コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
書き方直しました!
ちまちま投稿頑張ります。
‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
席についてボーとしていたらいつの間にか時間が過ぎて…
全員、無言。
時計の針の音すら、聞こえそうなほど
静かな教室。
そんな中で、LANがふと顔を上げた。
隣で黙って教科書をめくる隣の子を
一瞥する。
言葉を選ぶように、一瞬目を伏せて、
そして
「……えっと、はじめまして。
隣になったし、よかったら……名前、
教えてくれない?」
ぱちっと瞬きした。
「……俺? ああ。俺は、すち。
よろしくね」
やわらかな口調。けれどどこか人との
距離を感じさせる声。
らんは小さく笑って、頷く。
「俺はLAN。…よろしく」
「うん。よろしくね、らんくん」
その返事の自然さに、少しだけらんの
表情が和らぐ。
「名前交換してんのか?」と興味なさそう
に呟いた。
らんは少し体を向けて、
「うん。君は?」と聞く。
「いるま。ま、よろしく」
短い言葉だったが、どこか敵意は
なかった。
むしろ、互いに様子を探るような空気が
流れていく。
最後にらんが、すちの隣でやたら姿勢の
正しい人の方を向いた。
「……君も、同じ班だよね?
名前、聞いてもいい?」
「……あっ、えっと、みこと……
俺、 みことって言います……!」
明らかに緊張していて、
声も少し震えている。
らんは優しく微笑んで、
「よろしく、みこと」とだけ言った。
すちもそっと微笑み、いるまは
「緊張しすぎだろ」と笑った。
ほんの少しだけ、
教室の空気が柔らかくなる。
‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
らんたちと会話をしているとき
ふと 窓の方をみると
桜の花びらが校庭に散っている。
風が吹くたびにひらひらと舞い、
教室の窓まで流れ込んでくる。
窓側席に、斜めに座るようにして体を
椅子に預けていた男がいた。
少し不機嫌そうな横顔。
話しかけんなよオーラ、全開。
「わりぃ、ちょっとそっちで話してて」
らん達との会話から一回抜けて
いるまは構わず口を開いた。
「なあ、お前、名前なんつーの?」
その一言に、男はぴくりと眉を動かす。
一瞬だけこちらを見るが、
またすぐに視線を外して、「……暇なつ」
とだけ呟いた。
「暇……なつ? それ名前か?」
「そうだけど。」
「じゃあなつ。俺はいるま。」
無駄な言葉は交わさない。だけど、
なつはもう完全に無視するでもなく、
たしかにその声に、ほんの少しだけ、
返した。
「席に座れ、そろそろホームルームを
始める。」
先生の一言で一斉に席に戻る
「まずははじめまして。
1年A組の担任を務める斎藤です。
みんな軽く自己sy」
と言おうとした瞬間
そこに、「すみません、遅れました!!」と駆け込んでくる足音がひとつ。
教室の全員が振り向いた。
鮮やかな目。
誰が見ても、顔面偏差値の暴力。
「…雨乃…こさめ、です。
えっと……遅刻してすみません。」
静寂。
一瞬だけ、教室中の空気が止まる。
「……やば、何あの顔かっけ……」
「かわいい、…!ってかあの人男?!」
誰かがぽそっと言ったのを皮切りに、目を
奪われたように、みんなが彼を見ていた。
「雨乃、入学早々遅刻して
自己紹介もフライングだぞ。」
「えっ!まだ自己紹介もしてないん
ですか?!」
「当たり前だろ、
式終わったばっかなんだぞ。」
「こさめったらうっかりさん☆」
笑いもとれる美女系男子で一気に
興味がこさめへといく。
それはこさめも自覚しているのだが
ただひとりだけ、
顔を上げもしないやつがいた。
緑頭の少し黒いメッシュがかかった男。
彼はずっと、
眠そうに下を向いて
こさめが入ってきてもまるで興味を
示す 気配がなかった。
そして、それが──こさめの視界に、
しっかりと入った。
こさめの目が細くなり、
すっとその席を一瞥する。
(……あいつ、見てもくれねーの)
その瞬間、こさめの中に、
奇妙なざらつきが芽生える。
なんだあいつ。
全員、こさを見たのに。
なんで、あいつだけ……。
(まぁ!俺が上目遣いしたら
イチコロっしょ☆!)
それが、
こさめとすちの物語の始まりだった。