「ねぇ、李斗。」
「なんだ?」
私が何気なく話しかけると、李斗は少し困ったように眉をひそめた。
「今日、二人でどこか行かない?」
「行くって、どこだよ。」
「うーん、どこでもいいんだけど、初めて二人で出かけるから、ちょっとどきどきして……」
思わずそう言ってしまうと、李斗はふふっと笑って、少し真面目な顔をして言った。
「そうだな、俺もなんか緊張してる。」
「え、李斗が?」
驚いた私は、つい声を上げてしまった。
「何だよ、それ。」
「いや、だって……李斗ってそんなの気にしないって思ってたから。」
「誰だよ、気にしないの。」
「あ、やっぱり?」
「ふざけんな、そういうのはお前の方だろ。」
「私?」
「お前だよ、もう。」
李斗は恥ずかしそうに目を逸らしながら、しばらく黙り込む。
「……ま、行きたい場所があるなら、行ってやるよ。」
「うん、ありがとう!」
私がにっこりと笑うと、李斗も少し照れながらも、肩をすくめて答えた。
「お前、すげぇ嬉しそうだな。」
「だって、初めてのデートだから!」
「……なんだよ、そんなに嬉しいか。」
「うん、だって私、恋愛って何かよく分かんなかったけど、李斗と一緒にいると、どんどん楽しくて、ドキドキするんだもん。」
「…そうか。」
李斗が少し照れくさそうに言って、また歩き出した。
その時、私は不意に思った。
恋愛って、こんなにも心が温かくなるんだって。
それを感じさせてくれたのが、李斗だった。
そして、私も少しずつだけど、恋愛をもっと深く学んでいきたいって思った。
「じゃあ、どこに行こうか?」
「そうだな……映画でも見に行くか。」
「映画? それなら、近くの映画館に行ってみたい!」
「よし、決まりだな。」
私たちはそう言って、手を繋いで歩き出した。
でも、その途中でちょっとしたトラブルが発生した。
「おい、なんだあれ。」
李斗が指差した先には、見覚えのある人物が立っていた。
それは、私が以前少し関わりがあったクラスメートだった。
「まりあ、ちょっと待て。」
「え、どうしたの?」
「……後ろを見ろ。」
振り返ると、そのクラスメートが私をじっと見ている。
その視線が、何だか少し……怖かった。
「…あれ、どうしよう。」
私が焦っていると、李斗がすっと前に出て、クラスメートに声をかけた。
「おい、どうした?」
その一言に、クラスメートは少し驚いた表情を浮かべたけれど、すぐに笑顔を作った。
「あ、李斗くん。まりあちゃんと一緒なんだ。」
その言葉が、なんだか気まずさを感じさせて、私の胸が少し締め付けられた。
次回、二人の関係に新たな波乱が……!?
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