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「死にたい」
突然、彼女は言った
突然、本当に唐突に
彼女はその言葉を口にした
理 解が、できなかった
星も月も見えない、雲に覆われた暗い夜
空を見上げて、悲しそうな、辛そうな
今にも泣きそうな顔で、
「死にたいなぁ…」
と、また呟く
「星になりたい」
『…』
僕はどうすれば良いのか、なんと声をかけたら良いのか分からなかった
いつも強気で無邪気な彼女からは想像もつかなかった、弱々しい姿を
ただ、見つめることしかできずに黙り込んでいると
彼女はハッとして、僕の顔を見た
「ごめーん!びっくりしたよね…冗談だから忘れて!?」
嘘だ
冗談なんかじゃない
だってあの泣きそうな顔が、冗談な訳が無い
本気なのだと、察しの悪い僕にだってわかってしまった
でも、ごめん
やっぱり、何をしたらいいのかわからない
曖昧に笑うことしかできない僕を
どうか許してほしい
「今日はありがと、こんな夜の呼び出しで来てくれて」
『いや、、、暇だったし(笑)いいよ別に』
「優しいねぇ〜そういうとこ好きだよ」
『そうかよ』
「冷たぁ!まあいつもの事だけどさ」
『今更だろ、それじゃあまた明日』
「ッ…また、、明日ッね、!」
「明日なんて…ないんだけどなぁ((ボソ」
『どうか、したか?』
「いや、ううん!なんもない!じゃあ…」
もし、あのとき
僕が、『死なないで』って止めれたら
彼女はまだ、この世にいたのかな
死にたいと思う人に『死ぬな』なんて言うのは余計に苦しめるだけだと
じゃあ、どうしたらよかったんだ
なんて声をかけたら彼女は、生きてくれた?
あの夜の翌日
彼女はこの世から消えた
自殺だった
これは後で聞いた話だが、彼女は人間関係でトラブルがあったらしい
あんな明るくて活発な子でも人間関係に悩むこともあるのだと
意味もなく思った
はたから見れば、俺は最低な人間なのだろう
友達からのSOSを受け取ったにも関わらず、何もしなかった
不器用な彼女からの精一杯のSOSだったはずだ
「なぜ、助けなかったの?」「なぜ、見殺しにしたの?」
違う、違う、違う
僕は、俺は
どうしたらいいかわからなかった
手の差し伸べ方がわからなかったんだ
俺を責める誰かの声が聞こえた
誰からも責められなかったはずなのに
彼女の親は、俺を責めなかった
「誰も悪くない」と、こんな俺を優しく許してくれた
それなのに誰かの声が、聞こえる
「なぜ救わなかった?」「お前が声をかけていれば彼女は…」
違う。これは…誰かの声じゃない
この声は、紛れもない俺の声じゃないか
自分で自分を責めている
この感情は、後悔だ
彼女への、後悔と未練
何もできなかった自分への怒り
色々な負の感情の渦が、俺を飲み込んだ
後悔したってもうどうにもならない
もう、手遅れだ
彼女の葬儀に、俺は行かなかった
呼ばれなかったわけじゃない
俺の意思で断ったんだ
もう、何もしたくなかった
身体も心も、ぽっかり穴が空いたように寂しい
何も喉を通らず、もう何日も食事をしていない
彼女がこの世にいなくなっても、俺の目から涙が溢れることはなかった
泣けなかった
「俺って冷たいやつだな…(失笑)」
いっそ、彼女の後を追ってしまおうか
なんてことも考えたが、俺には死ぬ勇気なんて持ち合わせてなかった
俺には何も残らなかった
ふと、スマホを手にとった
何か意味があったわけではなく、なんとなく
指で電源を入ると、画面から白い光が溢れる
すると、誰かからメッセージが届いていた
見てみると、彼女からのメッセージだった
日付を見るとあの夜の日付が表示されていて
きっと、別れた後に書いたものだろうと理解した
なんのために俺に送ってきたのか、どんな事が書かれているのか
見るのには、とても勇気が必要だった
こんな俺が見ていいものなのか、悩んだ
でも、彼女からの最後の言葉を知りたい
俺はそう強く望んだ
メッセージを開いたそこには
彼女らしい端的に分かりやすく、最後の言葉にしてはとても短い文章
「君の友達でよかったって強く思う
最後まで隣りに居てくれてありがとう
あの夜、ホントはもう死ぬ気だったんだけど
最後に君に会おうと思って呼び出したんだ
結果、一日寿命が伸びたよw
もう、会えなくなるのは残念だけど…見守ってとく
君には強く生きてほしい!幸せになってよ!楽しかった
それじゃ、バイバイ」
視界が滲む
熱いものが迫り上がってくる
もうこの世にはいない人とは思えないくらい陽気で優しい言葉
彼女の事で傷ついた心を彼女が癒してくれた
身体や心にぽっかり空いた穴が埋まっていく感覚があった
「君が友達でよかった」なんてこちらのセリフだ
僕は今、君に救われたのだから
こちらこそ、何もできなくてごめん
救ってもらったのに、僕は君を救えなかった
それでも
君が僕に強く生きてほしいと願うなら、僕は強く生きよう
君が僕に幸せになってほしいと願うなら、僕は幸せになろう
君が残した、最後のメッセージ
そこに置かれた君の願いを、僕が叶えよう
それが
「死にたいと願った君に」できる
最後の事だから
あなたに大切な人はいますか?
もしその人が、「死にたいと」言ったら…どうしますか?
私も大切な友達から死にたいと言われたことがあります
その時私はどうしたらいいかなんてわからなくて
何も言えずにいました
それでもその子は今でも私の隣で生きてくれてます
その事が幸せです
もしこの話と同じ事になっても
後悔しないように、その子に自分の気持ちを伝えてあげてください
それで救われる命もあるかもしれませんから
後悔しても、もう元には戻らない
だから、今を大切にして
その子の隣にいてあげてください
綺麗事ですね(笑)すみません
でもそれが、私達にできる唯一の事だと思いますから