入学式
私は高校生になった。
「友達できるかな…」
不安で不安で仕方なかった。
クラス発表。私は6組。
知らない名前ばかり。当たり前だ。
中学生の時、酷い嫌がらせにあった
私は家から遠い高校を選んだ。
教室に入り、自分の席を探す。
窓際の後ろから2番目。窓からは海
が見えた。透き通る綺麗な海に目を
奪われた。先生が入ってくるまで海
を眺めていよう。知り合いのいない
教室でも綺麗な海を見ていたら安心した。
『綺麗…。』
ふと後ろから声がした。優しい声に
私は思わず振り返ってしまった。
私の後ろにはお人形さんのような
可愛らしい顔をした女の子がいた。
「海..綺麗だよね」
私は勇気を振り絞り震えた声でそう
答えた。
女の子は一瞬困惑した表情を
見せた。
その後窓の外を見て納得したかのよ
うにひとりで頷いた。
私は何か変なこと言ってしまったの
かとドキドキした。
「あ…ごめんなさい…」
謝ることしか出来ない私が私は大嫌
いだった。
『大丈夫だよ。あのね、私が綺麗だ
と思ったのは海じゃなくて貴方の
髪の毛。分かりにくくてごめんね』
女の子はそう言って笑った。彼女の
その笑顔に私は一目惚れだった。
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