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百赫
(赫黈)
百side
蒸し暑い夏の夜。
赫の帰りを待つ。
百「…(顔上)」
…意味無いか。
星が綺麗だ。
赫「────」
黈「────────(笑)」
赫「──(笑)」
見つけてしまった。
最愛の人が、別の人と歩いているところを。
百「…」
友達かもしれない。
遊んでいるだけかもしれない。
そんな淡い期待を吹き飛ばすかのように、2人はやけに甘ったるい匂いを纏うホテルへと入っていった。
百「…ねぇ、」
赫「ん?」
次の日、赫の家へ行った。
百「…俺の事、好き?」
不安で仕方なかった。
自分が出来る最大の愛を注いできたつもりだ。
赫「どしたん、(笑)」
百「…」
赫「好きだよ(笑顔)」
…
嘘つき。
蒸し暑い夏の夜。
だが、どこか涼しい風が俺の耳をくすぐる。
百「…(笑)」
月が俺を笑うように輝く。
それを隠すように雲がちらついた。
百「…っ~!(伸)」
気分がいい。
赫「っっ…(泣)」
暑い。
暑い、暑い。
蒸し暑い。
赫「~~~っ!!…(泣)」
電気をつけていないせいで暗い風呂場の中に口をガムテープで塞がれた俺の愛人。
…裏切り者
赫「…っ、~~!!(泣)」
そんなに泣かないで。
素敵な顔が崩れちゃうでしょう。
そう思いながら彼の前で口紅を塗り直す。
赫「っっ、!?~~…(泣止)」
今、泣き止ませてあげるからね。
彼の塞がれた口の上から接吻をする。
赫「…っ、(怯)」
ゆっくり、たっぷり、…嗜むように。
最後の接吻を。
百「…赫、(笑顔)」
口を離す。
今まで見た事がないくらい瞳の奥に恐怖をのぞかせた表情を浮かべてこちらを見る最愛の彼。
赫「っっ…!(泣)」
百「好きだよ…(笑)」
優しく、風呂場に詰め込まれた彼の頭を撫でる。
手足は結ばれているから簡単には抜け出せないんだろう。
百「…好き、」
赫「っ…!(泣)」
風呂場の蛇口へと手を伸ばす。
急遽借りた古いアパートだからか昔ながらの蛇口が小さな小窓から溢れる月光を反射してぴかぴかと光っている。
赫「っ!?っ!!~!!!(泣)」
百「大丈夫、大丈夫(笑顔)」
熱すぎるのだろうか。
お湯が出た瞬間身体をくねくねとよじらせて抵抗してくる。
そんな彼の頭を撫でてなだめてあげる。
赫「っっっ、!!!!!!(泣)」
百「ふふ、そんなに怖がらないで(笑顔)」
彼の肩辺りまでお湯が溜まった。
俺と赫の汗の匂いが風呂場中に充満している。
百「ねぇ、赫(笑顔)」
赫「っ、っゔぁっ…(泣)」
赫が暴れてお湯が飛び散ったせいでガムテープの粘着力が弱まったのか声が漏れている。
百「俺の事、好き?」
赫「っ、…っ!っ!(頷)」
必死に首を縦に振る赫。
…馬鹿だなぁ。
百「…そっか。(笑顔)」
赫「っ!!っ゙ッ~!ゔぁ゙っ!(泣)」
だから、出して。
とでも言いたいのだろうか。
百「嘘つき(笑)」
赫「っ゙…(怯)」
最期に頭を撫でてあげた。
夏祭りがあったのだろうか。
色とりどりの衣装を着た人々が笑顔で街を歩いている。
百「…」
赫と、行きたかったなぁ…笑
遠くでサイレンの音がした。
次のニュースです。
先日、夜1時頃、東京都内のアパートで男性の遺体が発見されました。
風呂場の中で何回にも当たってシャワーヘッドで暴行を与えられた撲殺と考えて警察は捜査を続けています。
逮捕されたのは、被害者と恋愛関係にあったと思われる男性、桃瀬 百 容疑者です。
警察によりますと、桃瀬容疑者は「被害者と恋愛関係のもつれがあった」と供述しており、容疑を認めているということです。
被害者はその場で死亡が確認されました。
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参考 長く短い祭