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大正
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裏五条
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協会本部のオペレーター室にいる南雲の元に吉報が届く。
「南雲さん! こちら日引春香です! 逆神四郎さんによって、【稀有転移策石】の発着座標ポイントが確保されました! 四郎さんのイドクロア加工物【黄箱】によって、多層の結界が構築されています!!」
「そうか。分かった。ありがとう、日引くん。四郎さんにもお礼を言っておいてね」
「了解しました!」
日引春香は大仕事をやったのけた逆神四郎に向かって、賛辞を述べる。
それは本部にいるメンバーも同じ気持ちだったらしく、彼らも無条件で四郎を称賛した。
「さすがは逆神くんのおじい様だなぁ! おひとりでここまでやるとは!!」
「ほうじゃのぉ。四郎さんとは1回、うちの縁側で一杯やりたいのぉ!」
加賀美政宗と久坂剣友が出撃の準備を整えたのち、感嘆の声を上げる。
「うにゃー。おじいちゃん、さすがだぞなー。お料理も上手だし、非の打ち所がないにゃー」
「確か四郎さんは、六駆さんのスキルの基礎をご指導なさったのでしたわよね? 実績は嘘をつきませんわね」
五楼京華が少しざわついたメンバーの気を引き締める。
「よし、貴様たちにはこれから戦場へ行ってもらう。いいか、最も重要な任務は死なない事だ。危なくなったらすぐに退却しろ。後詰に監察官が控えているし、監獄ダンジョン内には逆神がいる。貴様たちが命を賭けることはない」
南雲修一が五楼の言葉を引き取って、纏めた。
「今回はアトミルカの精鋭が相手だ。五楼さんの言う通り、無理だと判断したらすぐに退却を徹底してくれ。必要とあらば、私も五楼さんも現場に行く用意がある。君たちは君たちにできる事をして、くれぐれも気負い過ぎないように」
6人の探索員は「はい!」と答えて、久坂の持つ【稀有転移黒石】で監獄ダンジョン・カルケルへと飛び立っていった。
南雲はそれを見届けたのち、同時通話回線を開くのであった。
◆◇◆◇◆◇◆◇
「分かりましたぁ! じゃあ、すぐに行きますね! ……って、あのぉ。着替えはどこですればいいんでしょうか?」
こちら、御滝中央高校にいる小坂莉子さん。
現在、重大な事実に気付いたところである。
『探索員装備はすぐそちらに転移させるから、学校で着替えてからカルケルに飛んでくれるかな』
「ふぇぇっ!? がっ、学校で装備を着るんですかぁ!?」
『みみっ。芽衣は既に早退して、家に帰っているので問題ないのです。みみみっ』
「うわぁーん! わたしも早退すれば良かったよぉ! 恥ずかしいですよぉ、学校で探索員の恰好するの! コスプレじゃないですかぁ!!」
現在、国際探索員協会の委託を受けた日本探索員協会が、超重要任務『カルケル防衛作戦』のために動き出したところである。
そして、小坂莉子は今や日本が誇るエース探索員。
そんな彼女が、羞恥心との戦いに負けかけて出撃を遅らせていた。
「えっと、南雲さん? トイレで着替えて、そのまま【稀有転移黒石】使っちゃダメですか?」
『だ、ダメだよ! 別に使用するのは屋内でも問題ないけどね!? 煌気力場が発生するから、ある程度の開けた場所じゃないと! トイレの個室で使ったら、両隣の個室もろとも吹っ飛ぶよ!?』
「ふぇぇっ! じゃあ、南雲さんはわたしに探索員装備を着て校内をうろつけって言うんですかぁ!? わたし、学校では大人しい優等生で通ってるんですよぉ!?」
『ええ……。もうチーム莉子はカルケルに到着してるのに、チーム莉子の莉子が学校で恥ずかしがってたらまずいよ。どうにかならない?』
「無理です! 恥ずかしいです!!」
『そこを何とか……。あ、木原くんも転移完了したね。ほら、チーム莉子の莉子抜きになっちゃったよ。今回一度きりだから。ねっ?』
莉子さん、通信をしながらトイレの個室で装備に着替えるところまでは済ませていた。
だが、鮮やかな赤と黒のショートパンツ姿を学友に披露する勇気は湧かない。
オマケに胸には「莉子!」と書いてある。
これはもう、羞恥プレイ以外の何物でもない。
そんな彼女の気持ちを汲むべく、大人の女性が立ち上がった。
『小坂。こちらは五楼だ。構わん。トイレの個室で【稀有転移黒石】を使え』
「ふぇっ? いいんですか!?」
『年頃の娘の気持ち、分からんでもない。私もかつては女子高生だった事もある。南雲、御滝中央高校に連絡しろ。3階の女子トイレに人を近づけさせるなと』
『了解しました。しかし、確実にトイレが吹き飛びますよ?』
『構わん。私の私費で改修させるように手配しておく。なんなら、各個室にコンセントとUSB端子を付けてやる。そう言って校長を黙らせろ!』
『りょ、了解しました……!!』
莉子はこの時、五楼京華上級監察官を心の底から尊敬したと言う。
具体的には、莉子が尊敬する人ランキングで六駆の次くらいにランクインした。
つまり、南雲監察官のランクがダウンした瞬間でもあった。
「では、小坂莉子Aランク探索員! 現場に向かいます!! やぁぁぁっ!!」
煌気を込めた【稀有転移黒石】は光を放ち、その衝撃で御滝中央高校の女子トイレのみならず、隣にある男子トイレの壁にも穴を空けて莉子を送り出したのだった。
◆◇◆◇◆◇◆◇
ドスンと音を立てて、莉子が監獄ダンジョン・カルケルに降り立つ。
「みみっ! 莉子さん! 良かったです! 無事にお着がえできて!! みみみぃ!!」
「うー。もぉ、いきなりメンタルが削られたよぉ……」
「にゃははー。莉子ちゃん、高校生の辛いとこだにゃー。その点、あたしは作戦決行に備えて3週間ほど自主休講してたからバッチリだったぞなー!」
「え゛っ? クララさん……。い、いえ、なんでもないですわ……」
塚地小鳩新社会人、気合で正論を呑み込んだ。
これから戦闘なのに仲間の士気を下げる必要はないと言う高度な判断である。
久坂剣友が「ほいじゃあ、とりあえず点呼じゃ!」と号令をかける。
両パーティーが速やかに番号を述べていく。
「報告します! 加賀美隊、加賀美政宗Sランク探索員! 土門佳純Aランク探索員! 山嵐助三郎Bランク探索員! 坂本アツシBランク探索員! 以上4名、欠員ありません!!」
「よっしゃ。うちの55のも問題ないのぉ?」
「確かにそうかもしれん!! 久坂監察官室所属、55番! 今日も元気に生きている!!」
「今朝はカツ丼食うたもんのぉ! 甘めの味付けが最高じゃったぞ!!」
残るはチーム莉子。
「報告します! チーム莉子、小坂莉子Aランク探索員! 椎名クララAランク探索員! 塚地小鳩Aランク探索員! 木原芽衣Bランク探索員! 以上、4名です! 欠員は逆神六駆Dランク探索員! 早く会いたいです!!」
「ほうじゃの! なんか余分な報告も混じっちょったが、了解したけぇの!」
こうして、カルケル防衛部隊が現着した。
「お待ちしておりましたぞい。はじめましての方も多いようですじゃ。ワシは逆神四郎と申します。孫がいつもお世話になっとります」
「四郎さん! こりゃあ世話かけさせてすまんかったのぉ! 実に助かりましたわい! 報酬アップを久坂剣友の名で上に報告しちょきますけぇ!」
恐らく日本で最も強い後期高齢者たちが合流し、挨拶を交わす。
「ほっほっほ。とりあえず、皆さんが来るまでに倒しておいたアトミルカの先遣隊がその辺りに転がっておりますぞい」
「うわっ! マジだ! さすが逆神さんのおじいさん……! なんて恐ろしい……!!」
彼は逆神六駆被害者の会の古参。
山嵐助三郎Bランク探索員。
今回の作戦の働きによっては来期の昇進査定でAランク探索員になれるかもしれない男であり、作戦に賭ける意気込みはひとしお。
「げふっ!? あ、あれ?」
そんな彼の背中を、煌気弾が貫いた。
見上げれば、次々に飛来してくるアトミルカの部隊。
「山嵐くん!!」
「こりゃいけませんな! ワシに任せてくだされ!」
倒れ込む山嵐を抱きかかえる四郎。
到着早々、戦いは激しさを増していく。
コメント
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おおっ、第382話、めちゃくちゃ熱かったです! まず莉子ちゃんの学校での着替え問題、めっちゃわかるわ~。優等生キャラで通ってるのに「莉子!」って書かれた装備はギャップがエグい(笑)。でも五楼さんの「トイレ吹き飛ばせ、私費で直す」は神すぎるだろ! あれで莉子ちゃんの尊敬ランキング、六駆さんの次に上がったの納得。 戦闘シーンも一気にシリアスになって、山嵐さんがやられたのはマジで衝撃的。四郎さんが即座に対応したのは流石すぎる。久坂さんと四郎さんの“最強高齢者”コンビの掛け合いも渋くて好きですわ。次回が超気になる! 六駆さんとの合流、早く見たい🔥