのんびり過ごして貰おう。
良ければ、料理と言えば、だし巻きが得意な彼女は、簡単な御弁当ぐらいは用意をしてくれる。
だし巻きも、だしのみ、子供向けで砂糖を少し、少量の料理酒でふっくらさせたり、ちりめんじゃこ、明太子を入れたり、青菜や葱やらを混ぜ混んだり、トマトや野菜のジュースを入れたり、卵白を泡立てて驚異の食感料理。
卵料理は、料理の基本だよ!(鉄鍋のジャンRの大谷杯を参照。)
やら言いながら。拘り出すといろいろ始めてキリがない。
だし巻き1つでも、今から楽しみだ。
本当に季節によって日照の時間は違う。
僕は、早起きな方だと思う。
夜勤の時は話が別でもある。
仕事は、正社員で責任の伴う仕事は極力避けてる。
自慢みたいになって申し訳ないけども。大学で猛勉強をした英語のTOIECは、500以上。
英検は持ってないが、準1級を超えたんじゃないか?
取得をした事務系の士業の資格。
父さん譲りのパソコンやインターネットの資格、etc…
派遣元の会社からは、これだけの資格を持ってと期待をされる。
派遣先からは、必ず正社員の話がくる。
そうして、毎回、丁寧にお断りをする。
僕の場合は、特にストレスを溜めたくない。
営業の時の経験で極力、責任の伴う就業形態は嫌だからだ。
大体の雇用形態は派遣に落ち着くけども、バイトも掛け持つことも視野に入れてる。
最近は、共働きのがずっと増えてる。
だが、しんどくなって直ぐに辞めざるを得なくなる妻に期待ができない。
彼女は、わざわざ悪くいうと(日和のソードマスター大和から引用?)というか、言わずもがな寝坊助な方だった。
それが、寝る時間が異様に早いのもあるけども。
どんどん起きる時間が早くなった。
大体は、日照の前には起きる。
取り合えず、スマホを触ったり、起き上がれるぐらいに目が覚めると、パソコンに向かってる。
彼女は、「すずめの鳴く声が聞こえると外が未だ暗くても、朝が来たんだなって安心する。」言ってた。
彼女に言われるとそんな気がしてくる。
冬の間の、夜が恐かったんだろうなー。
夏場は、「用心しないきゃ!」って必ず大体はスマホ。稀には、充電が少ないから充電中って、ガラケーを持参してコンビニへ行くことがしばしば。
昼間は狭い部屋でエアコンを締め切ってうつうつしたり、代謝を良くして早くアレルギーを治したい!治さなきゃ!って、相も変わらずちょっと熱いぐらいの浴槽へ湯張りをする。
シャワーはもう少し熱い触れる温度。でないとスッキリしないと以前にも書いた様な気がする。
彼女は、潔癖性だったので。未だに風呂とシャワーの温度にはとことんうるさいぐらいだ。
以前書いた。ラベンダーのアロマ・オイルでハーブにハマって、通販や販売店で購入をするが、手入れが大変で大分ダメにしたらしい。
トマトも独特の虫の嫌う芳香があると近所のお婆ちゃんから聞いたらしい。
トマトぐらいならば、ほったらかしでも、夏場は水さえ枯らさなければ栽培は出来るらしい。
冬場は0度を下回ると枯れてしまう。
結婚当初のマンションは、立ち退く前の事。
ベランダの排水溝から勝手に草みたいなのが延びてきて、様子を見てたら黄色い花。
熟したらトマトだったなんてこともあった。
ママのメンタルが相当不安定な時だった。
うち大きめのしっかり熟したトマトを半分に切って、半分こにしてくれた。
僕が、パクりと口に放り込むと彼女は言った。
「此れが、私の来世の姿かも、、、。」
そういって、涙を流しながら大事そうに食べてた。
僕は、「?」だった。
「トマト。」とだけ答えて上げた。
彼女は、後に、未だ、悲しそうに、更には不安げに、来世の事を真剣に考えてしまってた。
彼女へ。「花は人を楽しませる使命でそこに咲くこともあるんだよ。」
少々、強引な仏教の基礎とも言える揶揄的、或いは比喩的な表現ではあるけども、教えてあげた。
彼女は、それを聞いて僕をじっと見て、真ん丸い目をした。
彼女の、後のメンタルは元気になってくれた。
「嫌な事は、一旦は忘れようね。」
最近は、そういうメンタルのアレルギーの耐性がついたのか?
スーパーで、トマト缶をプランターの土の上に蒔いて成長を楽しみにしてる。
トマトの種は採って、それも必ずプランター。
土の名前は、赤玉土やら腐葉土やらピートモスやら。僕は、英語を生かせる貿易事務にも従事してた。
なので「仕事でその書類を扱ってたから全部知ってるよ。」と返した。
せっかくネットで調べて好きが興じてこうなったんだけど、知らなかったでしょ?用土の種類にも詳しくなったよ!えっへん!とばかりに自慢をするつもりだった、って不満そうにしてた。
彼女が、やたら植物に詳しくなったのも資質かな?
掲載雑誌は忘れたが、『蒼天航路』(王権太・キング・ゴンタ著)の劉備が農耕に勤しむ描写で、彼女にそれみたい!って、言ってみた。
彼女の反応は、それ漢じゃん。
云わんばかりだった。
僕は、宮崎駿派寄りもディズニー派(DVDの値段から)なのだが、全然観なかったわけではない。
ラピュタが有名で、「バルス!」やらムスカ大佐が、YouTubeでよーネタにされるのも知ってるけども。
そっちじゃない。
『風の谷のナウシカ』キャラのヒロインみたいだなー。
楽しそうにハーブガーデン、家庭菜園を目指すママを見ながら、そういう事を考えてた。
言わずもがな。
僕は、ナウシカというヒロインが放映の当初からのお好みである。
(続く)
次のエピソード
第6話『彼女のみ見える空の色が俺にも見える件。』(一応、最終話?)
前のエピソード――第5話『彼女のみ見える空の色が俺にも見える件。』
第6話『彼女のみ見える空の色が俺にも見える件。』(一応、最終話?)
今日も天気は良い。
妻はつい天気予報をネットで見忘れて洗濯に困る事があったので気を付けないとって言う。
僕も、毎日ちゃんと観る習慣までは身に付かない。
とかくふたりして掃除だけは苦手でもあって困った夫婦である。
彼女は、アレルゲンに敏感でホントに猫みたいに掃除機の苦でいざかける音がすると一目散に逃げ出す。
彼女の占拠をしてるリビングは頼まれないと掃除機は掛けない。
子供らがお菓子を溢して片付けないのはよくあるので虫も大の苦手な妻を気遣ってのこと。
彼女は、漸く、必要を理解したらしい。
平和。というか、穏やかに時間が流れるだけ。
100均のお洒落な色味と形状の掛け時計の音しかしない。
アニメの動画やカラオケで歌いたい音楽は観尽くした感じだ。
昼下がりのおやつ時までは、趣味があれば時間があっという間なんだね。
彼女の時間の感じ方らしい。
彼女は眠るのが常だったのは何度も記したが、実は、初産を出産後から随分と不眠に悩まされてた。
アレルギー、メンタルの症状が主な原因。
先ずは、アレルギーで漢方を扱ってる病院をネットで数件は探した。
彼女は、僕の集めた情報から幸いにも名医に巡りあえて、合う漢方の外用薬と内服薬の必要量を処方してくれる。
随分と、劇薬のリバウンドで苦しんだ様だった。
夫である、僕が、うつで家に帰りたくなくなる程にだ。
本当のところ。
帰りたくなくなる理由の主は、あの母親が居座って、嫌がらせとしか思えない、家族でもないのに、住人の困らせたくて、整理整頓と称してものの位置を変える。多分、勝手に持って帰る。子供らの玩具をゴミと間違えたって捨てる。滅茶苦茶をやるからだったんだけど。
とんでもない構ってちゃんだ。
此れまでの長年の経緯で全く可愛いげは感じない。
僕は、最初から気付いてた。
彼女は、本当に不遇というか運が悪かったというか、病気に無知な保護者の同意の元で、病院の相当腕のヤブの練習台にされたのは明らかである。
一つ幸いとすれば、内服は殆どと言って良い程にしていなかった様だ。
だが、しかし、劇薬たる毒物の乱用のステロイド裁判は、医者を相手に起訴をしても大体が和解に持ち込む話で、過去の事例からも勝訴は難しい。
今時は、アトピーにステロイドを使わないとガイドラインから外れると違法になるらしい。
診療科目にも寄るところでもあるけども、大学、総合、個人に関わらずとも脱ステ、減ステを念頭に置いてる病院の名医の方はギリギリのラインで患者を早く治して上げたいだけなので本当に大変であろう。
とある医師談曰く、厚生省は何も考えてない。
要は、儲け重視の製薬会社やら一部のヤブのゴリ押しの言いなりである。
医者の5割がヤブ。であるならば、残りが名医であろうから探すのも大変である。
少なくとも、安易な医者の言いなりでは危ういので、インターネットが使えて先見の明のある方は、先ず薬でもなんでも自分で調べてからでないと安易に投薬も受けないのはネット世界の常識とも言え様。
一部のガイドラインは完全に誤ってる。
なので、実に本末転倒も甚だしい。
本当に恐ろしいというか、世知辛い世の中になったものであると思わずにはいられない。
何年掛かろうとも、彼女に見合った適切な治療で完治向かえば問題はないのだけれども。
これまでの経緯で急な減ステで返ってメンタルがズタボロになって、僕は丈夫に出来てる方ではあれども、こちらのメンタルまでも影響をして、職場の不一致もあってか一時的に仕事が出来なくなってクリニックで診断書をお願いして手当てで生活をしてた時期もあった。
今は、別の派遣で転職をして俺からしれみれば冗談みたいに楽な責任の少ない事務職に転職が叶ったので、一応の形で安心は出来た。
けども、共働きが当たり前の時代で妻が病気で、病院通いが仕事みたいなものであるけども、食うわ食わずやの昔程の貧乏ではないにせよ金銭面では余裕があるとは言えないのも事実である。
それでも、生きていくには仕事をするしかない。
彼女は、仕事をする。仕事をしたい意思があっても殆ど生まれ付きで丈夫に出来てない。
それでも、彼女へ。
生まれてきてくれてありがとう。
言ってみた事もある。
その場では、また、すぐに飲み込めない反応を示したか?或いは後から、嬉しさに気付いた。
同じ台詞で返された。
結局は、彼女の両親への義理も欠けない。
僕を、生んでくれてありがとう。
言ってみた事もある。
さすがに、想定内ではあったけども、頭の中が?でいっぱいだったであろう反応だった。
彼女は、アレルギーの症状が良いと機嫌も良い。少しでも家事を勤しもうとやる気になってくれる。
リバウンドの時は、うつで、とにかく、痒みから、傷だらけになるので。
「寝ないと皮膚再生しないよ。」
教えてあげる。
メンタルも彼女のお母さんの妨害で随分と治療の邪魔をされたけども。何よりも本人が、僕も頑張って通わせた。
眠剤と食事療法で、傷が痛むときは、少量甘味の併用が随分と楽になるらしい。
鎮痛剤は副作用で消化器気管を荒らしてから医師の判断で使用をストップしてる。
例せば、昨今出回る様になった、第1種医薬品のロキソニンは鎮痛剤で最強と言われるが、恐くて僕でも飲めない。
アレグラも第1種医薬品で強力であり、速やかに、ヒスタミン系統のアレルギー反応を落ち着かせるが、余りに過剰に使い過ぎれば肝機能への副作用の影響が大きいらしい。
大体が、特に眠剤は市販薬が高額だし副作用の報告もあると聞けば購入は出来ない。
病院に付き添ってあげる。
こんなことで愛情を確かめてるみたいでゴメンね。
彼女は気にするのだが、僕は早く治して上げたいので気にする必要も謝る必要もないという。
ところで話が変わるけども。
僕の両親の事。
全部、御寺に願い出をしてる。
その末寺は、御住職様と少しお話しをして特に彼女の件で気にかけて下さった。
ちょっと、法論へ持ち込んだら、僅か30分から一時間も話してない。
僕は、「参りました。」深々と頭を下げた。
慈悲も、お考えも、深い。決して恩義の欠けない方。後世に、活字にして残したいぐらいって思ってる。
彼女にも時折は話をして理解を示してくれる。
御盆、春期の御彼岸、秋期の御彼岸。
塔婆供養を願い出る。妻も動ける時は御焼香をしてくれる。勿論、子供たちの法統相続も兼ねての事。
先の事は予想位しか出来ない。
長男には、勉強は勿論。
なるべく早く彼女を作って家庭を持って欲しい。
勿論、長女にも、宗旨をうちで、人として真っ当な、漢であれば何でも良い。
出来れば、イケメンの玉の輿ならば尚更の事。
僕も、彼女も、その考えは同じ。
その為にも、僕は、先ずは妻を、やはりネットから得た情報で、通信制の大学に上げることにすべく伝えてあげた。
2年、3年程後、彼女は、自ら入学の手続たる、卒業証明、願書を用意して、晴れて入学が叶った。
本人は、2年で他の専門の美術へ編入のつもりとは言えども、とても喜んでる。
女子大生さんですか?なんて聞いてみたこともある。
そういうキーワードを聞けば。
この先は言うのはやめておこう。
彼女と出会った時から暫くして猫を飼ってたことで猫好きをずっとアピールしてたら感化されたのか主に何かを求める時は、「にゃ~」って語尾に付ける様になって(「オタクは大抵猫が好き」2chから)それが僕の色に染めてくみたいで何だかちょっと申し訳ない。本心は嬉しいんだけど。
1つ。
僕の、個人的意見とも言えるけども。
日本人の良くない習慣とも言える。
例せば、無言でも察して分かれという習慣が身に付いてる方が思いの外多く感じる。
女の子の微妙な変化にも気付く良い漢。
みたいな、良きモテる要素というか傾向というか、完全否定をするつもりは元よりないけども。
僕の、持論でもあるし、文系は当たり前位、身に付いてる、って思ってた。
特に、良い事で思ったことは言葉に出すべきである。
男女を問わずとも、外見の事を言うのは、時として、相手に対して多大な失礼な言動へとなりかねないから気を付けるべきである。
勿論、TPOやら、タイミングもあるけども。
可愛い 美人 敬愛 好き 優しい etc…
だからこそ。彼女へ、僕は、愛してる。を繰り返してきた。
それで。1日1回「愛してる。」ってお互いに言い続けたいって思わざるを得ないんだ。
See you again!
今日も、天気は良い。
妻はつい天気予報をネットで見忘れて洗濯に困る事があったので気を付けないとって言う。
僕も、毎日ちゃんと観る習慣までは身に付かない。
とかくふたりして掃除だけは苦手でもあって困った夫婦である。
彼女は、アレルゲンに敏感でホントに猫みたいに掃除機の苦でいざかける音がすると一目散に逃げ出す。
彼女の占拠をしてるリビングは頼まれないと掃除機は掛けない。
子供らがお菓子を溢して片付けないのはよくあるので虫も大の苦手な妻を気遣ってのこと。
彼女は、漸く、必要を理解したらしい。
平和。というか、穏やかに時間が流れるだけ。
100均のお洒落な色味と形状の掛け時計の音しかしない。
アニメの動画やカラオケで歌いたい音楽は観尽くした感じだ。
昼下がりのおやつ時までは、趣味があれば時間があっという間なんだね。
彼女の時間の感じ方らしい。
彼女は眠るのが常だったのは何度も記したが、実は、初産を出産後から随分と不眠に悩まされてた。
アレルギー、メンタルの症状が主な原因。
先ずは、アレルギーで漢方を扱ってる病院を数件は探した。
彼女は、僕の集めた情報から幸いにも名医に巡りあえて、合う漢方の外用薬と内服薬と必要量を処方してくれる。
随分と、劇薬のリバウンドで苦しんだ様だった。
夫である、僕が、うつで家に帰りたくなくなる程にだ。
本当のところ。
帰りたくなくなる理由の主は、あの母親が居座って、嫌がらせとしか思えない、家族でもないのに、住人の困らせたくて、整理整頓と称してものの位置を変える。多分、勝手に持って帰る。子供らの玩具をゴミと間違えたって捨てる。滅茶苦茶をやるからだったんだけど。
とんでもない構ってちゃんだ。
此れまでの長年の経緯で全く可愛いげは感じない。
僕は、最初から気付いてた。
それでも。彼女へ。
生まれてきてくれてありがとう。
言ってみた事もある。
その場では、また、すぐに飲み込めない反応を示したか?或いは後から、嬉しさに気付いた。
同じ台詞で返された。
結局は、両親への義理も完全には欠けない。
僕を、生んでくれてありがとう。
言ってみた事もある。
さすがに、想定内ではあったけども、頭の中が?でいっぱいだったであろう反応だった。
彼女は、アレルギーの症状が良いと機嫌も良い。少しでも家事を勤しもうとやる気になってくれる。
リバウンドの時は、うつで、とにかく、痒みから、傷だらけになるので。
「寝ないと皮膚再生しないよ。」
教えてあげる。
メンタルも彼女のお母さんの妨害で随分と治療の邪魔をされたけども。何よりも本人が、僕も頑張って通わせた。
眠剤と食事療法で、傷が痛むときは、少量甘味の併用が随分と楽になるらしい。
鎮痛剤は副作用で消化器気管を荒らしてから医師の判断で使用をストップしてる。
例せば、昨今出回る様になった、第1種医薬品のロキソニンは鎮痛剤で最強と言われるが、恐くて僕でも飲めない。
アレグラも第1種医薬品で強力であり、速やかに、ヒスタミン系統のアレルギー反応を落ち着かせるが、余りに過剰に使い過ぎれば肝機能への副作用の影響が大きいらしい。
大体が、特に眠剤は市販薬が高額なので滅多に購入を出来ない。
病院に付き添ってあげる。
こんなことで愛情を確かめてるみたいでゴメンね。
彼女は気にするのだが、僕は早く治して上げたいので気にする必要も謝る必要もないという。
ところで話が変わるけども。
僕の両親の事。
全部、御寺に願い出をしてる。
その末寺は、御住職様と少しお話しをして特に彼女の件で気にかけて下さった。
ちょっと、法論へ持ち込んだら、僅か30分から一時間も話してない。
僕は、「参りました。」深々と頭を下げた。
慈悲も、お考えも、深い。決して恩義の欠けない方。後世に、活字にして残したいぐらいのだ。
彼女にも時折は話をして理解を示してくれる。
御盆、春期の御彼岸、秋期の御彼岸。
塔婆供養を願い出る。妻も動ける時は御焼香をしてくれる。勿論、子供たちの法統相続も兼ねての事。
先の事は予想位しか出来ない。
長男には、勉強は勿論。
なるべく早く彼女を作って家庭を持って欲しい。
勿論、長女にも、宗旨をうちで、人として真っ当な、漢であれば何でも良い。
出来れば、イケメンの玉の輿ならば尚更の事。
僕も、彼女も、その考えは同じ。
その為にも、僕は、先ずは彼女をネットから、通信制の大学に上げることにすべく情報を伝えてあげた。
2年、3年程後、彼女は、自ら入学の手続たる、卒業証明、願書を用意して、晴れて入学が叶った。
本人は、2年で他の専門の美術へ編入のつもりとは言えども、とても喜んでる。
女子大生さんですか?なんて聞いてみたこともある。
そういうキーワードを聞くと、この先は言うのはやめておこう。
1つ。
僕の、個人的意見とも言えるけども。
日本人の良くない習慣とも言える。
例え無言でも察して分かれという習慣が身に付いてる方が思いの外、多く感じる。
女の子の微妙な変化にも気付く良い漢。
みたいな、良きモテる要素というか傾向というか、完全否定をするつもりは元よりないけども。
僕の、持論でもあるし、文系は当たり前位、身に付いてると思ってた。
特に、良い事で思ったことは言葉に出すべきである。
男女を問わずとも、外見の事を言うのは、時として、相手に対して多大な失礼な言動へとなりかねないから気を付けるべきである。
勿論、TPOやら、タイミングもあるけども。
可愛い 美人 敬愛 好き 優しい etc…
だからこそ。彼女へ、僕は、愛してる。を繰り返してきた。
それで。1日1回「愛してる。」ってお互いに言い続けたいって思わざるを得ないんだ。
See you again!
次のエピソード
『彼女の見える空の色が俺にも見える件。』~自然派出産編、セレブ出産編~
前のエピソード――第6話『彼女のみ見える空の色が俺にも見える件。』(一応、最終話?)
『彼女の見える空の色が俺にも見える件。』~自然派出産編、セレブ出産編~
彼女の出産のこと。
生理の周期はきっちり毎月来てた。
ふたりの場合は、オギノ式だったので、3日以上遅れてるのに気付いて直ぐに購入をした妊娠検査薬にははっきりと陽性の反応。
彼女は、母親に聞いても痛いだの辛いだの恐いだの言うだけ。
そもそも痛みに強い人っているの?
僕へ相談をしてこられた。
「うちの家系を守る必要を思って、生まなきゃって思ったけど。やっぱり恐い。」
「そうなの?無痛分娩もあるって聞いたよ。」
「あれは全身麻酔もあるよ。部分麻酔では完全に痛みはとめられないし、出産でそのまま亡くなった王妃様もいたって歴史の文献にあった。」
「どうしても恐い。下ろしたい。」
「、、、堕胎?!」
「やっぱり、やだ。だってすっごく痛いって皆いうもん。そんな事までして、恐いよ。」
「、、、殺すのか?!!」
僕は、本気で怒鳴った。
「、、、」
彼女は、泣きそうだ。でも、世継ぎもだけど、妊娠1ヶ月でも、子宮の中で一生懸命生まれる為の小さな生命体がある。ということを理解したのは二人目を産後の話だ。
「分かった。」
「怒鳴ってごめん。でも、赤ちゃんが生きてるんだよ。」
「付き添いは?」
「仕事の休みを合わせるよ。」
付き添い了承で少しだけ安心した。
彼女は、それでも不安で、妊娠初期のうちに本屋で出産関係の2冊本を買って病院を選んだ。自然派分娩の産院で妊婦さんでもしっかり体を動かして安産を迎える方針の産院だ。
頻繁に新聞やテレビや自伝を頼まれる取材のくる有名な病院らしい。無痛分娩はやってない。
僕は、無痛をやらないことで少し心配だったけども、一緒に産院の診察の付き添いをお願いして母屋まであるレトロな産院にちょっと驚いたが、彼女の選んだ病院だから。きっと耐えられる。大丈夫って信じた。
彼女の場合は、つわりが酷く覚えてないぐらいだ。
中期は軽い中毒症ぐらい。
後期になるとさすがに身動きが取り辛く見える。
だが病院の方針で山登りのツアーに参加をしてた。農園の親切なおじさんから蜜柑を1個戴いて、歩きながら食べたらしい。
出産の不安からか妊娠中に食事を摂っても指入れて吐いてしまったりバカなことをしてた。
沢山食べた方が押し出す力で産道の動きが早くなって楽だと知ったのも後の事。
後期も予定日の調度1週間と一日前、下着に少量の出血の後がある。
僕の判断で直ぐに産院に行って診てもらった。
「子宮口が一センチ開いてますね。4日、5日の内には生まれるでしょう。このまま泊まられますか?」
入院費が大変だ。家に帰った。
「今夜、仕事を締めにして、明日も産院に行こう。」
19時頃。僕は仕事に出掛けた。
彼女が探した賃貸のマンションで、ゆっくりするつもりだった。
22:30前後。
軽い生理痛みたいのが10分感覚で来る。
なんだかわからない。
水中出産の準備でラベンダー・アロマ風呂の用意。
1:15前後。
ちょっと痛みが辛く感じて水中出産の様に香りを楽しみたいが痛みでそんな余裕はない。
3:00頃まで出たり入ったり。痛くて落ち着かない。
僕の携帯へ、さすがに電話が来る。
「どうしたの?」
「、、、痛い、、、痛い!いたたたた!!」
「陣痛?」
「分からない、痛い!」
痛みでぼろぼろ涙が落ちてたって。
「もうすぐ仕事上がれるから!いつものタクシーに電話して!」
「うぅぅぅぅ!、、、分かった、、、、、、」
タクシーに電話。繋がらない。
「俺が掛けてやる!」
自宅分娩のつもりだったらしいけども、助産師もなしに一人きりでは無理に決まってた。
「15:30到着!いつもの虎猫タクシー!マンションの側の交差点!そこに着けるって!待ってって!」
「、、、ふぅぅぅぅぅ!、、、わかった。」
彼女は、痛みを堪えてショルダー・バッグにバスタオル、パジャマ、うろ覚えの入院道具。そして安眠と集中力の向上の効能の、ラベンダーのエッセンシャル・アロマオイル。
彼女の視点でお願いします。
ずっと10分位の感覚で痛むお腹を抱えながら体を持っていく。お腹が壊れそうな痛みだ。指定の場所にショルダー・バッグをおいて持たれてどんなに向きを変えても痛みで苦しくて堪らない。
3:30 時計の時間がもどかしい。
というか時間が過ぎてる!いつくるのよ!
5分、6分、程遅れてタクシーは着いた。ワンピースやらズボンやらの汚れなんぞはどうでも良いが、大事にしたくなくて妙なプライドもあるのか?早く痛みから解放されたぃのか?しゃきしゃき、鞄を抱えて歩く。
「妊婦さんで、陣痛が始まったって聞きました。」
「、、、はい。」
「場所は?」
「市外の個人のクリニック。某駅の側です。」
「そこの、駅に向かいます。」
何度でも来る陣痛。
「、、、うぅぅぅぅ、、、くぅぅぅぅ、、、うぐぐぐ、、、、、、」
陣痛の合間には休憩が入る。
「はぁ、、、はぁ、、、はぁ、、、」
バッグを背凭れにしてなるべく楽な体制を思えども後部座席ではどうしても限界がある。
そうだ。おなかには大事な赤ちゃんがいるんだ。あかちゃんだってもっと辛いかもしれない。
4:15前後
産婦人科の若い助産師さんから電話。
もうあまり思い出せない。
「どうですか?痛いならば。声を出してください!」
「声ですか?!分かりました!!」
「あーーーーーーーー!」
窓は空いてる。
叫び声は自分でもまるっきり野獣の叫ぶ声だ。
「パァン!」子宮口で破水した。
膣口から羊水が流れるのが分かる。
多分、此れが産まれる直前の時の合図だった。
とにもかくにも痛いんだから。恥ずかしいとかの感情は既に皆無だ。
電話は5分過ぎ?程度で切った気がする。
叫ぶ方が確かに、若干は楽に感じる。
子宮が壊れるんじゃないか?って痛みを一瞬で秤にかけた判断が自ら押し出し。
陰部がピリッと音をたてて少し破れたがそんな痛みですら全く感じない。
多分、赤ちゃんが産道を頭が通ったらあっというまだった。
「ホギャー、、、」
産声だ。
5:40
後に記載をされた母子手帳の出産時間。20分。
まだ安心なんて出来ない。赤ちゃんが起きない。何度か声を掛けてみる。
運転手さんにシートに生まれた赤ちゃんのおくるみをタオルケットで頼んで。再び病院へ向かう。
やっと痛みから解放をされた。
何しろ辛かった。
運転手さんが駅を間違えたりしたが、坂の頂上の病院の入り口前で先生と助産師さんの二人が見えた。
朝焼けがやけに綺麗だ。
もううろ覚えのことだ。
「赤ちゃんを、渡してください。」
立ち会いの運転手のおじさんが慎重に手渡す。
「ここでへその緒を切りますよ。」
丁寧に対応をしてくれる。
内心では、やっと会えた赤ちゃんと離れちゃう!一瞬でも不安だ。母性本能?
「胎盤を外しますね。」
馴れた手付きで、胎盤を背中がわに押さえる様にスーっと外す。さくさくすすむ。
胎盤が外れると暗くて見えないが、おろが出てたのが分かる。
「車椅子です。おしりが痛いでしょ?ドーナツ・クッション敷きましたよ」
あいたたた!本当におしりが痛い。
同室に運ばれた。赤ちゃんは保温気の中。良かった。ちゃんといてくれた。
「今から麻酔をかけて縫いますよ。」
「注射?!!恐いです。」
「縫わないと排尿痛で、もっと痛い思いするよ?」
「お願いします!」
先生は麻酔をかけると、時間は掛かったが丁寧に左右3ヶ所の6ヶ所縫ってくれた。
「これ、最新の体内で溶ける糸だから抜糸もいらないの。」
院外出産なので洋室の一般的な入院部屋。
早く和室のお部屋がいいなぁ~。
7:00位。
「御主人がみえましたよ。」
?!
やっと、僕の顔が見れたって。
「でかした!めぐみ!」
彼女の隣で眠ってる、小さな赤ちゃんをニコニコ笑顔で見てる。一言。
「人間がいる。」
。。。
後で分かったのは、痛いだの苦しいだのは母体がひたすら耐えるか無痛にするかで、赤ちゃんの方は生きようという感覚をちょっとしたことですぐに諦めてしまうらしい。
だから特に出産ってややこしくて難しい。
二人目の事。
出産時間 18:45
16:00
僕も、今日は休みを取ってる。
間の悪いしつこい余計な来客で時間を無駄にした。
軽い陣痛の始まった彼女は無視して出掛ける準備をする。
駅まで自転車?途中の自販機でジュースが飲みたいと買って飲み干した。
17:00代
地下鉄を降りて改札に向かう途中で動きが鈍くなった。
「タクシーを使おう。」
「高いよ。」
「市内だし大したことない。それより地下鉄はムリだって!」
しぶしぶホームを上がるつもりが、陣痛が増してくる。今回はまた違う。
地下鉄に降りたのを後悔してた。
持参した杖で歩くやっぱり10分感覚であいたたた。
駅前のタク乗り場で乗車。
「夢ヶ丘マタニティクリニックへお願いします。」
「はい。虎猫タクシーへ御乗車ありがとうございます。奥さん陣痛ですか?若い方みたいですが。」
「そうです。」
「なるべく急ぎますね。救急車使われないんですか?あの辺りに呼べますよ?」
「いいから!このまま病院へ行ってよ!」
「、、、はい。」
ちょっと、というか、かなりいらっとした風にも見えた。
「ひっひっふー、、、うぅぅぅ、、、痛い。」
初産と比べると、子宮が壊れるかと錯覚する痛みはない。
だが10分感覚の痛みは強い生理痛みたいだ。
3人で後部座席では狭くて体も伸ばせない。
僕の肩を痛いよ!ってバンバン叩いた。
気を使ったマッサージも下手だから要らないとはね除けた。
僕から、初産の長男へ説明は受けさせたけども一応の納得はするがで理解には至らない年だ。
「病院に着きましたよ。」
「荷物と、あとお願い!」
今回は杖で、それ一本でよたよたそれでも急いでる。
院内は薄暗い電気の点いてる方に向かう。
誰もいない。そんなぁ。
一瞬、絶望した。
「病院に電話しないと。」
僕が、院内でかける。
ちょっと待ってだって。
耐えながら両手を地面に付けて。杖も床に。
看護師さんが見えると片手をあげて、助けてと言わんばかりに声も出ない。
車椅子を持ってくれてた。
自分から乗って陣痛室の向かいの分娩室。
「下を脱いで下さい。上の肌着は?」
「ちょっと、脱げません!///」
「子宮口が、10㎝。頭が見えてます。」
「これつけますよ。」
赤ちゃんの心音を確認。
助産師さん並びに、看護士さんは婦長さんを含めて、5人以上はいた。
「担当医です。」
「よろしくお願いします。あいたたた!」
「バースプランの、無痛分娩の、、、はぁ、、、はぁ、、、うー!」
医師は棚から注射器を出す。
「これですか?」
「お薬の名前を。」
「()」
「パパ!ネットで調べて!」
「、、、麻酔薬の名前だよ。」
長男は別室の位部屋でちょこんと腰かけて待ってる。
「プチッ!」破水した。
手摺に捕まって。
「うー!」
出ようとする赤ちゃんと、初産の出るときの陰部が破れるのを恐がって、私は、ギリギリまで出したくなかった。
「ハァハァ、、、」
心音の確認の機械の音がしばらくとまった。
「あ、陣痛室に行かなきゃ、、、」
私は、虚ろな顔で分娩台から下りようとする。
その瞬間。
私は、真剣な顔の助産師さんの一人からあっという間に仰向けに寝かせられた。
四人がかりで仰向けの体制から動けない。
赤ちゃんは頭からスーッと出てきた。
「ホギャー、、、」産声をあげてくれた。
丁寧に胎盤を外される間。やっぱり若い看護師さんから。
「一人目がよっぽど辛かったんですね。」
陰部の縫合もなかった。
赤ちゃんは産湯で洗われて可愛い帽子とオムツ1枚。女の子だ。
お兄ちゃんが察したのか暗い部屋からとことこ歩いてきた。
※
「私はあなたから安産だったって何度も言われたけども、初産は特に大変だった。タイミングが合わなくて、内心では自宅分娩を考えてたら、実際はとてもじゃない助産師さんもなしに耐えきれずにタクシーを飛ばして貰ったんだ。」
「病院までもたないで、車内分娩、時間は20分って母子手帳に書かれてた。本当は、10時間から始まって5時間~3時間は陣痛が辛かっんだけどね。2時間?一刻?ぐらいまえにはどうしようもなかったよ。」
「叫んでたのは産院からの電話で声出した方が楽ですよ!言われたのが20分前の電話だからかな?おなかに赤ちゃんがあるから耐えるしかなかった。」
「確か、そう言ってたね。僕が付き添えなくて本当にごめん。」
「謝らないで。タイミングって熟練の産科医でもしょっちゅう間違えるものらしいから。」
「けど、スマホのメールの「産まれちゃった。」は今でも面白いよ。」
「そうなの?でも初産って本当に辛かったんだから!タクシーの窓は前開であー!って大声で叫ぶ程の痛みで陰部も早く陣痛から解放されたくて、ムリに押し出したら、後で三針ずつ縫うはめになったし、縫っても排尿の度に痛むし。」
「タクシーの運転手さんと、スマホで病院の助産師さんと連絡の取り合いで凌いだ。我慢しないで前日から病院に泊まるかすれば良かった。助産師さんのつかない出産は赤ちゃんも母体も危ないことがあるんだって。なにもなくて良かったけど。」
「お部屋は和室で、食事が雑穀ご飯にばっちり美味しい和食は美味しかった。景色も山中で良かったよ。カンガルー式なんだっけ?お腹に赤ちゃん乗っけて3人で眠ったね。掃除のお姉さんに見られて仲良さげで微笑ましいって言われちゃった。」
「二人目は無痛分娩もやってるバーニング・プランも患者さん限定のアロマ・マッサージの高級志向の産婦人科医院が初産の時の本にもあった。」
「あなたもネットで決めてたっていうから偶然?有名なのかな?初産に比べると、産道が開いてるから楽だってみなみさんに聞いたけど本当だった。でも生理痛みたいな辛い痛みはあったからくるしんでたらマッサージしてくれたけど下手だって文句言われたって、ちょっと落ち込んでたね。ゴメンね。」
「謝らないで。一人目の付き添いも出来なかったし、陣痛時のマッサージを勉強しとくべきだった。仕事が楽しくなってきたなんて場合じゃなかった。」
「本人と助産師さんじゃないとわからないよ。現場に入って、内科、産婦人科の勉強中のみなみさんですら助産師の資格は持ってないから付き添いは自信がないって。。産科医の勉強をしてる付き添って貰えただけで有り難かった。無痛分娩はどっちも出来なかったけど、二人とも無事に生まれてきてくれたし結果はオーライだよ!」
「めぐみに言われると安心する。不思議だね。」
「バースプランの無痛分娩は出来なかったけど生まれてすぐの記念撮影は皆、笑顔で撮れたし高級ホテルみたいなドアにシャワー、洗面台付き。付き添い用のソファベッド。最初の食事は鯛の尾頭付きのお祝い善でびっくりしちゃった。」
「真ん中のお部屋のパソコンは使い放題だから、ボードゲームっても、将棋やら、あとはネット通販で欲しいものみてたり、ソーシャルネットワークサイト、なんだけど、ちょっとは遊んでたら一人目の赤ちゃん入れる肩掛けの袋みたいので抱っこしてた。看護師さんに心配されて赤ちゃんのベッドに移動させられちゃった。」
「院内のジュースを買いにいったら、偶然、立ち会いの無痛分娩と検査の担当のお医者さんに見つかって、赤ちゃん連れて帰るか心配されちゃった。夜中だったし。アロマセラピストの綺麗な御姉さんのマッサージが気持ちよかったよ!途中で寝そうになっちゃった。」
「あと、助産師の一人に一人目がよっぽど辛かったんですねっていわれた。分娩室、陣痛室の紹介の時は、看護師さんが涙目で、頑張って下さいねって。いまでも理由が分からない。あ!そうそう来客用のベッドで上の子爆睡してたよね!あなたの寝床が狭くなっちゃって。見てて笑っちゃった。」
「喉元過ぎれば熱さ忘れる。」 (諺)
「産みの苦しみって、とてもじゃない。想像以上だった。」
「けどね。お腹に赤ちゃんいるんだっておもって。耐えれたよ。ブログに書いたら関東ローカルって、地元からカメラマンさんやら照明さんやらで、テレビの取材が来ちゃって、家族で出れたね。」
「でもね。赤ちゃんは生まれたけど長男の立ち会いのおじさんは、それから1年経つ直前に他界しちゃった。後で聞かされて、すごく悲しかった。取材と同時で、あなたは靴がないから、ってすぐに遺影を見付けて。お墓参りでは、うちの宗旨で、どきょう、しょうだい。遺骨に向かってあげたね。宗派は違ったけど、同じ仏教で、菓子折り持ってお墓参りに来てくれたって、みんな喜んでた。残された奥さまが心配だよね。また、伺おうね。」
まだまだ喋りたそうだったが、僕は彼女の肩を抱いた。
どんなに言葉で説明を貰っても男の僕には一生分からないだろう。
「君が、全部与えてくれた。本当にありがとう。」
「お礼なんていいよ。あなたを愛してなかったら、、、。」
僕は、内心思った。「女の子は大変なんだな。」
男の子だって仕事をして家族を養うのが基本だ。
実は、長男は、5才を過ぎての乳離れだった。母乳を薄く感じて牛乳を飲む様になったからでもある。玄米みるくを併用してた。
長女は、3ヶ月そこそこで粉ミルク。
彼女が、とある健康マニアで自然食にハマってベジタリアンになって上の子の粉ミルクを拒否してた。
豆腐、卵、魚を少しは食べてたが激ヤセしてまたみなみさん頼みでメンタルでも精神科治療の拒食の治療を受けさせた。あまり効果はなかったけども。長男には、牛乳を買ってきて飲ませたらすごく美味しそうに飲むので体が動蛋を欲してたのだろう。実際に、食べてないはるかの母乳は薄いからマズイって飲まなくなったらしい。
いろいろ大変だったが、今は皆。健やかに穏やかな生活を送ってる。
彼女は、先に言った様に長女と御揃いで御洒落を楽しんでる。
彼は長男と草原を走り回ったり様々なスポーツに興味を示してる。
彼にも伝えたが、早くふたりのこどもに自活して早く孫の顔が見たい的なことを本気なのか?冗談に聞こえないので戸惑わせたりしてる。
ふたりとも御互いの影響もあるのか?
今以上に、庶民の生活をもっと知るべきだと感じてるらしい。
(一応、完?)
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!