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第捌章『神といふ名の人間達』
2つの事件から3日が経過した。暗闇の中、小さき少年は何処にいるのかも分からずただ当たりを見渡す。すると、少年の目の前には逆光に照らされた秋水 流らしき黒い幻影が現れた。その方へ少年は足を走らせて、その方へ手を伸ばした。
「ねぇ罪夢。あなたはどんな人になりたいの?」」
「う~ん、僕は。」段々と逆光の光は増し、周囲は白く包まれる。
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白い病室の中。ベットの上には点滴が打たれ包帯で全身を巻かれている人が寝ており、心拍数を図るモニターには、脈を打っていることを映し出されている。罪夢はそれをただただ見守ることしか出来なかった。
「師匠。なんで、アンタがこんな目に合わなきゃ行けなかったんですか、なんで?俺でも良かったはず。あの事件をすぐ終わらせてさえいれば、加勢に入れたのに。」
そう、そのベットに寝ている人物は、秋水 流本人であった。罪夢が目を瞑ると大きな涙が一粒流れ落ち、罪夢はその場を離れた。
【神日本政府 水ノ戸神宮】
秋水 流がいつも身を置いている神宮の前には秋水の関係者が列を成しており、室内には座席が沢山並べられていた、最前列に神日本政府の神々達、その後に関係者が座る形になっていた。秋水が無事に現世の体に帰って来れるように念を込めるのを今か今かと待っていた。
白髪に黒のメッシュの入ってる浴衣姿の男性、大鼓 音色(たいこ ねいろ)や髪が腰まで伸びている浴衣姿の金髪の女性、祖月輪 カグヤ(そがわ カグヤ)。金髪の浴衣姿の男性、雷電 迅(らいでん じん)は開始時間を遥かに超えた待ち時間に堪忍袋の緒が切れそうになっていた。その他の神は目を閉じて瞑想をしていた。
「まだかよ。いつまでチンたらしてんだよ。」
「別にいいじゃねぇかよ。まだ人が揃ってねぇんだ。」
第一に声を上げたのは大鼓 音色だったがそれに答えたのは隣に座っていた、ガタイがよく赤髪に青のメッシュが入った浴衣姿の男性の石踊 神楽(いしおど かぐら)であった。
「まだ始まらんのか。」
「まぁまぁ、」雷電 迅も声を上げるが右横に座っていた赤崎紅血がそれを収める。
「でも珍しいよな。お前が来るなんてよ。」
「それは先輩の帰省に念を込めなきゃ。顔を見せずあの世なんて後輩の面潰れっすよ。きっとここに来なきゃ、後で見せる顔がねぇっす。」
「それもそうだけどよ。無川(むかわ)の奴は相変わらず来ねぇんだな。」
「それもそのはずだ。無限の神になった途端、彼奴は自身の神域に閉じこもってしまったんだ。あの『戦い』を最後にな。」
不死死人が口を開くと無限の神様、無川という人の話を始めた。その説明を聞くと、内気な性格で且つ、ある戦いで心を閉ざし、ここのところずっと人付き合いもなく自分の神域内にいると今もなお皆はそう考えている。
儀式は約30分後に始まり祭壇の前にはお坊さんがお経を唱えており、その声は神宮全体に声を響かせていた。皆は念を唱え、手を合わせる。神日本政府や関係者は全員席に着いたが、不死死人の隣の席は空席のままだった。
祈りはすぐに終わり関係者はすぐその場を退いて、神日本政府の神だけはその場におり、悔やむ声だけがその部屋を包み込んでいた。
「もし俺があの場に駆けつけてたらこんなことにはならなかった。」
「あの場で俺らが行っていたらこの世は、日本はもう終わりを告げていたよ。」
「全ては時の捻じれのせいだ。」
「いや、全てはタイミングのせいだ。俺らのせいじゃない。それだけは思え。」目元が隠れるほど髪が伸びている淡い水色の髪の男性、天 空内(あま くうない)の悔やんだ声にマッシュヘアーの白髪の男性、新羅 創(しんら はじめ)と不死 死人が答えた。
「早めに秋水の代わりを見つけなければ。」
「それ、ほんとに言ってます?」不死 死人の声に赤崎 紅血が疑問を質問した。
「あぁ、そうしないと世の中に光を照らすことは難しくなってくる。」
「そうすると、1人浮かんでくる。」
「誰だ?」
「我々の同士であり秋水 流の後継。親戚の新海 洪(しんかい こう)だ。あの子なら全てを任せることが出来るだろう。」不死死人と赤崎零人が思い浮かべている人に赤崎輪廻は疑問を問いかけた。
「それって今すぐじゃないとダメなんですか?」
「人が1人かければ全ての戦力が欠ける。その穴埋めだ。せいぜい彼が戻るまでな。」その事が不満な祖月輪かぐやが出した質問に不死死人は答えた。まるで質問のオンパレードだった。
「私は賛成です!」
「俺も。」
「こいつが賛成なら俺もだ。」
「僕も賛成。」
「僕もっす」
オレンジ色の浴衣で、帯には太陽が中央に描かれている水色の物を使用されている赤髪の女性、赤崎 明里(あかさき あかり)と大鼓 音色、石踊神楽、白髪のショートヘアに鬼眼の持ち主の新羅 生(しんら まこと)。
「いや俺は反対だ。」口ひげを生やした赤髪の男性、赤崎 匡(あかさき ただし)が初めに口を開き、その後を追う形で他の賛成しなかった人が口を開き始めた。
賛成派は、浅風 帆高(あさかぜ ほだか)、太鼓 音色(たいこ ねいろ)、石踊 神楽(いしおど かぐら)、赤崎 明里(あかさき あかり)、新羅 生(しんら まこと)、赤崎紅血(あかさき ぐけつ)
反対派には、森 天一(もり あまいち)、雷電 迅(らいでん じん)、赤崎 匡(あかさき ただし)、天 空内(あま くうない)、福 太郎(ふく たろう)、新羅 創(しんら はじめ)、赤崎 百(あかさき もも)、祖月輪 カグヤ(そがわ かぐや)
中立には不死 死人(ふし しびと)、赤崎零人(あかさき れいと)、赤崎 輪廻(赤崎 りんね)
それぞれの面々は反発により、その場の雰囲気を重たく感じさせていた。
「お前らの言い分は分かった。それなら一つ案がある。」突如、不死死人が口を開き皆に案を伝える。
「賛成派と反対派で戦をすればいい。」
「は?」赤崎紅血はあまり発言に驚きを隠せずに口を開いた。
「その戦に中立派は参加していいのか?」
「いや、ダメだ。」輪廻の発言に対し零人は止めに入った。その言葉を聞くと輪廻は零人を睨むが諦めを感じ、後ろを向き自分が展開した神道に入りその場を去った。
「この戦のステージは私が作る。渋谷の上空に創る神域。そこが戦場だ。」不死死人の言葉に神達はゾワゾワを隠せなかった。まるで皆が子供のように龍鬼と死鬼の瞳に写った。
「日時はどうするんだ?」零人が質問する。
「日時は、1月5日 22時に行うものとする。誰がなんと言おうとこの戦いで一つの案が決まる。精々戦を楽しむがいい。これにて解散。」
不死死人の言葉でワクワクを胸に抱えた者もいれば、反対の恐怖を胸に抱えた者やその両方を持ってる者も。皆が去る中、龍鬼と死鬼の心にはとある一つの恐怖を抱えていることにより、この後に戻るべき場所や進むべき先を見えなくさせていた。広い空間にはこの二人しか見える姿はなかった。
罪夢が自宅に戻るとそこには龍鬼と死鬼の姿があった。
「ただいま」玄関には龍鬼と死鬼が俯いてまさに罪夢の帰りを待っていたように立っていた。一方俯いて帰ってきた罪夢。その目の前に龍鬼が歩き寄り一つの質問を投げかける。
「罪夢、お前はどうする。神日本政府の内戦が起こったら。」
「へ?」
「お前ならどうするんだよ!答えろ!!」龍鬼の俯いた心の叫びが静けさ漂う家の中に轟く。
「俺らはどうしたらいい。」その心の中には小さく泳いでいる寂しさがいた。
「俺なら正しい方に着く。それか止めに入るよ。それをするのが師匠だからだと思うしそれが俺達だからね。」罪夢の答えに龍鬼と死鬼は笑みをまた浮かせる。枯れ尽きていた希望に罪夢は希望という名の水を与えた。
「詳しく状況を聞かせてくれ。」罪夢達はリビングへ行きそれぞれのソファーに座り、作戦会議をするように話を進めた。
56分後
「これで現段階の状況は伝えた。」龍鬼が伝えた現段階の状況を知った罪夢の心の中には変なホコリが沢山溜まっているようなモヤモヤ感が募り、その器から溢れ出していた。
「これからどう動く。」
「これから、すぅーー。これからねぇ。これからどうするって言ったってよぉ、戦いは起こるんだろう?」
三人は腕を組んで上を見上げた。
「ただ一つだけ案がある。これがいい案かは分からないけど、」
「何、教えてくれ」
「何!!教えて!」
龍鬼と死鬼はテーブルに腕を着きながら体を罪夢の方に前のめりにさせるが、罪夢はまだ腕を組んで俯いてる。
「もういい!」罪夢の言葉に二人は驚いた顔を顕にした。
「まず飯だ!!そん時に話してやるよ!」二人は罪夢のその言葉にニヤつきが出てしまった。その言葉は罪夢の、いや罪夢が罪夢であるためのものであった。
二人は夕食を食べると同時に罪夢が考えるとある計画の話を聞いた。
「その考えがあったか、」
「そらそうよ!」龍鬼の答えに罪夢が明るく返答を返した。
「後は、修行あるのみだよ。」罪夢が先に腰を上げテーブルの片付けを始めた。これから始まりなんだ、いや、もう始まったんだとそう思わせる面構えをしていた。そのあとを追う形で他のふたりは動き始める。壮大な戦いに備えるために。
〈次の日〉
罪夢、龍鬼、死鬼の3人は修行を始めていた。3人の神域はそれぞれ合わさっており、場所によっては炎と稲妻、それと怨霊がその場を制していた。
お互いは神域を展開することにより、色んな対応に対処することが可能にする。
怨念龍ノ極 呪ノ共鳴(じゅのきょうめい)
死鬼の背中から無数の紫の手が龍鬼へと迫る。その掌は約50mくらいあり龍鬼は捕獲された。
雷龍ノ極…
掌の内から聞こえる龍鬼の声に死鬼は驚きと焦りが顔に出た。
「くらえ!!怨念龍ノ…」
雷破豪燐(らいはごうりん)!!
龍鬼の放つ一撃は怨念の手を貫通させ死鬼に一撃喰らわせた。
「いや、強!何その技!?」
「え、新技。つか、掴むのはいいけど、次の技を放つのが遅い!」
「だって上手く技ねれないんだもん!!」
「それじゃぁ、その特訓だな!てか罪夢は何してんだよ?」
「何かな、瞑想?」
2人はずっと瞑想をしている罪夢をただただ見ることしか出来なかった。すると罪夢がゆっくりと目を開けてその場に立ち上がり髪を掻いた。
「どうしたの?」
「親父と精神内で話してたんだけど、」
「どうしたんだ?」
「内戦のルールが決まりやがった。」
「内輪もめにルールか、」
3人の脳内に突如声が響く。その声が不死死人であるのは当然のことだった。
内戦
1、神や妖怪、神力を所持する者を殺すべからず。
死者が出た場合は中立派が止めに入るべし
2、全派共に全力を尽くすこと
3、自らの神域展開の使用を認めることとする
4、中立派の者は戦に参加することを禁ずる。中立派が
参加した場合は最高神が適切な罪を決めることとする
5、両派、お互いの意思を尊重すること
内線開場
最高神
不死死人により創造された
渋谷上空の神域
神域へ行ける神道は3ヶ所
台東
渋谷
千代田
神道開門時刻
21時
戦開始時刻
22時
「わけがわからねぇ。」龍鬼が先に口を開いた。
「何が?」死鬼がほへぇ?っと言わんばかりの顔で龍鬼の顔を覗いた?
「だってそうだろ?なんで地域しか指定してねぇんだよ?詳しい場所は?どこだ?」
「神社だ。」
「あっ、そうか、それなら納得がいく、」
「あぁ、21時で唯一人がいないところだ。」
「我々神は人間に姿を見せてはいけないから場所も時間もそこにしたんだ。でもあとはルールの弱い点をどうつっつくかが問題だな。」罪夢がまた頭を抱えていた。
「弱い点ならつけるよ?」死鬼が珍しく手を挙げた。
「本当か?」
「なんなら、ルールを聞いてる時に弱いとこはここだって思ったもん!」龍鬼より先に死鬼が提案するのは初めてかもしれない。そんな死鬼を2人は成長したのだと嬉しい笑みを浮かべた。
「決戦は明日だからその弱点を教えてくれ。」
「うん!」
「死鬼」
「へ?」
「ありがとう」龍鬼のお願いに死鬼が答えると罪夢からノ感謝に涙を流した。まるで家族の団欒のように。
「このルール自体は悪いものではないけれども1つの弱点を見つけたよ。それは、」
1月5日 21月50分
千代田区 ■■大神宮
罪夢、龍鬼、死鬼の3人は賽銭の前まで行き、3人ともそこに5円玉を入れ手を合わせた。この戦が誰も犠牲を負うことのないように。
「君たちは一体どこの子かな?」
「へぇ?」
「そういう君は誰なんだよ?」
「名乗るものではないよ?まぁ、ここを守る門番って言えばいいかな?」
「俺らは龍神だ。この戦で犠牲を負うことなく終わらせるために来た。」
「おぉ!それは期待ができそうだね。あともうすぐで始まるよ。気をつけて行っておいで。」
「「「おす」」」
3人は気合を入れて神道へ進んだ。神道ないを数歩進むとすぐに神域内に出た。
大きなステージというよりか1つの聖域のように感じる。中央に大きなクレーターのように3層の穴が空いており、1層には湖のように水が張っており、その中央には大樹が生えていた。2層目は湖を囲う陸地、3層は地上というまるで芸術のような景色が広がっていた。そこには既に多くのメンツが揃っており、賛成派と反対派が向かい合っており、その中間に罪夢達が神道を出て皆の前に躍り出た。
その姿を見ると皆はざわめき始める。
「俺らはこの戦いを終わらせるために来た。龍神派だ!!」
「そう!ルール的にはこの参加のことを言ってないよ!」
「そうだ。俺はわざと穴を作ったんだ、ここを導く者がいると信じてな。ここより戦を始める。皆が全力でできることを尽くし尊重し合え。内戦開始!!」
「しゃぁぁぁ!!!!」
「かませぇ!!!!」両派共に中心にいる罪夢達へと素早く向かう。その素早さをビクともせず罪夢は対する賛成派へ龍鬼と死鬼は対する反対派へ向かう。
炎龍ノ極…
雷龍ノ極…
怨念龍ノ極…
龍ノ戯レ!!!!
3人による龍の攻撃は両派全体を包むほどの威力だったが、両派ともまるで出す技を知っていたかのように対応していた。賛成派には浅風 帆高が風の神技を使う事により風のバリアを張り、反対派には、森 天一が木の神技を使用し、反対派の全員を包んでいた。
「もうこんなに強くなっていたのか。今のうちに積んどくか!!」
風ノ極 霧 風ノ天斬(かぜのごく きり かぜのあまきり)
「あっちだけが仕掛けられると思うなよ。」
自然ノ極 仙樹乱舞(しぜんのごく せんじゅらんぶ)
賛成派 浅風 帆高による風のバリアと同時にそこに霧を発生させると共に風による斬撃。それと共に、反対派 森 天一によりステージの中心部にある大樹の根が地面から伸び出てきて三人の足元を崩す。
3人は感じてしまった。なってはならないことを、作戦の崩壊。もちろん作戦は確実とまではいかないとそう確信はしていたがこんなに早く壊されるとは思わなかった。体勢の崩壊とそれにより起こりうる数多の危険性。
両派の勢いはまた増した。その中からは様々な場所に散らばる者も多くいた。龍鬼の師匠である反対派の雷電 迅は大樹の一番上へ行き、何故か目を閉じて瞑想を始めた。
第一層目には龍鬼、賛成派 浅風 帆高、赤崎紅血、それと赤崎紅血の弟子という名義で連れて来た血羅(けつら)という人物がいた。白髪でモッズコートを着ている少年だった。目元を隠すまで伸びており、風が靡く度に見えるその目からは鬼眼を見ることができた。その特徴からは新羅家一族の特徴が一致していた。反対派 天 空内、新羅 創がいた。1:2:2の状態に龍鬼が身構えることと環境に適応する事に力を入れる他なかった。何せ、一層目だけに赤崎家と新羅家一族が揃っているのだから。
「勝率は、今んとこ低いか。」
「はっ、もう勝つ気でいんのかよ。」龍鬼の言葉に血羅は苦笑いを見せ、全員は構えの姿勢を取るとみんなが殺気立つ。
「まぁ見てなって。」
第2層目には罪夢、賛成派 赤崎明里、新羅 生、反対派 祖月輪 カグヤ、それに並び家族のように連なる5人チェスターコートを着ており、その中心には月が描かれていた。
「暁月(あかつき)、新月(しんげつ)、三日月(みかづき)、上月(じょうげつ)、下月(かげつ)、皆いるな?」
「はい」
「もちろんです」
「あぁ」
「うん」
「えぇ」名前は統一されてるのに、返事はまるで噛み合ってはいなかった。
「コイツらと派と層が一緒だとはなぁ?」
「ワシらがいたら不満か?」
「そうじゃねぇよ。まともにやり合えねぇじゃねぇか?」祖月輪たちの後ろから骨を鳴らしながら現れたのは赤崎 匡であった。
(腕と肩の骨を鳴らしてきた?ということは殴り?いやそれと蹴りも有り得るか。)
「ねぇ、私の可愛い教祖達。」
「はい、どうなさりましたか?」
「そこの龍の首を取ってきてくれないかい?それも、このオヤジより早くね。」
「楽しめそうだぜ。」
「卑怯極まりねぇな。」
(集中だ、修行で得たものを活かせ。いつだって冷静に。)罪夢は深く呼吸をすると構えの姿勢を取る。遠目で恋焦がれる者がいるとも知らずに。
「罪夢くん、」赤崎 明里の唇が名前を呼んでいた。
第3層には、死鬼がその場に立ち尽くし下を見ていた。下で行われていたのはまるで線香花火のように、様々な火花と閃光が駆け巡っていた。それを何故か綺麗だと思ってしまうのは心が汚れてしまっているからだと思うのが正しいのだろう。でもその気持ちは間違ってもいないと取れる。誰しもきらめくものを見れば目を惹かれるはずだ。政治家や有名人、それにホームレスまでね。
そうこうしてる内に、賛成派 石踊 神楽と大鼓 音色が姿を現した。
「おいおい、ここにえれぇ龍神がいるじゃんかよ。」
「何をしに来た?」
「そんなにがっつくなよ。これでも愛想良くしてんだ。」
「要件はなんだ?」
「俺らは戦いたくてきたんじゃねぇ。でも、負けんのも癪だ。戦いながら説明するよ。」
「こい、負けるつもりは無いよ。」
死鬼は構える。お互いにまだ負ける意思はない。でも説明ってなんだろう?と死鬼の頭にはその事しかない。だが今は戦うしかない。状況が一変したとしても。
怨念龍ノ極 呪ノ共鳴!!
音ノ極…(おとのごく)
舞ノ極…(ぶのごく)
神羅天響(しんらてんきょう)!!!!
響き合う二人の神技に吹き飛ばされそうになるが無数の手がそれを包もうとゆっくりと神楽と音色へと伸びている。その響きを止めることがわかる人物は未だ分からない。
【観客室】
豪華な室内。柱は全て金が使用されており、壁紙は空の模様。まるで天にいるぞと言わんばかりのものであった。大きなテーブルにはビールやワイン、刺身に肉が置かれていた。不死 死人と赤崎 零人、赤崎 輪廻がそれぞれの椅子に座ってモニターを眺めていた。それを我々から見ると極楽浄土そのものだろう。
戦っている風景を見て輪廻は大きなあくびをした。でも他の二人はそれに何も言わなかった。まぁ、当然のことである。戦いたかった興奮が消え去ってしまったのだ。不死 死人という神のせいで。毎度毎度邪魔されるんだ。それに戦う意欲だって狩られそれをただただ見とけと言われあくびが出ないはずがない。輪廻は腹を掻く。ただ唯一面白そうなのは第2層目の現状である。それだけが見ものなものだった。
「福 太郎と赤崎 百は欠戦か?」零人が声を発した。確かにその二人の姿形が見当たらない。まぁ、当然だろう。この戦には血の気がある神という名の人間しか見えなかった。怪物のようにも見えるけど。
「そのようだな。でも、三人が参加した不利不足はない。これがどう動くかで世の中は変わってくる。この先のな。」輪廻は赤ワインを口に入れる。赤い目をモニターにかざして。
「罪夢、今からお前の首をとる。」
「首だけじゃなく身体もどうぞ!貧乏者か?」
「くっそ、過去のガキがぁぁぁぁぁ!!」
神技模倣 月ノ極 月狂斬(じんぎもほう つきのごく げっきょうざん)
炎龍ノ極 鉤爪波乱(かぎづめはらん)
カグヤの技を模倣した威力が罪夢に降りかかろうとするが、罪夢は抵抗を始める。月による狂ったような斬撃、炎龍の鉤爪による乱れ打ち。第2層はヒートアップ状態そのものである。
第2層からスクリーンは第1層に移動する。そこでは龍鬼が戦いを繰り広げていた。
雷龍ノ極 蕾・龍ノ戯レ(らい・りゅうのたわむれ)
龍鬼の放つ神技「蕾・龍ノ戯レ」は、普段の技とは別に龍神の属性を取り入れた超強力技である。そのため、龍鬼の雷龍の迅速化を活かすことにより更に攻撃力を放つ技であったが血羅はそれを受け止める。
「痛ぇじゃねぇかよ」
「へ、聞かねぇのかよ」
「痺れた程度だよ」
「まじかよ!クソが」
風ノ極 風覇(ふうは)
二人のいがみ合いに浅風 帆高はちゃちゃを入れた
「油断してんじゃねぇぞ。」
天ノ極 雨ノ鯉踊(あめのこいおどり)
浅風を天 空内がそれを奇襲する。雨雲から降り落ちる無数の雨による鯉は浅風をまるで餌かのように飲み込み湖の底へとは落とし込んだ。だが浅風は風神の力でまた上へと舞い上がった。その様子を見るにだいぶダメージを受けていた様だった。
「へっ、漁夫の利かよ。」
「おめぇもな」
一方、気を挟んだ反対側では、もうひとつの戦いが繰り広げられていた。
血ノ極 血我一閃(けつがいっせん)!!!!
画ノ極 鳥獣戯画 蛙(がのごく ちょうじゅうぎが かえる)
紅血の掌から放たれる血による一閃はカエルと新羅 創の肩を貫いた。だが創は神力を使用し再生した。
「ここで赤崎家と新羅家の因縁の戦い。どっちが強ぇか試そうじゃねぇか」
「本家と元祖争い。当然、神日本政府トップクラスに入るこの俺なんだからよぉ!!!!」
「ザケンじゃねぇぞ!!アバズレが!!」
画ノ極 沖浪裏(おきなみうら)
血ノ神域 展開(ちのしんいき てんかい)
血ノ極 血浪津波(けつろうつなみ)
ふたりが放つ技は第1層の湖の表面を荒立たせ、赤く濁らせる。
「実力は同じか?」
「いや?俺の方が上だね!」
「ん?」
創の足を何かが掴んだ。周囲を見渡すが人や人外なる者の形は見えなかった。それは湖に溶けた血液が手の形を成して創の足を掴んでるだけであったが、その手は湖の中へ沈ませた。紅血が手を合わせ1つの技を放った。
血ノ極 高血圧(こうけつあつ)
湖の中に沈まされたその時、創は湖の液体を飲んでしまった。すると、
(ぐぉえぇ!!なんだ、これは?頭痛、吐き気、意識が飛んで、く。そ、そう、か、あ、あいつの、、技なの、か。こ、こりゃ、参ったぜ、)
「1本あったな。」
紅血は沈んでいる創を見下して優越感に浸った。それはただの優越感ではなく、一族の維新を守ったという優越感という名の安心感でもあった。
「やっぱり本家が一番なんだよ。馬鹿」
龍鬼はまだ血羅を倒すことができなかった。
「おめぇ、吸血鬼なのにこんなにすばしっこいのかよ?」
「それは、一応鬼だからね」
「それもそうか」
「だからよぉ、」
「ん?」
「ここの湖、いや、紅血さんの神域が展開されて嬉しかったぜ?」
「へ?はっ!」
(クッソォ、そういう事か!)
血羅はトップスピードを出し、龍鬼を壁へ殴り飛ばした。すると血羅は湖の液体を飲み始めると、赤みは消えていき元の水面へと姿をまた変えた。
「腹いっぱいだぜ。」
「これでMAXってか?」
「試してみるか?」
神技模倣 血ノ極 血死硬拳 乱舞(けっしこうけん らんぶ)
血羅の両拳に血を纏い殴る技。その手の硬さはダイヤモンドを砕くほどだという。何発も何発も。
「ゴフゥゥゥ…」龍鬼の口からは多量の血が流れでた。それもそのはずである。あんなに殴られればそのはずである。だが、龍神ということもあって意識がまだ残っていた。壁によりかかって目を開けるのがやっとそうな感じで。
「へ、仕方、ねぇや。」龍鬼が口を開いた。
「何か作戦でもあんのかよ?」
「あるに、決まってんだろ。ここまで丸腰で来るバカが居るかよ。」
「何をする気だ?」
「へっ、またな。」
龍鬼が湖の中へ沈んだ。龍鬼は身体を発光させており、身体の中でパワーを振り絞っているように見える。
(ま、まさか。)
(これは最後の後出し。第1層の神や妖怪全部巻き込むが、戦が終わるのなら俺はそれでいい。)
雷龍ノ極 最大出力 雷纏ノ暴発(らいまといのぼうはつ)!!!!
第1層の湖が突如として光出した。それを即座に察知した紅血は空へ飛びその場を眺めた。
龍鬼と血羅の姿が見当たらず、その神力は湖の中に合った。浅風と天の姿はすぐに見つかったが様態がおかしく、その姿はまるで感電してるように見える。きっとアイツのせいだ。雷龍神のやつ。雷電のとこの。
数分して発光は止むと浅風と天は湖の底へ沈んだ。血羅が口を開けて浮かんできたが、龍鬼の姿は未だに上がってこない。どこに行ったのか。
第2層では、罪夢と暁月が戦いを繰り広げていた。殴り合いお互い後ろに下がった時、ふたりはまた構えた。
神技模倣 月ノ極 月輪(げつりん)
炎龍ノ極 炎ノ咆哮(ほむらのほうこう)
二人の間で大爆発が起こった。だがそれをビクともしないくらいお互い睨め付けていた。
「実力は同じ見てぇだな」
「これで首取れそうにねぇじゃねぇか!」
「ざぁぁぁぁこがぁぁ!!」
「舐めてんじゃねぇぞ!!くそ龍神がぁぁぁぁ!!」
「それ以上争っても無駄だよ!」
「罪夢にぃ!まずいよ!」明里が咄嗟に罪夢の前に立つと死鬼が地上から降りてきた。
「なんだ、どうした?」
「この内線の裏には他の隠された計画、というか陰謀があるよ。」
「陰謀?一体何が」
雷ノ神域 展開(かみなりのしんいき てんかい)
雷ノ極 電力最大…
「まじか、今かよ。」と罪夢が口から一言漏らした。その言葉の通り、皆顔をあげることしか出来ないほどの物。天はどす黒い雲に覆われて所々稲妻のビリビリという凄まじい音が聞こえる。きっと大樹の天辺で何もしてなかった雷電 迅の仕業だとしか断言できなかったが、今それを止められるものは誰もいない。と、そう思った罪夢は掌に神力を集める。
炎龍ノ極 炎永(えんえい)…
太陽ノ極…
罪夢と明里が神技を放とうとすると突然、第1層の湖の底から。微かに光を放つ何かがそこには存在していた。それは瞬く間に天へ舞い上がってから叫んだ。
「親父ぃぃぃぃ!!」
雷電ノ極!!!!蕾業燐拳(らいごうりんけん)
天には龍鬼の姿があり、その声は周囲に広がった。雷電は神技の途中であったが、それを中断、龍鬼をただ眺めるしか行動手段は無かった。その声は神域全域に広がるであろう。迅の心には幼き息子の姿が目に映り続けた。約5年前、13歳で母を亡くし一人で暮らすように言ったあの息子の事をずっと思い続ける限り叫びは続くであろう。
龍鬼の拳に迅が展開した雷を纏い迅の頬を殴った。ただただ止まれ、止まれ、止まってくれ、お父さん。と心でそう思いながら。龍鬼の拳は大樹を貫通させながら地面の底へと殴り飛ばした。
どんなことを思ってんだろう。苦しがっているのだろうか。そう思っていても、過去の辛さは埋められないのだろう。もう、ここまで来れば。と龍鬼は心の中でそう思った。
「やっぱし生きてやがった。」罪夢は口を開け、龍鬼は罪夢のいる第2層に下がる。もうほとんど神力は持ち得てなくただ近くに腰を下ろすことしか無かった。それを呆然と死鬼は龍鬼の肩に手を添えることしかできなかった。咄嗟に動かなきゃ行けなかったことを一瞬で終わらせたのだから。意識ももちろん飛ぶであろう。でも、
「あっ、そうだ!」死鬼が呆然から意識を戻すと1つの神道が開いた。
そこからずるずると輪廻が出てきた。試合の終わりか?それとも中断なのかと皆はそう思った。すると、輪廻へ迫る二人の姿があった。
「何のつもりだ?」
「お前がここでやろうと思ってることは知ってる。」
「だから俺らはそんなに神力を使用してなかった!!」音色と神楽が輪廻のことを殴ろうとする。
音ノ極…!!
舞ノ極…!!
神響爛陽炎(じんきょうらんかげろう)!!
音色と神楽の神技により、輪廻は炎に包まれた。でも輪廻は断末魔も何も上げはしない。神楽達はその事を初めから分かっていた。
「龍神達の証言を聞いて思ったよ。お前なんじゃねえか、いや、お前しかいねぇってな。」
「だから俺らは待ってたんだよ。お前が前に出てくる時を、そこで発表すんだろ?お前の企みをさぁ。」
死廻ノ極 地獄ノ業火(しかいのごく じごくのごうか)
輪廻の周辺は炎に包まれ、それを恐れ神楽と音色は地上へと戻される。
「そこまで知ってるなら訳ないだろう。俺の計画。それは赤崎家の原点、鬼の復活だ。」
皆は驚き騒然を隠せなかった。
「まじかよ。」紅血が口を開いた。
「それを導くのは最近、騒動になっているだろう?禁神の強奪と秋水 流の敗北の首謀者。ビトレイヤーだ。」そう輪廻が言うと神道からもう1名現れた。そう輪廻が呼んだあの名前の人物。ビトレイヤー本人だった。
「その他に5名いる。その5名はその後すぐ分かるはずだ。」
「おめえがおめぇらが」罪夢の爪が掌に食い込み、そこから血が多量に流れた。
「おめぇらが俺の師匠をあんな風にしたのかよ!!舐めてんじゃねぇ!!人の命をなんだと思ってんだよ!!!!!!」
「利用することができる、ただのゴミ」ビトレイヤーは罪夢にそう答えた。重く、よく刺さるように鋭く研いでから、罪夢の心臓を刺した。
「うぅォォォァァァァァァァぁ!!!!!!!!」罪夢の姿が一瞬で炎に包まれた。それを近くにいた龍鬼、死鬼、明里。それと暁月がその光景を見て唖然としていた。もちろん他の皆も見ていたがそばにいた人の方がすごいだろう。もの凄く荒く熱い炎。それを見た暁月からは元から勝ち目はなかったんだなと絶望感を抱いた。出来が違うだとか、元から授かった力が違うだとか。ここでもう決着は着いていた。この勝負、元から罪夢の勝ちだった
罪夢の雄叫びが終わると共に炎の筒の中から素早く出てくる何かがあった。
炎龍ノ極 劫火ノ拳(ごうかのけん)
輪廻は目を見開いた。まさか、罪夢が目の前にいる。それに生えてる角が左右にあるのだから。一方、ビトレイヤーはビビっていた。まさかこの世にこんなヤバそうなやつがいるのだから。初めて見る景色に、神、吸血鬼、それに龍がいるのだから。輪廻は罪夢の拳を握っており、元いた場所へ目掛け罪夢を投げ飛ばした。第2層の半分と第1層全体に土煙が舞い広がった。
とすると、地面にもう一つ神道が開かれて誰かが出てくる。その人物は罪夢達が通る神社にいた青年が出てきた。7:3分けの青年。
「輪廻さん。貴方のことを色々調査してましたよ。まさか本当だなんて。でも、もう無駄です。もうそろそろであの方が来ます。」
「ちっ、お前は何しに来たんだ?ルーキーが」
「ルーキーじゃありません。私は貴方の足止めです。」
祟ノ極 朧(おぼろ)
青年の髪が伸びて髪は青く染まり靡いた。きっと覚醒タイプなのだろう。それはまるで炎のようでビトレイヤーは驚いた。
「あの炎。」その輝きに1つの魂が思い浮かぶ。それは母の顔、記憶、それと思い出だった。今は亡き大切な思い出。
輪廻の体は突如として発火した。蒼く火力の高い炎。
「くっそが!!!!五月雨 燐胆(さみだれりんどう)!!!!!!!!」
炎ノ極 炎天獄拳(えんてんごくけん)
「罪夢くん!畳み掛けて!!」燐胆が罪夢へ声をかけると罪夢は頷き、再度技を放とうとした。
炎龍ノ極!!!!紅蓮業火一閃(ぐれんごうかいっせん)!!!!!!!!
罪夢の拳とビトレイヤーの技が重なると輪廻の後ろに神道が再度現れ二人の姿を連れ去ろうとする。
「約2ヶ月後。神日本政府の国会内で革命を起こす。せいぜい待っていろ。構えろ。狙うのは禁神。トップ。隠れているものだ。じゃぁな。」
「今を楽しめ、クソ野郎共。」輪廻とビトレイヤーがそう言うと二人は姿を消した。
「くっそォォォォォォ!!!!!!」罪夢が嘆く。
「失敗か。」不死 死人と赤崎 零人が神道から出てくると悔しそうな表情を浮かべた。その後ろからあともう一人が姿を現した。それは秋水の親戚、新海 洪(しんかい こう)だった。
皆は地上に円を描くように集まった。
「もういいだろう。これ以上暴れることは、これ以上争うのは命の無駄遣いに等しい。これから、海の神の公認式を始める。」
みんなは俯くしか他はなかったが、罪夢はしっかりお父さんの方を見ていた。いや、新海を見た。これが現実(ほんとう)なんだという事を噛み締めながら。
この世の中は変わり行くのだろう。きっとこれからもずっと。
それは未だ誰も知るよしはない。この世に悪魔がいる限り最悪と絶望は行ってくる。限りなく早くかもしれない。導く先は平和、それとも奪われる生活と命か。
第捌章「神といふ名の人間達」終
神羅迅伝 第弐部 完
苦しみを餌にする限り、悪魔の不気味な笑いは止まらない。
だから龍達の歩みは止まらない。