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うわ、これめっちゃ面白い…! 無自覚な天然主人公と、独占欲隠しきれてない幼馴染みの組み合わせ、王道だけど鉄板すぎる。「距離感バグってんじゃないの?」って口調、蓮が焦ってるのがめっちゃ伝わってきて笑っちゃった。鼻つまんで「にゃ」ってなるシュチュエーションも可愛かったし、この先どう絡んでいくのか続きが気になる! 蓮の隠してる独占欲、そろそろ爆発しそうな予感がしてニヤニヤが止まらない…!
「つむ、おはよー! 朝から元気だね!」
放課後や休み時間だけじゃない。朝の教室に入った瞬間から、私はフルスロットルで明るい。
「あ、〇〇くん! おはよ!」
「昨日言ってたテレビ見た?めっちゃ面白かったんだけど」
クラスの男子数人が、待ってましたと言わんばかりに私の席の周りに集まってくる。私は誰とでも話すのが好きだし、人見知りもしない。
ただ普通に楽しく友達として、身振りを手振りを交えながら距離感近く喋っているだけ。
「えー!本当に!?私も見ればよかった〜!」
私がそう言って、楽しそうにくしゃっと満面の笑顔を浮かべた瞬間。
「ッ⋯⋯!」
「う、うん⋯⋯。マジでおもしろかった、から⋯⋯」
男子たちが何故か急に言葉をつまらせ、バッと顔を真赤にしてそわそわしだす。
(あれ?みんな風邪でも引いてるのかな?)
なんて私は呑気に思っていたけれど、自分が学校中の男子を無自覚にノックアウトしていることには、これっぽっちも気づいていなかった。
その時、ガラッ、と教室の前のドアが開く。
その瞬間、さっきまでガヤガヤしていたクラスの空気が、ピシッと冷たく張り詰めた。女子たちの視線が一斉にそこに集まる。
「あ、れん! おはよー!」
私はパッと笑顔になって、入ってきた男子に向かって大きくぶんぶんと手を振った。
彼、一条 蓮(いちじょう れん)は、学園一のイケメンであり、誰にも心を開かないことから『氷の王子』と呼ばれている。
……が、私にとっては生まれたときから一緒にいる、ただの不愛想な幼馴染だ。
蓮はクラスの女子たちの黄色い視線を完全に無視して、ポケットに手を突っ込んだまま、私の席まで真っ直ぐ歩いてきた。
周辺にいた男子たちを「どけ」と言わんばかりに冷たい目で一瞥する。
男子たちがビクッとして一歩下がると、蓮は私の机にドンと両手を突いて、顔を至近距離まで近づけてきた。
(うわ、やっぱり顔綺麗すぎて心臓に悪い……!)
「……おい。つむ、お前さ、朝からちょっと距離感バグってんじゃないの?」
開口一番、蓮は綺麗な眉をこれでもかと不機嫌そうにひそめ、低い声で私を睨みつける。
「え? 何が? 普通におはようって言っただけじゃん」
「何が、じゃない。さっきあいつらと話してた時、なんであんなに顔近づけて笑ってんだよ」
「え〜、だってあのこ、面白いギャグ言うんだもん。れんだって、そんなに怒らなくてもよくない?」
私がちょっと拗ねたように口を尖らせると、蓮はフッと小さくため息をついた。
その目は、いつもの冷徹な『氷の王子』のものとは思えないほど、焦りと熱い独占欲で激しく揺れている。
「……あいつら、お前が笑った瞬間、全員耳まで真っ赤にしてただろ。自覚ねーの?」
「え? 照れ屋なのかな?」
「違う。お前が可愛いから、あいつも、周りの連中も、みんなチャンス狙ってんだよ」
蓮は吐き捨てるように言うと、私の前髪を少し指先で払って、私の目をじっと見つめてきた。
「……これ以上、他の男にその笑顔見せんな。俺、これでも結構我慢してんだけど」
そう言いながら、蓮は私の尖った鼻を親指と人差し指で、ギュッと容赦なくつまんできた。
「んぐ……っ!? ……ん、にゃにするの!」
突然のことにジタバタすることもできず、鼻をつままれて変な声が出てしまう。
そんな私を見て、蓮は意地悪に、だけどどこか安心したように口元を緩めて手を離した。
──でも、私は気づかない
さっきまで私の前髪に触れていた蓮の指先が、実はほんの少しだけ、緊張で震えていたことに。
(……え? みんながチャンスを狙ってる……? っていうか、れん、今のどういう意味……!?)
本人は全く気づいていない。
結城 紬(ゆうき つむぎ)が持ち前の明るさで振りまくその輝くような笑顔に、学校中の男子が狂わされ、
放置すれば誰かに奪われてしまうという現実に、この冷徹な幼馴染の独占欲が限界を迎えているということに──。